- JCSの評価方法|まず0・1桁・2桁・3桁を分ける
- JCSとは|0・1桁・2桁・3桁の大枠を先に決める
- JCS早見表|0〜300の判定基準
- JCSの評価方法|刺激なし→呼びかけ→大声・揺さぶり→必要時に痛み刺激
- JCS 10・20・30の違い|必要になった刺激で分ける
- JCS 1・2・3の違い|刺激なしで覚醒している群を分ける
- JCS 100・200・300の違い|開眼しない場合は運動反応を見る
- R・I・Aの付記|不穏・失禁・自発性喪失を追加する
- 急な意識変化ではJCS採点より安全確認と共有を優先する
- JCSの記録方法|点数だけでなく評価条件と同時所見を残す
- JCS評価・記録シート|Excel版・PDF版
- JCSでよくある間違い|10・20・30と1桁の境界に注意する
- よくある質問(FAQ)
- まとめ|JCSは必要となった刺激から順に判定する
- 参考文献
- 著者情報
JCSの評価方法|まず0・1桁・2桁・3桁を分ける
JCS(Japan Coma Scale)は、意識レベルを刺激なしで覚醒しているか、刺激すると覚醒するか、刺激しても覚醒しないかで整理する評価尺度です。最初から1・2・3、10・20・30、100・200・300をすべて暗記するより、まず0・1桁・2桁・3桁のどこに当てはまるかを決めると判定しやすくなります。
特に迷いやすいのが2桁です。JCS 10は普通の呼びかけ、20は大きな声または身体を揺さぶることで開眼、30は痛み刺激を加えつつ呼びかけを繰り返すとかろうじて開眼します。この記事では、JCS 0〜300の判定基準、10・20・30の違い、R・I・Aの付記、急な意識変化への対応、カルテ記録例まで整理します。
JCSとは|0・1桁・2桁・3桁の大枠を先に決める
JCSは、覚醒状態と刺激に対する反応から意識障害を段階化します。判定では、まず刺激なしで覚醒しているかを確認し、覚醒していなければ刺激により覚醒するか、さらに刺激しても覚醒しないかへ進みます。
| 区分 | 状態 | スコア | 最初に見るポイント |
|---|---|---|---|
| 意識清明 | 意識清明 | 0 | 普段どおりに覚醒し、意識障害を認めない |
| 1桁 | 刺激しなくても覚醒している | 1・2・3 | 意識内容や見当識を確認する |
| 2桁 | 刺激すると覚醒する | 10・20・30 | どの程度の刺激で覚醒したかを見る |
| 3桁 | 刺激しても覚醒しない | 100・200・300 | 痛み刺激への運動反応を見る |
2桁は、刺激によって覚醒しても刺激を止めると眠り込む状態が基本です。ただし、10・20・30を分ける中心は「刺激停止後に何秒覚醒したか」ではなく、覚醒させるために必要だった刺激の強さです。
JCS早見表|0〜300の判定基準
JCSは、まず大分類を決め、その後に各群の3段階へ細分化します。以下の表で全体像を確認してから、迷いやすい境界を個別に見ていきます。
| 区分 | JCS | 判定の目安 |
|---|---|---|
| 意識清明 | 0 | 意識清明 |
| 1桁 刺激なしで覚醒 |
1 | だいたい意識清明だが、今ひとつはっきりしない |
| 2 | 見当識障害がある | |
| 3 | 自分の名前、生年月日が言えない | |
| 2桁 刺激すると覚醒 |
10 | 普通の呼びかけで容易に開眼する |
| 20 | 大きな声または身体を揺さぶることで開眼する | |
| 30 | 痛み刺激を加えつつ呼びかけを繰り返すと、かろうじて開眼する | |
| 3桁 刺激しても覚醒しない |
100 | 痛み刺激に対し、払いのけるような動作をする |
| 200 | 痛み刺激で少し手足を動かす、または顔をしかめる | |
| 300 | 痛み刺激に反応しない |
JCSの評価方法|刺激なし→呼びかけ→大声・揺さぶり→必要時に痛み刺激
JCSは、強い刺激から始めるのではなく、弱い条件から順に反応を確認します。刺激なしで覚醒している場合は1桁群を評価し、覚醒していない場合に2桁、さらに刺激しても覚醒しない場合に3桁へ進みます。

JCS判定の基本フロー
- 刺激なしで覚醒している → 0または1・2・3を判定
- 覚醒していない → 普通の呼びかけで容易に開眼 → JCS 10
- 反応しない → 大きな声または身体を揺さぶることで開眼 → JCS 20
- 反応しない → 痛み刺激を加えつつ呼びかけを繰り返すと、かろうじて開眼 → JCS 30
- それでも覚醒しない → 痛み刺激への運動反応から100・200・300を判定
痛み刺激が必要な場合は、施設の手順・SOPに従い、安全性に配慮して実施します。不要な反復や、皮膚・軟部組織の損傷につながる刺激は避けます。
JCS 10・20・30の違い|必要になった刺激で分ける
2桁で最も重要なのは、どの刺激で覚醒したかです。「痛み刺激で開眼したから20」と判定すると、20と30の境界を誤ります。
| JCS | 覚醒に必要な刺激 | 臨床での確認 |
|---|---|---|
| 10 | 普通の呼びかけ | 普段の声量で呼びかけ、容易に開眼するか |
| 20 | 大きな声、または身体を揺さぶる | 通常の呼びかけでは覚醒せず、より強い呼びかけ等で開眼するか |
| 30 | 痛み刺激+繰り返す呼びかけ | 痛み刺激を加えながら繰り返し呼びかけて、かろうじて開眼するか |
覚え方:10=普通の呼びかけ、20=大声・身体を揺さぶる、30=痛み刺激+繰り返す呼びかけ、と刺激の段階で整理します。
また、2桁は刺激を止めると再び眠り込む状態です。刺激停止後の再閉眼や覚醒持続時間を記録しておくことは経時比較に役立ちますが、20と30の主判定基準にはしません。
JCS 1・2・3の違い|刺激なしで覚醒している群を分ける
1桁群は、いずれも刺激しなくても覚醒していることが前提です。そのうえで意識の明瞭さ、見当識、自分の名前や生年月日を答えられるかを確認します。
| JCS | 状態 | 判定時の注意 |
|---|---|---|
| 1 | だいたい意識清明だが、今ひとつはっきりしない | 「呼名で開眼した」ことを1の根拠にしない |
| 2 | 見当識障害がある | 時間・場所・人物などを確認する |
| 3 | 自分の名前、生年月日が言えない | 失語、構音障害、聴覚障害などの影響を考慮する |
特にJCS 3は、単に「言葉で答えられなかった」だけで機械的に決めないことが重要です。失語、気管挿管、重度構音障害、聴覚障害などがある場合は、意識障害以外の要因が応答に影響していないかを併記します。
JCS 100・200・300の違い|開眼しない場合は運動反応を見る
3桁群では、強い刺激を加えても覚醒しません。そのうえで、痛み刺激に対する運動反応から100・200・300を分けます。
| JCS | 痛み刺激への反応 | 観察のポイント |
|---|---|---|
| 100 | 払いのけるような動作をする | 刺激を避けようとする合目的な反応があるか |
| 200 | 少し手足を動かす、または顔をしかめる | 反応部位、左右差、異常肢位などを併記する |
| 300 | 痛み刺激に反応しない | 呼吸・循環・瞳孔なども含め速やかに全身状態を共有する |
100・200・300では「開眼するか」ではなく、開眼しないことを確認したうえで運動反応を評価します。左右差、新たな麻痺、けいれん様動作などがあれば、JCSの数字だけでなく、その所見も同時に共有します。
R・I・Aの付記|不穏・失禁・自発性喪失を追加する
JCSでは、必要に応じて数字の後ろにR・I・Aを付記します。数値とは別に患者の状態を補足するための記号であり、施設の記録ルールも確認して使用します。
| 付記 | 意味 | 記載例 |
|---|---|---|
| R | 不穏(Restlessness) | 20R |
| I | 失禁(Incontinence) | 3I |
| A | 自発性喪失 | 3A |
複数が該当する場合は「3RI」のように併記されることがあります。R・I・Aがない場合は数値のみで記録します。
急な意識変化ではJCS採点より安全確認と共有を優先する
JCSは意識レベルを共有するために有用ですが、急変対応の代わりになる尺度ではありません。急に反応が悪くなった場合は、JCSを最後まできれいに採点することより、呼吸・循環・神経所見などを確認して速やかに共有することを優先します。
| 項目 | 主な確認内容 | 共有したい情報 |
|---|---|---|
| 呼吸 | 気道、呼吸数、SpO₂、努力呼吸 | 酸素条件、直前値との差 |
| 循環 | 血圧、脈拍、末梢循環 | 急な低下・上昇、普段との差 |
| 神経所見 | 瞳孔、麻痺、左右差、けいれん様動作 | 変化した時刻、左右差 |
| 背景因子 | 鎮静・鎮痛薬、低血糖、術後、睡眠など | 評価時に影響しうる条件 |
JCS単独でリハビリテーションの実施可否を決めることも避けます。前回からの変化、バイタルサイン、疾患、医師・看護師からの情報、運動負荷に対する反応などを合わせて判断します。
JCSの記録方法|点数だけでなく評価条件と同時所見を残す
JCSは数値だけでも共有できますが、経時変化を追う場面では①JCS ②評価時刻 ③判定に至った刺激・反応 ④同時所見を残しておくと比較しやすくなります。
| 場面 | 記録例 |
|---|---|
| JCS 1 | JCS 1。刺激なしで覚醒。応答やや緩慢だが見当識は保たれている。 |
| JCS 10 | JCS 10。閉眼しているが、普通の呼びかけで容易に開眼。刺激停止後は再閉眼。 |
| JCS 20 | JCS 20。通常の呼びかけでは開眼せず、大声での呼びかけで開眼。簡単な指示反応あり。 |
| JCS 30 | JCS 30。大声・身体を揺さぶっても開眼せず、施設手順に沿う痛み刺激を加えながら繰り返し呼びかけると、かろうじて開眼。 |
| JCS 200 | JCS 200。刺激で開眼なし。痛み刺激で顔しかめあり。右上下肢の反応が左より乏しい。 |
| 前回から悪化 | 12:00 JCS 10 → 14:00 JCS 20。通常呼名では開眼せず大声で開眼。SpO₂低下を伴い看護師へ共有。 |
経時比較では、単に「10から20になった」だけでなく、何が変わったため20になったのかまで記録できると、次の評価者にも変化が伝わりやすくなります。
JCS評価・記録シート|Excel版・PDF版
JCS 0〜300の判定基準、特に10・20・30の刺激条件を確認しながら記録できるよう、評価・記録シートを作成しました。Excel版は入力・院内共有向け、PDF版はA4印刷向けに使えます。
JCS 評価・記録シート v7
0〜300の早見表、10・20・30の判定境界、R・I・A、評価条件、反応、前回との差を1枚で確認・記録できます。
PDFプレビューを表示する
※本シートはJCS評価・記録を補助するための資料です。患者の急変対応や施設の手順・SOPに優先するものではありません。
JCSでよくある間違い|10・20・30と1桁の境界に注意する
JCSの誤判定は、数字の暗記不足よりも、大分類を飛ばして細かいスコアを決めてしまうことで起こりやすくなります。まず覚醒状態を分け、その後に刺激条件や反応から細分化します。
| NG | 問題点 | 修正 |
|---|---|---|
| 痛み刺激で開眼したのでJCS 20 | 20と30の刺激条件が混同されている | 20は大声・身体を揺さぶる、30は痛み刺激+繰り返す呼びかけで判定する |
| 呼名で開眼したのでJCS 1 | 1桁は刺激なしで覚醒している群 | 呼びかけで初めて覚醒するなら2桁を検討する |
| 刺激停止後の閉眼だけで20と30を分ける | 20・30の主判定基準ではない | 覚醒させるために必要だった刺激で分ける |
| 名前を言えないためJCS 3 | 失語・構音障害・挿管などでも発語できない | 言語障害や評価困難要因を確認・併記する |
| JCSの数字だけ記録する | 変化の内容が次の評価者に伝わりにくい | 時刻・刺激条件・反応・左右差などを併記する |
よくある質問(FAQ)
JCS評価で特に迷いやすい点をまとめます。
JCS 20と30は何で見分けますか?
覚醒に必要だった刺激で分けます。JCS 20は大きな声または身体を揺さぶることで開眼する状態です。JCS 30は、それでも開眼せず、痛み刺激を加えながら呼びかけを繰り返すと、かろうじて開眼する状態です。
JCS 1桁と2桁は何で分けますか?
刺激なしで覚醒しているかどうかが大きな境界です。1桁は刺激しなくても覚醒している状態、2桁は刺激すると覚醒し、刺激を止めると眠り込む状態です。
刺激を止めた後の反応は記録した方がよいですか?
経時比較のために記録する価値があります。ただし、刺激停止後の覚醒持続時間だけでJCS 20と30を分けるのではなく、まず覚醒に必要だった刺激条件から判定します。
JCSのR・I・Aとは何ですか?
Rは不穏、Iは失禁、Aは自発性喪失を示す付記です。必要に応じて「20R」「3RI」のように数字の後ろへ付けます。施設の記録方法も確認して使用します。
JCSだけでリハビリを実施してよいか判断できますか?
JCS単独では判断しません。急な意識変化、呼吸・循環、神経所見、疾患、薬剤、前回からの変化などを合わせて評価します。急変が疑われる場合は、JCS採点の完遂より安全確認と医師・看護師への共有を優先します。
まとめ|JCSは必要となった刺激から順に判定する
JCSは、まず0、1桁、2桁、3桁の大枠を決めると整理しやすくなります。1桁は刺激なしで覚醒、2桁は刺激すると覚醒、3桁は刺激しても覚醒しない状態です。
特に2桁では、10=普通の呼びかけ、20=大声または身体を揺さぶる、30=痛み刺激を加えつつ繰り返し呼びかけるという刺激条件を押さえておくことが重要です。数値だけでなく評価時刻、刺激条件、同時所見を残し、急な悪化では採点よりも安全確認と共有を優先します。
参考文献
- 太田富雄, 和賀志郎, 半田肇, 斉藤勇, 馬杉則彦, 竹内一夫, ほか. 急性期意識障害の新しいGradingとその表現法―いわゆる3-3-9度方式. 脳卒中の外科研究会講演集. 1975;3:61-68. doi:10.14878/scs1973.3.0_61
- 日本神経学会. 神経学的検査チャート作成の手引き. 日本神経学会公式サイト. 参照2026-09-07.
- 厚生労働省. DPC導入の影響評価に係る調査 実施説明資料. 厚生労働省資料. 参照2026-09-07.
- Nakajima M, Okada Y, Sonoo T, Goto T. Development and validation of a novel method for converting the Japan Coma Scale to Glasgow Coma Scale. J Epidemiol. 2023;33(10):531-535. doi:10.2188/jea.JE20220147
著者情報

rehabilikun(理学療法士)
rehabilikun blog を2022年4月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。
- 脳卒中 認定理学療法士
- 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
- 登録理学療法士
- 3学会合同呼吸療法認定士
- 福祉住環境コーディネーター2級
専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

