廃用症候群リハビリテーション料とは?算定要件・点数・120日超の対応【2026年】

制度・実務
記事内に広告が含まれています。

廃用症候群リハビリテーション料の算定要件・点数【2026年改定対応】

廃用症候群リハビリテーション料は、急性疾患等に伴う安静によって基本動作やADLなどが一定程度以上低下した患者に、個別リハビリテーションを実施した場合に算定する診療報酬です。令和8年度(2026年度)の基本点数はⅠが180点、Ⅱが146点、Ⅲが77点で、標準的算定日数は120日です。

ただし、廃用症候群があるだけでは算定できません。急性疾患等と安静の関係、能力低下の程度、他の疾患別リハビリテーション料との関係を確認する必要があります。本記事では、PT・OT・ST向けに算定要件、120日超の取り扱い、令和8年度改定、評価表、記録例まで整理します。

廃用症候群リハビリテーション料の基本事項【令和8年度】
確認項目 内容
診療報酬区分 H001-2 廃用症候群リハビリテーション料
主な対象 急性疾患等に伴う安静による廃用症候群で、一定程度以上の能力低下を認める患者
能力低下の目安 治療開始時FIM115点以下、BI85点以下の状態等
基本点数 Ⅰ:180点/Ⅱ:146点/Ⅲ:77点(1単位)
標準的算定日数 廃用症候群の診断または急性増悪から120日
120日超 例外規定による継続算定と、通常の月13単位までの算定を区別する
令和8年度の重要事項 早期リハビリテーション加算の見直し、休日リハビリテーション加算、離床を伴わない個別療法の取り扱い
必要な評価 廃用に至った経緯、治療開始時ADL、月ごとの評価、改善見込み等

最初に確認したいのは「廃用があるか」だけではなく、「急性疾患等に伴う安静によって、制度上の対象となる能力低下が生じているか」です。そのうえで、他の疾患別リハビリテーション料との関係を整理します。

疾患別リハの算定区分をまとめて確認したい方へ

疾患別リハビリテーション料5区分の比較を見る

関連:標準的算定日数と13単位の考え方

算定対象は急性疾患等に伴う安静と一定以上の能力低下で判断する

廃用症候群リハビリテーション料の対象は、急性疾患等に伴う安静による廃用症候群で、基本動作能力、応用動作能力、言語聴覚能力、日常生活能力が一定程度以上低下している患者です。

対象患者の判断では、治療開始時のFIM115点以下、BI85点以下の状態等が示されています。ただし、点数だけで算定の可否が決まるわけではありません。

廃用症候群リハビリテーション料の対象患者を確認する項目
確認項目 確認内容 判断時の注意点
急性疾患等 肺炎、感染症、急性増悪などの発症・治療経過 慢性的な低活動のみで判断しない
安静の経過 疾患や治療に伴う安静の理由、程度、期間 入院前の安静期間も確認する
能力低下 FIM、BI、基本動作、移乗、歩行、ADL等 点数と具体的な活動制限を対応させる
廃用との関連 安静によって低下した能力とその経過 原疾患による障害と区別して整理する
個別療法の必要性 改善を目指す能力、目標、実施内容 漫然とした訓練継続にならないようにする
他区分との関係 脳血管疾患等、運動器、呼吸器などの対象要件 最も適切な疾患別リハ区分を検討する

FIM115点以下・BI85点以下の考え方

FIMやBIは、一定程度以上の能力低下を確認するための指標です。評価点数が基準の範囲内であっても、急性疾患等に伴う安静と能力低下の関係が説明できなければ、算定根拠としては不十分です。

例えば、入院前から長期間寝たきりで、急性疾患等に伴う新たな能力低下が確認できない場合は、単にBIが低いことだけを理由に廃用症候群リハビリテーション料を選択しないよう注意します。

一方、もともとADLが低い患者でも、急性疾患等に伴う安静によってさらに能力が低下した場合は、その経過と制度上の対象要件を確認します。

入院初日から算定できる場合がある

令和8年度の疑義解釈では、急性疾患等に伴う安静が必ずしも入院後に生じている必要はないことが示されています。

入院前に発症した疾患による安静期間があり、入院時点ですでにFIM等の要件を満たす廃用症候群を認める場合は、入院初日から算定できることがあります。

この場合は、入院前の発症・治療経過、安静期間、入院時ADL、廃用と判断した理由を確認します。

なお、早期リハビリテーション加算の算定可能期間は、廃用症候群リハビリテーション料の算定開始日によらず、入院日から14日間です。転院患者では、転院前の保険医療機関への入院日を起算日とする規定にも注意します。

5分確認フロー|廃用症候群リハで算定できるか

廃用症候群リハビリテーション料の算定を検討するときは、急性疾患等、安静の経過、能力低下、他区分との関係、必要な記録の順番で確認します。

以下は、令和8年度の算定判断に合わせて整理した5ステップの確認フローです。実務上の判断を支援する図版であり、公式の算定基準そのものを置き換えるものではありません。

廃用症候群リハビリテーション料の算定判断5ステップ。急性疾患等に伴う安静、能力低下、廃用との関連、他区分との関係、評価・記録・算定日数を順番に確認するフローチャート
廃用症候群リハビリテーション料の算定判断5ステップ。最終的な算定可否は、施設基準・届出区分・患者の状態を含めて医師・医事課と確認します。
廃用症候群リハビリテーション料の5分確認フロー
順番 確認事項 判断のポイント
1 急性疾患等に伴う安静があるか 発症、治療、活動制限の経過を確認する
2 一定程度以上の能力低下があるか FIM115点以下、BI85点以下の状態等を確認する
3 廃用による能力低下を説明できるか 安静前後のADLと具体的な能力低下を整理する
4 他の疾患別リハ区分との関係は適切か 原疾患、主たる障害、制度上の対象要件を確認する
5 必要な評価と記録を残せるか 廃用の経緯、月次評価、算定日数、改善見込み、継続理由を確認する

図版の5ステップを満たしているように見えても、施設基準や個別の算定条件によって判断が変わることがあります。療法士だけで算定区分を確定せず、医師・医事課・施設基準担当者と確認します。

廃用症候群リハビリテーション料Ⅰ・Ⅱ・Ⅲの点数

令和8年度の基本点数は、廃用症候群リハビリテーション料Ⅰが180点、Ⅱが146点、Ⅲが77点です。いずれも1単位あたりの点数で、施設基準に応じた区分を算定します。

廃用症候群リハビリテーション料の基本点数【令和8年度】
区分 1単位の点数 確認事項
Ⅰ 180点 対応する施設基準と届出状況
Ⅱ 146点 対応する施設基準と届出状況
Ⅲ 77点 対応する施設基準と実施体制

Ⅰ・Ⅱ・Ⅲの基本点数は、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、医師が実施する場合について定められています。Ⅲには、一定の条件を満たすその他の従事者が実施する場合の点数規定もあります。

基本点数に加えて、患者の状態、実施日、起算日、施設基準等によって加算や特別な算定規定が関係します。

施設基準と届出状況の確認

廃用症候群リハビリテーション料の施設基準は、脳血管疾患等リハビリテーション料の施設基準・届出と関連して整理されます。

実務では、自施設が届け出ている区分、専任医師・療法士等の配置、必要な実施体制、施設基準の適合状況を確認します。

ただし、脳血管疾患等リハビリテーション料を届け出ているという事実だけで、廃用症候群リハビリテーション料のすべての算定要件を満たすと判断しないようにします。

届出区分や施設基準の変更がある場合は、施設基準担当者と最新の告示・通知・届出受理状況を照合してください。

標準的算定日数は120日|120日を超えた場合の取り扱い

廃用症候群リハビリテーション料の標準的算定日数は、廃用症候群の診断または急性増悪から120日です。

120日を超えた場合でも、すべての患者で直ちに算定できなくなるわけではありません。一方、すべての患者が無条件に従来どおり算定できるわけでもありません。

重要なのは、例外規定による所定点数での継続算定と、通常の120日超の月13単位までの算定を区別することです。

120日超の通常算定

標準的算定日数を超えた患者については、対象区分に応じて月13単位までの算定規定があります。

廃用症候群リハビリテーション料の120日超の点数【通常の月13単位算定】
区分 要介護被保険者等以外 入院中の要介護被保険者等
Ⅰ 180点 108点
Ⅱ 146点 88点
Ⅲ 77点 46点
単位数 月13単位まで 月13単位まで

この表は、120日超の通常算定に関する整理です。標準的算定日数を超えても所定点数で継続できる例外対象患者を、一律に月13単位へ制限する趣旨ではありません。

また、要介護被保険者等の取り扱いは、入院・外来の別や対象患者の条件によって異なります。外来患者についても同じ表を機械的に適用しないでください。

120日を超えて所定点数で継続できる場合

別に厚生労働大臣が定める患者について、治療継続により状態の改善が期待できると医学的に判断される場合などは、120日を超えて所定点数を算定できる例外規定があります。

ただし、「改善の可能性がある」と記録すれば自動的に例外対象になるわけではありません。対象患者の要件、医学的判断、リハビリテーションの必要性、継続理由を確認する必要があります。

120日超の算定判断で確認する事項
確認項目 実務上の確認内容
起算日 廃用症候群の診断日または急性増悪日
例外対象 厚生労働大臣が定める患者・場合に該当するか
医学的必要性 継続による改善見込みとその根拠
能力の変化 FIM・BI、基本動作、ADLなどの経時的変化
算定区分 通常の月13単位算定か、例外規定による継続算定か
介護保険との関係 要介護被保険者等への該当、入院・外来の別、移行の必要性

標準的算定日数を超える場合の制度全体は、疾患別リハビリテーションの標準的算定日数と13単位の考え方で確認できます。

令和8年度改定で押さえる算定上の注意点

令和8年度診療報酬改定では、早期リハビリテーション加算の見直し、休日リハビリテーション加算の新設、特定の患者に対する離床を伴わない個別療法の算定規定などが設けられました。

これらは廃用症候群リハビリテーション料にも関係しますが、対象患者・起算日・訓練内容を確認する必要があります。

早期・初期・急性期リハビリテーション加算

廃用症候群リハビリテーション料に関係する主な加算【令和8年度】
加算 点数 主な確認事項
早期リハビリテーション加算 入院日から3日目まで60点/単位、4~14日目25点/単位 入院日を起算日とする。転院患者では転院前の入院日にも注意
初期加算 45点/単位 所定の発症・手術・急性増悪等から14日以内。施設基準等を確認
急性期リハビリテーション加算 50点/単位 所定の患者要件・施設基準・起算日を確認
休日リハビリテーション加算 25点/単位 対象となる入院患者、休日、所定の起算日から30日目までを確認

初期加算や急性期リハビリテーション加算は、早期リハビリテーション加算と起算日の考え方が同一ではありません。入院日、急性疾患等の発症日、手術日、急性増悪日を区別して管理します。

休日リハビリテーション加算は25点/単位

令和8年度に新設された休日リハビリテーション加算は、別に定める対象患者で入院中のものに対し、所定の休日にリハビリテーションを実施した場合、起算日から30日目までを限度として1単位につき25点を加算するものです。

廃用症候群リハビリテーション料では、廃用症候群に係る急性疾患等の発症・手術・急性増悪、または廃用症候群の急性増悪が起算日の確認対象となります。

対象となる休日には、土曜日、日曜日、祝日等が含まれます。ただし、休日に実施したという事実だけで算定できるわけではなく、対象患者と起算日を確認する必要があります。

休日リハビリテーション加算の確認ポイント
項目 確認内容
対象患者 別に定める対象患者であり、入院中であること
実施日 土曜日・日曜日・祝日等の対象日
算定期間 所定の起算日から30日目まで
点数 1単位につき25点
記録・請求 実施日、対象疾患、起算日、必要な診療報酬明細書記載事項を確認

離床を伴わないリハビリテーションの90%算定

令和8年度改定では、特定の患者に対して、離床を伴わず20分以上の個別療法を実施した場合、所定点数の90%相当で算定し、1日2単位までとする規定が設けられました。

ただし、ベッド上で実施したリハビリテーションが、すべて自動的に90%算定になるわけではありません。

規定の対象となるのは、入院中の患者で、ベッド上から移動せず、ポジショニングや拘縮予防等を主な目的とする他動的な訓練のみを行う場合のうち、所定の除外条件に該当しない患者です。

例えば、早期・初期・急性期リハビリテーション加算等を算定する患者や、疾患・状態によってベッド上からの移動が困難な15歳未満の小児患者などは、規定上の対象外となります。

また、ベッド上からの移動が困難で、3単位以上の個別療法が医学的に必要であると医師が特に認めた患者についても、所定の理由・訓練内容を診療録および診療報酬明細書に記載するなどの条件があります。

離床を伴わないリハビリテーションで判断が分かれる場面
実施場面 確認するポイント
ベッド上で他動的ROM訓練のみを実施 ポジショニング・拘縮予防等を主目的とする他動的訓練のみか、患者の除外条件に該当しないかを確認
ベッド上で患者自身が運動 能動的な訓練内容を確認し、単にベッド上という理由で90%算定と判断しない
離床を目指して座位練習を実施 離床に向けた介入内容と実施経過を確認する
ベッド上で言語療法を実施 言語聴覚療法の目的・内容を確認し、他動的訓練のみの場合と区別する
医学的理由で離床困難 医師の判断、3単位以上の必要性、必要な診療録・レセプト記載を確認する

厚生労働省の令和8年度疑義解釈では、ベッド上での能動的運動、言語療法、離床を目指した座位練習、他動的ROM訓練など、具体的な実施場面について取り扱いが示されています。

そのため、記録には単に「ベッド上ROM20分」と記載するのではなく、患者の状態、訓練目的、能動的・他動的な実施内容、離床に向けた取り組み、実施結果を具体的に残します。

90%算定の適用可否は、最新の疑義解釈と施設の医事運用を照合して判断してください。

脳血管・運動器・呼吸器リハとの使い分け

廃用症候群がある患者でも、必ず廃用症候群リハビリテーション料を算定するわけではありません。

疾患別リハビリテーション料では、患者の疾患や状態等を総合的に勘案し、適切な区分を選択します。

実務では、原疾患、急性疾患等に伴う安静、能力低下の主な要因、リハビリテーションの治療対象を整理することが重要です。

廃用症候群リハビリテーション料と他区分の判断例
場面 廃用症候群リハを検討する状況 他区分を検討する状況
肺炎後のADL低下 急性疾患に伴う安静で基本動作・ADLが低下し、廃用に対する介入が中心 呼吸障害に対する介入が中心で、呼吸器リハの対象要件に該当
脳梗塞後の活動性低下 急性疾患等に伴う安静による廃用が主な治療対象となる場合 麻痺、高次脳機能障害など脳血管疾患に伴う障害への介入が中心
骨折・術後のADL低下 急性疾患等に伴う安静による廃用が主な治療対象となる場合 骨折や術後の運動機能障害への介入が中心
入院前から寝たきり傾向 急性疾患等に伴う安静によって新たな能力低下を認める場合 慢性的な低活動のみで、廃用症候群リハの対象要件を確認できない場合

この表は区分選択のための実務上の整理であり、診断名だけで算定区分を確定するものではありません。

なお、心大血管疾患・運動器・呼吸器・障害児(者)・がん患者リハビリテーション料の対象患者が廃用症候群を合併している場合、廃用症候群に関連する症状に対してリハビリテーションを行ったときは、廃用症候群リハビリテーション料で算定する旨が通知に示されています。

判断が難しい場合は、医師の診断、リハビリテーション実施計画、評価所見、診療報酬上の対象要件を照合します。

診療録・評価表・レセプトで必要な記録

廃用症候群リハビリテーション料では、訓練内容だけでなく、廃用に至った経緯、治療開始時のADL、月ごとの評価、改善見込みを確認できることが重要です。

特に「廃用症候群に係る評価表」は、通常のリハビリテーション実施記録とは役割が異なります。

廃用症候群に係る評価表

廃用症候群に係る評価表では、廃用を生じる契機となった疾患、廃用に至った経緯、治療開始時のADL、月ごとの評価点数、実施日数・単位数、リハビリテーションの内容、改善見込み等を整理します。

月ごとの評価では、BIまたはFIMを用いて経過を確認します。評価表の記載内容、診療報酬明細書への添付・摘要欄への記載、診療録への保存については、現行の算定上の留意事項と施設の請求方法を確認してください。

廃用症候群に係る評価表と診療録の確認事項
項目 確認内容
廃用の契機 原因となった急性疾患等、発症時期、治療内容
廃用の経緯 安静が必要となった理由、安静の程度、期間
治療開始時ADL BIまたはFIM等による能力低下の評価
月ごとの評価 BI・FIMの経過、能力の変化
実施状況 月間の実施日数、提供単位数
実施内容 筋力、基本動作、ADL等に対する具体的な介入
改善見込み 目標、改善に必要と考えられる期間、継続理由

なお、評価表の項目を確認する際は、厚生労働省が示す現行の「廃用症候群に係る評価表」を参照してください。公式様式の内容を独自に変更したものを、公式の評価表として扱わないようにします。

日々の実施記録で残したい内容

日々の診療録では、実施した個別療法の内容、患者の反応、必要な再評価、実施時間等を施設の記録運用に沿って残します。

開始・終了時刻や実施単位数が電子カルテの専用欄に正確に記録される場合は、本文へ同じ情報を重複して記載する必要性を施設の運用に沿って判断します。

一方、単に「廃用リハ実施」と記載するだけでは、治療対象や実施内容を把握しにくくなります。

廃用症候群リハビリテーション料における記録の整理
記録先 主な内容
診療録 患者の状態、実施内容、反応、必要な再評価・相談事項
リハビリテーション実施計画書 評価結果、目標、介入方針、説明・見直し
廃用症候群に係る評価表 廃用の契機、安静経過、月次評価、実施状況、改善見込み
診療報酬明細書 算定区分、必要な摘要欄情報、評価表に関する取り扱い等

記録例|肺炎後の廃用症候群で算定を検討する場合

以下は、廃用症候群リハビリテーション料の算定判断と記録の関係を説明するための架空症例です。実在患者の記録ではありません。

初回評価の記録例

症例設定(架空)

肺炎加療に伴い臥床時間が増加。病前は屋内独歩自立であったが、入院時は移乗に見守り、歩行に軽介助を要する。BI80点。呼吸状態は安定傾向であるが、安静後の筋力低下、立位耐久性低下、歩行能力低下を認める。

この症例では、肺炎という診断名だけで算定区分を決めるのではなく、安静に至った経緯、病前ADL、入院時の能力低下、呼吸障害の状態を確認します。

呼吸器リハビリテーション料の対象要件も含めて評価し、医師と算定区分を検討します。

算定区分を検討した理由の記録例

肺炎に伴う安静期間中に基本動作・歩行能力が低下。現在は呼吸状態が安定しており、主な介入対象は安静後の筋力低下、立位耐久性低下、移乗・歩行能力低下である。廃用症候群に係る対象要件と他の疾患別リハビリテーション料との関係を確認し、廃用症候群リハビリテーション料による介入を検討する。

実際の記録では、廃用症候群の診断、具体的な評価所見、医師の判断、施設の算定要件確認に基づいて記載します。

月次評価の記録例

BI80点から90点へ改善。移乗は自立、歩行は病棟内見守りまで改善した。屋内歩行自立と退院後の生活動作の安定を目標に、引き続き歩行練習とADL練習を実施する方針とした。

月次評価では、点数の変化だけでなく、どの動作が改善したか、残存する活動制限は何か、今後の目標は何かを整理します。

改善が乏しい場合も、評価結果をそのまま記録し、目標や介入方針の見直しにつなげます。

算定判断で間違えやすい5つのポイント

廃用症候群リハビリテーション料の算定で注意したい判断
誤解しやすい考え方 適切な確認方法
BI85点以下なら必ず算定できる 急性疾患等に伴う安静と能力低下の関係も確認する
入院後に安静期間がなければ算定できない 入院前の安静によって入院時に要件を満たす場合も確認する
120日を超えたら算定できない 例外規定と月13単位までの通常算定を区別する
休日に実施すれば25点加算できる 対象患者、起算日、30日以内などの条件を確認する
ベッド上の訓練はすべて90%算定になる 対象患者と具体的な訓練内容、除外条件を確認する

制度上の要件に該当するか判断が難しい場合は、療法士の評価だけで結論を出さず、医師・医事課・施設基準担当者と確認します。

よくある質問

廃用症候群リハビリテーション料は入院初日から算定できますか?

入院初日から算定できる場合があります。入院前に発症した急性疾患等による安静期間があり、入院時点ですでにFIM等の要件を満たす廃用症候群を認める場合は、入院初日からの算定が認められています。入院前の経過と能力低下の根拠を記録します。

FIM115点以下またはBI85点以下なら必ず算定できますか?

いいえ。能力低下の程度だけでなく、急性疾患等に伴う安静、廃用に至った経緯、個別療法の必要性、他の疾患別リハビリテーション料との関係を確認する必要があります。

120日を超えると必ず月13単位までになりますか?

いいえ。別に定める患者や場合に該当し、治療継続によって状態の改善が期待できると医学的に判断される場合などは、120日を超えて所定点数で算定できる例外規定があります。通常の月13単位までの算定と区別して確認します。

休日リハビリテーション加算は土曜日も対象ですか?

土曜日も対象となります。ただし、対象患者、起算日、算定期間などの要件を満たす必要があります。休日にリハビリテーションを実施しただけで自動的に加算できるわけではありません。

ベッド上でROM訓練を行った場合は90%算定になりますか?

ベッド上で実施したという事実だけでは判断できません。令和8年度の規定では、ベッド上から移動せず、ポジショニングや拘縮予防等を主目的とした他動的訓練のみを行う入院患者のうち、所定の除外条件に該当しない患者が対象となります。訓練目的、実施内容、患者の状態、除外条件を確認して判断します。

廃用症候群に係る評価表は毎回作成する必要がありますか?

日々の実施記録とは別に、月ごとの評価を整理する様式です。廃用の契機、安静経過、治療開始時ADL、月ごとの評価点数、実施状況、改善見込み等を確認します。診療報酬明細書と診療録に関する取り扱いは現行の通知に従います。

次の一手

廃用症候群リハビリテーション料の算定要件を確認したら、次に重要なのは、他の疾患別リハビリテーション料との区分選択と、標準的算定日数を超える場合の取り扱いです。

廃用症候群の評価、離床、運動療法など、臨床面の具体的な進め方は、廃用症候群のリハビリテーションで解説しています。

参考文献

  1. 厚生労働省. 令和8年度診療報酬改定について. 2026.
  2. 厚生労働省. 令和8年度診療報酬改定 医科診療報酬点数表. 2026.
  3. 厚生労働省保険局医療課. 診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(令和8年3月5日保医発0305第6号). 2026.
  4. 厚生労働省保険局医療課. 疑義解釈資料の送付について(その1)(令和8年3月23日). 2026.
  5. 厚生労働省. 令和8年度診療報酬改定におけるリハビリテーション関連資料. 2026.

著者情報

rehabilikunの著者アイコン

rehabilikun(理学療法士)

2022年4月にrehabilikun blogを開設。急性期・回復期・療養病棟、介護福祉施設、訪問リハビリテーションでの経験をもとに、PT・OT・STの臨床判断や実務に役立つ情報を発信しています。

現在は療養病院に勤務し、脳卒中、褥瘡・創傷ケア、リハビリテーション栄養、呼吸リハビリテーションなどを中心に、評価・介入・記録・制度の実務情報を整理しています。

保有資格

  • 脳卒中認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター2級

運営者プロフィール /
編集・引用ポリシー /
お問い合わせ