肩関節・肩甲帯の触診まとめ|ランドマーク早見表

評価
記事内に広告が含まれています。
B_InArticle_Body

肩関節・肩甲帯の触診ポイントまとめ【結論】

肩関節・肩甲帯の触診は、単発の部位を覚えるだけでは実務でつながりにくいです。大事なのは、どこを起点にして、次にどこへたどるか を順番で整理することです。肩峰、 AC 関節、鎖骨、肩甲骨、結節間溝、長頭腱などを“地図”として持てると、肩の前・上・外側・後方の痛みを位置関係で読みやすくなります。

このページは、肩関節・肩甲帯の触診記事をまとめて読むためのハブです。新人 PT・OT が「まず何から触ればいいか」「この痛みなら次にどこを見るか」で迷いにくいように、順番・逆引き・関連記事導線を 1 ページに整理しました。評価全体の戻り先としては、評価ハブもあわせて使うと流れがつかみやすいです。

評価がばらつくときほど、最初に「骨性ランドマークの順番」を固定すると進めやすいです。

臨床の見方や評価の組み立てをまとめて確認したい方は、PT 向けの総合ガイドもあわせてどうぞ。

PT キャリアガイドを見る

肩関節・肩甲帯の触診ルート早見図
図 1 肩関節・肩甲帯の触診は、前方・上方・外側・後方に分けて順番で整理すると、局在と次にみる部位がつながりやすくなります。

このハブで分かること

このハブでは、肩の触診を「前方」「上方」「外側」「肩甲骨後方」に分けて整理します。個別記事は各部位の深掘り、このページは全体像と導線 が役割です。最初に順番をつかみ、そのあとで各部位の記事へ進むと回遊しやすくなります。

また、このページは“どの部位をどの順で学ぶか”を整理するための親ページでもあります。細かい解剖の説明は各記事に任せ、このハブでは「まず触る起点」「次に確認する部位」「症状からの逆引き」をまとめて押さえる構成にしています。

肩関節・肩甲帯の触診ハブで押さえたいこと
項目 このページの役割
想定読者 肩の触診を順番で整理したい新人 PT・OT・ST、復習したい臨床者
得られること 部位のつながり、まず触る起点、次にみる部位、関連記事の導線
最短導線 肩の前方 → 上方 → 外側 → 肩甲骨後方の順に読むと全体像がつかみやすい

まず押さえたい触診の順番

肩の触診で迷いにくいのは、分かりやすいランドマークから始める ことです。いきなり痛い場所を押すより、骨の線や角、関節の切り替わりを先に取る方が再現しやすくなります。新人のうちは、次の順番表を“基本ルート”として持っておくと実践で迷いにくいです。

とくに肩は、前方・上方・外側・後方で触りやすい起点が違います。どこから入ってもよいのですが、症状の場所に近い起点を 1 つ決め、その隣のランドマークへ広げる形で触ると、触診の手戻りが減りやすくなります。

肩関節・肩甲帯の触診ルート早見表
入口 まず触る起点 次にみる部位 関連記事
前方から入る 胸鎖関節 鎖骨外側端 → 烏口突起 → 結節間溝 → 長頭腱 胸鎖関節鎖骨外側端烏口突起
上方から入る 肩峰 AC 関節 → 鎖骨外側端 肩峰AC 関節
外側から入る 肩峰 大結節 → 結節間溝 → 長頭腱 大結節結節間溝長頭腱
後方から入る 肩甲棘 肩甲骨内側縁 → 下角 → 上角 肩甲棘内側縁下角上角

肩の前方でまずみる部位

肩の前方は、胸鎖関節、鎖骨、烏口突起、結節間溝、上腕二頭筋長頭腱がつながるエリアです。前方肩痛は「前が痛い」でまとめられやすいですが、実際には関節寄りなのか、鎖骨寄りなのか、腱の走行なのかで次にみる部位が変わります。まずは前方の基準点を順にたどる方が局在を読みやすいです。

特に前方は、触りやすい部位と深くて迷いやすい部位が混ざります。胸鎖関節や鎖骨を起点にして、そこから烏口突起、結節間溝、長頭腱へ進むと、前方肩痛の整理がしやすくなります。

肩の前方でまず押さえたい触診ポイント
部位 起点としての使い方 次にみる部位 個別記事
胸鎖関節 鎖骨の内側端と胸骨の境目を取る 鎖骨全体のライン 胸鎖関節はどこ?
鎖骨外側端 肩の上で AC 関節の一歩内側を取る AC 関節、肩峰 鎖骨外側端はどこ?
烏口突起 前方の深い基準点を作る 結節間溝、小結節、長頭腱 烏口突起はどこ?
結節間溝 腱の走行を読む起点にする 長頭腱、小結節、大結節 結節間溝はどこ?
上腕二頭筋長頭腱 前方肩痛の局在を整理する 結節間溝、肩前面全体 上腕二頭筋長頭腱はどこ?

肩の上方でまずみる部位

肩の上方では、肩峰、 AC 関節、鎖骨外側端の読み分けが重要です。肩の上の痛みはこの 3 つが近く、何となく押すと混同しやすくなります。まず肩峰を面として取り、その内側の切り替わりで AC 関節、さらにその内側で鎖骨外側端という順番にすると迷いにくいです。

肩の上は視認しやすい反面、位置が近くて混ざりやすい部位でもあります。面なのか、境目なのか、終点なのかという違いで整理しておくと、個別記事の理解も進みやすくなります。

肩の上方でまず押さえたい触診ポイント
部位 起点としての使い方 迷いやすい部位 個別記事
肩峰 肩の外側上方の面を取る AC 関節、大結節 肩峰はどこ?
AC 関節 鎖骨と肩峰の切り替わりを取る 肩峰、鎖骨外側端 AC 関節はどこ?
鎖骨外側端 肩の上のライン終点を取る AC 関節、肩峰 鎖骨外側端はどこ?

肩の外側でまずみる部位

肩の外側では、肩峰を起点に大結節、結節間溝、長頭腱へつなげると整理しやすくなります。肩の外側痛や挙上時痛では、骨性ランドマークと腱の走行を分けて考える方が実践的です。点で覚えるより、肩峰から下外側、前方への流れで覚えると再現性が上がります。

外側は肩峰と上腕骨近位部の位置関係がポイントです。まず肩峰を取り、そこから大結節、結節間溝、長頭腱へ広げると、骨と腱の読み分けがしやすくなります。

肩の外側でまず押さえたい触診ポイント
部位 起点としての使い方 次にみる部位 個別記事
肩峰 面として起点を作る 大結節 肩峰はどこ?
大結節 肩峰の下外側の骨性目印を取る 結節間溝、小結節 大結節はどこ?
結節間溝 溝として位置を取る 長頭腱 結節間溝はどこ?
上腕二頭筋長頭腱 腱の走行で痛みを読む 肩前面全体 上腕二頭筋長頭腱はどこ?

肩甲骨後方でまずみる部位

肩甲骨後方では、肩甲棘を横の基準線、内側縁を縦の基準線として持つと、そのあとに下角や上角へつなげやすくなります。後方の痛みは「背中側が痛い」とまとめられやすいですが、線と角で整理すると、どこを次にみるかが決まりやすくなります。

肩甲骨後方は“面”で触ってしまうと曖昧になりやすいので、まず線を作り、その終点として角を取る流れが有効です。肩甲棘から内側縁、そこから下角・上角へ進むと整理しやすくなります。

肩甲骨後方でまず押さえたい触診ポイント
部位 起点としての使い方 次にみる部位 個別記事
肩甲棘 後方の横方向の基準線を作る 肩峰、内側縁 肩甲棘はどこ?
肩甲骨内側縁 後方の縦方向の基準線を作る 下角、上角 肩甲骨内側縁はどこ?
肩甲骨下角 肩甲骨下方の終点を取る 外側縁、肩甲骨運動 肩甲骨下角はどこ?
肩甲骨上角 肩甲骨上内側の終点を取る 上縁、肩甲挙筋まわり 肩甲骨上角はどこ?

痛みの場所から逆引きする

症状の場所から最初の触診部位を決めると、評価の手戻りが減ります。ここでは「どこが痛いか」から逆引きできるように、最初にみる部位と次にみる部位を整理しました。まずは 1 か所を起点にして、そこから隣接ランドマークへ広げるのがコツです。

肩の前、上、外側、肩甲骨内側、上内側、下方では、最初に触るべき部位が少しずつ違います。症状から入るときほど、最初の 1 手を固定しておくと、触診の再現性が上がります。

症状の場所からみる最初の触診部位
症状の場所 最初にみる部位 次にみる部位 関連記事
肩の前が痛い 烏口突起 / 結節間溝 / 長頭腱 小結節、肩前面全体 烏口突起結節間溝長頭腱
肩の上が痛い 肩峰 / AC 関節 鎖骨外側端 肩峰AC 関節
肩の外側が痛い 肩峰 / 大結節 結節間溝 大結節
肩甲骨の内側が痛い 肩甲骨内側縁 肩甲棘、下角、上角 肩甲骨内側縁
肩甲骨の上内側が痛い 肩甲骨上角 内側縁、肩甲挙筋まわり 肩甲骨上角
肩甲骨の下が気になる 肩甲骨下角 内側縁、外側縁方向 肩甲骨下角

よくある迷い

肩の触診で迷いやすいのは、近い部位を同じものとして触ってしまうことです。とくに肩峰と AC 関節、鎖骨外側端と AC 関節、肩甲棘と内側縁、上角と肩甲挙筋の張り、下角と周囲筋の張りは混同しやすいです。点ではなく、線・面・角・境目 の違いで整理すると分かりやすくなります。

また、結節間溝と長頭腱のように「場所」と「その中を走る構造」を混同することも多いです。部位の種類を意識して覚えると、個別記事どうしの関係も整理しやすくなります。

肩の触診で迷いやすい組み合わせ
迷いやすい組み合わせ 見分ける視点 関連記事
肩峰 と AC 関節 肩峰は面、 AC 関節は切り替わりの境目 肩峰AC 関節
鎖骨外側端 と AC 関節 鎖骨外側端は終点、 AC 関節はその直外側の切り替わり 鎖骨外側端AC 関節
肩甲棘 と 肩甲骨内側縁 肩甲棘は横方向、内側縁は縦方向 肩甲棘肩甲骨内側縁
肩甲骨上角 と 肩甲挙筋の張り 上角は骨の角、肩甲挙筋は筋の走行 肩甲骨上角
肩甲骨下角 と 周囲筋の張り 下角は内側縁と外側縁の交点 肩甲骨下角
結節間溝 と 長頭腱 結節間溝は溝、長頭腱はその中を走る腱 結節間溝長頭腱

新人が最初に読むなら、肩峰AC 関節大結節 の 3 本から入ると分かりやすいです。肩の上と外側の基準点ができると、そこから前方や後方へ広げやすくなります。

肩甲骨側を先に整理したい場合は、肩甲棘肩甲骨内側縁肩甲骨下角肩甲骨上角 の順がおすすめです。前方肩痛から整理したい場合は、烏口突起結節間溝長頭腱 の順が入りやすいです。

よくある質問

各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。

このハブは最初に読むページですか?

はい。肩の触診をまだ順番で整理できていない場合は、このハブから入ると全体像がつかみやすいです。そのあとで、必要な部位の個別記事へ進む使い方が向いています。

新人が最初に覚えるべき部位はどこですか?

肩峰、 AC 関節、大結節、肩甲棘、肩甲骨内側縁の 5 つが入りやすいです。面・境目・骨のふくらみ・横線・縦線という違いで覚えると整理しやすくなります。

痛い場所をそのまま押せばよいですか?

それだけだと混同しやすいです。まずは分かりやすい骨性ランドマークを先に取り、その近くのどこが痛いかを位置関係で読む方が再現性は上がります。

肩甲骨まわりはどこから覚えるとよいですか?

肩甲棘を横の基準線、肩甲骨内側縁を縦の基準線として覚えると、そのあとに下角や上角へつなげやすくなります。線から角へ進む順番がおすすめです。

次の一手

このページを読んだあとに現場で試すなら、まずは肩峰 → AC 関節 → 大結節 の 3 か所を健側で順番に触れてみてください。肩の上と外側の基準ができると、前方や後方の触診もかなり整理しやすくなります。

肩甲骨から入りたい方は、肩甲棘肩甲骨内側縁肩甲骨下角 を続けて読むと流れがつかみやすいです。肩前面を整理したい方は、烏口突起結節間溝上腕二頭筋長頭腱 の順で進めると迷いにくいです。


参考文献

  1. Miniato MA, Varacallo M. Anatomy, Thorax, Scapula. StatPearls [Internet]. Treasure Island (FL): StatPearls Publishing; 2023-. NCBI Bookshelf
  2. Hyland S, Charlick M, Varacallo MA. Anatomy, Shoulder and Upper Limb, Clavicle. StatPearls [Internet]. Treasure Island (FL): StatPearls Publishing; 2023-. NCBI Bookshelf
  3. Wong M, Kiel J. Anatomy, Shoulder and Upper Limb, Acromioclavicular Joint. StatPearls [Internet]. Treasure Island (FL): StatPearls Publishing; 2023-. NCBI Bookshelf
  4. Epperson TN, Varacallo M. Anatomy, Shoulder and Upper Limb, Sternoclavicular Joint. StatPearls [Internet]. Treasure Island (FL): StatPearls Publishing; 2023-. NCBI Bookshelf
  5. Donnelly TD, et al. Clinical Assessment of the Shoulder. Open Orthop J. 2013;7:389-394. PMC: PMC3785041
  6. Sciascia A, Uhl T, Kibler WB. Current views of scapular dyskinesis and its possible clinical relevance. Int J Sports Phys Ther. 2022;17(1):144-160. PMC: PMC8805107
  7. Paine R, Voight M. The role of the scapula. J Orthop Sports Phys Ther. 2013;43(10):A1-A40. PubMed: 24175141

著者情報

rehabilikun のプロフィール画像

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3 学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター 2 級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

運営者について編集・引用ポリシーお問い合わせ

タイトルとURLをコピーしました