3 oz 水飲みテストとは?30 mL/ TWST の違いと使い分け

栄養・嚥下
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3 oz(3 オンス)水飲みテストとは?30 mL/100 mL(TWST)との違いと使い分け

3 oz(約 90 mL)水飲みテストは、嚥下スクリーニングでよく話題に出る一方、「30 mL の水飲みテスト(WST/MWST 系)」「100 mL の水飲みテスト」「Timed Water Swallow Test(TWST)」と混同されやすいところです。本記事では、量・判定・記録指標・向く場面を整理し、現場で迷わず選べるようにまとめます。

結論として、3 oz は「連続して飲めるか(途中で止まる/むせる)」を短時間でみる用途に強く、100 mL(TWST)は「飲み込み能力(mL/s)を数値化して追う」用途に向きます。30 mL は「実施できる対象が広い/中止で止めやすい」ため、ベッドサイドの入口として相性が良いことが多いです。

評価の迷いは「選び方(順番)」が決まると一気に減ります。 PT の臨床フロー(評価 → 介入 → 再評価)を 3 分で揃える( #flow )

先に結論:3 oz/30 mL/100 mL(TWST)は「目的」と「出したい記録」が違う

同じ“水飲みテスト”でも、①目的(スクリーニング/定量追跡)②記録(合否/時間/mL/s)が違います。ここが揃わないまま選ぶと、「陰性だったのに後で誤嚥が疑われた」「経過を追いたいのに数字が残らない」などのズレが起きやすくなります。

迷ったら、まずは入口(できる/できない)を見やすい少量で始め、必要に応じて量を上げて負荷をそろえる、そして追跡したいときは TWST の mL/s を残す、という順にすると運用が安定します。

比較早見表:3 oz(90 mL)/30 mL/100 mL(WST)/TWST

“どれを選ぶか”は、測りたいものさしが合否(むせ・中断)なのか、能力(mL/s)なのかで決まります。まずは表で全体像をそろえてください。

3 oz/30 mL/100 mL(WST)/TWST の違い(目的・記録・向く場面)
項目 3 oz(約 90 mL) 30 mL 100 mL(WST) TWST(100–150 mL など)
主目的 連続飲水での異常(中断・むせ)を拾う 少量で入口をみる(実施対象が広い) 連続飲水での異常+簡易定量(時間・回数) 嚥下能力の定量(mL/s)を追う
飲水量 約 90 mL 30 mL 100 mL 100 mL or 150 mL(運用差あり)
記録 合否(中断/咳嗽・チョーキング) 合否(むせ、湿性嗄声など運用で追加) 合否+時間+回数(施設運用で追加) 時間・回数 → mL/s(= 量 ÷ 秒)
強み 短時間で“途中で止まる・むせる”を拾いやすい 止めどころが作りやすく、入口として回しやすい 負荷が一定で比較しやすい 経過を数字で追える(再評価に強い)
弱み 量が多く、対象選定が必要(座位・覚醒など) 少量で陰性でも、課題を取りこぼす可能性 実施負荷が高め/途中中止の運用が鍵 実施条件が崩れると mL/s の比較が難しい
向く場面 病棟スクリーニングの「短時間の判断」 ベッドサイドの入口/状態が揺れる症例 入院中の定期チェック/負荷をそろえたい 回復期~生活期の追跡/介入効果の可視化

3 oz(3 オンス)水飲みテストの位置づけ:Yale Swallow Protocol の“水飲みチャレンジ”として語られることが多い

3 oz の連続飲水は、Yale Swallow Protocol(YSP)の一部として紹介されることが多く、90 mL(3 oz)を止まらずに飲めるか、飲水中または直後に咳嗽・チョーキングが出ないか、といった「合否」を中心に運用されます。研究では、3 oz が誤嚥リスクのスクリーニングとして一定の感度を示す一方、特異度は高くない(= 引っかかりやすい)と報告されており、“陽性は拾うが精査に回す前提”の道具として理解しておくとズレにくいです。

TWST(Timed Water Swallow Test)は「mL/s を残す」テスト

TWST は、決めた量(100–150 mL など)をできるだけ速く飲む条件で、時間(秒)回数(嚥下回数)を記録し、mL/s(= 量 ÷ 秒)として嚥下能力を数値化します。ここが 3 oz(合否中心)との最大の違いです。

介入前後や週ごとの変化を説明したいときは、合否だけよりも「mL/s が上がった/下がった」のほうが共有しやすく、リハの意思決定(負荷調整・食形態の再検討)にもつながります。

使い分けフロー:迷ったら「30 mL → 3 oz → 100 mL / TWST」の順で負荷と記録をそろえる

運用が安定しやすいのは、少量で入口 → 連続飲水で負荷を上げる → 定量(mL/s)で追うの流れです。特に「陰性だったのに食事でむせる」「経過を追いたいのに記録がバラバラ」という悩みは、テスト選択ではなく順番と条件固定で改善しやすいです。

関連:MWST と WST の比較(どこが違うかを先に把握したい方)は MWST と WST の違い【比較・使い分け】 にまとめています。

現場の詰まりどころ:陰性でも「疑う条件」が残るとき、次に見るべきポイント

水飲みテストが陰性でも、臨床では「何となく怪しい」が残ることがあります。ここで大事なのは、陰性を“確定”にしないことではなく、次の観察項目を固定しておくことです。

  • 飲水後の声(湿性嗄声)・痰の変化
  • 食後の呼吸数・SpO2・呼吸努力の変化
  • 反復する発熱・肺炎・痰量増加などの経過
  • 咳が弱い/咳が出にくい(サイレントを疑う背景)

「テスト結果」だけで終わらせず、その後 5 分の観察を一緒に記録すると、チームでの共有がブレにくくなります。

よくある失敗:テストそのものより「条件のズレ」で結果が変わる

水飲みテストはシンプルですが、条件がズレると結果の意味が薄れます。ありがちなズレを先に潰しておくと、再評価が安定します。

  • 姿勢(座位角度)や水温、ストロー使用の有無が毎回違う
  • 「一気に飲んでください」など声かけが一定でない
  • 中止基準が曖昧で、むせても続けてしまう/逆に早く止めすぎる
  • 合否だけで、時間・回数・観察(声・呼吸)のメモが残っていない

記録テンプレ:合否+“1 行メモ”で再評価が回る

最低限、次の 3 点が残るだけで、次回の比較が一気に楽になります。

  • 実施法(30 mL / 3 oz / 100 mL / TWST)
  • 結果(合否、時間、嚥下回数、mL/s)
  • 観察 1 行(湿性嗄声、咳嗽の有無、呼吸変化など)

よくある質問(FAQ)

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Q1. 3 oz(90 mL)は、30 mL より「上位互換」ですか?

A. 上位互換というより、“見ているもの”が違います。30 mL は入口として回しやすく、3 oz は連続飲水で「途中で止まる/むせる」を拾いやすい一方、対象選定が必要です。目的(入口の可否/連続飲水での異常抽出)で使い分けるとブレません。

Q2. TWST は 100 mL と 150 mL、どちらが正しいですか?

A. 文献・運用で揺れがあります。大切なのは「施設内で量を固定して、mL/s を同じ条件で比較できる」ことです。院内の標準(SOP)を決め、記録フォーマットも合わせると再評価が安定します。

Q3. 陰性でも誤嚥を疑うとき、まず何を見直しますか?

A. テストの陰性を否定するより、条件ズレ(姿勢・声かけ・水温・ストロー)と、飲水後の観察(声・呼吸・痰)を固定して見直すほうが臨床では効きます。陰性の“あと”の 5 分観察を記録に残すのがおすすめです。

Q4. 3 oz をやらない方が良いケースはありますか?

A. 量が多いので、覚醒・姿勢保持・呼吸状態などで実施が難しい場合は、入口として少量(30 mL)から始め、段階的に負荷を上げる運用が現実的です。最終判断は施設の手順・指示系統を優先してください。

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参考文献

  1. DePippo KL, Holas MA, Reding MJ. Validation of the 3-oz water swallow test for aspiration following stroke. Arch Neurol. 1992. PubMed
  2. Suiter DM, Leder SB. Clinical utility of the 3-ounce water swallow test. Dysphagia. 2008. PubMed
  3. Brodsky MB, et al. Screening accuracy for aspiration using bedside water swallow tests. Chest. 2016. PMC
  4. Hägglund P, et al. The Timed Water Swallow Test (TWST): Normative data on swallowing capacity. Int J Speech Lang Pathol. 2023. Full text
  5. Yale Swallow Protocol(3-oz water swallow challenge を含む). PDF

著者情報

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3 学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター 2 級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

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