FIM認知5項目の採点方法|理解・表出・社会的交流・問題解決・記憶

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FIM認知5項目は「何ができるか」と「援助が必要な頻度」で採点する

FIMの認知5項目は、理解・表出・社会的交流・問題解決・記憶です。運動項目のように「身体介助したか」だけでは採点できず、各項目で求められる内容がどの程度成立しているか、促し・手がかり・監視などがどの程度の頻度で必要かを見ます。

特に迷いやすいのが、7・6点と5点以下の違い、そして5点と4点の境界です。認知項目では、5点は基本的・日常的な内容がおおむね90%以上成立する状態、4点は75%以上90%未満をひとつの目安として判断します。ただし、5項目すべてを同じ文章だけで採点するのではなく、理解なら「何を理解できるか」、問題解決なら「どのレベルの問題を解決できるか」のように、項目固有の内容を先に確認することが重要です。

この記事の結論:まず5項目の「評価対象」を決め、次に7・6点で求められる内容か、5点以下でみる基本的・日常的な内容かを分けます。5点以下では、成立する場面の割合と援助頻度を確認すると採点根拠を整理しやすくなります。

※FIMは正式な評価方法・採点基準が定められた評価尺度です。本記事は臨床で採点の考え方を整理するための解説であり、正式な採点時は使用しているFIMマニュアルや施設内ルールを確認してください。

FIM認知5項目は「コミュニケーション2項目+社会的認知3項目」

FIMは18項目で構成され、そのうち認知領域は5項目、合計35点です。理解・表出はコミュニケーション、社会的交流・問題解決・記憶は社会的認知として整理されます。

採点前に最も重要なのは、5項目がそれぞれ何を評価しているのかを混同しないことです。たとえば、説明を聞き取れても判断を誤る場合、「理解」ではなく「問題解決」に問題がある可能性があります。反対に、考えはまとまっていても言葉で伝えにくければ「表出」を中心に確認します。

FIM認知5項目で主に評価する内容
項目 主に見ること 臨床で確認しやすい場面 混同しやすい点
理解 相手から伝えられた内容を理解できるか 指示、説明、日常会話、退院に関する会話 理解後の判断力まで含めない
表出 自分の要求や考えを他者へ伝えられるか 要望、体調、困りごと、複雑な考えの説明 理解できるかとは別に採点する
社会的交流 他者と状況に合った関わりができるか 病棟、訓練、集団、家族とのやり取り 単に会話できるかだけではない
問題解決 問題に気づき、判断し、行動し、必要なら修正できるか 危険回避、助けを求める、服薬・退院・金銭など 理解や記憶の低下だけで決めない
記憶 人・日課・他者からの依頼を保持できるか スタッフの認識、予定、依頼された行動 見当識検査そのものではない
FIM認知5項目の理解・表出・社会的交流・問題解決・記憶と点数の見方を整理した図
FIM認知5項目では、項目ごとに「何を評価するか」を決めてから成立度と援助頻度を確認します。図の点数帯は全体像をつかむための概略で、実際の採点は各項目固有の基準を優先します。

認知項目の5点と4点は「90%」が重要な境界になる

認知項目で5点と4点を分けるときは、運動項目の「患者自身が何%の動作を行ったか」と同じ感覚だけで考えないことがポイントです。認知項目では、対象となる内容・場面がどの程度の割合で成立しているか、どの程度の頻度で促しや援助が必要かを見ます。

FIM認知項目の点数を考える基本的な割合
点数 基本的な考え方 臨床での確認ポイント
7点 項目で求められる内容を自立して行える 項目固有の高いレベルの内容まで自立しているか
6点 自立しているが、時間・補助具・軽度の困難などがある 他者からの促しや監視なしで成立しているか
5点 基本的・日常的な内容がおおむね90%以上成立 援助や促しが必要なのは10%未満か
4点 対象となる内容が75%以上90%未満で成立 援助が必要な場面が5点より増えているか
3点 50%以上75%未満で成立 自立して成立する場面と援助場面が混在しているか
2点 25%以上50%未満で成立 半数を超える場面で援助を要していないか
1点 25%未満しか成立しない ほぼ一貫して援助を必要としていないか

ただし、この割合表だけで7段階を機械的に決めるのは不十分です。理解・表出では「複雑な内容」と「基本的内容」、問題解決では「複雑な問題」と「日常的な問題」の違いが重要です。また、記憶には「人・日課・依頼」という独自の評価対象があります。以下で5項目を個別に整理します。

理解は「聞いた・読んだ内容を受け取れているか」を採点する

FIMの「理解」は、相手の話・指示・会話などの内容をどの程度理解できるかを評価します。重要なのは、伝えられた情報を理解できたかであり、その後に適切な判断や行動ができたかまで理解の点数に混ぜないことです。

たとえば「一人で歩かずナースコールを押してください」という説明を本人が理解できていても、実際には一人で立ち上がってしまう場合があります。このとき、指示内容を理解できているのであれば、問題は理解ではなく問題解決・記憶など別項目にある可能性を考えます。

FIM「理解」の点数を考えるときの境界
点数帯 見る内容 判断のポイント
7点 複雑・抽象的な内容 通常の会話や複雑な説明まで問題なく理解できる
6点 複雑・抽象的な内容 時間や補助具などを要しても、他者からの促しなしで理解できる
5点 日常生活上の基本的な内容 90%以上の機会で理解でき、繰り返し・ゆっくり話す・ジェスチャーなどの促しは10%未満
4〜1点 日常生活上の基本的な内容 理解できる割合と、繰り返し・言い換え・手がかりが必要な頻度で段階を下げる

6点と5点で迷ったら、「複雑な内容まで促しなしで理解できているか」を確認します。短い指示や基本的要求はほぼ理解できても、複雑な説明では成立しない場合、7・6点ではなく5点以下を検討します。

表出は「自分の要求・考えを相手へ伝えられるか」を採点する

「表出」は、自分の要求や考えを他者へどの程度伝えられるかを見る項目です。話し言葉だけに限定せず、その人が普段使用している有効なコミュニケーション方法を踏まえて判断します。

ここでも7・6点と5点以下では扱う内容のレベルが異なります。複雑な考えまで自立して表現できるか、それとも基本的な欲求や考えの表現をどの程度の頻度で援助なく成立させられるかを分けて考えます。

FIM「表出」の点数を考えるときの境界
点数帯 見る内容 判断のポイント
7点 複雑・抽象的な考え 内容を明確に自立して伝えられる
6点 複雑・抽象的な考え 軽度の困難、時間、コミュニケーション手段などがあっても促しなしで成立する
5点 基本的な要求・考え 90%以上は伝えられ、聞き手から確認・促しが必要なのは10%未満
4〜1点 基本的な要求・考え 伝達できる割合と、聞き手が補う頻度に応じて判断する

失語症や構音障害がある場合も、診断名だけで点数を決めません。実際の日常生活で、何をどの程度伝えられ、聞き手側の援助がどのくらい必要かを観察して採点します。

社会的交流は「他者と状況に合った関わりができるか」を見る

社会的交流では、スタッフ・他患者・家族などとの関わりの中で、状況に合った行動ができるかを見ます。単に会話の内容を理解できるか、話せるかではなく、感情や行動を調整し、周囲と適切な関係を保てるかが中心です。

5点で特徴的なのは、普段はおおむね適切に交流できるものの、緊張する場面や不慣れな状況などでまれに監視・指示・促しが必要になる状態です。そのような介入が必要な機会がおおむね10%未満なら5点を検討し、通常場面でも介入が増える場合は4点以下を考えます。

FIM「社会的交流」の見分け方
点数帯 臨床像の目安 確認すること
7点 さまざまな相手と一貫して適切に交流できる 行動・感情を自分で調整できているか
6点 軽度の困難や適応に時間を要しても監視なしで成立する 他者からの直接的な介入なしで対応できるか
5点 不慣れ・緊張場面などでまれに促しや監視が必要 介入が必要なのは10%未満か
4〜1点 通常場面でも不適切な交流が増える 適切に交流できている場面の割合を確認する

「注意したら直ったから5点」と一律に決めるのではありません。注意が必要だった頻度まで含めて評価することが重要です。

問題解決は「問題に気づく→判断する→行動する→修正する」を見る

問題解決は、単なる知能検査や計算問題の正答率を見る項目ではありません。日常生活で起きた問題を認識し、適切に判断して行動し、必要に応じて自分で修正できるかを評価します。

ここでは、複雑な問題日常的な問題を分けると採点しやすくなります。

問題解決で分けて考えたい「複雑な問題」と「日常的な問題」
種類 主に関係する点数帯
複雑な問題 金銭管理、退院後の生活調整、服薬管理、対人関係、仕事に関する判断など 主に7・6点を検討するとき
日常的な問題 困ったときに助けを求める、安全を守る、ナースコールを使う、簡単な行動を開始・修正するなど 主に5点以下を検討するとき

7点では複雑な問題まで一連の判断・実行・修正が自立していることを確認します。6点では複雑な問題を扱えるものの、時間がかかる、わずかな困難があるなどの修正自立を考えます。

一方5点では、複雑な問題への対応が十分でなくても、日常的な問題はほとんどの場面で自分で解決でき、促しが必要なのは10%未満であるかを確認します。4点以下では、日常的な問題を自力で解決できる割合が下がります。

迷いやすい例:「一人で立たず、必要ならナースコールを押す」という説明内容は理解できる。しかし実際には危険を予測できず一人で立ち上がる。この場合、理解だけでなく、日常的な問題を認識して安全な行動を選べるかという問題解決の視点が重要になります。

記憶は「人・日課・依頼」の3つで整理する

FIMの記憶は、記憶検査の得点や見当識だけを評価する項目ではありません。日常生活の中で、頻繁に会う人を認識する、毎日の日課を覚えている、他者から依頼された内容を保持して実行するという機能を見ます。

記憶は理解・表出とは異なり、単純に「7・6点=複雑な内容」と当てはめない方が整理しやすい項目です。3つの評価対象がどの程度自立して成立しているか、メモなどの補助具を自分で使えているか、他者から促される頻度はどのくらいかを確認します。

FIM「記憶」で確認する3つの対象
対象 確認例 観察ポイント
頻繁に会う人 担当スタッフ、同室者、家族など 日常的に接する人を認識できるか
毎日の日課 食事、訓練、入浴、病棟での日程など 予定や繰り返す生活パターンを保持できるか
他者からの依頼 「後でこれを持ってきてください」など 依頼内容を覚え、必要なタイミングで実行できるか

6点では、軽度の記憶困難があっても、メモやスケジュールなどを自分で活用して自立できている場合があります。一方、補助具が用意されていても「メモを見てください」と他者から繰り返し促されるのであれば、その促し頻度を踏まえて5点以下を検討します。

FIM認知の5点と4点は「援助の種類」ではなく「援助が必要な頻度」で分ける

現場で特に混乱しやすいのが5点と4点です。ここで「声かけなら5点」「身体に触ったら4点」といった単純なルールに置き換えると、認知項目本来の採点からずれる可能性があります。

認知項目では、まず各項目の評価対象を決めたうえで、基本的な内容が90%以上成立し、援助が必要なのが10%未満なら5点を検討します。成立が75%以上90%未満まで下がり、援助が必要な場面が増えているなら4点を検討します。

5点と4点で迷ったときの確認順序
順番 確認すること 5点に寄る 4点に寄る
1 何を評価しているか 項目の評価対象が明確 別項目の能力を混ぜている
2 基本的・日常的内容が成立する割合 おおむね90%以上 75%以上90%未満
3 援助が必要な頻度 10%未満 10%以上の場面で必要
4 援助内容 まれな促し・確認など より頻回の促し・手がかりなど
5 記録 成立場面と促し頻度を残す 不成立場面と援助頻度を残す

つまり、声かけ・手がかり・監視・制止などの援助の種類は採点根拠を説明する補助情報です。それだけを点数決定の主基準にはせず、「何%程度の機会で成立したか」とセットで記録します。

記録は「項目+評価場面+成立度+必要な援助」で残す

FIM認知項目は、点数だけをカルテに残すと、後から「なぜ5点なのか」「4点へ下がった理由は何か」が分かりにくくなります。再評価や多職種共有を考えるなら、評価した場面と援助頻度を短く残すと再現性が高まります。

FIM認知項目の記録例
項目 記録例 伝わること
理解 日常的な指示は概ね理解。複雑な説明では言い換えを要する 基本的内容と複雑な内容の差
表出 基本的要求は伝達可能。複雑な内容では聞き手の確認を要する 何をどこまで表現できるか
社会的交流 通常場面は適切。不慣れな集団場面でまれに促しあり 介入が必要な状況と頻度
問題解決 日常的な危険回避は概ね可能。複雑な退院後の調整は援助を要する 日常問題と複雑な問題の差
記憶 担当者と日課は保持。依頼内容は一部で再提示を要する 人・日課・依頼のどこで困るか

「声かけあり」だけで終わらせず、何について、どの場面で、どのくらい必要だったかまで記録すると、次回の採点根拠を比較しやすくなります。

FIM認知5項目でよくある採点ミス

認知項目は、日常生活の中で複数の認知機能が同時に働くため、項目をまたいで点数を下げてしまったり、一場面だけを強く反映してしまったりしやすい領域です。

FIM認知項目で避けたい採点の考え方
よくあるミス 問題点 修正方法
声かけ=すべて5点 声かけの頻度を評価できていない 成立割合と援助頻度を確認する
接触した=4点以下 運動項目の介助量を認知項目へそのまま当てはめている 各認知項目で求められる内容の成立度を見る
指示に従わない=理解低下 理解後の判断・記憶・行動を混同している まず指示内容を理解していたかを切り分ける
失語症だから認知5項目をすべて下げる 表出障害を他項目へ一律に反映している 5項目をそれぞれ独立して観察する
一度の失敗だけで点数を下げる 頻度・再現性が反映されない 複数の日常場面から成立割合を判断する

FIM認知5項目のよくある質問

FIM認知項目の5点と4点は何が違いますか?

基本的・日常的な内容について、5点はおおむね90%以上の場面で成立し、促しなどが必要なのは10%未満であることを目安にします。4点では成立が75%以上90%未満となり、援助を必要とする場面が増えます。単に「声かけがあったか」だけでは決めません。

6点と5点はどう見分けますか?

理解・表出では、複雑・抽象的な内容まで他者からの促しなしで成立するなら6点を検討します。基本的な内容はほぼ成立するものの、複雑な内容では十分でない、またはまれに促しが必要なら5点を検討します。社会的交流・記憶などは項目固有の基準も合わせて判断します。

理解と問題解決のどちらを下げればよいか迷います。

まず「相手が伝えた内容を理解できたか」を確認します。説明内容自体を受け取れていなければ理解、内容は分かっているのに状況判断・行動選択・修正ができなければ問題解決を中心に考えます。両方に問題があれば、それぞれの項目を別に評価します。

メモを使って予定を覚えている場合、記憶は自立ですか?

メモやスケジュールなどの補助具を本人が自ら活用して日常生活が成立している場合は、修正自立に相当する可能性があります。一方、メモを見ること自体を他者から促される場合は、その促しの頻度を含めて5点以下を検討します。

認知項目は訓練室だけで採点できますか?

一場面だけでは、援助が必要な頻度や日常生活での再現性を判断しにくくなります。病棟生活、食事、移動、予定確認、スタッフや家族とのやり取りなど、複数の日常場面から情報を集め、チームで共有して判断することが重要です。

まとめ:5項目の評価対象を分けてから点数を決める

FIM認知5項目は、単純に「声かけなら5点」「介助したら4点以下」と採点するものではありません。最初に、理解・表出・社会的交流・問題解決・記憶のどの能力を評価しているのかを明確にします。

そのうえで、理解・表出・問題解決では複雑な内容まで自立しているか、基本的・日常的な内容をどの程度成立させられるかを確認します。社会的交流では適切に交流できる場面の割合、記憶では人・日課・依頼の保持を見ます。

採点時の最小チェック

  1. 今、認知5項目のどれを評価しているか
  2. その項目で求められる内容は何か
  3. 7・6点で求められるレベルまで自立しているか
  4. 5点以下なら、基本的内容が何%程度成立しているか
  5. 促し・手がかり・監視などが必要な頻度はどのくらいか
  6. 点数だけでなく、評価場面と採点根拠を記録する

FIMは多職種で同じ尺度を使うからこそ、点数そのものよりも「なぜその点数なのか」を共有できることが重要です。迷ったときは、介助の種類だけで決めず、評価対象・成立度・援助頻度の3点へ戻ると整理しやすくなります。


参考文献

  1. Keith RA, Granger CV, Hamilton BB, Sherwin FS. The functional independence measure: a new tool for rehabilitation. Adv Clin Rehabil. 1987;1:6-18. PubMed
  2. Linacre JM, Heinemann AW, Wright BD, Granger CV, Hamilton BB. The structure and stability of the Functional Independence Measure. Arch Phys Med Rehabil. 1994;75(2):127-132.
  3. Hamilton BB, Laughlin JA, Fiedler RC, Granger CV. Interrater reliability of the 7-level Functional Independence Measure (FIM). Scand J Rehabil Med. 1994;26(3):115-119. PubMed
  4. Ottenbacher KJ, Hsu Y, Granger CV, Fiedler RC. The reliability of the Functional Independence Measure: a quantitative review. Arch Phys Med Rehabil. 1996;77(12):1226-1232. DOI

※FIMの詳細な採点基準については、所属施設で採用している正式マニュアル・研修資料を優先してください。本記事では尺度全文を転載せず、臨床で迷いやすい判断構造を要約して解説しています。

著者情報

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rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blogを2022年4月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター2級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

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