- CBAとは?高次脳機能を6領域の行動から評価する方法
- CBAの6領域と点数|CBA5は5段階・合計6〜30点で評価する
- CBA5とCBA3の違い|5段階評価と3段階評価を使い分ける
- CBAが向く場面|検査得点だけでは生活上の問題が見えにくいとき
- STがCBAを見るときは「会話のどこで崩れるか」まで観察する
- CBAの使い方|公式評価と記録・共有の補助情報を分ける
- CBAの記録例|点数に「根拠行動」と「生活への影響」を添える
- CBAだけで完結しない|失語やUSNは目的に応じて個別評価する
- CBAでよくある3つの混同|公式評価と補助記録を分ける
- CBA記録用PDF・Excel|観察・生活・共有まで1枚で残す
- CBAについてよくある質問
- 次の一手|全体像と個別症状を分けて評価する
- 参考文献
- 著者情報
CBAとは?高次脳機能を6領域の行動から評価する方法
CBA(Cognitive-related Behavioral Assessment:認知関連行動アセスメント)は、日常生活やリハビリテーション場面の行動から、意識・感情・注意・記憶・判断・病識の6領域を評価する方法です。従来のCBA5では各領域を1〜5点の5段階で評価し、合計6〜30点で認知能力の重症度を捉えます。
現在は、従来のCBA5に加えて、生活期でより簡便に活用することを想定したCBA3も公開されています。このページでは、CBAの基本、CBA5とCBA3の違い、STが観察するときの視点、記録・申し送りへのつなげ方を整理します。記事後半には、CBAの評価結果を根拠行動・生活上の困り・チーム対応までつなげて記録できるA4 PDF・Excelも用意しています。
CBAの6領域と点数|CBA5は5段階・合計6〜30点で評価する
CBAは、個別の神経心理学的症状だけを見るのではなく、日常の行動から全般的な認知能力を捉える行動評価です。2014年の開発研究では、意識・感情・注意・記憶・判断・病識の6領域を、それぞれ1点(最重度)〜5点(良好)の5段階で評価し、合計6〜30点としています。
CBAを評価するために、特定の机上検査を必ず実施する必要はありません。日常生活、リハビリテーション、会話、ADLなどで実際にみられる行動を観察し、認知能力を評価できることが特徴です。
以下の「観察の入口」は、CBAの公式採点基準を転載したものではありません。6領域を臨床場面で観察するときの着眼点として、当サイトで整理した補足です。実際の採点はCBA公式の評価用紙・フローチャートを確認してください。
| 領域 | 観察の入口 | 記録するときの視点 |
|---|---|---|
| 意識 | 覚醒の安定性、反応の変化、疲れやすさ | どの時間帯・条件で反応が変わるか |
| 感情 | 自発性、感情の変化、行動の抑制 | どの場面で行動や感情が変化するか |
| 注意 | 課題への集中、持続、切り替え、複数刺激への対応 | 何が加わると遂行が崩れるか |
| 記憶 | 直前の出来事、予定、説明内容の保持 | 手がかりやメモで補えるか |
| 判断 | 状況に応じた選択、危険への対応、行動調整 | どの程度の助言で適切な選択へ戻れるか |
| 病識 | 自分の障害や困りごとの理解、助言への反応 | 自覚の程度と自己修正の可否 |

CBA5とCBA3の違い|5段階評価と3段階評価を使い分ける
現在のCBA公式サイトでは、従来のCBA5に加えて、生活期でより簡便に活用するためのCBA3が案内されています。どちらも意識・感情・注意・記憶・判断・病識の6領域を扱いますが、評価段階と想定される使い方が異なります。
| 項目 | CBA5 | CBA3 |
|---|---|---|
| 評価領域 | 意識・感情・注意・記憶・判断・病識 | 意識・感情・注意・記憶・判断・病識 |
| 評価段階 | 5段階 | 3段階 |
| 位置づけ | 従来のCBA | 生活期でより簡便に活用することを想定 |
CBA公式サイトでは、CBA5評価用紙、CBA5評価フローチャート、CBA3評価用紙が公開されています。採点基準そのものは本記事へ転載せず、実際に評価するときは最新の公式資料を確認してください。
CBAが向く場面|検査得点だけでは生活上の問題が見えにくいとき
CBAの強みは、検査室だけでは捉えにくい認知能力を、実際の日常生活やリハビリテーション場面から評価できることです。多職種が共通した枠組みで患者像を整理し、支援へつなげたい場合にも活用できます。
| 場面 | CBAで整理すること |
|---|---|
| 机上検査だけでは生活像が分からない | 日常行動から6領域の状態を整理する |
| 多職種で患者像が一致しない | 同じ6領域を使って観察所見を共有する |
| 同じ課題でもできる時とできない時がある | 実際に崩れる場面や条件を観察する |
| 評価結果を支援方法へつなげたい | 得点だけでなく、根拠となった行動と生活上の問題を残す |
STがCBAを見るときは「会話のどこで崩れるか」まで観察する
CBAはSTだけが使用する評価ではなく、多職種で活用できる評価です。そのうえでSTは、会話やコミュニケーション場面を通して、注意の持続、話題の切り替え、説明内容の保持、自己修正、障害への気づきなどを観察できます。
例えば「会話可能」とだけ記録するのではなく、1対1では話題を保てるが、周囲から声をかけられると脱線する、誤りを指摘すると自分で修正できるなど、崩れる条件と修正可能性まで残すと、病棟での対応につなげやすくなります。
一方、失語症がある場合には注意が必要です。指示理解の低下や発話の停滞を、そのまま注意・記憶・判断の低下と決めつけず、言語機能の影響と分けて考えます。個別症状の精査が必要な場合は、CBAとは別に目的に合った評価を追加します。
CBAの使い方|公式評価と記録・共有の補助情報を分ける
CBAそのものは、日常生活やリハビリテーション場面の行動を観察し、公式の評価基準に沿って6領域を評価します。そのうえで、評価の根拠となった行動や生活上の困りを残しておくと、再評価や多職種共有へつなげやすくなります。
- 使用するCBAを確認する:CBA5またはCBA3の公式評価用紙を確認する
- 日常の行動を観察する:生活、訓練、会話、ADLなどの実際の場面を見る
- 6領域を評価する:公式の評価基準に沿って判定する
- 根拠となった行動を残す:点数だけでなく、何が起きたかを記録する
- 必要なら個別評価を追加する:失語、USNなど、疑われる症状に応じた検査を行う
- 生活と支援へつなげる:困る場面とチームでそろえる対応を共有する
CBAの記録例|点数に「根拠行動」と「生活への影響」を添える
CBAを申し送りへつなげるには、点数だけでなく、評価の根拠となった具体的な行動を残すことが重要です。当サイトでは、評価条件 → 根拠行動 → 手がかり後の変化 → 生活上の困り → 対応までを補助情報として記録する形に整理しています。
評価条件や共有サマリーはCBA公式の6領域や採点項目そのものではありません。再評価時の条件差を確認し、多職種が実際の対応をそろえやすくするための補助記録です。
| 項目 | 記録する内容 | 記録例 |
|---|---|---|
| 評価条件 | 時間帯、覚醒、疲労、場所など | AM・病棟談話室・眠気軽度 |
| 根拠行動 | 評価の根拠となった具体的な行動 | 周囲から声をかけられると会話の話題保持が困難 |
| 手がかり後の変化 | 声かけや環境調整による変化 | 話題を提示し直すと自力で会話へ戻れる |
| 生活上の困り | 病棟やADLで実際に起きていること | 複数人での説明では予定内容を取り違えやすい |
| 対応 | 多職種でそろえる関わり方 | 重要事項は1テーマずつ伝え、変更点は紙面でも提示する |
共有文の例:「1対1では会話を保持できるが、周囲からの割り込みで話題が逸れやすい。話題を提示し直すと自己修正可能。重要事項は1テーマずつ伝え、変更点は紙面でも提示する。」
CBAだけで完結しない|失語やUSNは目的に応じて個別評価する
CBAは全般的な認知能力を行動から捉える評価であり、失語症や半側空間無視などの個別症状を詳細に評価する検査とは役割が異なります。
例えば、左側への見落としが疑われる場合、CBAの観察所見だけでUSNの有無や重症度を決めるのではなく、必要に応じて抹消課題などの個別評価を追加します。同様に、言語理解や表出の問題が疑われる場合は、失語症の影響を分けて評価する必要があります。
CBAでよくある3つの混同|公式評価と補助記録を分ける
CBAを実務で使うときは、公式の評価法と、評価結果を生活・共有へ落とし込むための補助情報を混同しないことが重要です。
| 混同 | 正しい整理 |
|---|---|
| CBAは個別検査前の単なるスクリーニングである | CBA自体が、日常行動から認知能力を評価する行動評価です |
| 評価条件や共有サマリーもCBA公式の採点項目である | 当サイトの配布シートでは、再評価・共有のための補助項目として追加しています |
| CBAを行えば個別検査は不要である | 失語やUSNなどを詳しく確認する必要があれば、目的に合った個別評価を追加します |
CBA記録用PDF・Excel|観察・生活・共有まで1枚で残す
CBAの評価結果を臨床で共有しやすくするために、「CBA 観察・共有記録補助シート|CBA5・CBA3対応」を用意しました。CBA公式の評価結果に加えて、根拠となった行動、崩れる条件、声かけ・手がかり後の変化、生活上の困り、チーム対応、再評価までA4縦1枚で記録できます。
本シートはrehabilikunblogが作成した記録・情報共有用の補助シートであり、CBA公式評価用紙ではありません。正式な評価・採点は、必ずCBA公式の評価用紙・資料を確認してください。
PDFを本文内でプレビューする(クリックで開く)
CBAについてよくある質問
CBAを評価するために特別な検査は必要ですか?
必須ではありません。CBAは、日常生活やリハビリテーション場面などでみられる行動から6領域を評価できます。個別症状を詳しく確認する必要がある場合には、目的に応じて神経心理学的検査などを追加します。
CBA5とCBA3は何が違いますか?
どちらも意識・感情・注意・記憶・判断・病識の6領域を扱います。従来のCBA5は5段階評価で、CBA3は生活期でより簡便に活用できるよう3段階へ整理された評価です。実際の採点は、それぞれの公式評価用紙を確認してください。
CBAは失語症やUSNの検査の代わりになりますか?
なりません。CBAは全般的な認知能力を行動から評価するもので、失語症やUSNなどの個別症状を詳細に評価する検査とは役割が異なります。疑われる症状に応じて個別評価を追加します。
STはCBAで何を観察するとよいですか?
会話やコミュニケーション場面から、話題の保持、注意の切り替え、説明内容の保持、自己修正、障害への気づきなどを観察できます。ただし、失語症など言語機能そのものの影響と混同しないことが重要です。
次の一手|全体像と個別症状を分けて評価する
- 高次脳機能評価の全体像を確認する:高次脳機能評価ハブ
- USNを具体的に評価する:USN(抹消課題)のやり方と判定
参考文献
- Morita A, Ishikawa M, Kanai K, Makisako H. 認知機能を行動から評価するための「認知関連行動アセスメント」の開発. 総合リハビリテーション. 2014;42(9):877-884. doi: 10.11477/mf.1552110631.
- Morita A. 高次脳機能障害をめぐる多職種連携に言語聴覚士が果たす役割. 高次脳機能研究. 2018;38(3):287-291. doi: 10.2496/hbfr.38.287.
- Onda S, Morita A, Ajisaka M. Clinical usefulness of the Cognitive-related Behavioral Assessment (CBA) in outpatient occupational therapy: A case study of the use of CBA between OT and patient’s family. 作業療法. 2024;43(4):586-592. doi: 10.32178/jotr.43.4_586.
- CBA Project. 認知関連行動アセスメント(CBA)[Internet]. Available from: https://www.cba-ninchikanrenkoudou.com/. Accessed 2026 Aug 22.
著者情報
rehabilikun(理学療法士)
rehabilikun blogを2022年4月に開設。急性期・回復期・療養病棟、介護福祉施設、訪問リハビリテーションでの臨床経験をもとに、理学療法評価、臨床手順、記録用紙、医療制度などの実務情報を発信しています。
現在は療養病院に勤務し、脳卒中、褥瘡・創傷ケア、リハビリテーション栄養、呼吸リハビリテーションを中心に臨床・教育活動を行っています。
保有資格
- 脳卒中認定理学療法士
- 褥瘡・創傷ケア認定理学療法士
- 登録理学療法士
- 3学会合同呼吸療法認定士
- 福祉住環境コーディネーター2級

