舌苔スコア(TCI)は9区画を0・1・2点で評価する
舌苔スコア(TCI:Tongue Coating Index)は、舌背を9区画に分け、各区画の舌苔を0・1・2点で評価する指標です。1点と2点は舌苔が占める面積だけで分けるのではなく、舌乳頭が確認できるかどうかを基準に判断します。
9区画の合計は0〜18点で、TCI=合計点÷18×100で算出します。口腔機能低下症の検査では、TCI 50%以上、すなわち合計9点以上が「口腔衛生状態不良」に該当します。この記事では、9分割の見方、0・1・2点の境界、1区画に複数の状態が混在した場合の採点、50%の意味、記録方法まで整理します。
先に結論
- 0点:舌苔を認めない
- 1点:舌乳頭が確認できる程度の薄い舌苔
- 2点:舌乳頭が確認できない程度の厚い舌苔
- TCI:9区画の合計点 ÷ 18 × 100
- 50%以上:合計9点以上で「口腔衛生状態不良」に該当
0・1・2点は「舌乳頭が見えるか」で判断する
TCIで最も迷いやすいのは1点と2点の境界ですが、基本は舌苔の厚さと舌乳頭の見え方で区別します。「区画の半分未満なら1点、半分以上なら2点」という採点方法ではありません。
| 点数 | 採点基準 | 判断するときのポイント |
|---|---|---|
| 0点 | 舌苔を認めない | 対象区画に舌苔が認められない |
| 1点 | 舌乳頭が確認できる程度の薄い舌苔 | 舌苔はあるが、その下の舌乳頭を確認できる |
| 2点 | 舌乳頭が確認できない程度の厚い舌苔 | 舌苔が厚く、その下の舌乳頭を確認できない |
したがって、1点と2点の境界で見るべきなのは「白い部分が何%あるか」ではなく、「舌乳頭を確認できる厚さか」です。舌苔の色だけで1点・2点を決めるものでもありません。

TCI記録シート(Excel・PDF)
TCIを記録するときは、9区画それぞれの0・1・2点、合計点、TCI(%)、50%基準を同じ紙面で確認できるようにすると整理しやすくなります。rehabilikunblogでは、今回の採点基準に合わせたA4記録シートをExcel版とPDF版で用意しています。
TCI記録シート v2
9区画の採点、合計点、TCI(%)、50%基準、補助記録をA4・1枚にまとめています。Excel版では9区画へ0・1・2を入力すると、合計点・TCI(%)・判定を自動計算できます。
配布物では、正式な採点基準と補助的な記録欄を分けています。「迷ったら1点にする」といった独自の採点ルールは設けず、0・1・2点の判断はTCIの基準に沿って行います。
舌背は9区画に分けて評価する
TCIでは、観察する舌表面を9区画に分け、それぞれ独立して0・1・2点を付けます。9区画すべてが2点なら合計18点です。
評価範囲は舌背を前後・左右に分けた9区画で、舌側縁は評価範囲に含めず、後方は舌分界溝までを対象とします。舌全体を漠然と見て1つの点数を付けるのではなく、同じ9区画を順に確認します。
9分割で確認するポイント
- 舌表面を前後3列×左右3列の計9区画として観察する
- 舌側縁は評価範囲に含めない
- 後方は舌分界溝までを評価範囲とする
- 各区画を0・1・2点で個別に採点する
1区画に薄い舌苔と厚い舌苔が混在したらどう採点するか
1つの区画に複数のスコアに相当する状態が混在している場合は、その区画でより広い面積を占めるスコアを採用します。ここで初めて「面積」が採点に関係します。
たとえば、1つの区画の大部分では舌乳頭が確認できる薄い舌苔で、一部だけ舌乳頭が見えない厚い舌苔がある場合、その区画全体を自動的に2点とはしません。どちらの状態がより広い範囲を占めているかを確認して、その区画のスコアを決めます。
| 迷う場面 | 見る基準 | 判断 |
|---|---|---|
| 1点か2点か | 舌乳頭が確認できるか | 見える薄い舌苔は1点、見えない厚い舌苔は2点 |
| 1区画内に複数の状態がある | どのスコアの状態がより広い面積を占めるか | より広い面積を占めるスコアをその区画に採用する |
「面積で1点と2点を分ける」のではなく、「舌苔の厚さでスコアを決め、複数の状態が混在したときに面積で代表スコアを選ぶ」と整理すると混同しにくくなります。
TCIの計算方法は「合計点÷18×100」
9区画を採点したら、各区画の点数を合計し、18で割って100を掛けます。合計点は0〜18点、TCIは0〜100%です。
TCI(%)=9区画の合計点 ÷ 18 × 100
| 合計点 | TCI | 50%基準 |
|---|---|---|
| 0 / 18点 | 0% | 50%未満 |
| 3 / 18点 | 約16.7% | 50%未満 |
| 6 / 18点 | 約33.3% | 50%未満 |
| 9 / 18点 | 50% | 口腔衛生状態不良に該当 |
| 12 / 18点 | 約66.7% | 口腔衛生状態不良に該当 |
| 18 / 18点 | 100% | 口腔衛生状態不良に該当 |
TCI 50%は「舌の50%に舌苔がある」という意味ではない
TCIの50%は、舌表面の50%が舌苔で覆われているという意味ではありません。TCIは各区画の0・1・2点を合計し、その合計点が最大18点の何%に相当するかを示した値です。
つまり、TCI 50%は合計9 / 18点に相当します。舌苔の単純な面積率ではなく、「9区画の舌苔スコアを最大点に対する百分率へ換算した指標」と理解すると分かりやすくなります。
注意:「舌苔が舌の半分以上に付いているからTCI 50%」とは判定しません。9区画をそれぞれ0・1・2点で採点してから計算します。
TCI 50%以上だけでは口腔機能低下症とは診断しない
TCI 50%以上(9点以上)は、口腔機能低下症を構成する下位症状の1つである「口腔衛生状態不良」に該当する基準です。TCIだけで口腔機能低下症そのものを診断するわけではありません。
2026年3月の日本歯科医学会資料では、口腔機能低下症は「口腔衛生状態不良」「口腔乾燥」「咬合力低下」「舌口唇運動機能低下」「低舌圧」「咀嚼機能低下」「嚥下機能低下」の7つの下位症状を評価し、3項目以上に該当した場合に診断されます。
したがって、TCIが50%以上だった場合は、TCI単独で「口腔機能低下症」と記録するのではなく、まず「TCI ○%、口腔衛生状態不良に該当」と整理し、必要に応じて他の口腔機能評価へつなげます。
TCIは「9区画・合計点・%」をセットで記録する
TCIを記録するときは、百分率だけでなく9区画の採点と合計点も残すと、どこで点数が付いたのかを後から確認できます。「TCI 50%」だけでは、薄い舌苔が広く分布しているのか、厚い舌苔が一部に集中しているのかを確認できません。
最低限、次の3点をセットで記録します。
- 9区画それぞれのスコア:0・1・2点
- 合計点:○ / 18点
- TCI:○%
記録例
たとえば9区画の合計が8点の場合は、次のように記録できます。
記録例
TCI:8 / 18点(44.4%)
判定:50%未満
補足:厚い舌苔を認めた区画を併記
経時的に比較する場合も同じ9区画の採点を残しておけば、合計点の変化だけでなく、どの区画が0→1、2→1などと変化したかを追いやすくなります。
TCIで間違えやすい4つのポイント
TCIでは「面積で1点と2点を決める」「50%を舌苔面積と考える」といった混同に注意が必要です。採点前に判断基準を整理しておくと、評価者間での解釈のずれを減らしやすくなります。
| 間違えやすい考え方 | 正しい整理 |
|---|---|
| 区画の半分未満なら1点、半分以上なら2点 | 1点と2点は、舌乳頭を確認できるかで区別する |
| 少しでも2点相当の部分があれば、その区画は2点 | 複数のスコアが混在するときは、より広い面積を占めるスコアを採用する |
| TCI 50%=舌の50%に舌苔が付着 | 合計9 / 18点=最大スコアの50%を意味する |
| TCI 50%以上=口腔機能低下症 | TCI 50%以上は「口腔衛生状態不良」への該当であり、口腔機能低下症の診断は他項目も含めて行う |
よくある質問(FAQ)
TCI 50%とは、舌苔が舌の半分を覆っているという意味ですか?
いいえ。TCIは9区画のスコア合計を18で割って100を掛けた値です。50%は合計9 / 18点を意味し、舌苔の単純な面積率ではありません。
TCIが50%以上なら口腔機能低下症ですか?
TCI 50%以上は「口腔衛生状態不良」に該当する基準です。口腔機能低下症は7つの下位症状を評価し、3項目以上に該当した場合に診断されるため、TCIだけでは診断できません。
1区画に薄い舌苔と厚い舌苔が混在している場合は何点ですか?
1つの区画に複数のスコアに相当する状態がある場合は、より広い面積を占めるスコアを採用します。1点と2点そのものの境界は面積ではなく、舌乳頭を確認できるかで判断します。
次の一手
TCIは口腔衛生状態をみる評価であり、口腔機能全体を単独で評価する尺度ではありません。TCIの結果を他の口腔機能評価とどう組み合わせるか迷う場合は、口腔機能評価の全体像で各評価の役割を確認してください。
参考文献
- 日本歯科医学会. 口腔機能低下症に関する基本的な考え方. 令和8年3月. 日本歯科医学会資料.
- Shimizu T, Ueda T, Sakurai K. New method for evaluation of tongue-coating status. J Oral Rehabil. 2007;34(6):442-447. doi: 10.1111/j.1365-2842.2007.01733.x. PubMed: 17518979.
- 日本老年歯科医学会学術委員会. 高齢期における口腔機能低下―学会見解論文2016年度版―. 老年歯科医学. 2016;31(2):81-99. 日本老年歯科医学会資料.
著者情報

rehabilikun(理学療法士)
rehabilikun blogを2022年4月に開設。急性期・回復期・療養病棟、介護福祉施設、訪問リハビリテーションでの臨床経験をもとに、理学療法評価、臨床手順、記録用紙、医療制度などの実務情報を発信しています。
現在は療養病院に勤務し、脳卒中、褥瘡・創傷ケア、リハビリテーション栄養、呼吸リハビリテーションを中心に臨床・教育活動を行っています。
保有資格
- 脳卒中認定理学療法士
- 褥瘡・創傷ケア認定理学療法士
- 登録理学療法士
- 3学会合同呼吸療法認定士
- 福祉住環境コーディネーター2級

