Durkanテストのやり方|陽性基準と30秒の見方

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Durkanテストは最大30秒で正中神経領域の症状再現を確認する

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Durkanテスト(carpal compression test/手根管圧迫テスト)は、手根管部を直接圧迫し、正中神経領域のしびれ・異常感覚が再現するかを確認する手根管症候群(CTS)の誘発テストです。ポイントは、最大30秒まで圧迫し、その間に普段の症状が正中神経領域へ再現するかを見ることです。

局所を押した痛みだけでは、典型的な陽性所見とは区別して考えます。また、Durkanテストが陽性でもCTSを単独で確定できず、陰性だけで除外することもできません。本記事では、やり方、陽性基準、30秒の意味、感度・特異度、結果の解釈、記録方法までを順に整理します。

Durkanテストのやり方|手根管部を最大30秒圧迫する

Durkanテストでは、手関節をおおむね中間位とし、手根管部の正中神経上へ直接圧を加えます。最大30秒以内に、患者が普段感じている正中神経領域のしびれ・異常感覚が再現するかを確認します。

Durkanテストの実施・陽性判定・解釈。最大30秒の手根管圧迫、正中神経領域の症状再現、局所圧痛との違い、結果の解釈を示す図版
Durkanテストでは最大30秒以内に正中神経領域の症状が再現するかを確認し、局所圧痛のみとは分けて解釈します。
Durkanテストの基本手順
手順 実施内容 確認すること
1 検査前の症状を確認する 普段のしびれ・異常感覚がどの指、どの範囲にあるかを確認する
2 手関節をおおむね中間位にする 過度な掌屈・背屈を加えず、圧迫による反応を確認しやすくする
3 手根管部を圧迫する 手根管部の正中神経上へ両母指などで圧を加える
4 最大30秒まで症状を確認する 正中神経領域に普段の症状が再現・増悪するかを見る
5 症状が再現した時点で記録する 何秒で、どこに、何が出たかを残す

ここでいう「30秒」は、必ず30秒間押し続けてから判定するという意味ではありません。Durkanによる報告では、30秒以内に正中神経領域のしびれ、tingling、dysesthesiaなどが再現することが陽性所見として扱われています。

したがって、たとえば12秒で普段と同じ示指・中指のしびれが再現した場合は、その時点で症状の内容と出現時間を記録します。症状が再現した後まで、判定のために30秒間圧迫し続ける必要はありません。

陽性基準|正中神経領域に普段の症状が再現するかを見る

Durkanテストでは、母指・示指・中指・環指橈側などの正中神経領域に、普段感じているしびれ・ピリピリ感・異常感覚が再現または増悪することを陽性所見の中心として捉えます。

一方、手根管部を押した場所だけが痛む場合は、正中神経領域への症状再現とは分けて記録します。「押すと痛かった」だけでDurkan陽性とすると、局所圧痛と神経症状が混同されるためです。

Durkanテストの陽性・陰性・非典型所見の整理
所見 判定の考え方 記録例
正中神経領域へ普段のしびれが再現 陽性所見として扱う 15秒で示指〜中指掌側に普段と同様のしびれ再現(+)
30秒以内に症状再現なし Durkanテストは陰性 最大30秒、症状再現なし(−)
手根管部の局所痛のみ 典型的な陽性所見とは分ける 手根管部に局所圧痛あり、末梢へのしびれ再現なし
小指側や手全体に症状が出る 典型的な正中神経分布との一致を再確認する 環指尺側〜小指にしびれ再現、主訴との一致を追加確認

判定で重要なのは、「陽性か陰性か」だけではありません。どこに、どのような症状が、何秒で出現し、それが患者の普段の症状と一致したかまで確認すると、所見を解釈しやすくなります。

30秒の見方|出現時間は記録するが重症度とは分ける

Durkanテストでは症状出現までの時間を記録できますが、症状が早く出たほどCTSが重症である、と秒数だけで判断することはできません。

たとえば「10秒で陽性」と「25秒で陽性」は、検査時の反応を記録するうえでは違いがあります。しかし、圧迫方法や患者の症状の変動なども影響するため、秒数そのものをCTSの重症度尺度として扱わないことが重要です。

Durkanテストにおける「30秒」と症状出現時間の扱い
確認事項 考え方
30秒とは 症状再現を確認する最大観察時間の目安
15秒で典型症状が再現 その時点で陽性所見として内容と時間を記録する
30秒で症状再現なし Durkanテストは陰性として記録する
症状出現までの秒数 実施条件・反応として記録できるが、単独の重症度指標にはしない

感度・特異度|Durkan単独でCTSを確定・除外しない

DurkanテストはCTSを疑う際に有用な誘発テストですが、1つのテストだけでCTSを確定したり、完全に除外したりする検査ではありません。

2023年に公表された身体検査のメタ解析では、Durkanテストを扱った21研究における感度の中央値は0.67、特異度の中央値は0.74でした。ただし、研究間で診断精度には大きなばらつきがあります。

Durkanテストの診断精度|2023年メタ解析
指標 中央値 四分位範囲 臨床での注意
感度 0.67 0.46〜0.82 陰性だけでCTSを除外しない
特異度 0.74 0.53〜0.92 陽性だけでCTSを確定しない

この数値からも、Durkanテストを「陽性ならCTS」「陰性ならCTSではない」と二分して解釈することは適切ではありません。診断精度は研究対象や実施方法によって変わるため、単一研究の感度・特異度だけをそのまま臨床へ当てはめないことも重要です。

2026年CTSガイドラインではどう位置づけられているか

2026年に改訂されたAPTA Orthopedics/APTA Hand and Upper Extremityの手根管症候群診療ガイドラインでは、疑われるCTSの診断を補助するため、Phalenテスト、Tinel徴候、carpal compression(Durkan)テストを使用することが推奨されています。

一方で同ガイドラインは、孤立した1つの誘発テストだけでCTS診断を確認する根拠はないことも示しています。つまり、Durkanテストは「単独で答えを出す検査」ではなく、病歴、症状分布、他の身体所見と組み合わせてCTSの可能性を判断するための所見と位置づけるのが適切です。

いつ使う?|病歴と症状分布からCTSを疑ったあとに確認する

Durkanテストは、病歴や症状分布からCTSが疑われる患者に用います。誘発テストを先に行うのではなく、まず「普段どこがしびれるのか」「どの時間帯に悪化するのか」「どのような動作で増悪するのか」を確認しておくと、その後の症状再現を判断しやすくなります。

CTSでは、母指・示指・中指・環指橈側などの正中神経領域に感覚症状を認めることがあります。また、夜間の症状や手を使用した際の増悪なども診断を考える材料になります。

一方、小指側が主症状である、頸部症状を伴う、手全体へ広範囲に症状がある、複数の末梢神経領域に症状が及ぶなど、典型的なCTS像と一致しない場合は、Durkanテストの陽性・陰性だけに判断を寄せず、鑑別を広げます。

結果の解釈|病歴・症状分布・他の所見と統合する

Durkanテストが陽性で、再現された症状が患者の普段の症状と一致し、病歴や分布もCTSと整合する場合は、CTSを支持する所見が1つ加わったと考えます。

反対に、Durkanテストが陰性でも、典型的な症状分布や夜間症状などが明確であれば、それだけでCTSを除外することはできません。必要に応じて、他の誘発テスト、感覚所見、母指球筋の状態などを確認します。

Durkanテスト後の結果の読み方
Durkan 病歴・症状分布 次の考え方
陽性 CTSに典型的 CTSを支持する所見として他の評価結果と統合する
陽性 非典型的 再現された症状の分布を確認し、他の病態も検討する
陰性 CTSに典型的 Durkan陰性だけでは除外せず、他の所見を確認する
陰性 非典型的 CTS以外を含めて評価仮説を再検討する

記録方法|「何秒で・どこに・何が出たか」を残す

カルテでは「Durkan(+)」だけで終わらせず、症状出現までの時間、症状の種類、分布、普段の症状との一致を残します。これにより、陽性と判断した根拠を他職種や次回評価でも確認できます。

Durkanテストで記録する項目
項目 確認内容 記載例
実施側 右・左 右Durkan実施
出現時間 何秒で症状が出たか 15秒で症状再現
症状 しびれ、ピリピリ感など しびれ再現
分布 どの指・部位に出たか 示指〜中指掌側
主訴との一致 普段の症状と同じか 普段と同様の症状

たとえば、「右Durkan:15秒で示指〜中指掌側に普段と同様のしびれ再現(+)」と記録すれば、「陽性」という結果だけでなく、判断根拠まで共有できます。

局所圧痛のみであれば、「右Durkan:手根管部に局所圧痛あり。30秒以内に正中神経領域へのしびれ再現なし」のように、神経症状が再現しなかったことも残しておくと所見を混同しにくくなります。

よくある失敗|30秒・局所痛・単独診断を混同しない

Durkanテストで判断がぶれやすいのは、「30秒経過するまで判定できない」「押した場所が痛ければ陽性」「陽性ならCTS確定」と解釈してしまう場合です。

Durkanテストでよくある失敗と修正ポイント
よくある失敗 問題点 修正ポイント
症状が再現しても30秒まで押し続ける 30秒を最低保持時間と捉えている 最大30秒とし、典型症状が再現した時点で記録する
局所圧痛のみで陽性とする 圧痛と正中神経症状が混同される 症状がどの領域へ再現したかを確認する
強く押すほどよいと考える 非特異的な局所痛を誘発しやすくなる 圧迫位置と方法をそろえ、神経症状の再現を確認する
症状が早く出るほど重症と考える 出現時間と重症度を混同している 秒数は検査反応として記録し、重症度評価とは分ける
陽性だけでCTSと確定する 単独誘発テストの診断精度には限界がある 病歴・症状分布・他所見と統合する

Phalenテストとの違い|固定した順番で行う必要はない

DurkanテストとPhalenテストはいずれもCTSを疑う際に用いられる誘発テストですが、加えるストレスが異なります。Durkanテストは手根管部への直接圧迫、Phalenテストは手関節掌屈位によって症状再現を確認します。

2026年CTSガイドラインでは、Phalenテスト、Tinel徴候、Durkanテストを診断補助として使用することが推奨されていますが、「必ずPhalenを先に行い、その後Durkanを行う」といった固定順序は示されていません。

そのため、病歴や症状、実施可能な肢位などを踏まえて検査を選びます。複数のテストを行った場合も、「何個陽性だったか」だけでなく、それぞれでどの症状が再現したかを確認します。

Durkanテストのよくある質問

各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップすると閉じます。

Durkanテストは30秒間ずっと圧迫しますか?

30秒は最大観察時間の目安です。30秒以内に正中神経領域へ普段のしびれ・異常感覚が再現すれば、その時点で陽性所見として時間と症状を記録できます。「30秒経過してから判定する」という意味ではありません。

手根管部を押して痛ければ陽性ですか?

局所圧痛だけでは、典型的なDurkan陽性所見とは分けて考えます。正中神経領域にしびれ・異常感覚が再現または増悪し、普段の症状と一致するかを確認します。

Durkanテストが陽性ならCTSで確定できますか?

確定できません。2026年CTSガイドラインでもDurkanテストは診断を補助する誘発テストとして位置づけられており、孤立した1つの誘発テストだけでCTSを確定する根拠はありません。病歴、症状分布、他の所見と統合して判断します。

症状が出るまでの時間が短いほどCTSは重症ですか?

症状出現までの秒数だけでCTSの重症度を判断することはできません。秒数は検査時の反応として記録できますが、重症度を評価する場合は感覚・運動所見など目的に合った評価と組み合わせます。

次の一手|Durkanを手部評価の中で位置づける

Durkanテストでは、最大30秒という時間だけを覚えるのではなく、「どこに・何が・何秒で出たか」「普段の症状と一致したか」まで確認することが重要です。陽性・陰性を単独で診断へ直結させず、病歴と症状分布との整合性を確認してください。


参考文献

  1. Durkan JA. A new diagnostic test for carpal tunnel syndrome. J Bone Joint Surg Am. 1991;73(4):535-538. PubMed
  2. Durkan JA. The carpal-compression test. An instrumented device for diagnosing carpal tunnel syndrome. Orthop Rev. 1994;23(6):522-525. PubMed
  3. Ozdag Y, Hu Y, Hayes DS, Manzar S, Grandizio LC. Sensitivity and Specificity of Examination Maneuvers for Carpal Tunnel Syndrome: A Meta-Analysis. Cureus. 2023;15(7):e42383. doi:10.7759/cureus.42383. PMC
  4. Erickson M, Lawrence M, Lazinski MJ, Scott K, Martin RL. Hand Pain and Sensory Deficits: Carpal Tunnel Syndrome: Revision 2026. J Orthop Sports Phys Ther. 2026;56(4):CPG1-CPG79. doi:10.2519/jospt.2026.0301. PubMed

著者情報

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rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blogを2022年4月に開設。急性期・回復期・療養病棟、介護福祉施設、訪問リハビリテーションでの臨床経験をもとに、理学療法評価、臨床手順、記録用紙、医療制度などの実務情報を発信しています。

現在は療養病院に勤務し、脳卒中、褥瘡・創傷ケア、リハビリテーション栄養、呼吸リハビリテーションを中心に臨床・教育活動を行っています。

保有資格

  • 脳卒中認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター2級

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