いつも当サイト(rehabilikun blog)の記事をお読みいただき誠にありがとうございます。また、初めましての方はよろしくお願い致します。サイト管理者のリハビリくんです!
この記事は「NSI(Nutritional Screening Initiative)」をキーワードに内容を構成しております。こちらのテーマについて、もともと関心が高く知識を有している方に対しても、ほとんど知識がなくて右も左も分からない方に対しても、有益な情報がお届けできるように心掛けております。それでは早速、内容に移らせていただきます。
皆様もご存知の通り、食べることは元気の源となります。毎日の食事を準備し摂取することは楽しみでもあり、時には困難なことにもなります。食べることについては、精神的健康感にも大きく影響し、「美味しい・楽しい」といった充足感、あるいは食事を介しての家族や社会とのつながり等により、「自分自身を大切にしたい」「自分自身が大切にされている」という自尊感情を得ることもできます。
このことは、幼児期・学童期等において健全な発育の基本となり、高齢期では活動的な日常生活を支える生きがい感ともなります。
そこで重要になるのが日々の栄養スクリーニングになります。今回お伝えするNSI(Nutritional Screening Initiative)については、米国で開発されたツールであることもあり、細かい評価項目までは知らない方もいらっしゃると思います。そんな人のために、こちらの記事をまとめました!
こちらの記事を読むことで、NSI(Nutritional Screening Initiative)における理解を深め、臨床における栄養評価の一助になることを目標にします。是非、最後までご覧になってください!
【簡単に自己紹介】
30代の現役理学療法士になります。
理学療法士として、医療保険分野と介護保険分野の両方で経験を積んできました。
現在は医療機関で入院している患者様を中心に診療させていただいております。
臨床では、様々な悩みや課題に直面することがあります。
そんな悩みや課題をテーマとし、それらを解決するための記事を書かせて頂いております。
理学療法士としての主な取得資格は以下の通りです
登録理学療法士
脳卒中認定理学療法士
褥瘡 創傷ケア認定理学療法士
3学会合同呼吸療法認定士
福祉住環境コーディネーター2級
理学療法士、作業療法士、言語聴覚士として働いていると、一般的な会社員とは異なるリハビリ専門職ならではの苦悩や辛いことがあると思います。当サイト(rehabilikun blog)ではそのような療法士の働き方に対する記事も作成し、働き方改革の一助に携わりたいと考えております。
療法士の働き方に対する記事の 1 つが右記になりますが、"理学療法士は生活できない?PTが転職を考えるべき7つのタイミング"こちらの記事は検索ランキングでも上位を獲得することができております。興味がある方は、こちらの記事も目を通してくれると幸いです☺
栄養スクリーニングについて
栄養スクリーニングは栄養評価の一側面として捉えることができ、栄養管理の端緒として、栄養不良患者または栄養不良のリスクがある患者を抽出することが目的となります。
一般的には、栄養スクリーニングを行った結果、更に詳細な栄養評価が必要となった対象者に対して、栄養アセスメントが実施される流れになります。
栄養スクリーニングでは、効率のよい評価が求められます。そのため、以下に示したような要件を満たした評価ツールが必要になります。
- 妥当性がある
- 信頼性がある
- 入手しやすい情報を利用する
- 実施が容易である
- 低コストである
- 患者に対して非侵襲的な方法である
栄養管理を最も有効に実施するには、全ての患者様や利用者様に対して、日常的なケアの一環として栄養スクリーニングを行うことが必要になります。
栄養スクリーニングツールとしては、様々な種類のものが現在までに提唱されていますが、こちらの記事では10項目の設問から構成されるNSI(Nutritional Screening Initiative)について解説させていただきます。
NSI(Nutritional Screening Initiative)
米国で開発された栄養スクリーニングツールになります。10項目の設問からなるチェックリストに回答することにより、低栄養の危険性が確認できる仕組みとなっております。
低栄養の判定については、対象者の特性ばかりでなく、どの基準を用いたかによっても大きく異なります。
先行研究によると、低栄養の基準を低体重 (BMI や体重減少率で評価)、血清アルブミン値、PEM(たんぱく質・エネルギー欠乏状態)、いずれの指標を用いるのかによっても結果が大きく異なることが分かっております。
低栄養については同年代であったとしとも、自立度が高い地域在住高齢者と比較して、虚弱・要介護状態にあればその割合は大きく上昇すると考えられます。
しかし、血液検査や身体計測(上腕周囲長、上腕三頭筋皮下脂肪厚、下腿周囲長)を用いて地域在住の虚弱・要介護高齢者全員の低栄養評価を行うことは難しいと考えられますし、その方法論といったところも周知されていないのが現状になります。
身体計測については、他の記事で更に詳しくまとめておりますので、こちらの記事もご覧になって頂けると幸いです☺️ 【身体計測の重要性についての記事はこちらから】
NSI 評価項目
- 最近、病気または症状のため、食べ物の種類や量が変化した
- 一日に食べるのは1食だけ、あるいはまったく食べないことがある
- 果物、野菜、乳製品をあまり食べない(「果物や野菜」or「乳製品」のどちらかを食べていれば「いいえ」とする)
- ほぼ毎日、ビールやお酒、ワインなどのアルコール類を3杯以上飲む
- 食べるのが困難になるような歯や口腔の問題がある
- お金のことが気になって、食べ物を買うのを控えることがある
- 一人で食事をすることが多い
- 一日3種類以上の薬を飲んでいる(医師から処方されたものと薬店等で購入した薬の両方を含む)
- 意図したわけではないのに、この半年で体重が4~5kg以上変わった
- 体の具合が悪いために、食事の支度をしないことや食事をしないことがある(支度については普段から食事の支度をしていない場合は「いいえ」とする)
NSI 評価用紙
NSI(Nutritional Screening Initiative)の評価用紙をダウンロードできるようにしておきました!評価表が必要な方はこちらからどうぞ☺
NSI カットオフ価、結果の解釈
得点範囲は 0〜21 点となり得点が高いほど栄養障害のリスクが高いことを示します。
- 0〜2点:栄養状態良好
- 3〜5点:中等度栄養障害のリスク
- 6点以上:高度栄養障害のリスク
まとめ
最後までお読みいただきありがとうございます!
この記事では「NSI(Nutritional Screening Initiative)」をキーワードに考えを述べさせていただきました。
こちらの記事が臨床における栄養評価に少しでもお力添えになれば幸いです!
栄養スクリーニングツールについては今回紹介したNSIの他にも様々な評価尺度がございます。それらについては、他の記事で詳しくまとめておりますので、こちらの記事もご覧になって頂けると幸いです☺️ 【栄養スクリーニングツールについての記事はこちらから】
参考文献
- 高橋龍太郎.地域在住要介護高齢者の低栄養リスクに関連する要因について.日本老年医学会雑誌.43巻,3号,2006:5,p375-382.
- 溝上祐子,石川環.栄養スクリーニング・アセスメント・栄養管理の概要.日本創傷・オストミー・失禁管理学会誌.2013年,17巻,1号,p1-10.
- 百崎良,安保雅博.リハビリテーションにおける栄養スクリーニング.Jpn J Rehabil Med .2017,54,p82-86.