- 3 oz(3 オンス)水飲みテストとは?30 mL/100 mL(TWST)との違いと使い分け
- 先に結論:3 oz/30 mL/100 mL(TWST)は「目的」と「出したい記録」が違う
- 比較早見表:3 oz(90 mL)/30 mL/100 mL(WST)/TWST
- 3 oz(3 オンス)水飲みテストの位置づけ:Yale Swallow Protocol の“水飲みチャレンジ”として語られることが多い
- TWST(Timed Water Swallow Test)は「mL/s を残す」テスト
- 使い分けフロー:迷ったら「30 mL → 3 oz → 100 mL / TWST」の順で負荷と記録をそろえる
- 現場の詰まりどころ:陰性でも「疑う条件」が残るとき、次に見るべきポイント
- よくある失敗:テストそのものより「条件のズレ」で結果が変わる
- 記録テンプレ:合否+“1 行メモ”で再評価が回る
- よくある質問(FAQ)
- 次の一手:同テーマで回遊する
- 参考文献
- 著者情報
3 oz(3 オンス)水飲みテストとは?30 mL/100 mL(TWST)との違いと使い分け
3 oz(約 90 mL)水飲みテストは、嚥下スクリーニングでよく話題に出る一方、「30 mL の水飲みテスト(WST/MWST 系)」「100 mL の水飲みテスト」「Timed Water Swallow Test(TWST)」と混同されやすいところです。本記事では、量・判定・記録指標・向く場面を整理し、現場で迷わず選べるようにまとめます。
結論として、3 oz は「連続して飲めるか(途中で止まる/むせる)」を短時間でみる用途に強く、100 mL(TWST)は「飲み込み能力(mL/s)を数値化して追う」用途に向きます。30 mL は「実施できる対象が広い/中止で止めやすい」ため、ベッドサイドの入口として相性が良いことが多いです。
先に結論:3 oz/30 mL/100 mL(TWST)は「目的」と「出したい記録」が違う
同じ“水飲みテスト”でも、①目的(スクリーニング/定量追跡)と②記録(合否/時間/mL/s)が違います。ここが揃わないまま選ぶと、「陰性だったのに後で誤嚥が疑われた」「経過を追いたいのに数字が残らない」などのズレが起きやすくなります。
迷ったら、まずは入口(できる/できない)を見やすい少量で始め、必要に応じて量を上げて負荷をそろえる、そして追跡したいときは TWST の mL/s を残す、という順にすると運用が安定します。
比較早見表:3 oz(90 mL)/30 mL/100 mL(WST)/TWST
“どれを選ぶか”は、測りたいものさしが合否(むせ・中断)なのか、能力(mL/s)なのかで決まります。まずは表で全体像をそろえてください。
| 項目 | 3 oz(約 90 mL) | 30 mL | 100 mL(WST) | TWST(100–150 mL など) |
|---|---|---|---|---|
| 主目的 | 連続飲水での異常(中断・むせ)を拾う | 少量で入口をみる(実施対象が広い) | 連続飲水での異常+簡易定量(時間・回数) | 嚥下能力の定量(mL/s)を追う |
| 飲水量 | 約 90 mL | 30 mL | 100 mL | 100 mL or 150 mL(運用差あり) |
| 記録 | 合否(中断/咳嗽・チョーキング) | 合否(むせ、湿性嗄声など運用で追加) | 合否+時間+回数(施設運用で追加) | 時間・回数 → mL/s(= 量 ÷ 秒) |
| 強み | 短時間で“途中で止まる・むせる”を拾いやすい | 止めどころが作りやすく、入口として回しやすい | 負荷が一定で比較しやすい | 経過を数字で追える(再評価に強い) |
| 弱み | 量が多く、対象選定が必要(座位・覚醒など) | 少量で陰性でも、課題を取りこぼす可能性 | 実施負荷が高め/途中中止の運用が鍵 | 実施条件が崩れると mL/s の比較が難しい |
| 向く場面 | 病棟スクリーニングの「短時間の判断」 | ベッドサイドの入口/状態が揺れる症例 | 入院中の定期チェック/負荷をそろえたい | 回復期~生活期の追跡/介入効果の可視化 |
3 oz(3 オンス)水飲みテストの位置づけ:Yale Swallow Protocol の“水飲みチャレンジ”として語られることが多い
3 oz の連続飲水は、Yale Swallow Protocol(YSP)の一部として紹介されることが多く、90 mL(3 oz)を止まらずに飲めるか、飲水中または直後に咳嗽・チョーキングが出ないか、といった「合否」を中心に運用されます。研究では、3 oz が誤嚥リスクのスクリーニングとして一定の感度を示す一方、特異度は高くない(= 引っかかりやすい)と報告されており、“陽性は拾うが精査に回す前提”の道具として理解しておくとズレにくいです。
TWST(Timed Water Swallow Test)は「mL/s を残す」テスト
TWST は、決めた量(100–150 mL など)をできるだけ速く飲む条件で、時間(秒)と回数(嚥下回数)を記録し、mL/s(= 量 ÷ 秒)として嚥下能力を数値化します。ここが 3 oz(合否中心)との最大の違いです。
介入前後や週ごとの変化を説明したいときは、合否だけよりも「mL/s が上がった/下がった」のほうが共有しやすく、リハの意思決定(負荷調整・食形態の再検討)にもつながります。
使い分けフロー:迷ったら「30 mL → 3 oz → 100 mL / TWST」の順で負荷と記録をそろえる
運用が安定しやすいのは、少量で入口 → 連続飲水で負荷を上げる → 定量(mL/s)で追うの流れです。特に「陰性だったのに食事でむせる」「経過を追いたいのに記録がバラバラ」という悩みは、テスト選択ではなく順番と条件固定で改善しやすいです。
関連:MWST と WST の比較(どこが違うかを先に把握したい方)は MWST と WST の違い【比較・使い分け】 にまとめています。
現場の詰まりどころ:陰性でも「疑う条件」が残るとき、次に見るべきポイント
水飲みテストが陰性でも、臨床では「何となく怪しい」が残ることがあります。ここで大事なのは、陰性を“確定”にしないことではなく、次の観察項目を固定しておくことです。
- 飲水後の声(湿性嗄声)・痰の変化
- 食後の呼吸数・SpO2・呼吸努力の変化
- 反復する発熱・肺炎・痰量増加などの経過
- 咳が弱い/咳が出にくい(サイレントを疑う背景)
「テスト結果」だけで終わらせず、その後 5 分の観察を一緒に記録すると、チームでの共有がブレにくくなります。
よくある失敗:テストそのものより「条件のズレ」で結果が変わる
水飲みテストはシンプルですが、条件がズレると結果の意味が薄れます。ありがちなズレを先に潰しておくと、再評価が安定します。
- 姿勢(座位角度)や水温、ストロー使用の有無が毎回違う
- 「一気に飲んでください」など声かけが一定でない
- 中止基準が曖昧で、むせても続けてしまう/逆に早く止めすぎる
- 合否だけで、時間・回数・観察(声・呼吸)のメモが残っていない
記録テンプレ:合否+“1 行メモ”で再評価が回る
最低限、次の 3 点が残るだけで、次回の比較が一気に楽になります。
- 実施法(30 mL / 3 oz / 100 mL / TWST)
- 結果(合否、時間、嚥下回数、mL/s)
- 観察 1 行(湿性嗄声、咳嗽の有無、呼吸変化など)
よくある質問(FAQ)
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Q1. 3 oz(90 mL)は、30 mL より「上位互換」ですか?
A. 上位互換というより、“見ているもの”が違います。30 mL は入口として回しやすく、3 oz は連続飲水で「途中で止まる/むせる」を拾いやすい一方、対象選定が必要です。目的(入口の可否/連続飲水での異常抽出)で使い分けるとブレません。
Q2. TWST は 100 mL と 150 mL、どちらが正しいですか?
A. 文献・運用で揺れがあります。大切なのは「施設内で量を固定して、mL/s を同じ条件で比較できる」ことです。院内の標準(SOP)を決め、記録フォーマットも合わせると再評価が安定します。
Q3. 陰性でも誤嚥を疑うとき、まず何を見直しますか?
A. テストの陰性を否定するより、条件ズレ(姿勢・声かけ・水温・ストロー)と、飲水後の観察(声・呼吸・痰)を固定して見直すほうが臨床では効きます。陰性の“あと”の 5 分観察を記録に残すのがおすすめです。
Q4. 3 oz をやらない方が良いケースはありますか?
A. 量が多いので、覚醒・姿勢保持・呼吸状態などで実施が難しい場合は、入口として少量(30 mL)から始め、段階的に負荷を上げる運用が現実的です。最終判断は施設の手順・指示系統を優先してください。
次の一手:同テーマで回遊する
参考文献
- DePippo KL, Holas MA, Reding MJ. Validation of the 3-oz water swallow test for aspiration following stroke. Arch Neurol. 1992. PubMed
- Suiter DM, Leder SB. Clinical utility of the 3-ounce water swallow test. Dysphagia. 2008. PubMed
- Brodsky MB, et al. Screening accuracy for aspiration using bedside water swallow tests. Chest. 2016. PMC
- Hägglund P, et al. The Timed Water Swallow Test (TWST): Normative data on swallowing capacity. Int J Speech Lang Pathol. 2023. Full text
- Yale Swallow Protocol(3-oz water swallow challenge を含む). PDF
著者情報
rehabilikun(理学療法士)
rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。
- 脳卒中 認定理学療法士
- 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
- 登録理学療法士
- 3 学会合同呼吸療法認定士
- 福祉住環境コーディネーター 2 級
専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

