摂食嚥下機能回復体制加算【2026改定】ST要件と加算3実績

制度・実務
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令和 8 年改定|摂食嚥下機能回復体制加算は「 ST 要件」と「加算 3 実績」が見直し

最終更新:2026 年 3 月 23 日(医科全体版・個別改定項目ベース)

令和 8 年度 診療報酬改定では、摂食嚥下機能回復体制加算の見直しとして、加算 1 / 2 の ST 要件 と、加算 3 の 実績の考え方 が整理されました。この記事では「何が変わるか」と「院内で何を先に揃えるか」を最短で確認できます。

答えるのは、制度差分と最小運用です。 VF / VE の手順や食形態の個別調整までは扱わず、現場で止まりやすい「評価起動」「中止・再開」「経口化判定」を中心に整理します。

摂食嚥下機能回復体制加算 2026 改定の要点( ST 要件、加算 3 実績、現場実装)
図:摂食嚥下機能回復体制加算 2026 改定の要点( ST 要件/加算 3 実績/現場実装)
表:今回の改定で押さえる 2 つの変更と先に揃えること
論点 更新内容 現場で起きやすいこと 先に揃える最小対策
加算 1 / 2(施設基準) 摂食嚥下支援チームの ST 要件は「専従」から「専任」へ見直し 役割分担が曖昧だと、評価の依頼と判断が滞る ST が判断する範囲と、他職種が支える範囲を 1 枚で固定する
加算 3(療養病棟の実績) 中心静脈栄養の終了に加え、鼻腔栄養・胃瘻から「経口のみ」へ回復した患者も合算対象 “回復” の定義が人でズレる/証拠が残らない 嚥下機能評価 → 介入 → 最終の栄養方法を短文テンプレで残す

結論|問われやすいのは「体制」より、体制が回る運用です

今回の見直しで強く意識したいのは、書面上の体制だけではなく、実際に質の高い摂食嚥下支援が回っているかです。特に重要なのは、①誰が評価を起動するか、②どこで中止するか、③どう再開するか、④経口化をどう記録するかを、同じ言葉で揃えることです。

嚥下の現場は、介入の巧拙だけでなく、判断の引き継ぎが曖昧だと事故や手戻りにつながります。まずは “短く強い記録” をそろえることが、制度対応と安全管理の両方に効きます。

記録シート PDF

院内での共有用として、A4 1 枚で使える記録シートを用意しました。まずは PDF を開き、必要ならそのまま印刷して運用確認に使ってください。

摂食嚥下機能回復体制加算|運用記録シート PDF を開く

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何が変わる?(今回資料で具体化したポイント)

今回の整理では、摂食嚥下機能回復体制加算について「どこを見直すか」が明確になりました。詳細通知を待つ部分はあるものの、運用側の準備は先に進められます。

1)加算 1 / 2:摂食嚥下支援チームの ST 要件は「専従 → 専任」へ

加算 1 / 2 の施設基準では、摂食嚥下支援チームの ST 要件が見直され、専任の常勤言語聴覚士でもよい整理になりました。

現場での影響は、人数よりも役割の線引きです。ST が担う評価・リスク判断・方針決定と、PT / OT ・看護・栄養・口腔が支える離床・姿勢・観察・摂取量・口腔環境を分けておくほど、連携が止まりにくくなります。

2)加算 3:療養病棟の実績は「経口のみへ回復」も合算対象へ

療養病棟で算定される加算 3 は、前年実績の合計 2 名以上という枠を維持しつつ、従来の「中心静脈栄養を終了した者」に加えて、鼻腔栄養を実施していた患者又は胃瘻を造設していた患者が、経口摂取のみの栄養方法へ回復した場合も合算対象に入る整理です。

詰まりやすいのは、回復判定と証拠の残し方です。嚥下機能評価 → 嚥下リハ等の介入 → 最終的に経口のみという流れを、短文で追えるように残しておくと手戻りが減ります。

今から揃える「最小記録」:3 点セットで事故と手戻りを減らす

嚥下の運用は、長文より “同じ形で追える記録” が強いです。まずは次の 3 点セットを固定すると、加算対応と日々の引き継ぎが両立しやすくなります。

表:摂食嚥下支援で先に固定したい「 3 点セット記録」
残す項目 書き方(例) ポイント
評価根拠 湿性嗄声あり/咳嗽弱い/ SpO2 変動 リスクを 1 つでも具体語で残す
介入(段階) 姿勢調整+一口量調整+ペース指導 “何をしたか” をカテゴリで残す
最終状態・次回条件 経口のみで栄養確保可/むせ増時は中止し翌朝再評価 経口化の証拠と再開条件を 1 行でつなぐ

運用の型|「評価起動」「中止・再開」「経口化判定」を 1 枚で揃える

制度が固まる前でも先に揃えやすいのは、次の 3 つです。ここが揃うと、平日・休日や担当者交代があっても止まりにくくなります。

表:嚥下の運用を止めない 3 つの共通ルール
共通ルール 決めること 記録で残す一言
評価起動 いつ・誰が回すか 入院後 48 時間以内/病態変化後/食形態変更時 起動理由(変化点)
中止・再開 中止理由の分類と、再開の前提条件 むせ増/疲労/ SpO2 低下 → 次回は時間帯変更 中止理由+再開条件
経口化判定 “経口のみ” と判断する条件と最終確認者 必要摂取量、呼吸状態、継続可能性を確認 最終栄養方法+根拠

現場の詰まりどころ

まずは対象を絞って運用を回し、次に記録の型を全職種で共有する順番が有効です。運用の芯はリハ・栄養・口腔の一体運用で補強できます。

よくある失敗

失敗 1:対象を広げすぎて運用が薄くなる
嚥下は、全員に同じ密度で入ると回りません。節目の患者に集中投下し、回る形を作ってから広げるほうが安全です。

失敗 2:中止理由が曖昧で、翌日も同じ所で止まる
「今日は様子見」で終わると、翌日も止まります。中止時は “中止理由+再開条件” を 1 行で固定します。

失敗 3:経口化の根拠が残らず、実績判定で迷う
「経口化できた」だけでは弱いです。評価、介入、最終の栄養方法まで追える形にしておくと確認が速くなります。

回避手順(最短)

  1. 対象の優先順位を決める(節目患者を先行)
  2. 評価起動ルールを固定する(いつ/誰が回すか)
  3. 中止理由+再開条件+最終栄養方法を 1 行テンプレで残す

よくある質問(FAQ)

各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。

Q1. これは確定情報ですか?

A. 2026 年 3 月 6 日版の医科全体版では、加算 1 / 2 の ST 要件と、加算 3 実績の考え方が「改定後」として整理されています。一方で、算定要件・施設基準の詳細は告示・通知での確認が前提です。

Q2. まず何を整えればよいですか?

A. 対象の優先順位 → 評価起動ルール → 中止・再開条件 → 経口化判定の記録、の順が最短です。

Q3. 加算 3 の実績は、何を残しておくと確認しやすいですか?

A. 嚥下機能評価、介入内容、最終的な栄養方法の 3 点です。特に “経口のみ” に回復した根拠が一読で追える形にしておくと、院内確認で迷いにくくなります。

Q4. ST 以外の職種は何を担うべきですか?

A. PT / OT は離床・姿勢・活動量、看護は観察と安全管理、栄養は摂取量と栄養設計、口腔は清潔と口腔機能支援を担当し、同じ記録様式でつなぐ形が有効です。

次の一手(院内で迷わないために)


参考資料

著者情報

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rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3 学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター 2 級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

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