FISTとは?座位バランス評価の方法と解釈

評価
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FIST は座位バランスをベッドサイドで確認する評価です

FIST(Function in Sitting Test)は、端座位でのバランス能力をベッドサイドで確認しやすい評価です。立位や歩行評価に進む前に、座位でどこまで安全に動けるかを整理したい場面で役立ちます。この記事では、FISTの概要、使う場面、点数の見方、FACT・TISとの違い、記録で残したいポイントを臨床向けにまとめます。

FISTを使う場面3選を示した座位バランス評価の図版
FISTは、離床初期・端座位不安定・立位や移乗前の座位バランス確認に活用しやすい評価です。

体幹評価全体の流れから整理したい場合は、先に体幹評価は「条件固定」で精度が変わる|5分フローと記録の型を確認すると、FISTをどの場面で使うか判断しやすくなります。

FIST とは

FISTは、座位での機能的バランスを評価する尺度です。静的に座れるかだけでなく、頭部運動、リーチ、外乱への反応、前後への移動など、実際の座位場面に近い課題を通して確認します。

採点は14項目・各0〜4点・合計0〜56点です。点数が高いほど座位バランス機能が高い方向で解釈します。ただし、臨床では合計点だけでなく、「どの方向で崩れるか」「どの課題で介助が必要か」を一緒に残すことが重要です。

FIST が向く場面

FISTが向くのは、立位評価の前に座位の安全性と機能を整理したい場面です。離床初期、端座位が不安定な症例、移乗前の見立て、再評価で座位能力の変化を追いたい場面で使いやすいです。

表1.FISTが向く場面と確認ポイント
場面 FISTが役立つ理由 確認したいポイント 記録例
離床初期 立位前の安全性を確認しやすい 足底接地、座面高、起立性変化 端座位保持は見守り、側方で不安定
端座位が不安定 崩れやすい方向を整理しやすい 支持物の使用、左右差、疲労 左側方リーチで骨盤ごと崩れる
移乗前の見立て 重心移動の準備を確認できる 前方移動、骨盤位置、上肢支持 前方荷重で後方へ戻りやすい
再評価 座位課題の変化を追いやすい 条件固定、声かけ量、介助量 前回より外乱後の修正が速い

スマホでは表を横スクロールできます。

評価でみるポイント

FISTで大切なのは、合計点より先に「どの課題で崩れるか」を見ることです。静的座位は保てても、リーチ、前後移動、外乱への反応で不安定になる症例は少なくありません。

療養病棟や回復期初期では、立位や歩行の前に端座位の安全性をそろえておくと、移乗練習や離床のリスク管理につなげやすくなります。記録では、点数に加えて支持の使い方、崩れやすい方向、声かけ量、介助量を一言添えると再評価で比較しやすくなります。

採点と解釈

FISTは各項目0〜4点で採点し、合計0〜56点で示します。点数が高いほど座位バランス機能は高い方向で読みますが、点数だけで安全性や退院先を判断しないことが大切です。

変化量の目安として、MCIDは6.5点超が報告されています。また、入院リハ初期の報告では、42点未満が非自宅退院の可能性が高い目安として紹介されています。ただし、退院先はFIST単独ではなく、介助力、認知、住環境、移乗能力、耐久性などと合わせて判断します。

表2.FISTの点数を見るときの実務ポイント
見る視点 意味 注意点 記録例
合計点 座位バランス全体の目安 課題ごとの偏りは見えにくい FIST 38/56点
課題別の崩れ 介入目標を決めやすい 点数だけでは残りにくい 側方リーチと外乱で不安定
変化量 再評価の変化を見やすい 条件が違うと比較しにくい 前回比+7点、条件同一
退院支援 自宅退院検討の参考になる 単独判断は避ける 42点未満のため環境調整も検討

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FACT・TIS との違い

FISTは、座位バランスを機能課題として短時間で確認したい場面に向きます。FACTやTISは、体幹機能の質や脳卒中後の体幹コントロールを詳しく見たい場面で使いやすい尺度です。

迷ったときは、立位前の座位安全性を見たいならFIST、体幹機能のボトルネックを詳しく見たいならFACT・TISと分けると選びやすくなります。比較して整理したい場合は、FACT・TCT・TIS の違い【比較】脳卒中の体幹評価使い分けも参考になります。

表3.FIST・FACT・TISの使い分け
尺度 主な目的 向く場面 実務での位置づけ
FIST 座位バランスの機能課題を確認する 離床初期、立位前、端座位確認 座位バランスの実務評価
FACT 体幹機能の課題を整理する 脳卒中後の体幹機能評価 体幹の崩れ方を掘る評価
TIS 体幹機能の質と変化をみる 体幹コントロールの経時変化 体幹機能を細かく追う評価

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FIST でよくある失敗

FISTでよくある失敗は、条件をそろえずに点数だけ比較することです。座面高、足底接地、靴の有無、上肢支持の扱い、声かけ量が変わると、同じ患者でも結果が変わります。

再評価では、座面、足底接地、開始姿勢、上肢支持、声かけ量をできるだけ固定します。条件を変えた場合は、点数と一緒に記録しておくと、改善なのか条件差なのかを判断しやすくなります。

表4.FISTでよくある失敗と回避策
失敗 困ること 回避策 記録例
点数だけ残す どの課題が問題か分からない 崩れやすい方向を添える 左側方と外乱で修正遅延あり
条件をそろえない 前回比較がぶれる 座面・足底・支持を固定する 端座位、両足底接地、上肢支持なし
安全性を点数だけで判断する 転倒リスクを見落としやすい 症状・介助量・外乱反応も見る 高得点だが側方外乱で介助要す
他尺度と目的が混ざる 評価の主目的が曖昧になる 今日の主評価を1つ決める 本日は立位前の座位安全性確認でFIST実施

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よくある質問

各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。

FISTは何点なら安全ですか?

一律の安全ラインを決める尺度ではありません。点数は参考になりますが、起立性変化、支持の要否、認知、疲労、疼痛、外乱への反応も合わせて判断します。高得点でも側方や外乱で不安定な場合があるため、合計点だけで安全と決めないことが大切です。

FISTとFACTはどちらを使えばよいですか?

座位バランスを機能課題として短時間で確認したいならFIST、体幹機能のどこがボトルネックかを詳しく見たいならFACTが使いやすいです。立位前の安全性確認ならFIST、体幹機能の質を掘るならFACTと分けると判断しやすくなります。

立位ができない患者にも使えますか?

使いやすいです。FISTは座位バランスをベッドサイドで評価する尺度なので、立位評価がまだ早い症例でも実施しやすいです。むしろ、立位や歩行練習に進む前の安全確認として活用しやすい評価です。

何点変われば改善と考えますか?

変化量の目安として、MCIDは6.5点超が報告されています。ただし、条件差があると比較しにくいため、座面高、足底接地、支持の扱い、声かけ量をできるだけそろえて再評価することが重要です。

退院支援に使えますか?

参考にはなりますが、FIST単独で退院先を決めることは避けます。42点未満は非自宅退院の可能性が高い目安として報告されていますが、実際には介助力、住環境、移乗能力、認知、耐久性などを合わせて判断します。

次の一手

FISTを測って終わりにしないためには、目的を決める、条件を固定する、点数と所見をセットで残す、の順番が大切です。座位評価で迷う場合は、体幹評価全体の流れと比較記事を確認すると、尺度選択が整理しやすくなります。


参考文献

  1. Samuel Merritt University. Function in Sitting Test (FIST). https://www.samuelmerritt.edu/fist
  2. Gorman SL, Harro CC, Platko SK, et al. Development and validation of the Function in Sitting Test in adults with acute stroke. J Neurol Phys Ther. 2010;34(3):150-160. DOI: 10.1097/NPT.0b013e3181f0065f
  3. Gorman SL, Rivera M, McCarthy L. Reliability of the Function in Sitting Test (FIST). Rehabil Res Pract. 2014;2014:593280. DOI: 10.1155/2014/593280

著者情報

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rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blog を2022年4月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター2級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養、シーティング、摂食・嚥下

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