看護・多職種協働加算とは?施設基準・25対1配置とリハ職の算定

制度・実務
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看護・多職種協働加算とは?点数・対象病棟・25対1配置を確認

看護・多職種協働加算は、令和8年度診療報酬改定で新設された、急性期病棟における専門職の協働体制を評価する加算です。2026年6月1日から適用され、急性期一般入院料4は277点、急性期病院B一般入院料は255点を1日につき算定します。

重要なのは、25対1の配置が必要である一方、PT・OT・STの配置自体は必須ではないことです。また、本加算の配置職員として病棟業務を行う時間には、疾患別リハビリテーション料などの別算定に制限があります。

この記事では、対象病棟、施設基準、看護職員のみでの算定、療法士の業務範囲、届出、病棟での記録・共有方法を整理します。医事課・看護部・リハ部門が算定前に何を確認すべきか、判断の順番を把握できます。

看護・多職種協働加算の点数と対象病棟

看護・多職種協働加算は、すべての急性期病棟で算定できるわけではありません。対象となるのは、急性期一般入院料4または急性期病院B一般入院料を算定し、所定の施設基準を満たした病棟です。

看護・多職種協働加算の点数と対象(2026年度)
区分 対象入院料 点数
加算1 急性期一般入院料4 277点/日
加算2 急性期病院B一般入院料 255点/日

算定には、対象入院料を算定していることに加え、25対1の配置、重症度、医療・看護必要度、平均在院日数、在宅復帰率などの施設基準を満たし、地方厚生局等への届出を行う必要があります。

25対1配置|PT・OT・STは必須なのか

施設基準では、入院患者25人またはその端数を増すごとに、看護職員または対象となる医療職種を1人以上配置することが求められます。

配置対象となる職種は、看護職員、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、管理栄養士、臨床検査技師です。

2026年4月1日の疑義解釈(その2)問36では、看護職員のみを配置し、看護職員以外の対象職種を配置しなくても算定可能とされています。

そのため、加算名に「多職種協働」とあるからといって、PT・OT・STを必ず25対1の配置に含めなければならないわけではありません。ただし、職員配置以外の施設基準も満たす必要があります。

看護・多職種協働加算の算定判断4ステップ。対象病棟、25対1配置、施設基準、届出・別算定を順に確認する図
看護・多職種協働加算の算定判断4ステップ。25対1は看護職員または対象医療職種による配置基準です。図版は判断の全体像を示したもので、施設基準の全項目や別算定の例外条件は本文・公式通知で確認してください。
25対1配置で間違えやすい判断
よくある疑問 結論
PT・OT・STの配置は必須か 必須ではない
看護職員のみで25対1を満たせるか 可能
管理栄養士・臨床検査技師も対象か 対象となる
25対1を満たせば算定できるか できない。ほかの施設基準も必要

なお、25対1は単に対象職員を病棟に所属させればよいという意味ではありません。常時の配置を基本とし、通知に定められた範囲で曜日・時間帯による傾斜配置が認められます。

実際の配置人数や勤務時間は、入院患者数、勤務表、対象となる業務時間に基づいて確認してください。

施設基準|25対1以外に何が必要か

看護・多職種協働加算の施設基準は、職員配置だけでは完結しません。急性期一般入院料1と同等の重症度、医療・看護必要度など、複数の条件を満たす必要があります。

看護・多職種協働加算の主な施設基準(2026年度)
確認項目 主な基準・確認内容
対象病棟 急性期一般入院料4または急性期病院B一般入院料を算定
追加配置 看護職員または対象医療職種を25対1で配置
重症度、医療・看護必要度Ⅰ 基準①割合指数28%以上、基準②割合指数35%以上
重症度、医療・看護必要度Ⅱ 基準①割合指数27%以上、基準②割合指数34%以上。データ提出体制等の条件あり
平均在院日数 16日以内
在宅復帰率 所定の計算方法による自宅等への退院割合80%以上
常勤医師 所定の計算方法による入院患者数の10%以上に相当する員数
看護師割合 必要配置数から他職種の実配置数を差し引くなど、通知所定の計算方法で70%以上
救急搬送実績 年間の救急自動車・救急医療用ヘリコプターによる搬送人数を把握
多職種協働体制 目標、業務内容、役割分担、情報共有方法を文書化
業務範囲の見直し 半年に1回以上、業務内容・範囲を見直して文書共有
負担軽減・処遇改善 医療従事者の負担軽減と処遇改善に資する体制を整備

重症度、医療・看護必要度は割合指数で判定する

重症度、医療・看護必要度の基準①・②は、単純な該当患者割合ではなく、救急患者応需係数を加えた所定の割合指数で判定します。

一般病棟用の重症度、医療・看護必要度ⅠとⅡでは基準が異なり、評価対象から除外する患者や評価方法の届出にも規定があります。

そのため、病棟の必要度データをそのまま割合に換算するのではなく、施設基準通知に基づき、対象期間、除外患者、救急患者応需係数を確認する必要があります。

25対1配置は勤務時間も含めて確認する

例えば入院患者50人であれば、25対1に対応する配置は計算上2人相当です。ただし、病棟に2人の職員を所属させるだけでよいという意味ではありません。

常時の配置や傾斜配置の条件を踏まえ、実際の病棟業務時間を確認する必要があります。病棟間で配置を調整する場合も、通知上の範囲で実施してください。

また、2026年9月30日まで設けられていた一部医療機関の重症度、医療・看護必要度に関する経過措置は、10月以降の算定判断にそのまま適用しないよう注意が必要です。

PT・OT・STの病棟配置とリハビリテーション料の別算定

PT・OT・STを本加算の配置職員として扱う場合、最も注意したいのは病棟業務に従事する時間と診療報酬の別算定です。

厚生労働省の留意事項通知では、本加算の配置職員は、病棟業務に従事している時間について、原則として第2章の特掲診療料を別に算定できないとされています。

本加算の配置職員と別算定の取扱い
業務・診療報酬 取扱い
疾患別リハビリテーション料 本加算の配置職員として病棟業務に従事している時間は、原則として別算定できない
H004 摂食機能療法 勤務時間の大部分を病棟配置とし、H004以外のリハビリテーション料を算定しないなど、通知の条件を満たす場合は算定可能
B005 退院時共同指導料2 当該指導等への従事は差し支えない
B005-1-2 介護支援等連携指導料 当該指導等への従事は差し支えない
ほかの入院料等で配置が求められる従事者 本加算の配置職員として重複して扱うことはできない

病棟に関わる療法士は全員、疾患別リハを算定できなくなる?

いいえ。この制限は、本加算の配置職員として病棟業務に従事している時間に関する取扱いです。

病棟で活動するすべての療法士について、疾患別リハビリテーション料が一律に算定できなくなるという意味ではありません。

ただし、同じ療法士の勤務時間を、本加算の配置時間と疾患別リハビリテーションの算定時間に重複して計上しないよう注意が必要です。

摂食機能療法は例外として算定できる場合がある

H004摂食機能療法については、常態として勤務時間の大部分を病棟に配置され、H004以外のリハビリテーション料を算定しない者に限って算定可能とされています。

したがって、STであれば誰でも例外として算定できるわけではありません。実際の配置時間、勤務形態、ほかのリハビリテーション料の算定状況まで確認する必要があります。

リハ部門では、病棟配置の対象者、業務時間、疾患別リハビリテーションの実施時間を整理し、勤務表と請求内容が一致しているか医事課と照合しておきます。

届出単位と届出様式|病棟ごとに届け出るのか

2026年3月23日の疑義解釈(その1)問13では、看護・多職種協働加算は病棟ごとの届出ではなく、保険医療機関内の対象となる一般病棟全体で届け出ることが示されています。

対象は、急性期病院B一般入院料または急性期一般入院料4を算定する一般病棟です。複数の対象病棟がある場合は、施設内で対象となる一般病棟全体の配置・施設基準を確認する必要があります。

届出前に確認する書類

施設基準通知では、基本となる届出様式として様式9、様式10、様式13の2が示されています。また、厚生局の令和8年度届出一覧には、関連する確認資料として様式10の2、様式10の5も掲載されています。

看護・多職種協働加算で確認する主な届出様式
様式 主な確認事項
様式9 看護職員等の勤務状況・配置
様式10 重症度、医療・看護必要度
様式10の2 常勤医師の員数
様式10の5 自宅等への退院割合
様式13の2 医療従事者の負担軽減・処遇改善体制

実際の提出書類は、同時に届け出る入院料の施設基準や、既に届け出ている内容、書類の省略規定などによって取扱いが異なる場合があります。

提出前には、関東信越厚生局の令和8年度届出一覧などを参考に、管轄する地方厚生局の最新様式を確認してください。

入院料の区分や基本的な施設基準を先に整理したい場合は、急性期一般入院料の整理も参考になります。

2026年4月の実践指針と診療報酬上の要件を区別する

2026年4月23日、日本理学療法士協会は、リハビリテーション専門職団体協議会による「看護・多職種協働加算に関する実践指針」の発出を公表しました。

この実践指針は、日本理学療法士協会、日本作業療法士協会、日本言語聴覚士協会の3団体による合意版です。先行して公表された暫定版とは区別されます。

重要なのは、実践指針と診療報酬上の算定要件を混同しないことです。

公式の算定要件と実践指針の役割
資料 主な用途
厚生労働省の告示・通知・疑義解釈 算定要件、施設基準、届出、別算定の取扱いを確認する
3団体の実践指針 専門性に基づく役割分担や病棟での業務を整理する
院内の業務分担文書 自施設で誰が何を担当し、どう連携・記録するかを定める

制度上の算定可否は厚生労働省の公式資料で判断し、実践指針は専門職の役割や病棟業務を具体化するために活用します。

3団体合意版の発出については、日本理学療法士協会の公式案内を参考文献に掲載しています。詳細資料には会員限定コンテンツの案内もあるため、閲覧できる資料の範囲に注意してください。

PT・OT・STは病棟で何をする?専門性に基づく役割

厚生労働省の留意事項通知では、PT・OT・STについて、入院患者の移動・食事などのADLやコミュニケーションに対し、実際の入院生活場面に合わせた評価・指導、生活動作を自ら行えるようになるための支援などが示されています。

病棟業務では、職種ごとに担当を固定しすぎず、患者の課題に応じて主担当と共同で関わる職種を決めることが重要です。

PT・OT・STが専門性を発揮する病棟場面の例
職種 主な評価・支援場面 病棟へ共有する内容
PT 起立、移乗、歩行、離床時の身体反応、活動量、転倒リスク 介助量、移動方法、負荷量、離床条件
OT 食事、更衣、整容、排泄、上肢使用、認知面、環境調整 ADLの実施方法、介助方法、自助具、環境調整
ST 摂食嚥下、食事場面、言語理解、発話、コミュニケーション 食事時の条件、意思疎通の工夫、注意事項

この表は職種の専門性に基づく実務例であり、法令で各職種の業務を固定的に割り当てた一覧ではありません。

例えばトイレ移乗の問題であっても、立位の安定性、衣服操作、指示理解、注意機能など、複数の専門領域が関係する場合があります。

各職種が専門的な視点で評価し、その結果を実際の病棟生活へどう反映するかを共有することが重要です。

病棟業務への落とし込み|評価・共有・記録の進め方

施設基準を確認した後は、多職種協働の目標と病棟での具体的な業務を結びつけます。患者の生活場面で生じている課題を把握し、専門職の評価結果を看護職員と共有する流れを整えます。

病棟課題から次の行動につなげる

  1. 病棟課題を確認する:移乗、食事、排泄、歩行など、病棟で対応に迷っている場面を確認する。
  2. 生活場面で評価する:患者の動作、介助条件、環境、状態変化を確認する。
  3. 看護職員へ共有する:実施可能な動作、介助量、注意点、実施条件を具体的に伝える。
  4. 診療記録等に残す:患者への指導の要点、評価結果、共有した内容を記録する。
  5. 必要に応じて見直す:患者状態や病棟での実施状況を踏まえて、介助方法や活動内容を調整する。

この流れは、病棟での専門的関与を整理するための実務例です。制度上の必須手順や所要時間を示すものではありません。

また、患者の状態や安全上の問題に応じて、医師への相談や再評価を優先する必要があります。評価した内容を無条件に病棟へ適用するのではなく、実施可能な条件を具体的に共有します。

病棟での協働は何を記録する?記録例と共有方法

厚生労働省の留意事項通知では、患者に直接指導を行った場合、その要点を簡潔に診療記録等へ記載することが求められています。

また、施設基準では、多職種協働の目標、各職種が主に行う業務、共同で行う業務、情報共有や記録の方法などを文書化し、配置される職員間で共有する必要があります。

個々の患者への指導内容を残す診療記録と、院内全体の業務分担を定める文書は、役割を分けて管理するとよいでしょう。

記録例|トイレ移乗を病棟で共有する場合

次は、架空の患者について病棟での移乗を評価した記録例です。公式様式ではなく、評価結果と病棟対応のつながりを示すための独自例です。

病棟での移乗評価・申し送りの記録例(架空例)
項目 記録内容の例
病棟課題 トイレ移乗時に後方ふらつきあり。介助方法が統一されていない。
評価結果 日中、手すり使用下では見守りで移乗可能。夜間は安全性を未確認。
看護職員への共有 日中の評価済み条件での介助位置、手すりの使用方法、注意点を共有。
病棟での対応 日中は評価済み条件での見守りを検討。夜間は従来の介助方法を継続し、別途評価する。
次回確認 病棟での移乗実施状況、疲労や状態変化、夜間の移乗条件を確認。

重要なのは、リハビリテーション場面で確認した能力を、未評価の病棟生活場面まで一律に適用しないことです。

日中に確認できた動作であっても、夜間の状態、疲労、環境、介助者などが異なる場合は、同じ介助条件で実施できるとは限りません。

評価済みの条件と未確認の条件を分けて申し送り、患者の状態変化に応じて再評価することが、安全な病棟運用につながります。

院内運用で注意したい3つの詰まりどころ

看護・多職種協働加算では、配置人数を満たすことだけが目的になったり、療法士の専門的役割が曖昧になったりすると、制度上の要件と実際の業務が一致しなくなるおそれがあります。

看護・多職種協働加算で起こりやすい問題と対応
問題 対応
配置すること自体が目的になる 多職種協働の目標、主担当業務、共同業務を文書化する
療法士の業務範囲が曖昧になる 医師の指示、専門性、業務内容、看護職員との役割分担を確認する
配置時間と診療報酬の算定が重複する 勤務表、病棟配置時間、疾患別リハビリテーション料等の請求状況を照合する

施設基準では、本加算で配置される医療職種の業務内容と業務範囲について、半年に1回以上見直し、文書により共有することが求められます。

そのため、導入時に役割分担表を作成するだけで終わらせず、実際の業務と制度上の配置が一致しているかを定期的に確認する必要があります。

まとめ|算定要件を確認してから病棟業務を設計する

看護・多職種協働加算は、急性期病棟で看護職員を含む専門職の協働体制を評価する加算です。PT・OT・STの配置は必須ではありませんが、配置する場合は専門性に基づく業務と別算定の制限を明確にする必要があります。

算定前には、対象入院料、25対1配置、重症度、医療・看護必要度、平均在院日数、在宅復帰率、届出単位を確認します。そのうえで、多職種協働の目標、業務分担、情報共有方法、記録のルールを整備します。

令和8年度改定の関連制度やリハビリテーション領域全体の変更点については、令和8年度診療報酬改定|リハ領域ハブで確認できます。

参考文献

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  6. 厚生労働省保険局医療課. 疑義解釈資料の送付について(その2)[Internet]. 2026 Apr 1. Available from: https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001689076.pdf
  7. 関東信越厚生局. 基本診療料の届出一覧(令和8年度診療報酬改定)[Internet]. 2026. Available from: 関東信越厚生局・基本診療料の届出一覧
  8. 日本理学療法士協会. リハビリテーション専門職団体協議会より「看護・多職種協働加算に関する実践指針」が発出されました [Internet]. 2026 Apr 23. Available from: https://www.japanpt.or.jp/info/20260423_943.html

著者情報

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rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blogを2022年4月に開設。急性期・回復期・療養病棟、介護福祉施設、訪問リハビリテーションでの臨床経験をもとに、理学療法評価、臨床手順、記録用紙、医療制度などの実務情報を発信しています。

現在は療養病院に勤務し、脳卒中、褥瘡・創傷ケア、リハビリテーション栄養、呼吸リハビリテーションを中心に臨床・教育活動を行っています。

保有資格

  • 脳卒中認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター2級

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