認知症患者リハビリテーション料とは?240点・ランクM・算定要件

制度・実務
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  1. 認知症患者リハビリテーション料とは?240点・20分以上・週3回
  2. 対象患者は?認知症があるだけでは算定できない
  3. 重度認知症とは?認知症高齢者の日常生活自立度のランクMを確認
    1. HDS-RやMMSEだけで判断しない
  4. 240点は1単位の点数?H007-3は「1日につき」の評価
  5. 算定期間と回数は?入院日から1年・週3回まで
    1. 例|入院3か月後からリハを開始した場合
    2. 毎日実施すれば毎日240点ではない
  6. 施設基準は?認知症治療病棟または認知症疾患医療センターが前提
  7. リハビリテーション計画は?月1回以上の作成が必要
    1. 計画へ落とし込む例
  8. どんなリハを行う?個別療法として患者ごとに内容を設定する
    1. 実務上考えられる介入例
  9. レセプトには何を書く?ランク・診療時間・計画作成日を記載
    1. 記録例
  10. 認知症治療病棟入院料に含まれる?H007-3は包括外として別に評価される
  11. ケースで確認|算定できる・できないをどう判断する?
    1. ケース1|認知症治療病棟・ランクM・個別20分
    2. ケース2|認知症治療病棟だがランクIV
    3. ケース3|ランクMだが一般病院の一般病棟
    4. ケース4|ランクMだが個別リハ15分
  12. 算定前チェック|ランクM・施設・20分・週3回・計画を確認
  13. よくある間違い|「認知症なら240点」ではない
  14. 認知症患者リハビリテーション料のFAQ
  15. まとめ|240点は「ランクM・対象施設・20分・週3回・1年」で確認する
  16. 参考資料
  17. 著者情報

認知症患者リハビリテーション料とは?240点・20分以上・週3回

認知症患者リハビリテーション料(H007-3)は、重度認知症の状態にある入院患者に対して、個別療法によるリハビリテーションを20分以上行った場合に算定する診療報酬です。

2026年度の点数は1日につき240点です。入院した日から起算して1年を限度とし、週3回まで算定できます。

認知症患者リハビリテーション料の要点

点数:240点/日
対象:重度認知症の状態にある対象施設の入院患者
方法:個別療法
時間:20分以上
回数:週3回まで
期間:入院日から起算して1年まで

最も注意したいのは、「認知症の診断があれば算定できる」という制度ではないことです。認知症の重症度だけでなく、入院している医療機関・病棟、施設基準、実施時間、リハビリテーション計画など複数の要件があります。

2026年度のリハビリテーション関連制度全体は、
令和8年診療報酬改定リハ領域まとめ
でも整理しています。

対象患者は?認知症があるだけでは算定できない

認知症患者リハビリテーション料の対象は、重度認知症の状態にあり、制度上の対象となる医療機関に入院している患者です。

現行の診療報酬点数表では、対象となる患者を次のように限定しています。

患者側で確認するポイント

1. 重度認知症の状態にある
2. 認知症治療病棟入院料を算定している
または
3. 認知症に関する専門の保険医療機関に入院している

認知症患者リハビリテーション料の対象患者、個別療法20分以上、週3回まで、入院日から1年、施設基準、レセプト記載を整理した図
認知症患者リハビリテーション料は、ランクM・対象施設・個別療法20分以上・週3回・入院日から1年などをセットで確認する。

したがって、一般病棟などに入院している患者に認知症があり、認知機能低下が強いという理由だけでH007-3を算定できるわけではありません。

また、HDS-RやMMSEの点数が低いことだけをもって、この診療報酬上の「重度認知症」に該当すると判断する制度でもありません。

重度認知症とは?認知症高齢者の日常生活自立度のランクMを確認

認知症患者リハビリテーション料でいう重度認知症を確認するときは、「認知症高齢者の日常生活自立度判定基準」のランクMが重要です。

ランクMは、厚生労働省の判定基準で「著しい精神症状や問題行動あるいは重篤な身体疾患がみられ、専門医療を必要とする」状態とされています。

例として、せん妄、妄想、興奮、自傷・他害などの精神症状や、それらに起因する問題行動が継続する状態などが示されています。

ランクIVとランクMの違い
ランク 判断基準の概要
IV 日常生活上の症状・行動や意思疎通の困難さが頻繁にみられ、常に介護を必要とする
M 著しい精神症状・問題行動または重篤な身体疾患があり、専門医療を必要とする

注意:「ランクIVはかなり介助量が多いから、重度認知症としてH007-3を算定できる」とは考えません。介助量の多さと、診療報酬上の対象となる重度認知症の判定は分けて確認します。

HDS-RやMMSEだけで判断しない

HDS-RやMMSEは認知機能を評価する尺度ですが、認知症高齢者の日常生活自立度とは評価している内容が異なります。

たとえばMMSEが非常に低くても、診療報酬上必要な患者要件や施設要件を満たしていなければ、認知症患者リハビリテーション料の算定にはつながりません。

240点は1単位の点数?H007-3は「1日につき」の評価

認知症患者リハビリテーション料は、疾患別リハビリテーション料のような「1単位○点」という点数設定ではありません

点数表には「認知症患者リハビリテーション料(1日につき)240点」と規定されています。

H007-3の点数の考え方
項目 認知症患者リハビリテーション料
点数 240点
単位 1日につき
最低実施時間 20分以上
方法 個別療法

したがって、20分を1単位として240点、40分なら2単位で480点という計算ではありません。

混同しない:H007-3は「20分=1単位240点」ではなく、要件を満たす個別リハを20分以上行った日に240点を算定する仕組みです。

算定期間と回数は?入院日から1年・週3回まで

算定期間は、リハビリテーション開始日ではなく入院した日から起算して1年が上限です。

また、算定回数は週3回までです。

期間・回数の確認

起算:入院した日
期間:1年まで
頻度:週3回まで
1回:個別療法20分以上

例|入院3か月後からリハを開始した場合

入院から3か月経過した時点で認知症患者リハビリテーション料の算定を開始しても、そこから新たに1年間算定できるわけではありません。

上限はあくまで当該入院日から起算して1年です。

毎日実施すれば毎日240点ではない

患者の状態に応じてリハビリテーションや生活機能への働きかけが必要になることはありますが、H007-3の診療報酬として算定できるのは週3回までです。

施設基準は?認知症治療病棟または認知症疾患医療センターが前提

認知症患者リハビリテーション料は、どの病院でも届出できるリハビリテーション料ではありません

施設基準では、まず医療機関そのものが次のいずれかである必要があります。

  • 認知症治療病棟入院料を算定する保険医療機関
  • 認知症疾患医療センター

さらに、人員・計画・設備に関する要件があります。

認知症患者リハビリテーション料の主な施設基準
項目 要件の概要
医療機関 認知症治療病棟入院料を算定する医療機関、または認知症疾患医療センター
医師 重度認知症患者のリハを行うにつき十分な経験を有する専任の常勤医師1名以上
リハ職 専従の常勤PT・OT・STのいずれか1名以上
計画 リハビリテーション計画を月1回以上作成
施設 十分な専用施設を有する
器械・器具 必要な器械・器具を備える

2026年度の届出様式43の3でも、医療機関区分、専任医師、PT・OT・STの配置、器械・器具、専用機能訓練室などを確認する構成になっています。

注意:院内にPT・OT・STがいるだけでは施設基準を満たしません。認知症患者リハビリテーション料としての届出、人員配置、専用施設などを医事部門と確認します。

リハビリテーション計画は?月1回以上の作成が必要

施設基準では、対象患者についてリハビリテーション総合計画評価料に規定するリハビリテーション計画を月1回以上作成することが求められています。

つまり、入院時に一度計画を作成して終わりではありません。

実務ポイント:認知症患者では精神症状、行動、身体機能、ADL、介助方法などが変化しやすいため、毎月の計画更新時に「今の生活機能に何が支障となっているか」を再評価します。

計画へ落とし込む例

以下は診療報酬上の固定項目ではなく、患者ごとにリハ目標を考える際の実務例です。

  • 病棟内の移動能力を保つ
  • 食事・整容・排泄など日常生活動作を維持する
  • 介助方法を統一し、不安や混乱を減らす
  • 日中の活動機会を確保する
  • 本人が理解しやすい手順・環境を整える

「認知機能を改善する」という抽象的な目標だけではなく、患者の日常生活のどこに支障があり、リハビリテーションで何を変えるのかを具体化します。

どんなリハを行う?個別療法として患者ごとに内容を設定する

H007-3で明確に規定されているのは、個別療法であるリハビリテーションを20分以上行うことです。

実際のプログラムは、患者の身体機能、精神症状、行動、ADL、コミュニケーション能力、生活環境などを評価して個別に設定します。

実務上考えられる介入例

  • 起居・移乗・歩行など基本動作練習
  • 食事、整容、排泄、更衣などADL練習
  • 本人が取り組みやすい活動を用いた反復練習
  • 理解しやすい環境・声かけ・手順の調整
  • 身体機能低下や廃用を防ぐための運動・活動

これらは「この内容を行えば必ずH007-3を算定できる」という公式メニューではありません。患者ごとの評価とリハビリテーション計画に基づき、個別療法として実施します。

ポイント:認知症リハを「認知課題だけを行うもの」と限定せず、その患者が生活する上で必要な身体機能・活動・環境まで含めて個別に考えます。

レセプトには何を書く?ランク・診療時間・計画作成日を記載

認知症患者リハビリテーション料では、診療報酬明細書の摘要欄に必要な情報を記載します。

現行の記載要領では、次の3つが求められています。

レセプトで確認する3項目

1. 認知症高齢者の日常生活自立度判定基準のランク
2. 診療時間
3. リハビリテーション計画作成日

この記載要件からも、単に「認知症あり」と病名だけを確認するのではなく、自立度ランク、実施時間、計画の更新をセットで管理する必要があることが分かります。

記録例

認知症高齢者の日常生活自立度:ランクM。個別リハ20分実施。病棟内移動時の不安・興奮がみられるため、一定した環境と声かけで歩行練習を実施。リハ計画に沿い、移動能力の維持と安全な介助方法の統一を継続する。

上記は院内記録の考え方を示す例であり、厚生労働省が定めた固定文言ではありません。

認知症治療病棟入院料に含まれる?H007-3は包括外として別に評価される

認知症治療病棟入院料では多くの診療費用が包括されていますが、H007-3 認知症患者リハビリテーション料は包括から除外されている項目です。

現行のA314認知症治療病棟入院料では、H007-3が包括対象から明示的に除かれています。

実務ポイント:「認知症治療病棟入院料だからリハも全部包括」と考えず、H007-3の患者・施設・実施要件を満たしているかを確認して別途算定します。

ただし、認知症治療病棟に入院しているという事実だけで自動的にH007-3が算定できるわけではありません。ランクM、個別療法20分以上、週3回、計画・施設基準などの要件を確認します。

ケースで確認|算定できる・できないをどう判断する?

迷ったときは、「ランクMか」「対象施設か」「20分以上か」「週3回以内か」「入院後1年以内か」の順で確認すると整理しやすくなります。

ケース1|認知症治療病棟・ランクM・個別20分

認知症治療病棟入院料を算定中で、認知症高齢者の日常生活自立度はランクM。PTが計画に基づき個別リハを20分実施しました。

整理:施設基準、週の算定回数、入院後1年以内などその他の要件も満たせば、H007-3の算定対象となります。

ケース2|認知症治療病棟だがランクIV

常時介護を必要とする重い認知症がありますが、日常生活自立度はランクIVです。

整理:介助量が多いことだけでランクMとはなりません。H007-3の「重度認知症」の対象要件を満たすかを別に確認します。

ケース3|ランクMだが一般病院の一般病棟

認知症高齢者の日常生活自立度はランクMですが、入院先は認知症治療病棟入院料を算定する医療機関でも認知症疾患医療センターでもありません。

整理:患者の重症度だけでは足りず、施設側の要件を満たさないためH007-3の対象とはなりません。

ケース4|ランクMだが個別リハ15分

対象施設に入院しているランクMの患者へ個別リハを15分行いました。

整理:H007-3は個別療法を20分以上行うことが要件のため、15分では算定要件を満たしません。

算定前チェック|ランクM・施設・20分・週3回・計画を確認

認知症患者リハビリテーション料は、認知症という病名からではなく、算定要件を順番に確認することが重要です。

算定前6ステップ

1. 重度認知症・ランクMに該当するか
2. 対象となる医療機関へ入院しているか
3. 個別療法を20分以上行うか
4. 週3回以内か
5. 入院日から1年以内か
6. 月1回以上リハ計画を作成しているか

加えて、レセプトへ自立度ランク、診療時間、計画作成日を記載できるよう、評価・実施記録と医事請求の情報を一致させます。

よくある間違い|「認知症なら240点」ではない

認知症患者リハビリテーション料では、患者の認知症の程度だけを見て算定可否を判断することが大きな誤りにつながります。

認知症患者リハビリテーション料で避けたい間違い
よくある間違い 正しい確認
認知症なら誰でも対象 重度認知症・対象施設などを確認
ランクIVなら重度なので対象 診療報酬上の重度認知症としてランクMを確認
20分=1単位240点 H007-3は1日につき240点
必要なら毎日240点 算定は週3回まで
リハ開始から1年間 入院日から起算して1年まで
計画は入院時に1回作ればよい 月1回以上作成

認知症患者リハビリテーション料のFAQ

認知症患者リハビリテーション料で特に迷いやすい、240点、ランクM、20分、週3回、算定期間についてまとめます。

Q. 認知症患者リハビリテーション料は何点ですか?

2026年度は1日につき240点です。個別療法によるリハビリテーションを20分以上行った場合に、その他の要件を満たせば算定します。

Q. 認知症があれば算定できますか?

認知症の診断だけでは算定できません。重度認知症の状態にあり、認知症治療病棟入院料を算定する患者または認知症に関する専門の保険医療機関に入院する患者であることなどの要件があります。

Q. ランクIVでも算定できますか?

介助量が多いランクIVと、専門医療を必要とするランクMは区分が異なります。H007-3の対象となる重度認知症については、認知症高齢者の日常生活自立度のランクMを確認します。

Q. 20分行えば1単位240点ですか?

H007-3は1単位の点数ではなく「1日につき240点」です。個別療法を20分以上実施することが算定要件です。

Q. 週に何回まで算定できますか?

週3回までです。必要なリハビリテーションを毎日行っている場合でも、認知症患者リハビリテーション料としての算定上限は週3回です。

Q. いつまで算定できますか?

入院した日から起算して1年を限度として算定します。リハビリテーションを開始した日から1年ではありません。

まとめ|240点は「ランクM・対象施設・20分・週3回・1年」で確認する

認知症患者リハビリテーション料(H007-3)は、重度認知症の状態にある対象患者へ個別療法のリハビリテーションを20分以上行った場合に算定する診療報酬です。2026年度の点数は1日につき240点です。

対象は、認知症治療病棟入院料を算定する患者または認知症に関する専門の保険医療機関に入院する重度認知症患者に限定されています。

算定は入院日から1年まで、週3回が上限です。さらに施設側では、経験を有する専任医師、専従のPT・OT・STのいずれか1名以上、月1回以上のリハ計画、専用施設・器械器具などの施設基準があります。

「認知症がある」「介助量が多い」「20分リハをした」という一つの条件だけで判断せず、患者・施設・時間・頻度・期間・計画をセットで確認することが重要です。

認知症患者リハビリテーション料の5ポイント

1. 重度認知症・ランクMを確認
2. 対象となる入院施設を確認
3. 個別療法20分以上で240点/日
4. 週3回・入院日から1年まで
5. 月1回以上のリハ計画とレセプト記載を確認

参考資料

本記事は、2026年度の厚生労働省の診療報酬点数表、施設基準、届出様式、診療報酬明細書の記載要領を優先して整理しています。実際の算定時は最新の告示・通知・疑義解釈および地方厚生局等の案内を確認してください。

  1. 厚生労働省. 令和8年度診療報酬改定 診療報酬点数表 H007-3 認知症患者リハビリテーション料.
    厚生労働省
  2. 厚生労働省. 特掲診療料の施設基準等 第九 三の三 認知症患者リハビリテーション料の施設基準.
    厚生労働省
  3. 厚生労働省・地方厚生局. 様式43の3 認知症患者リハビリテーション料の施設基準に係る届出添付書類.
    地方厚生局
  4. 厚生労働省. 診療報酬請求書等の記載要領等について H007-3 認知症患者リハビリテーション料.
    厚生労働省
  5. 厚生労働省. 認知症高齢者の日常生活自立度判定基準.
    厚生労働省
  6. 厚生労働省. 診療報酬の算定方法 A314 認知症治療病棟入院料.
    厚生労働省

著者情報

rehabilikun(理学療法士)です。rehabilikun blogを2022年4月に開設。急性期・回復期・療養病棟、介護福祉施設、訪問リハビリテーションでの臨床経験をもとに、理学療法評価、臨床手順、記録用紙、医療制度など、医療従事者の実務に役立つ情報を発信しています。

現在は療養病院に勤務し、脳卒中、褥瘡・創傷ケア、リハビリテーション栄養、呼吸リハビリテーションを中心に臨床・教育活動を行っています。本記事では認知症患者リハビリテーション料について、「認知症なら算定できる」という誤解を避け、ランクM、対象施設、240点、20分以上、週3回、入院後1年、施設基準・レセプトまで実務で確認しやすい形に整理しました。

保有資格

  • 脳卒中認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター2級

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