標準的算定日数は「終了日」ではなく、区分・起算日・継続可否を確認するための基準です
標準的算定日数は、疾患別リハビリテーション料で「通常の所定点数を算定できる基本期間」を整理するための基準です。ただし、標準的算定日数を超えたからといって、リハビリが一律終了になるわけではありません。この記事では、疾患別リハ5区分の日数、起算日の違い、1日6単位・9単位の考え方、標準日数超え後の13単位/月の見方まで、現場で確認しやすい順番で整理します。
疾患別リハビリテーション料全体の区分や点数から確認したい場合は、先に疾患別リハビリテーション料の総論記事を読むと理解しやすくなります。
標準的算定日数とは
標準的算定日数とは、疾患別リハビリテーション料ごとに定められた、算定期間の基本となる日数です。

現場では「この日数までは通常の所定点数で算定する基本線」と考えると整理しやすいです。ただし、標準的算定日数は単なる打ち切り日ではありません。日数を超えた後も、患者の状態や医学的必要性によって継続算定できる場合があります。
そのため、確認するときは日数だけを見るのではなく、次の3点をセットで確認します。
- どの疾患別リハ区分で算定しているか
- 起算日はどこか
- 標準日数を超えた後、どのルートで継続するか
療養病棟や転院患者では、入院日だけで判断すると起算日がずれることがあります。発症日、手術日、急性増悪日、治療開始日など、区分ごとの起算の考え方を確認することが重要です。
疾患別リハ5区分の標準的算定日数と起算日
疾患別リハの標準的算定日数は、区分によって90日から180日まで異なります。
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| 区分 | 主な起算の考え方 | 標準的算定日数 | 確認ポイント |
|---|---|---|---|
| H000 心大血管疾患リハビリテーション料 | 治療開始日 | 150日 | 心疾患治療後の回復・再発予防を目的に確認する |
| H001 脳血管疾患等リハビリテーション料 | 発症、手術、急性増悪、最初に診断された日など | 180日 | 発症日や転院前情報を確認する |
| H001-2 廃用症候群リハビリテーション料 | 診断または急性増悪 | 120日 | 廃用の原因となる状態と診断日を確認する |
| H002 運動器リハビリテーション料 | 発症、手術、急性増悪、最初に診断された日など | 150日 | 骨折・術後では手術日や発症日を確認する |
| H003 呼吸器リハビリテーション料 | 治療開始日 | 90日 | 呼吸器疾患や術後呼吸リハの開始日を確認する |
混ざりやすいのは、同じ150日でも心大血管は治療開始日、運動器は発症・手術・急性増悪・診断日などが起算の中心になる点です。日数だけでなく、どの日を1日目として数えるのかを確認する必要があります。
1日6単位・9単位の考え方
疾患別リハでは、患者1人につき1日6単位までが基本で、別に定める患者では1日9単位まで算定できます。
ここで重要なのは、複数の疾患があるからといって、区分ごとに6単位ずつ算定できるわけではないことです。疾患別リハビリテーション料は、患者の疾患等を勘案し、最も適当な区分1つに限り算定する考え方です。
たとえば、脳血管疾患と運動器疾患を併せ持つ患者でも、その日の主たるリハ区分を整理し、1日6単位または9単位の範囲で運用します。新人PTやリハ事務担当では「疾患が複数ある=上限も増える」と誤解しやすいため、院内で確認ルールをそろえておくと安全です。
標準的算定日数を超えた後の考え方
標準的算定日数を超えた後は、「一律終了」ではなく、継続できる条件に該当するかを確認します。
実務上は、まず標準的算定日数を超えても所定点数で継続できる患者・場合に該当するかを確認します。そのうえで、該当しない場合や区分ごとの規定に応じて、1月13単位に限る継続算定を検討します。
順番としては、次の流れで確認すると整理しやすいです。
- 標準的算定日数を超えているか確認する
- 医学的に継続が必要な状態か確認する
- 所定点数で継続できる対象か確認する
- 13単位/月の限定算定に該当するか確認する
- 計画書・診療録に継続理由を残す
臨床では「標準日数を超えたから13単位」と短絡しやすいですが、先に確認すべきは、所定点数で継続できる条件に該当するかです。ここを逆にすると、算定判断が不安定になります。
13単位/月の見方
13単位/月は、標準的算定日数を超えた後の継続算定で確認する重要な上限です。
心大血管疾患リハと呼吸器リハでは、必要があって標準的算定日数を超えてリハを行う場合、1月13単位に限り算定する規定があります。
一方、脳血管疾患等、廃用症候群、運動器では、要介護被保険者等かどうか、入院中かどうかによって扱いが分かれます。特に、入院中の要介護被保険者等では、低い点数体系で13単位/月に限り算定する整理が関係します。
そのため、13単位/月を判断するときは、次の3点を確認します。
- どの疾患別リハ区分か
- 要介護被保険者等に該当するか
- 入院中か、外来か
制度上の分岐が細かいため、リハ職だけで判断せず、医事課や算定担当と確認できる運用にしておくと安全です。
計画書・説明・記録で残すべきこと
標準的算定日数を安全に運用するには、日数台帳だけでなく、計画書と診療録の整合が重要です。
リハビリテーション実施計画書は、開始後原則7日以内、遅くとも14日以内に作成します。また、計画書作成時と、その後は原則3か月に1回以上、患者または家族等へ説明し、その写しを診療録に添付します。
標準的算定日数を超えて継続する場合は、特に次の内容を記録しておくと確認しやすくなります。
- 標準的算定日数を超えた日
- 現在の機能障害・ADL上の課題
- リハ継続により期待できる改善点
- 評価指標や変化の見込み
- 今後のリハ計画と頻度
実際の現場では、日数管理はできていても、継続理由が計画書や診療録に十分残っていないことがあります。後から確認されたときに説明できるよう、日数・状態・計画がつながる記録にしておくことが大切です。
標準的算定日数でよくある失敗
標準的算定日数で多い失敗は、起算日、単位数、日数超え後の判断を混同することです。
| よくある失敗 | 起こりやすい場面 | 確認ポイント |
|---|---|---|
| 入院日を起算日にしてしまう | 転院患者、術後患者、脳卒中患者 | 発症日、手術日、急性増悪日、診断日、治療開始日を確認する |
| 疾患が複数あるため単位上限も増えると考える | 脳血管疾患と運動器疾患の併存例 | 最も適当な区分1つで算定し、1日6単位・9単位の上限を確認する |
| 標準日数超え後は一律13単位と考える | 慢性期、療養病棟、長期入院患者 | まず所定点数で継続できる条件を確認し、その後に13単位/月を確認する |
| 継続理由の記録が不足する | 日数超過後もリハを継続する場合 | 改善見込み、評価指標、今後の計画を診療録・計画書に残す |
特に療養病棟では、標準的算定日数を超えた患者のリハ継続判断が日常的に発生します。制度の条文を読むだけでなく、院内で「誰が、どの時点で、何を確認するか」を決めておくと運用が安定します。
よくある質問
各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。
標準的算定日数を超えたらリハビリは終了ですか?
一律終了ではありません。標準的算定日数を超えても、医学的に継続が必要で、定められた条件に該当する場合は継続算定できる場合があります。ただし、所定点数で継続できる場合と、13単位/月に限る場合を分けて確認する必要があります。
標準的算定日数は入院日から数えますか?
必ずしも入院日からではありません。区分によって、治療開始日、発症日、手術日、急性増悪日、最初に診断された日など、起算の考え方が異なります。転院患者では、転院前の発症日や手術日を確認することが重要です。
複数の疾患別リハを同じ日に算定できますか?
患者の疾患等を勘案し、最も適当な区分1つに限り算定する考え方です。複数疾患があるからといって、区分ごとに1日6単位ずつ算定できるわけではありません。
13単位/月はすべての区分で同じですか?
同じではありません。心大血管疾患リハ、呼吸器リハ、脳血管疾患等、廃用症候群、運動器で規定の見方が異なります。また、要介護被保険者等かどうか、入院中かどうかによって扱いが変わるため注意が必要です。
標準的算定日数を超える場合、記録では何を残すべきですか?
標準的算定日数を超えた日、現在の機能障害、ADL上の課題、リハ継続で期待できる改善、評価指標、今後の計画を残すと整理しやすくなります。日数だけでなく、継続する医学的理由が分かる記録が重要です。
次の一手
疾患別リハ全体を整理したい方へ:
疾患別リハビリテーション料とは?5区分・日数・単位
計画書や説明ルールまでつなげたい方へ:
リハ総合計画評価料1・2の違い【2026】転院・再発も整理
令和8年度改定の全体像を確認したい方へ:
令和8年度改定リハ領域ハブ|全体像と読む順番
参考文献
- 厚生労働省.令和8年度診療報酬改定について.公式ページ
- 厚生労働省.別表第一 医科診療報酬点数表(令和8年6月1日適用).第7部 リハビリテーション.PDF
- 厚生労働省.診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(令和8年6月1日適用).第7部 リハビリテーション.PDF
著者情報

rehabilikun(理学療法士)
rehabilikun blog を2022年4月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・制度・実務情報を発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。
- 脳卒中 認定理学療法士
- 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
- 登録理学療法士
- 3学会合同呼吸療法認定士
- 福祉住環境コーディネーター2級
専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養、リハ制度、シーティング、摂食嚥下

