MMT Grade 0・1・2 の見分け方|収縮触知と重力除去位

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MMT Grade 0・1・2 の見分け方|収縮触知と重力除去位で判定します

MMT の低グレード帯で迷ったら、まず「収縮が触れるか」、次に「重力を外すと全可動域で動けるか」を確認します。

この記事では、Grade 0・1・2 の違いを、判定手順・誤判定しやすい場面・カルテ記載例まで整理します。

MMT全体の判定を確認する

関連:評価記事ハブGrade 2 と 3 の違い

MMT で特に迷いやすいのが、Grade 0・1・2 の境界です。関節が動かないと Grade 0 に見えますが、筋腹や腱に収縮を触れれば Grade 1 の可能性があります。さらに、重力位では動かなくても、重力除去位で全可動域を動かせれば Grade 2 です。

この記事では、低グレード帯を「収縮なし」「収縮触知あり」「重力除去位で運動可能」の 3 段階で整理します。新人指導、再評価、カルテ記載で判定をそろえたい理学療法士・作業療法士向けに、現場で使える確認手順までまとめます。

MMT Grade 0・1・2 の違いは何で決まるか

Grade 0・1・2 は、筋力の強さというより、収縮の有無と重力条件で分けます。Grade 0 は収縮を確認できない状態、Grade 1 は収縮は触れるが関節運動は出ない状態、Grade 2 は重力除去位で全可動域を動かせる状態です。

MMT Grade 0・1・2 の違いを示した図版。Grade 0 は収縮なし、Grade 1 は収縮あり、Grade 2 は重力除去位で運動可能と整理している。
図:MMT Grade 0・1・2 は「触れるか」「動くか」「重力除去位で動くか」の順で確認します。

スマホでは表を横スクロールしてご覧ください。

MMT Grade 0・1・2 の違い早見表
Grade 判定 見るポイント 注意点
0 収縮なし 筋腹・腱に明らかな収縮を触れない 疼痛や理解不足で力が入らないだけの可能性を確認します
1 収縮触知あり・運動なし 収縮は触れるが関節運動としては見えない 触る場所がずれると Grade 0 と誤判定しやすくなります
2 重力除去位で全可動域 重力を外すと運動として成立する 肢位設定が不十分だと Grade 1 と誤判定しやすくなります

Grade 0・1・2 を分ける5分判定フロー

低グレード帯は、見た目で決めず、確認順を固定すると判定が安定します。最初に動作方向をそろえ、次に収縮触知、最後に重力除去位での運動可否を確認します。

  1. 動作を短く説明し、必要に応じて他動で方向を示す
  2. 対象筋の筋腹または腱に軽く触れる
  3. 収縮が触れなければ Grade 0 を考える
  4. 収縮は触れるが関節運動がなければ Grade 1 を考える
  5. 重力除去位で全可動域を動かせれば Grade 2 と判断する

判定のコツ:関節が動かない時点で終わらせず、必ず収縮触知を確認します。収縮を触れたら、次に重力を外した条件で運動になるかを確認します。

Grade 1 を見逃さない収縮触知のコツ

Grade 1 の判定では、筋腹や腱のわずかな収縮を拾えるかが重要です。強く押し込むより、軽く触れて変化を待つ方が、微細な収縮を確認しやすくなります。

触知前に、対象筋の走行と触れやすい部位を決めます。被検者には「少し力を入れてください」ではなく、「つま先を上げる方向に力を入れてください」のように、方向が伝わる声かけを使います。

Grade 1 の収縮触知で確認すること
項目 確認すること よくある失敗
触る場所 筋腹または腱の張り ランドマークを確認せず探り始める
触る強さ 軽い圧で収縮の立ち上がりを待つ 強く押して微細な収縮を感じにくくする
声かけ 力を入れる方向を具体的に伝える 「頑張って」だけで終わる
比較 必要に応じて健側や他動運動と比べる 患側だけで判断する

Grade 2 は重力除去位で全可動域を確認する

Grade 2 は、重力を外した条件で全可動域を動かせることが条件です。収縮はあるが運動にならない Grade 1 と、運動として成立する Grade 2 を分けるには、重力除去位の設定が重要です。

基本は、運動方向を水平面に近づける、または肢を支持して重力負荷を減らすことです。重力位で動かない場合でも、重力除去位で全可動域を動かせるなら Grade 2 と判断します。Grade 2 と 3 の境界まで確認したい場合は、MMT Grade 2 と 3 の違いで抗重力位の判定も整理しておくとつながりやすくなります。

現場の詰まりどころ|低グレード帯で判定がぶれる理由

Grade 0・1・2 の判定がぶれる原因は、筋力そのものよりも、疼痛・理解不足・代償・肢位設定の影響を切り分けられていないことです。

評価が苦手に見える背景には、個人の努力不足だけでなく、学び方や確認できる環境の不足が隠れていることもあります。

評価の型、記録、相談環境を整理したい場合は、PTとしての学び方もあわせて見直しておくと安心です。

PT キャリアガイドを見る

よくある失敗|Grade 0・1・2 を取り違える場面

低グレード帯で多い失敗は、関節が動かないことをそのまま Grade 0 と判断することです。収縮を触知できれば Grade 1、重力除去位で全可動域を動かせれば Grade 2 の可能性があります。

Grade 0・1・2 の誤判定を防ぐ OK / NG 表
場面 NG OK
関節が動かない すぐ Grade 0 とする 筋腹・腱で収縮触知を確認する
わずかな緊張を感じる すぐ Grade 1 とする 狙った筋の収縮か、触る位置と声かけを再確認する
重力位で動かない そのまま Grade 1 とする 重力除去位で全可動域を確認する
疼痛が強い 筋力低下としてのみ扱う 疼痛による出力低下の可能性を記録する

カルテ記載例|数字だけでなく条件を残す

Grade 0・1・2 では、数字だけでなく、収縮触知・重力条件・運動の有無・疼痛や理解の影響を短く添えると、再評価で比較しやすくなります。

MMT Grade 0・1・2 の記録例
判定 記録例
Grade 0 右足関節背屈 MMT 0。前脛骨筋腱・筋腹で収縮触知できず。疼痛なし、指示理解は良好。
Grade 1 右足関節背屈 MMT 1。前脛骨筋腱で収縮触知あり。関節運動は確認できず。
Grade 2 右股外転 MMT 2。側臥位で挙上困難。重力除去位で全可動域可能。代償軽度。

記録の型:「部位・動作+Grade+収縮触知+重力条件+運動の有無+影響因子」の順で残すと、次回評価でも条件を再現しやすくなります。

よくある質問

各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。

Q1. 関節が動かなければ Grade 0 ですか?

いいえ。関節運動が見えなくても、筋腹や腱に収縮を触知できれば Grade 1 の可能性があります。まず収縮の有無を確認します。

Q2. Grade 1 と Grade 2 の違いは何ですか?

Grade 1 は収縮触知あり・運動なし、Grade 2 は重力除去位で全可動域を動かせる状態です。運動として成立するかが分岐です。

Q3. 重力除去位とは何ですか?

重力の影響を減らした肢位です。運動方向を水平面に近づけたり、肢を支持したりして、抗重力ではなく動作そのものが可能かを確認します。

Q4. 疼痛が強い場合はどう判定しますか?

疼痛で出力が抑えられている可能性があります。Grade だけでなく、疼痛部位や疼痛による制限の可能性を記録します。

Q5. Grade 0・1・2 で迷ったときの記録はどうしますか?

数字だけで終わらせず、収縮触知の有無、重力条件、運動の有無、疼痛・理解・代償の影響を短く残します。

次の一手

Grade 0・1・2 の判定は、MMT の基礎ですが、再評価や申し送りの質に直結します。次に読むなら、全体像から確認するか、Grade 2 と 3 の境界へ進むのがおすすめです。


参考文献

  1. Cuthbert SC, Goodheart GJ Jr. On the reliability and validity of manual muscle testing: a literature review. Chiropr Osteopat. 2007;15:4. DOIPubMed
  2. Paternostro-Sluga T, Grim-Stieger M, Posch M, et al. Reliability and validity of the Medical Research Council scale and a modified scale for testing muscle strength in patients with radial palsy. J Rehabil Med. 2008;40(8):665-671. DOIPubMed
  3. MacAvoy MC, Green DP. Critical reappraisal of Medical Research Council muscle testing for elbow flexion. J Hand Surg Am. 2007;32(2):149-153. DOIPubMed

著者情報

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rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3 学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター 2 級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

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