NHPT・Purdue Pegboard評価法|違い・採点・記録用紙

評価
記事内に広告が含まれています。

NHPTとPurdue Pegboardの違い|まずどちらを選ぶ?

NHPT(Nine Hole Peg Test/9ホールペグ)は、片手で9本のペグを入れて戻すまでの時間を測る評価です。一方、Purdue Pegboardは、片手・両手で一定時間に扱えたペグ数に加え、両手を交互に使うAssemblyまで評価できます。

迷ったら、片手の手指巧緻性を時間で追いたいならNHPT、片手だけでなく両手協調や組立課題まで確認したいならPurdue Pegboardと整理すると選びやすくなります。このページでは、両評価の違い、標準的な実施方法、採点、再評価時にそろえる条件までまとめます。

このページで確認する項目

違い・使い分け

NHPTの評価方法

Purdueの評価方法

記録用紙PDF

NHPTとPurdue Pegboardの違い・使い分け

2つの評価は、同じ「手指巧緻性」でもスコアの作り方と課題構成が異なります。NHPTは所要時間を記録するため経時変化を追いやすく、Purdue Pegboardは片手・両手・Assemblyを分けて確認できる点が特徴です。

NHPTとPurdue Pegboardの違いと実施の要点を比較した図版
NHPTは片手の手指巧緻性を時間で評価し、Purdue Pegboardは片手・両手・Assemblyを分けて評価します。図版中のPurdueの実施順は右利きの例で、左利きでは最初の2課題を反転します。

スマートフォンでは表を横スクロールできます。

NHPTとPurdue Pegboardの使い分け
項目 NHPT Purdue Pegboard
主な課題 9本のペグを1本ずつ挿入し、1本ずつ容器へ戻す 片手、両手、Assembly
主なスコア 完了までの時間(秒) 挿入本数、ペア数、部品点
数値の見方 短いほど速い 多いほど多く課題を遂行できた
特徴 片手の手指巧緻性をシンプルに追いやすい 片手だけでなく両手課題・組立課題を確認できる
選び方 片手の経時変化を簡潔に追いたい 両手課題まで分けて確認したい

両方を必ず実施する必要はありません。知りたいことを先に決め、片手の速度を追うならNHPT、両手課題まで分けて確認したいならPurdue Pegboardを選びます。評価値だけで生活動作を決めつけず、書字、更衣、食事、道具操作など実際の作業観察と組み合わせて解釈することが大切です。

NHPTの評価方法|利き手から実施し時間を記録する

NHPTは利き手から開始し、各手で練習1回を行ったあと、実測1回の所要時間を秒で記録します。計時は最初のペグに触れた時点で開始し、最後のペグを容器へ戻した時点で終了します。[5]

NHPTの準備

ボードを対象者の正面に置き、ペグの入った容器を評価する手側へ配置します。評価していない手ではボードを安定させます。利き手終了後は容器を反対側へ移し、非利き手も同じ条件で行います。[5]

NHPTの標準的な流れ

  1. 利き手側にペグ容器を配置する。
  2. 利き手で非計時の練習を1回行い、課題を理解できているか確認する。
  3. 実測を開始し、最初のペグに触れた時点で計時を始める。
  4. 評価する手だけでペグを1本ずつ取り、9つの穴へ入れる。
  5. 9本すべて入れたら、1本ずつ取り出して容器へ戻す。
  6. 最後のペグが容器へ入った時点で計時を止める。
  7. 容器を反対側へ移し、非利き手でも同じ手順を行う。

記録単位は秒です。NHPTは完了時間を測るため、同一条件で比較する場合は値が短くなるほど課題遂行が速くなったと捉えます。ただし、標準値や過去値と比較するときは、使用した機器や実施条件、対象集団を確認してください。

NHPTで最低限残したい記録
項目 記録内容
利き手 右・左
利き手の時間 ___秒
非利き手の時間 ___秒
練習 各手1回
追加条件 疼痛、装具、姿勢、支持条件など

ポイント:院内で追加試行を行う場合は、標準的な実測と混同しないよう「追加試行」として区別してください。標準値と比較するときは、その標準値が採用した手順と自分たちの測定条件が一致しているかを確認します。

Purdue Pegboardの評価方法|片手・両手・Assemblyを分けて記録

Purdue Pegboardは、右手30秒、左手30秒、両手30秒、Assembly 60秒を基本として評価します。右利きではこの順で進めますが、左利きでは最初の2課題を反転し、左手から右手の順で行います。公式マニュアルでは3試行が強く推奨されています。[6]

実施順序

Purdue Pegboardの実施順序と採点
課題 時間 スコア
右手 30秒 挿入したピンの本数
左手 30秒 挿入したピンの本数
両手 30秒 左右に挿入できたペア数
R+L+Both 計算 右手+左手+両手の合計
Assembly 60秒 正しく配置された部品数

右利きでは右手→左手→両手→Assemblyの流れで進めます。左利きでは最初の2課題を反転し、左手→右手→両手→Assemblyとします。R+L+Bothは独立した課題ではなく、右手・左手・両手の3スコアを合計して求めます。[6]

片手課題

片手課題では、上側の穴から順に1本ずつピンを挿入し、30秒間に入れられた本数を記録します。課題前には数本を使って練習し、手順を理解してから実測へ進みます。[6]

実測中にピンを落としても、そのピンを拾うために止まらず、容器から次のピンを取って続けます。[6]

両手課題

両手課題では、左右の手で同時に1本ずつ取り、左右の列へ上から順に挿入します。30秒終了時に数えるのはピンの総本数ではなく、左右に入ったペア数です。[6]

Assemblyの採点

Assemblyでは、ピン→ワッシャー→カラー→ワッシャーを1組として、60秒間、左右の手を交互に使いながら組み立てます。右利きではピンを右手から開始し、左利きでは左右の役割を反転します。[6]

Assembly scoreは完成した組数ではなく、正しく配置された部品数で数えます。1組が完成すれば4点です。制限時間終了時に次のAssemblyが途中まで正しく配置されている場合、その部品も1つずつ加算します。[6]

Assemblyの採点例

7組完成していれば28点です。さらに次の組で「ピン+ワッシャー」まで正しく配置できていれば2点を加え、合計30点と記録します。

Purdue Pegboardは何回測る?

公式マニュアルでは、各subtestを3試行行うことが強く推奨されています。3試行のスコアを平均する方法は信頼性を高めやすい一方、Purdue Pegboardの標準値には1試行・2試行・3試行など異なる実施法を用いた研究が含まれます。[6]

そのため、「3試行平均なら、どの標準値ともそのまま比較できる」とは考えません。標準値との比較が目的なら、その標準値が採用した試行数と集計方法を確認します。院内で経時変化を追う場合も、試行回数と代表値の算出方法を途中で変更しないことが重要です。

結果の見方|左右差だけで判断しない

NHPTもPurdue Pegboardも、数値だけで上肢機能や生活動作を決める評価ではありません。利き手、罹患側、疼痛、感覚障害、運動麻痺、姿勢、装具などを確認し、実際の作業遂行と組み合わせて解釈します。

結果を臨床へつなげるときの確認ポイント
結果 確認すること 次に見る内容
NHPTが遅い どの工程で時間を要したか 把持、つまみ、リリース、感覚、実生活の巧緻動作
Purdue片手課題が低い 片手操作そのものに問題があるか 運動・感覚機能、巧緻動作、課題理解
両手課題で低下する 両手を同時に動かす場面で何が崩れるか 実際の両手作業、左右の役割分担
Assemblyで低下する 部品操作、両手の交互使用、注意など 組立課題や複数工程を含む実作業

Purdue Pegboardでは、右手と左手の差や比率だけを単独で診断的に解釈することには注意が必要です。公式マニュアルでも左右差・左右比の信頼性には限界があるとされているため、明らかな左右差があっても、他の上肢評価や実際の作業所見と合わせて判断します。[6]

また、Assemblyは両手の巧緻性だけでなく、注意や認知的な処理速度など複数の要素の影響を受けます。Assemblyが低いという結果だけから「系列動作障害」「工程理解の問題」と決めつけず、どこで止まったのかを観察して次の評価へつなげます。[6]

再評価でそろえる条件|数値と一緒に何を記録する?

経時変化を追うなら、スコアだけでなく実施条件を同じにすることが重要です。用具、姿勢、ボード位置、試行回数などが変わると、前回との差に評価条件の違いが混ざります。

NHPT・Purdue Pegboardで再評価時に確認する条件
項目 確認内容 記録例
使用用具 同じ規格・同じキットを使用したか 使用キット名/欠品なし
利き手 右・左を明確にする 利き手:右
姿勢 椅子、机、体幹位置などをそろえる 椅子座位/机上実施
装具・支持 装具や支持条件の変更がないか 手関節装具なし
疼痛・症状 測定へ影響する症状がないか 手指痛NRS 1/10
試行数 前回と同じ試行数・集計法か Purdue各3試行・平均値

記録のポイント:「NHPT 24.8秒」「Purdue右手13本」だけで終わらせず、利き手・評価側・疼痛・試行方法など、次回も同条件で再現するために必要な情報を残します。

NHPT・Purdue Pegboardで間違えやすいポイント

最も避けたいのは、前回と違う方法で測定しているのに同じスコアとして比較することです。特に、計時点、試行数、採点単位は先に統一します。

よくある間違いと修正方法
よくある間違い 修正方法
NHPTの計時開始・終了が測定者で違う 最初のペグ接触で開始し、最後のペグが容器へ戻った時点で終了する。
NHPTで練習の有無が毎回違う 各手に練習1回を行ってから実測する。
左利きでもPurdueを右手から始める 左利きでは左手→右手の順へ反転する。
Purdue両手をピンの総本数で数える 左右に挿入できたペア数で記録する。
Assemblyを完成組数だけで記録する 正しく配置された部品数で採点する。
落としたピンを拾うためにPurdueを止める 実測中は拾わず、次のピンを取って続ける。
試行数を変えて経時比較する 試行数と代表値の計算方法を固定して記録する。
Purdueの左右差だけで結論を出す 他の上肢評価と実作業の観察を合わせる。

NHPT・Purdue Pegboard記録用紙PDF

NHPTとPurdue Pegboardの実施条件・スコア・再評価条件を1枚で記録できるA4用紙を用意しました。今回のv3では、Purdue Pegboardの利き手による実施順、3試行、R+L+Both、Assemblyの採点単位などを整理しています。


NHPT・Purdue記録用紙 v3(PDF)を開く

クリックで記録用紙PDFをプレビュー

プレビューできない場合は NHPT・Purdue記録用紙PDFを開く をタップしてください。

再評価では、用紙に残した実施条件を確認してから測定を始めると、前回と今回で条件が変わるのを防ぎやすくなります。

次に読む|上肢評価をどう組み合わせる?

NHPTやPurdue Pegboardだけで上肢機能全体を評価するのではなく、何を知りたいかに応じて他の評価と組み合わせます。


参考文献

  1. Mathiowetz V, Weber K, Kashman N, Volland G. Adult norms for the Nine Hole Peg Test of finger dexterity. Occup Ther J Res. 1985;5(1):24-38. doi: 10.1177/153944928500500102
  2. Wang YC, Bohannon RW, Kapellusch J, Garg A, Gershon RC. Dexterity as measured with the 9-Hole Peg Test across the age span. J Hand Ther. 2015;28(1):53-59. doi: 10.1016/j.jht.2014.09.002
  3. Tiffin J, Asher EJ. The Purdue pegboard: norms and studies of reliability and validity. J Appl Psychol. 1948;32(3):234-247. doi: 10.1037/h0061266
  4. Buddenberg LA, Davis C. Test-retest reliability of the Purdue Pegboard Test. Am J Occup Ther. 2000;54(5):555-558. doi: 10.5014/ajot.54.5.555
  5. Shirley Ryan AbilityLab. Nine Hole Peg Test Instructions. Instructions derived from Mathiowetz et al. 1985. Available from: Nine Hole Peg Test Instructions. Accessed 2026 Aug 16.
  6. Lafayette Instrument Company. Purdue Pegboard Model 32020A User’s Manual. Rev 3. Available from: Purdue Pegboard User’s Manual. Accessed 2026 Aug 16.

著者情報

rehabilikun(理学療法士)のアイコン

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blogを2022年4月に開設。急性期・回復期・療養病棟、介護福祉施設、訪問リハビリテーションでの臨床経験をもとに、理学療法評価、臨床手順、記録用紙、医療制度などの実務情報を発信しています。

現在は療養病院に勤務し、脳卒中、褥瘡・創傷ケア、リハビリテーション栄養、呼吸リハビリテーションを中心に臨床・教育活動を行っています。

保有資格

  • 脳卒中認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター2級

運営者プロフィール編集・引用ポリシーお問い合わせ