結論:LIFE は「月次点検」を先に固定すると、差戻し・欠損・二重記録が減ります
LIFE は入力を頑張るほど回るわけではなく、差戻し/欠損/二重記録が重なると止まります。結論として、月 1 回の締め日と点検チェックリストを先に固定し、提出前に欠損を潰して、提出後にフィードバックを 1 つだけ改善へつなげると、現場の負担が下がります。
本記事は、PT / OT / ST が介護領域で迷いがちな「どこを点検すれば止まらないか」を、月次 5 分フローと点検 10 項目に落として整理します。制度の暗記ではなく、運用として “回る型” を作ります。
運用を整えるなら、まず「転職の全体フロー」を固定しておくと迷いが減ります。
入力の負担は、教育体制・記録文化・人員配置で増えたり減ったりします。環境の選び方も含めて、全体像を 1 ページで整理しています。
なぜ月次点検が必要か:LIFE は「入力」より「止まりどころ」で差がつきます
LIFE が止まる典型は、①欠損が多く提出できない、②差戻しで修正に追われる、③現場記録と提出用データが二重化して破綻する、の 3 つです。どれも入力量そのものではなく、運用の固定がないことが原因になりやすいです。
まずは全体像(入力→提出→フィードバック→改善)を押さえたい場合は、親記事のLIFE(科学的介護)の運用が土台になります。この記事は、その中でも「月次点検」で止まりにくくする子記事です。
まず決める 5 点:担当・締め日・評価日・元データ・レビュー
月次点検は、項目を増やすより先に固定する 5 点を決める方が効きます。ここが決まると、欠損の回収と差戻し対応が “探し物” から “作業” に変わります。
おすすめは「担当 1 名+代替 1 名」「締め日を月末前の平日に前倒し」「評価日は同じ周期」「元データの置き場は 1 つ」「レビューは月 1 回で改善 1 つ」です。
| 固定する項目 | おすすめ | 残す記録(最小) | よくある詰まり | 対策 |
|---|---|---|---|---|
| 担当(誰が) | 入力担当 1 名+代替 1 名 | 役割分担表( 1 行) | 担当不在で止まる | 代替も同時に教育 |
| 締め日(いつ) | 月末ではなく月末前の平日 | 締め日の固定(カレンダー) | 月末業務と衝突 | 前倒しで余白を作る |
| 評価日(いつ) | 初回/ 1 か月/ 3 か月などを統一 | 評価日(必須) | 比較できない | 同タイミングで回す |
| 元データ(どこに) | 現場記録の置き場を 1 つに統一 | 元データの所在 | 二重記録 | 「元データ 1 つ」を明文化 |
| レビュー(どこで) | 月 1 回、改善を 1 つだけ決める | 議事メモ( 3 行) | 提出して終わる | “ 1 つだけ改善” を固定 |
月次 5 分フロー:提出前に欠損を潰し、提出後に改善 1 つだけ決めます
負担が増える原因は、まとめてやることです。おすすめは、月 1 回の 5 分で「欠損→提出→フィードバック→改善」を同じ順番で回すことです。
ポイントは、提出前は “穴埋め” に集中し、提出後は “改善を 1 つ” に絞ることです。やることを増やすほど続きません。
| タイミング | やること | 見るポイント | 残すもの(最小) |
|---|---|---|---|
| 締め日前 | 欠損・未評価の確認 | 空欄、評価日ズレ | 欠損一覧(メモで可) |
| 締め日 | 入力→提出(完了確認まで) | 差戻し有無 | 提出完了の記録 |
| 提出後 | フィードバック確認(数分) | 改善余地の領域 | 改善候補 1 行 |
| ミーティング | 改善を 1 つだけ決める | 行動に落ちるか | 決定事項 1 行 |
月次点検チェックリスト 10 項目:止まりどころを先に潰します
点検は “全部の項目を見直す” では回りません。止まりやすい順に 10 項目へ絞り、直し方を 1 行で固定します。
各項目は「どこを見るか」と「直し方(最小)」をセットで運用します。担当が替わっても同じ質が出ます。
| 点検項目 | どこを見る | 詰まりパターン | 直し方(最小) | 担当 |
|---|---|---|---|---|
| 1. 締め日がある | カレンダー | 月末に集中して破綻 | 月末前の平日に前倒し | 入力担当 |
| 2. 代替担当がいる | 役割表 | 担当不在で停止 | 代替 1 名を固定 | 管理者 |
| 3. 評価日が揃っている | 評価記録 | 比較不能/欠損増 | 周期を統一(例: 1 か月) | 各職種 |
| 4. 元データが 1 か所 | 記録運用 | 二重記録で不一致 | 元データの置き場を固定 | リーダー |
| 5. 欠損一覧が作れる | 提出前チェック | 空欄に気づかない | 欠損を “一覧化” して回収 | 入力担当 |
| 6. 差戻し理由が残る | 差戻しログ | 同じ差戻しが反復 | 理由を 1 行メモで蓄積 | 入力担当 |
| 7. 連絡先が 1 本化 | 問合せ手順 | 誰に聞くか迷う | 「まずここ」を固定 | 管理者 |
| 8. フィードバックを見る | 提出後の確認 | 提出して終わる | 月 1 回だけ確認 | リーダー |
| 9. 改善を 1 つに絞る | ミーティング | やることが増えて継続不可 | 改善は 1 つだけ | チーム |
| 10. 次月に再評価する | 予定表 | 改善の効果が追えない | 同じ条件で再評価 | 各職種 |
差戻しが多い原因と、直し方の “ 1 行テンプレ”
差戻しは「入力が間違った」より、前提(評価日・条件・元データ)が揃っていないことが原因になりがちです。まずは原因を分類し、直し方を 1 行に固定すると反復が減ります。
ここでは、よくある原因を「分類→直し方」に落として、担当が替わっても同じ対応ができる形にします。
| パターン | 起きる原因 | 直し方(最小) | 再発防止 |
|---|---|---|---|
| 評価日が不一致 | 評価周期がバラバラ | 評価日を周期で固定 | 予定表に “評価週” を作る |
| 欠損が多い | 提出前点検がない | 欠損一覧を作って回収 | 締め日前に 5 分点検 |
| データが二重化 | 元データが複数 | 元データの置き場を 1 つ | 二重記録を禁止で明文化 |
| 担当が不明 | “みんなで” になっている | 担当 1 名+代替 1 名 | 役割表に 1 行で固定 |
現場の詰まりどころ:よくある失敗( OK / NG 早見)
このパートは、引き継ぎでそのまま使えるように “失敗パターン” を早見表にしています。困ったらここだけ見れば戻せる形にします。
ポイントは、入力作業ではなく運用の固定(締め日・元データ・代替担当)に戻すことです。
| 論点 | NG(詰まる) | OK(回る) | 直し方(最小) |
|---|---|---|---|
| 締め日 | 月末にまとめてやる | 月末前の平日に前倒し | 締め日を固定 |
| 担当 | “みんなで” になり不在で停止 | 担当 1 名+代替 1 名 | 役割表に明記 |
| 記録 | 元データが散り二重入力 | 元データ 1 か所→提出 | 置き場を固定 |
| 改善 | 提出して終わる | 改善を 1 つだけ決める | 月 1 回レビュー |
よくある質問
各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。
Q 1:まず最初に整えるべきポイントは何ですか?
最初は制度の細部より、締め日と担当(代替含む)です。締め日が決まると欠損回収のタイミングが揃い、担当が決まると止まりません。
Q 2:欠損が多くて毎月つらいです。
欠損は “入力を頑張る” より、欠損一覧を作って回収が効きます。締め日前に 5 分で一覧化し、回収担当を決めると負担が減ります。
Q 3:二重記録を避けるにはどうすればいいですか?
元データ(現場記録)の置き場を 1 つに固定し、LIFE は提出用の取り出しに寄せます。二重入力は “禁止” を明文化すると止まりにくいです。
Q 4:フィードバックを見ても現場が変わりません。
改善は 1 つだけに絞ります。月 1 回のレビューで “今月はこれ” を決め、次月に同条件で再評価すると改善が回りやすいです。
次の一手
まずは、月次点検の締め日とチェック 10 項目を固定して、 1 か月だけ回してみてください。差戻し・欠損が減ると、提出後のフィードバックを “改善” に使える余白が生まれます。
運用を整える → 共有の型を作る → 環境の詰まりも点検(無料チェックシート)
教育体制・記録文化・人員の詰まりは、個人の努力だけでは解消しにくいです。環境面も含めて見直すと、入力の “止まり” が減ります。
参考文献
- 厚生労働省. 科学的介護情報システム(LIFE)について. https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000198094_00037.html
- 厚生労働省. 第 254 回 社会保障審議会 介護給付費分科会( Web 会議)資料(令和 8 年 2 月 16 日). https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_69866.html
- Joint. LIFE 関連加算を「 2 階層」に再編へ( 2027 年度改定に向けた議論). https://www.joint-kaigo.com/articles/44130/
- Ivers N, Jamtvedt G, Flottorp S, et al. Audit and feedback: effects on professional practice and healthcare outcomes. Cochrane Database Syst Rev. 2012;(6):CD000259. doi: 10.1002/14651858.CD000259.pub3(PubMed: PMID 22696318)
著者情報
rehabilikun(理学療法士)
rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。
- 脳卒中 認定理学療法士
- 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
- 登録理学療法士
- 3 学会合同呼吸療法認定士
- 福祉住環境コーディネーター 2 級
専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下


