AVPUスケールの評価方法|A・V・P・Uの判定と記録

評価
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AVPUスケールは、意識レベルをA・V・P・Uの4段階で素早く確認する一次評価です

AVPUは、意識レベルをA(Alert)・V(Voice)・P(Pain)・U(Unresponsive)の4段階で確認する簡便な評価です。重要なのは、単に文字を選ぶことではなく、刺激前から十分に覚醒しているか、声で初めて反応するか、声では反応せず疼痛刺激で反応するかを順に確認することです。

この記事では、AVPUの判定方法、特に迷いやすいAとVの境界、V・P・Uだった場合の次の対応、記録例まで整理します。JCS・GCSの詳しい採点ではなく、AVPUを一次評価としてどう使い、次の評価・対応へつなげるかに絞って解説します。

A・V・P・Uの違いは「どの刺激で反応するか」で整理します

AVPUでは、まず刺激を加える前の状態を観察し、必要に応じて声、さらに疼痛刺激へ進みます。Aは刺激前から十分に覚醒している状態、Vは声刺激で反応する状態です。PとUでは、より緊急性の高い対応が必要になる可能性があります。

AVPUスケールのA・V・P・Uの基本的な判定
判定 意味 判定のポイント 記録例
A Alert 刺激前から十分に覚醒し、自発的に周囲と相互作用している A(自発開眼、会話可能)
V Voice 刺激前には十分に覚醒していないが、声刺激で開眼・発声・運動などの反応がみられる V(呼名で開眼、指示に従う)
P Pain 声刺激では反応せず、適切な疼痛刺激で反応する P(疼痛刺激で上肢を動かす)
U Unresponsive 声刺激や適切な疼痛刺激でも反応がみられない U(声・疼痛刺激とも反応なし)

ポイント:AVPUは「会話が正しいか」「見当識が保たれているか」だけでA・Vを決める評価ではありません。まず刺激前から十分に覚醒しているかを確認します。

AとVの境界は「刺激前から十分に覚醒しているか」で判断します

AVPUで最も迷いやすいのが、A(Alert)とV(Voice)の境界です。Aは、声をかけたときに返事ができることではなく、刺激を加える前から十分に覚醒し、自発的に周囲と相互作用している状態を指します。

一方、Vは、刺激前には十分に覚醒していないものの、声をかけることで初めて開眼・発声・運動などの反応が現れる状態です。「呼名が必要なら必ずV」と機械的に決めるのではなく、評価前の覚醒状態と声刺激後の反応を合わせて判断します。

見当識が悪くてもAになることがあります

AVPUは見当識そのものを評価する尺度ではありません。十分に覚醒して周囲と自発的に相互作用していれば、時間や場所について混乱していてもAVPUとしてはAになり得ます。

見当識障害や会話内容の異常がある場合は、AVPUだけで完結させず、認知・神経学的状態や原因を別途評価します。「Aだから意識に問題がない」と判断しないことが重要です。

睡眠中は、そのままVと決めないようにします

睡眠中の患者を評価する場合は、寝ているという理由だけでVと判定しないことが大切です。評価が必要な場面では覚醒を促し、その後の状態を確認します。

  • 覚醒後に十分に目覚め、自発的な反応が保たれる:Aを考える
  • 覚醒を促しても眠気が強く、声刺激によって反応が維持される:Vを考える

睡眠、鎮静、薬剤などが反応性へ影響している場合は、その条件も記録しておくと経時比較がしやすくなります。小児では睡眠状態や普段の反応との違いにも注意し、施設手順がある場合はそちらを優先します。

AVPUの評価手順は「観察 → 声刺激 → 必要時のみ疼痛刺激」です

AVPUは、最初から刺激を加えるのではなく、まず自発的な覚醒・反応を観察するところから始めます。反応が不十分なときに声刺激、それでも反応が確認できない場合に必要な範囲で疼痛刺激へ進みます。

  1. 観察する:自発開眼、周囲への注意、会話や自発運動などを確認する
  2. 声をかける:呼名や簡単な指示に対する開眼・発声・運動反応を確認する
  3. 必要時のみ疼痛刺激を行う:声刺激で反応がない場合に、施設手順に沿った方法で確認する
  4. A・V・P・Uを記録する:判定だけでなく、実際にみられた反応も残す

疼痛刺激は「PかUかを確認するため」に必要最小限で行います

疼痛刺激は、声刺激で反応が確認できない場合に、PとUを判別するために用います。目的は強い痛みを与えることではなく、刺激に対する反応の有無を確認することです。

刺激方法は施設の手順や救急・神経学的評価の標準手順を優先し、不要に長く繰り返したり、組織損傷につながるような刺激を行ったりしないようにします。AVPU自体に「何秒刺激する」といった一律の時間を設定する必要はありません。

注意:刺激部位や刺激方法を自己流で強くするのではなく、施設SOPや使用している神経学的評価手順に従ってください。再評価では、刺激条件と反応内容を残しておくと変化を比較しやすくなります。

V・P・Uなら「なぜ覚醒が低下しているか」を確認し、P・UではABCDEへ戻ります

AVPUは意識レベルを素早く分類する入口です。V・P・Uは、通常のAlertではないことを示すため、原因評価やより詳細な神経学的評価が必要です。ただし、すべてを同じ順番でJCSやGCSへ進めればよいわけではありません。

特にPまたはUでは、詳細な意識尺度を採点することより先にABCDEを再確認します。気道保護が必要な状態、呼吸・循環異常、低血糖など、直ちに対応すべき原因が隠れている可能性があるためです。

AVPU判定後の次の対応
判定 次に考えること 実務上のポイント
A 状態に応じて経過観察・原因評価 Aでも混乱、見当識障害、神経症状があれば追加評価する
V ABCDE、原因確認、必要な詳細評価 以前Aだった患者がVへ変化した場合は、変化そのものを重視する
P ABCDEを直ちに再確認し、緊急対応を検討 気道・呼吸・循環・血糖などを確認し、必要な援助を要請する
U ABCDEを直ちに再確認し、緊急対応を検討 気道保護を含む迅速な対応が必要となる可能性が高い

図:AVPUの判定フローと次の一手

AVPUの判定フローと次の一手を整理した図版。刺激前から十分に覚醒していればA、声刺激で反応すればV、疼痛刺激で反応すればP、刺激でも反応しなければUと判定し、異常時の原因確認やABCDE再確認へつなげる流れを示す。
AVPUは判定だけで終わらせず、次の対応へつなげます。特にP・UではABCDEを直ちに再確認し、気道・呼吸・循環など緊急性の高い問題を優先します。

意識変容の原因としては、低酸素、低血糖、循環不全、けいれん、頭部外傷、脳血管障害、感染、薬剤・中毒などがあります。AVPUは原因を診断する尺度ではないため、異常な反応を拾ったら原因検索へつなげることが重要です。

記録は「AVPU+刺激条件+実際の反応」を1行で残します

AVPUはA・V・P・Uの1文字だけでも記録できますが、経時変化や申し送りを考えると、どの刺激で、どのような反応がみられたかを短く添える方が実用的です。

  • A:自発開眼あり、会話可能
  • V:呼名で開眼、簡単な指示に従う
  • P:声刺激では反応なし、疼痛刺激で上肢運動あり
  • U:声刺激・疼痛刺激とも反応なし

たとえば「AVPU:V」だけでは、声に対して開眼したのか、発声したのか、指示に従ったのかが分かりません。「V(呼名で開眼、右手の握り指示に従う)」のように反応を添えると、次の評価者が変化を比較しやすくなります。

再評価では「前回から何が変わったか」を確認します

AVPUの価値は1回の分類だけでなく、経時的な変化を素早く共有できることにもあります。たとえばAからV、VからPへの変化があれば、単なる点数変化ではなく覚醒・反応性の低下として扱い、原因を再確認します。

再評価の間隔はAVPU自体で一律に決めるのではなく、患者の状態、急変対応の必要性、施設プロトコルに応じて設定します。

挿管・失語・難聴では「発語の有無」だけでV・P・Uを決めません

AVPUのVは「会話ができる」という意味ではなく、声刺激に対して何らかの反応がみられる状態です。そのため、挿管や失語によって発語できない患者でも、開眼、追視、運動、従命などの反応を確認します。

AVPUを判定しにくい状況と記録の考え方
状況 注意点 記録例
挿管中 発声できないこと自体でP・Uにしない。覚醒状態、開眼、追視、運動、従命を確認する V(呼名で開眼、握手指示に従う/挿管中)
失語 言葉が出ないことと、声刺激へ反応しないことを分ける V(呼名で開眼、追視あり/発語困難)
難聴 声刺激が十分に伝わらない場合、Vの判定自体に制約がある。触覚刺激への反応をVとはみなさない AVPU判定に制約あり(難聴、声刺激への評価困難)
睡眠・鎮静 睡眠中という理由だけでVと固定せず、覚醒後の状態と鎮静・薬剤の影響を確認する 覚醒後A/鎮静薬使用中など条件を併記

特に難聴では、触れたことで開眼した反応を「V」と置き換えると、Voiceへの反応というAVPU本来の意味から外れます。評価を妨げる条件そのものを記録し、必要に応じてより詳細な神経学的評価へ進む方が適切です。

AVPU評価・記録シートをExcel・PDFで使えます

AVPUの判定境界、評価の順番、V・P・Uだった場合の次の対応、記録欄を1枚にまとめた「AVPU評価・記録シート v5」を作成しました。

Excel版はパソコンでの入力・原本管理、PDF版は印刷して手書きする場合に使えます。AVPUの1文字だけではなく、刺激条件や反応内容を残して経時変化を確認するための補助シートとして使用してください。

AVPU評価・記録シート PDFのプレビューを開く

プレビューが表示されない場合は、こちらからPDFを開いてください。

本シートはAVPUの判定と記録を補助するための資料です。実際の急変対応や疼痛刺激の方法、報告・応援要請については、所属施設の手順を優先してください。

よくある質問(FAQ)

Q1. AとVは、呼名が必要かどうかだけで決めればよいですか?

呼名の有無だけでは決めません。Aは刺激前から十分に覚醒し、自発的に周囲と相互作用している状態です。Vは刺激前には十分に覚醒しておらず、声刺激で反応する状態です。評価前の覚醒状態と、声刺激後の反応を合わせて判断します。

Q2. 寝ている患者を呼んで起きた場合はVですか?

睡眠中という理由だけでVとは決めません。評価が必要であれば覚醒を促し、その後十分に覚醒して反応が維持されるか確認します。覚醒後に十分AlertであればA、眠気が強く声刺激によって反応する状態が続く場合はVを考えます。

Q3. 見当識障害があればVになりますか?

必ずしもVにはなりません。AVPUは見当識を直接評価する尺度ではありません。十分に覚醒し、自発的に周囲と相互作用していればAになり得ます。見当識障害がある場合は、AVPUとは別に原因や認知・神経学的状態を評価します。

Q4. AVPUでV・P・Uだったら、すぐGCSやJCSを評価すればよいですか?

詳細評価は重要ですが、特にPまたはUでは先にABCDEを再確認します。気道・呼吸・循環・血糖など、直ちに対応すべき異常がないか確認したうえで、必要に応じてJCSやGCSなどの詳細評価へ進みます。

次の一手


参考文献

  1. World Health Organization, International Committee of the Red Cross. Basic Emergency Care: Approach to the Acutely Ill and Injured. Geneva: World Health Organization; 2018.
  2. Queensland Health. AVPU: Assessment tool for conscious state. Queensland Government.
  3. McNarry AF, Goldhill DR. Simple bedside assessment of level of consciousness: comparison of two simple assessment scales with the Glasgow Coma scale. Anaesthesia. 2004;59(1):34-37. doi: 10.1111/j.1365-2044.2004.03526.x
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  5. Hoffmann F, Schmalhofer M, Lehner M, Zimatschek S, Grote V, Reiter K. Comparison of the AVPU Scale and the Pediatric GCS in Prehospital Setting. Prehosp Emerg Care. 2016;20(4):493-498. doi: 10.3109/10903127.2016.1139216
  6. Romanelli D, Flannery AH. AVPU Scale. StatPearls. StatPearls Publishing. NCBI Bookshelf
  7. Royal Children’s Hospital Melbourne. Clinical Practice Guidelines: Altered conscious state. Guideline

著者情報

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rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blogを2022年4月に開設。急性期・回復期・療養病棟、介護福祉施設、訪問リハビリテーションでの臨床経験をもとに、理学療法評価、臨床手順、記録用紙、医療制度などの実務情報を発信しています。

現在は療養病院に勤務し、脳卒中、褥瘡・創傷ケア、リハビリテーション栄養、呼吸リハビリテーションを中心に臨床・教育活動を行っています。

保有資格

  • 脳卒中認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター2級

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