心不全療養指導士の過去問は公開?2026年の練習問題25問
心不全療養指導士の試験対策で「過去問を解きたい」と考える方は多いと思います。2026年10月7日時点で、日本循環器学会の認定試験ページ・ガイドブック案内では、過去問の一般公開は確認できませんでした。
2026年度認定試験はマークシート形式で、学習の基準となるガイドブックは「心不全療養指導士認定試験ガイドブック第3版」です。本記事では公式問題を転載せず、公式カリキュラムと心不全診療ガイドラインを参考に作成したオリジナル4択問題25問で、基礎知識と症例判断を確認します。
先に結論
本記事の25問は公式過去問ではありません。また、公式サイトで確認できる試験形式は「マークシート形式」であり、本記事の4択は公式試験の選択肢数を再現したものではありません。まず自力で解き、解答を開いて判断根拠まで確認してください。
2026年度はガイドブック第3版を軸に対策する
2026年度の心不全療養指導士認定試験は、2026年12月20日に実施予定です。公式サイトではマークシート形式と案内されており、2026年度受験者向けの認定試験ガイドブック第3版は2026年3月6日に発行されています。1,2
公式カリキュラムでは、心不全の概念、診断、薬物・非薬物治療だけでなく、セルフモニタリング、服薬アドヒアランス、栄養、身体活動・運動、心理的支援、認知機能低下、ACP、緩和ケア、在宅医療、家族支援、地域連携まで扱われています。3
そのため、分類や薬剤名を覚えるだけではなく、「この患者では何を確認し、何を優先し、次にどう対応するか」まで考えながら問題を解くことが大切です。
| 領域 | 主な内容 | 問題 |
|---|---|---|
| 診断・評価 | LVEF分類、Nohria-Stevenson分類、NYHA、BNP / NT-proBNP | Q1〜4、Q17、Q23 |
| 治療 | SGLT2阻害薬、利尿薬、運動療法 | Q5、Q6、Q8、Q18、Q21 |
| 療養指導 | 減塩、服薬、セルフモニタリング、増悪時対応 | Q7、Q9、Q10、Q16、Q19、Q20、Q24 |
| 認知・意思決定 | 認知機能、ACP、緩和ケア | Q11、Q13、Q15、Q22 |
| 生活・地域連携 | 感染予防、家族支援、多職種・地域連携 | Q12、Q14、Q25 |

※本記事の25問だけで公式カリキュラム全範囲を網羅するものではありません。2026年度の学習は、公式ガイドブック第3版と受験者用eラーニングを軸にしてください。
基礎問題15問
Q1〜15では、心不全の分類、評価、治療、療養指導の基本を確認します。正解番号だけでなく、なぜその選択肢になるのかを説明できるか確認してください。
Q1. 2025年改訂版心不全診療ガイドラインにおけるHFrEFの定義として適切なのはどれか。
- LVEF 50%以上
- LVEF 41〜49%
- LVEF 40%以下
- 初回LVEFにかかわらず10%以上改善したもの
解答・解説
正解:3
2025年改訂版心不全診療ガイドラインでは、HFrEFはLVEF 40%以下、HFmrEFは41〜49%、HFpEFは50%以上と定義されています。EFによる分類は、病態や治療方針を整理する基本になります。4
Q2. Nohria-Stevenson分類で「wet」を考える所見として最も適切なのはどれか。
- 末梢冷感と脈圧低下
- 起坐呼吸、頸静脈怒張、浮腫
- 徐脈のみ
- 発熱と咽頭痛
解答・解説
正解:2
「wet」はうっ血を示します。起坐呼吸、頸静脈怒張、浮腫などはうっ血を考える所見です。一方、末梢冷感などは低灌流を考える材料になります。Nohria-Stevenson分類は公式カリキュラムにも含まれています。3
Q3. NYHA心機能分類で主に評価するものはどれか。
- BNP値
- 左室駆出率
- 冠動脈狭窄率
- 身体活動によって生じる症状と活動制限
Q4. BNP / NT-proBNPの解釈として最も適切なのはどれか。
- 腎機能や肥満などの影響も考慮し、症状・身体所見・他の検査と合わせて評価する
- 基準値を下回れば心不全を必ず否定できる
- 高値であれば他の情報を確認せず心不全と確定できる
- 腎機能だけを反映する指標である
解答・解説
正解:1
BNP / NT-proBNPは心不全の診断補助や予後評価に重要ですが、腎機能低下では高値になりやすく、肥満では低値になりやすいことがあります。数値だけで判断せず、病歴、身体所見、画像検査などと合わせて解釈します。4
Q5. 症候性HFrEF患者に対するSGLT2阻害薬について適切なのはどれか。
- 糖尿病がある患者にしか使用できない
- 主目的は感染症の予防である
- うっ血がある場合だけ一時的に使用する
- 糖尿病の有無にかかわらず心不全治療として用いられる
Q6. 体液貯留を伴う心不全患者に対するループ利尿薬の主な目的として適切なのはどれか。
- 心筋梗塞を直接再灌流する
- うっ血を解除し、呼吸困難や浮腫などの症状を改善する
- 心房細動を必ず洞調律へ戻す
- 心筋収縮力を恒常的に増大させる
Q7. 心不全療養指導士の公式カリキュラムに示されている塩分管理として適切なのはどれか。
- 15g未満/日
- 10g未満/日
- 6g未満/日
- すべての患者を一律に無塩食とする
Q8. 心不全患者に運動療法を行う際の考え方として最も適切なのはどれか。
- 病状の安定性と禁忌・注意点を確認し、個別評価に基づいて実施する
- 安静時呼吸困難が悪化していても運動量を増やす
- すべての患者に同じ強度を設定する
- 重症度にかかわらず高強度運動を優先する
Q9. 服薬アドヒアランスが低下している患者への初期対応として適切なのはどれか。
- 本人の努力不足と判断する
- 飲めない理由を確認し、理解度・認知機能・生活導線・支援者を評価する
- すべての薬を自己判断で中止してもらう
- 指導内容を増やし、一度に多くの情報を伝える
Q10. 心不全のセルフモニタリング支援として最も適切なのはどれか。
- 体重を測定するだけでよい
- 症状が悪化しても次回定期受診まで待つ
- 測定値は医療者だけが理解すればよい
- 体重や症状を確認し、変化したときの連絡・受診行動まで共有する
解答・解説
正解:4
セルフモニタリングは測定すること自体が目的ではありません。体重、浮腫、息切れなどの変化を確認し、「変化したらどうするか」まで患者・家族と共有することが増悪時の早期対応につながります。3
Q11. 心不全患者への緩和ケアについて適切なのはどれか。
- 終末期だけに限定せず、病気の経過を通して患者・家族の苦痛や意思決定を支援する
- 積極的治療をすべて中止してから開始する
- 身体症状だけを対象とする
- 家族への支援は含まれない
解答・解説
正解:1
心不全の緩和ケアでは、症状緩和だけでなく、コミュニケーション、意思決定支援、ACP、家族への支援なども重要になります。公式カリキュラムでもACP、意思決定支援、末期心不全における症状と緩和が扱われています。3
Q12. 心不全患者の地域連携で共有する情報として最も適切なのはどれか。
- 血液型だけ
- 入院中の検査値だけ
- 病状、服薬、生活上の課題、増悪時対応、支援目標などを必要な職種間で共有する
- 医療情報は病院内だけで完結させる
解答・解説
正解:3
公式カリキュラムでは、在宅医療、家族・介護者への支援、心不全医療における地域連携が学習項目に含まれています。退院後も療養管理が継続できるよう、必要な情報を多職種・地域へつなぐ視点が重要です。3
Q13. 認知機能が低下した心不全患者への療養支援として適切なのはどれか。
- 自己管理が難しいため説明を行わない
- 理解しやすい方法へ簡素化し、家族・介護者や支援職との連携を検討する
- 本人だけに複雑な管理を任せる
- 認知機能と服薬管理は無関係である
Q14. 心不全患者の日常生活支援として公式カリキュラムに含まれるものはどれか。
- 感染予防は心不全療養指導と関係しない
- 入浴は一律に禁止する
- 排便コントロールは評価しない
- 感染予防やワクチン接種について確認する
Q15. 心不全患者に対するACPの考え方として適切なのはどれか。
- 患者の価値観や目標を確認し、病状変化に応じて繰り返し話し合う
- 心肺蘇生をするかどうかだけを決める手続きである
- 本人には説明せず家族だけで決める
- 一度決定すれば見直す必要はない
解答・解説
正解:1
ACPでは、患者が大切にしていることや治療・ケアの目標を共有し、意思決定を支援します。単一の処置を決めるだけではなく、病状や価値観の変化に応じて話し合いを重ねる視点が重要です。3
症例問題10問
Q16〜25では、知識を知っているかだけでなく、症例の情報から何を疑い、何を優先し、次にどう対応するかを確認します。
Q16. 退院後の患者。数日前から体重が増加し、下腿浮腫と労作時息切れも強くなっている。療養支援として優先する対応はどれか。
- 運動量を増やして体重を減らす
- 次回の定期受診まで経過を見る
- 心不全増悪の可能性を考え、事前に共有した連絡・受診方法に沿って早期対応につなげる
- 自己判断で利尿薬を倍量にするよう指導する
解答・解説
正解:3
体重増加、浮腫、息切れの悪化は、うっ血や心不全増悪を考える情報です。自己判断で治療を変更するのではなく、セルフモニタリングで捉えた変化を、あらかじめ共有した連絡・受診行動につなげます。3
Q17. CKDを合併した患者でNT-proBNPが高値だったが、症状や身体所見に大きな変化はない。最も適切な解釈はどれか。
- NT-proBNP高値だけで急性心不全と確定する
- 腎機能による影響も考え、症状・身体所見・経時変化・他の検査と合わせて判断する
- 腎機能が低下していればNT-proBNPは測定する意味がない
- NT-proBNPと腎機能には関係がない
Q18. 糖尿病のない症候性HFrEF患者から「SGLT2阻害薬は糖尿病の薬なのに、なぜ処方されているのですか」と質問された。適切な説明はどれか。
- 処方間違いの可能性が高いと説明する
- 糖尿病がない患者では使用できないと説明する
- 血糖値を上げる目的で使用すると説明する
- 心不全では糖尿病の有無にかかわらず治療薬として使用されることがあると説明する
Q19. 高齢の心不全患者。処方薬が多く、軽度の認知機能低下もあり、飲み忘れが続いている。最も適切な支援はどれか。
- 服薬状況と生活導線を確認し、処方整理の相談、服薬支援ツール、家族・薬剤師などの支援を組み合わせる
- 毎回「忘れないでください」と伝えるだけにする
- すべて本人の責任として対応しない
- 自己判断で薬剤数を減らすよう勧める
Q20. 減塩が必要な患者だが、「仕事で昼食は毎日外食なので難しい」と話している。療養支援として適切なのはどれか。
- 外食をすべて禁止する
- できない場合は栄養指導を終了する
- よく利用する店や料理を確認し、汁物・調味料・料理の選び方など実行可能な方法を一緒に考える
- 塩分量は心不全と関係ないと説明する
Q21. 心不全増悪による入院後で、現在も安静時の息苦しさと体重増加がみられる患者が「体力が落ちたので強い運動をしたい」と希望している。適切なのはどれか。
- 希望を優先して高強度運動を開始する
- 症状にかかわらず歩行距離を毎日倍にする
- 安静時症状は運動適応に影響しない
- まず心不全の状態と増悪の有無を評価し、病状の安定を確認してから個別の運動処方を検討する
Q22. 進行した心不全患者が「できれば今後は自宅で過ごしたい」と話している。一方、家族は「悪くなったら必ず入院して治療してほしい」と希望している。最初に行う対応として適切なのはどれか。
- 家族の意見だけで方針を決定する
- 患者が大切にしていること、病状認識、治療・ケアの選択肢を確認し、家族を含めて意思決定を支援する
- ACPは終末期直前まで行わない
- 医療者が患者・家族に相談せず方針を決定する
解答・解説
正解:2
患者と家族の希望が異なる場合も、患者本人の価値観・目標と医学的状況を確認し、必要な情報を共有しながら意思決定を支援します。ACPや意思決定支援は公式カリキュラムにも含まれています。3
Q23. 肥満のある患者。労作時呼吸困難がありHFpEFが疑われるが、BNPは明らかな高値ではなかった。最も適切なのはどれか。
- 肥満ではBNP / NT-proBNPが低値になりうるため、値だけで心不全を否定せず追加評価を行う
- BNPが高値でなければ心不全は必ず否定できる
- HFpEFではBNPを測定してはいけない
- 呼吸困難があっても追加検査は不要である
解答・解説
正解:1
肥満ではBNP / NT-proBNPが非肥満者より低くなることがあります。ナトリウム利尿ペプチドだけで心不全を否定せず、症状、身体所見、心エコーなどを組み合わせて評価します。4
Q24. 退院後の患者が「毎朝体重を測っていますが、増えたとき何をすればよいか分かりません」と話した。最も必要な支援はどれか。
- 測定回数だけ増やす
- 体重の記録を中止する
- どのような変化で、誰へ、どのタイミングで連絡するかを個別のアクションプランとして共有する
- 体重が増えたら自己判断で処方薬を変更するよう説明する
Q25. 退院予定の心不全患者に、服薬管理、減塩、運動、独居、通院手段の問題が重なっている。退院支援として最も適切なのはどれか。
- 服薬だけ説明して退院する
- すべて本人が解決するまで退院支援を開始しない
- 各職種が別々に指導し、情報共有は行わない
- 患者の優先課題を整理し、多職種・家族・地域の支援者と役割を共有して退院後へつなぐ
解答一覧|間違えた領域を確認する
| 問題 | 正解 | 問題 | 正解 | 問題 | 正解 |
|---|---|---|---|---|---|
| Q1 | 3 | Q10 | 4 | Q19 | 1 |
| Q2 | 2 | Q11 | 1 | Q20 | 3 |
| Q3 | 4 | Q12 | 3 | Q21 | 4 |
| Q4 | 1 | Q13 | 2 | Q22 | 2 |
| Q5 | 4 | Q14 | 4 | Q23 | 1 |
| Q6 | 2 | Q15 | 1 | Q24 | 3 |
| Q7 | 3 | Q16 | 3 | Q25 | 4 |
| Q8 | 1 | Q17 | 2 | ||
| Q9 | 2 | Q18 | 4 |
間違えた問題は、正解番号を覚えて終わりにせず、該当する公式ガイドブックやeラーニングへ戻って確認します。同じ領域で複数問間違えた場合は、その領域を優先して復習すると弱点を見つけやすくなります。
| 問題 | 復習する領域 |
|---|---|
| Q1〜6、Q17、Q18、Q23 | 心不全の分類、身体所見、検査、薬物治療 |
| Q7、Q9、Q10、Q16、Q19、Q20、Q24 | 栄養、服薬、セルフモニタリング、増悪時対応 |
| Q8、Q21 | 身体活動・運動、実施時の注意点 |
| Q11、Q13、Q15、Q22 | 認知機能、ACP、意思決定支援、緩和ケア |
| Q12、Q14、Q25 | 日常生活、家族支援、在宅医療、地域連携 |
症例問題では「所見→判断→対応」で考える
症例問題で迷ったときは、最初から治療や指導内容を選ぶのではなく、所見を拾う → 何が起きているか判断する → 次の対応を選ぶという順番で整理します。
たとえば、体重増加、浮腫、息切れの増悪があれば、単に「体重が増えた」と捉えるのではなく、うっ血や心不全増悪の可能性を考えます。そのうえで、自己判断による薬剤変更ではなく、あらかじめ共有されている連絡・受診方法へつなげます。
一方、BNP / NT-proBNPのような検査値は単独で結論を出さないことも重要です。腎機能低下では高値、肥満では低値になりうるため、症状、身体所見、画像、経時変化などを組み合わせて考えます。4
よくある質問
Q1. 心不全療養指導士の公式過去問は公開されていますか?
2026年10月7日時点で、日本循環器学会の認定試験ページやガイドブック案内では、過去問の一般公開は確認できませんでした。本記事の25問は公式問題ではなく、当ブログが作成したオリジナル練習問題です。
Q2. 2026年度は何を中心に勉強すればよいですか?
2026年度認定試験用として公式に案内されている「心不全療養指導士認定試験ガイドブック第3版」と、受験者用eラーニングを軸にしてください。本記事は、学習した内容の理解度や弱点を確認する演習として使用します。
Q3. この25問だけで試験範囲を網羅できますか?
できません。公式カリキュラムは、診断・治療だけでなく、栄養、運動、心理支援、認知機能低下、ACP、在宅医療、家族支援、地域連携まで幅広く設定されています。25問は弱点を見つけ、公式教材へ戻るための演習として活用してください。
次の一手
- 受験資格・日程・申請全体を確認する:心不全療養指導士2026|受験資格と手順
- 申請前の不備を確認する:心不全療養指導士2026|申請チェック
参考文献
- 一般社団法人日本循環器学会. 心不全療養指導士 認定試験 [Internet]. [cited 2026 Oct 7]. Available from: https://www.j-circ.or.jp/chfej/examination/
- 一般社団法人日本循環器学会. 心不全療養指導士認定試験ガイドブック [Internet]. [cited 2026 Oct 7]. Available from: https://www.j-circ.or.jp/chfej/guide/
- 一般社団法人日本循環器学会. 心不全療養指導士カリキュラム [Internet]. [cited 2026 Oct 7]. Available from: https://www.j-circ.or.jp/chfej/cms/wp-content/uploads/2022/04/Curriculum2022.pdf
- Kitai T, Kohsaka S, Kato T, et al. JCS/JHFS 2025 Guideline on Diagnosis and Treatment of Heart Failure. Circ J. 2025;89(8):1278-1444. doi: 10.1253/circj.CJ-25-0002.
- 一般社団法人日本循環器学会. 心不全療養指導士 受験者用eラーニング講習 [Internet]. [cited 2026 Oct 7]. Available from: https://www.j-circ.or.jp/chfej/exam-eligibility/e-learning/
著者情報
rehabilikun(理学療法士)
rehabilikun blogを2022年4月に開設。急性期・回復期・療養病棟、介護福祉施設、訪問リハビリテーションでの臨床経験をもとに、理学療法評価、臨床手順、記録用紙、医療制度など、医療従事者の実務に役立つ情報を発信しています。
現在は療養病院に勤務し、脳卒中、褥瘡・創傷ケア、リハビリテーション栄養、呼吸リハビリテーションを中心に臨床・教育活動を行っています。
保有資格
- 脳卒中認定理学療法士
- 褥瘡・創傷ケア認定理学療法士
- 登録理学療法士
- 3学会合同呼吸療法認定士
- 福祉住環境コーディネーター2級

