【2026】障害者施設等入院基本料とは?対象患者・施設基準・療養病棟との違い

制度・実務
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障害者施設等入院基本料は「対象患者・届出区分・入院期間」で理解します

障害者施設等入院基本料は、重度の障害や神経難病などにより、継続的な医療管理を必要とする患者さんを受け入れる病棟で算定する入院基本料です。7対1・10対1・13対1・15対1の区分がありますが、患者さんの診断名だけで算定可否が決まるわけではありません。対象患者の状態、病棟の届出区分、施設基準、入院期間を分けて確認する必要があります。

2026年度診療報酬改定では、脳卒中、脳卒中後遺症、廃用症候群を主傷病名とする一部患者の評価体系と、看護補助者に関する加算が見直されました。本記事では、障害者施設等入院基本料の対象患者、区分、療養病棟との違い、改定後の確認ポイントを、PT・OT・STにも分かる形で整理します。

この記事の結論

  • 病棟は7対1・10対1・13対1・15対1に区分される
  • 対象患者は診断名だけでなく、状態像と除外条件を確認する
  • 2026改定では、主傷病名と入院期間によって評価が分かれる患者がいる
  • 療養病棟とは対象患者と評価体系が異なる
  • 最終的な算定判断は、最新の告示・通知・疑義解釈で確認する

障害者施設等入院基本料には7対1から15対1までの区分があります

障害者施設等入院基本料は、看護職員の配置などに応じて、7対1・10対1・13対1・15対1に区分されます。

障害者施設等入院基本料の主な区分
区分 基本的な見方 確認したい点
7対1入院基本料 4区分のうち看護配置が最も手厚い 必要な看護職員数、夜勤体制、対象患者割合など
10対1入院基本料 7対1に次ぐ看護配置 必要な看護職員数、夜勤体制、対象患者割合など
13対1入院基本料 13対1の配置基準に基づく区分 届出区分と実際の勤務体制が一致しているか
15対1入院基本料 15対1の配置基準に基づく区分 届出区分と実際の勤務体制が一致しているか

「7対1」は、常に患者7人に対して看護職員1人が直接配置されるという意味ではありません。入院患者数に対して、施設基準で定められた方法により必要な看護職員数を計算するための区分です。

また、看護配置だけを満たせば算定できるわけではありません。対象患者、看護職員の勤務体制、夜勤体制、平均在院日数に関する取扱い、届出書類などを含めて確認する必要があります。

対象患者は診断名ではなく制度上の患者区分で確認します

障害者施設等入院基本料の対象患者を確認するときは、疾患名だけでなく、制度上定められた障害や状態に該当するかを確認します。

関係しやすい患者像には、次のようなものがあります。

障害者施設等入院基本料で確認する主な患者像
患者像 制度確認の視点 リハ職が共有しやすい情報
重度の肢体不自由児・者 障害の原因、発症時期、重症度、除外条件を確認する 発症前後のADL、移動能力、姿勢保持能力
脊髄損傷などの重度障害者 重度障害者としての対象条件を確認する 麻痺、呼吸、排泄、褥瘡リスク、介助量
重度の意識障害者 意識障害の状態と制度上の定義を確認する 意識状態、反応、離床状況、全身管理上の注意点
筋ジストロフィー患者 疾患と継続的な医療管理の必要性を確認する 呼吸機能、姿勢、関節可動域、移動手段
難病患者など 対象疾患と患者状態が要件に該当するか確認する 疾患進行、呼吸・嚥下、意思伝達、家族支援

たとえば「廃用症候群」という主傷病名が付いているだけで、従来どおり障害者施設等入院基本料の出来高評価を継続できるとは限りません。2026改定後は、廃用症候群を発症する前から重度の肢体不自由児・者であったかなど、発症前の状態も重要になります。

病名だけで判断しない

確認するのは、主傷病名、障害の発症時期、発症前の状態、現在の医療管理、入院期間、病棟の届出区分です。リハ記録にある発症前ADLや経過が、院内確認の手掛かりになることがあります。

施設基準は対象患者・人員配置・届出を分けて確認します

施設基準を確認するときは、患者要件、人員配置、病棟体制、届出書類を一つずつ照合します。

施設基準を確認するときの主な視点
確認領域 主な確認内容 主な担当
対象患者 制度上の対象患者に該当するか、必要な割合を満たしているか 医師、医事課、病棟管理者
看護配置 届出区分に応じた看護職員数と勤務実績があるか 看護部、病棟管理者、医事課
夜勤体制 夜間の看護職員配置などの基準を満たすか 看護部、病棟管理者
病棟単位の届出 算定する病棟と届出内容が一致しているか 医事課、施設基準担当者
記録と実績 患者状態、勤務実績、必要な院内体制を説明できるか 関係部署全体

リハ職が施設基準を単独で判定する場面は多くありません。ただし、発症前の身体機能、障害の経過、現在のADL、呼吸・嚥下管理、必要な介助量などは、患者区分を確認する際の重要な臨床情報になります。

実際の届出では、基本診療料の施設基準通知と、地方厚生局が示す最新の届出様式を確認します。2026年度の障害者施設等入院基本料では、別添7のほか、様式5、様式5の3、様式6、様式7、様式9、様式11、様式13の3、様式18の3、様式19などが届出様式として案内されています。

2026改定では廃用症候群等の評価体系が見直されました

2026年度改定の中心は、脳卒中・脳卒中後遺症・廃用症候群を主傷病名とする一部患者について、医療区分相当と入院期間を踏まえた評価体系が導入されたことです。

すべての廃用症候群患者が同じ扱いになるわけではありません。発症前から重度の肢体不自由児・者であった患者、重度の意識障害者、筋ジストロフィー患者、難病患者などは、見直しの対象から除かれる場合があります。

2026年度改定後の確認ポイント
確認項目 確認する内容 実務上の意味
主傷病名 脳卒中、脳卒中後遺症、廃用症候群に該当するか 新たな評価体系の確認対象になる
除外条件 発症前から重度肢体不自由児・者等であったか 従来の評価を継続できる患者かを分ける
医療区分相当 療養病棟の医療区分1・2等に相当する状態か 包括評価の区分確認に関係する
入院期間 90日以内か、90日を超えているか 90日超では特定患者・特定除外の確認が必要になる
病棟区分 7対1・10対1・13対1・15対1のどれか 算定する点数や取扱いの確認に関係する

90日以内でも患者区分によって評価が異なる

重度の肢体不自由児・者、脊髄損傷等の重度障害者、重度の意識障害者、筋ジストロフィー患者、難病患者など、従来から中心的な対象となる患者については、障害者施設等入院基本料の出来高評価が基本になります。

一方、脳卒中、脳卒中後遺症、廃用症候群を主傷病名とする患者のうち、改定で定められた条件に該当する場合は、療養病棟に準じた包括評価となります。

90日を超える場合は特定患者と特定除外を確認する

90日を超えて入院する患者については、特定患者として特定入院基本料を算定するのか、特定除外患者として従来の算定方法を継続するのかを確認します。

長期入院という事実だけでは判断できません。対象患者の区分、主傷病名、除外条件、医療処置、入院期間を組み合わせて確認する必要があります。

看護補助者に関する加算は31日目以降の評価が新設されました

2026年度改定では、障害者施設等入院基本料の7対1・10対1における看護補助者関連加算について、算定可能期間が見直されました。

従来は14日以内と15日以上30日以内の評価が中心でしたが、改定後は「それ以外」、すなわち31日目以降に相当する評価が新設されています。

看護補助者関連加算の2026年度改定
加算 期間 2026年度の評価
看護補助加算 14日以内 146点
15日以上30日以内 121点
上記以外 50点を新設
看護補助・患者ケア体制充実加算 14日以内 区分1〜3:176点・161点・151点
15日以上30日以内 区分1〜3:151点・136点・126点
上記以外 区分1〜3:60点・55点・51点を新設

これは、看護職員と看護補助者の業務分担・協働を進め、長期入院中の患者ケアと夜間看護業務の負担軽減を評価する見直しです。

リハ職が加算を直接算定するわけではありませんが、移乗方法、ポジショニング、福祉用具、食事姿勢、排泄介助などを病棟スタッフと標準化することは、安全な患者ケアと負担軽減につながります。

算定確認は6つのステップで整理すると混乱しにくくなります

現場で迷ったときは、対象患者への該当性から最新通知の確認までを順番に整理します。

障害者施設等入院基本料について対象患者、主傷病名、発症前の障害、入院期間、医療区分相当、最新通知を順番に確認する2026改定後のフロー図
障害者施設等入院基本料は、対象患者、主傷病名、発症前の状態、入院期間、医療区分相当、最新通知の順に確認します。
  1. 対象患者を確認する
    重度肢体不自由、脊髄損傷等の重度障害、重度意識障害、筋ジストロフィー、難病などの対象区分を確認します。
  2. 主傷病名を確認する
    脳卒中、脳卒中後遺症、廃用症候群に該当するかを確認します。
  3. 発症前の状態と除外条件を確認する
    廃用症候群等の発症前から重度の障害があったかを確認します。
  4. 入院期間を確認する
    入院から90日以内か、90日を超えているかを確認します。
  5. 医療区分相当と病棟の届出区分を確認する
    医療区分1・2等に相当する状態と、7対1〜15対1の届出状況を確認します。
  6. 医事課と最新通知で最終確認する
    告示、通知、疑義解釈、施設の届出状況を医事課などと照合します。

この順序にすると、「廃用症候群だから対象外」「重度障害だから必ず出来高」といった単純化を避けやすくなります。

療養病棟とは対象患者と評価の軸が異なります

障害者施設等入院基本料と療養病棟入院基本料の違いは、主な対象患者と入院料を決める評価軸です。

障害者施設等入院基本料と療養病棟入院基本料の違いを対象患者・病棟の特徴・評価の視点で比較した図版
障害者施設等入院基本料と療養病棟入院基本料は、対象患者と入院料を評価する軸が異なります。
障害者施設等入院基本料と療養病棟入院基本料の違い
比較項目 障害者施設等入院基本料 療養病棟入院基本料
主な対象 重度肢体不自由、重度障害、重度意識障害、筋ジストロフィー、難病など 長期にわたり療養を必要とする患者
主な区分 7対1・10対1・13対1・15対1 療養病棟入院料1・2と各入院料区分
評価の中心 対象患者要件、看護配置、入院期間など 医療区分、ADL区分、患者割合など
2026改定との関係 一部患者に療養病棟に準じた評価体系を導入 医療区分と配置基準に応じた包括評価
リハ職の情報 障害の経過、発症前ADL、呼吸・姿勢・介助量 ADL評価、医療処置、褥瘡、離床、栄養状態

両者は「慢性期の長期入院」という点だけを見ると似ています。しかし、障害者施設等入院基本料は対象となる障害・疾患・状態が重要であり、療養病棟入院基本料は医療区分とADL区分を中心に評価する点が異なります。

PT・OT・STは患者状態と経過を多職種へ共有します

リハ職の重要な役割は入院基本料を判定することではなく、患者さんの障害像、発症前後の状態、生活機能を多職種が確認できる形で共有することです。

発症前の状態を確認する

2026改定後は、廃用症候群等を発症する前から重度の肢体不自由児・者であったかどうかが、評価体系を分ける重要な情報になります。

入院時評価では、発症前の移動能力、移乗方法、姿勢保持、食事、排泄、意思伝達、利用していた福祉用具などを確認します。

現在の医療管理とADLを切り分ける

ADLが低いことと、医療必要度が高いことは同じではありません。全介助でも医療処置が少ない患者がいる一方、動作能力を一部保っていても呼吸管理や頻回な喀痰吸引が必要な患者もいます。

リハ評価では、身体機能とADLだけでなく、呼吸、嚥下、栄養、皮膚状態、意識状態、医療機器、離床時のリスクも分けて記録すると共有しやすくなります。

療養病棟との違いを意識して記録する

療養病棟ではADL区分が評価体系に直接関係しますが、障害者施設等病棟では対象患者への該当性や主傷病名、発症前の状態も重要です。

そのため、「全介助」「廃用あり」だけで終わらず、障害の原因、発症時期、経過、医療管理の内容を記載することが大切です。

療養病棟での現場経験から考える確認点

療養病棟や慢性期病棟では、「現在のADLだけを見ると同じ全介助」に見える患者さんでも、障害の成立過程や必要な医療管理は大きく異なります。

実際の現場では、入院時情報だけでは発症前の状態が分からず、家族、前医、診療情報提供書、過去のリハ記録を遡ることがあります。主傷病名と現在の状態だけで判断せず、経過を時系列で整理することが制度確認とリハ目標の両方に役立ちます。

よくある混同は4つあります

障害者施設等入院基本料では、病棟名、対象疾患、廃用症候群、療養病棟との関係を混同しやすいため注意が必要です。

障害者施設等入院基本料でよくある誤解
誤解 正しい整理
障害者手帳があれば対象になる 障害者手帳の有無だけでは決まらず、診療報酬上の対象患者要件を確認する
長期入院なら対象になる 入院期間だけでなく、患者区分、状態、病棟の施設基準を確認する
廃用症候群はすべて同じ評価になる 発症前の障害、医療区分相当、入院期間などにより取扱いが異なる
療養病棟と同じ制度である 一部に療養病棟に準じた評価が導入されたが、入院基本料全体の対象と施設基準は異なる

まとめ:患者区分から順番に確認することが重要です

障害者施設等入院基本料は、対象患者、主傷病名、発症前の状態、入院期間、病棟区分を順番に確認すると整理しやすくなります。

  • 障害者施設等入院基本料には7対1・10対1・13対1・15対1がある
  • 対象患者は診断名だけでなく、制度上の障害・状態で確認する
  • 2026改定では脳卒中・脳卒中後遺症・廃用症候群の一部患者の評価が見直された
  • 90日以内と90日超では確認する評価体系が異なる
  • 看護補助者関連加算には31日目以降の評価が新設された
  • 療養病棟とは対象患者と評価の中心が異なる
  • リハ職は発症前後の状態と現在の生活機能を時系列で共有する

制度上の最終判断は、記事だけで行うものではありません。患者ごとの算定では、厚生労働省の医科点数表、施設基準通知、疑義解釈、地方厚生局の届出案内を確認し、医師、医事課、看護部などと共有してください。

障害者施設等入院基本料のよくある質問

障害者施設等入院基本料とは何ですか?

重度の肢体不自由、重度障害、重度意識障害、筋ジストロフィー、難病などにより、継続的な医療管理を必要とする患者を受け入れる病棟で算定する入院基本料です。7対1・10対1・13対1・15対1に区分されます。

障害者手帳を持っていれば対象になりますか?

障害者手帳の有無だけでは決まりません。診療報酬上の対象患者要件、障害や疾患の状態、除外条件などを確認する必要があります。

廃用症候群の患者は算定できなくなったのですか?

一律に算定できなくなったわけではありません。2026改定では、主傷病名、発症前の障害、医療区分相当、入院期間などにより評価体系が分かれます。個別の算定は最新の通知で確認します。

入院から90日を超えるとどうなりますか?

90日を超える場合は、特定患者として特定入院基本料を算定するのか、特定除外患者として従来の算定を継続するのかを確認します。患者状態や医療処置によって取扱いが異なります。

療養病棟入院基本料との違いは何ですか?

障害者施設等入院基本料は対象となる障害・疾患・状態と看護配置が重要です。療養病棟入院基本料は、長期療養患者を対象に医療区分・ADL区分などを用いて評価します。

PT・OT・STは何を確認すればよいですか?

発症前後のADL、障害の原因と経過、現在の移動・姿勢・呼吸・嚥下・介助量などを確認します。算定を単独で判断するのではなく、医師、看護師、医事課が確認できるよう臨床情報を共有することが重要です。

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参考文献・公的資料

  1. 厚生労働省. 令和8年度診療報酬改定の概要 4.包括期・慢性期入院医療. 2026.
  2. 厚生労働省. 令和8年度診療報酬改定について. 2026.
  3. 厚生労働省. 令和8年度 医科診療報酬点数表. 2026.
  4. 厚生労働省. 中央社会保険医療協議会 入院について(その3). 2025.
  5. 厚生労働省. 疑義解釈資料の送付について(その5). 2026.
  6. 近畿厚生局. 基本診療料の届出様式(令和8年度診療報酬改定). 2026.

著者情報

執筆:rehabilikun

療養病院に勤務する理学療法士。脳卒中認定理学療法士、褥瘡・創傷ケア認定理学療法士、登録理学療法士、3学会合同呼吸療法認定士、福祉住環境コーディネーター2級。

慢性期医療における身体機能評価、ポジショニング、褥瘡予防、呼吸管理、多職種連携の実務経験をもとに、医療・介護制度を臨床へつなげる情報を発信しています。