BBS と Mini-BESTest の違い【比較・使い分け】

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BBS と Mini-BESTest の違い【比較・使い分け】(この記事の結論)

臨床で迷ったら:評価の全体像と学び方をまとめて見る

結論: BBS は「静的〜基本動作(立位・移乗・リーチ)のバランスを幅広くスクリーニング」しやすく、 Mini-BESTest は「バランス制御(予測・反応・感覚統合・動的歩行)を分解して“どこが弱いか”を特定」しやすい評価です。転倒・歩行の課題があるのに BBS が高得点で見えにくいときは、 Mini-BESTest が強い味方になります。

現場で迷いがちなのは「どっちが優秀か」ではなく、①いま決めたいこと(スクリーニングか、要因分析か)②再評価頻度(毎週回すか、月 1 でも良いか)③介入に落とす粒度です。本記事は“使い分けの型”を比較表とフローで整理します。

まず押さえる: BBS は「広く浅く」、 Mini-BESTest は「バランス機構を分解」

BBS( Berg Balance Scale )は、立ち上がり・立位保持・リーチ・方向転換など、 ADL に近い基本動作を 14 項目で評価し、合計 0–56 点(高いほど良い)でバランス能力を要約します。病棟でのスクリーニングや、基本動作のバランスの変化を追うのに向きます。

Mini-BESTest は、 BESTest を基に「バランス制御の要素(予測的姿勢制御、反応的姿勢制御、感覚統合、動的歩行)」を短時間で評価し、合計 0–28 点(高いほど良い)で重症度を示します。点数だけでなくどのセクションが落ちているかが、そのまま介入の優先順位になります。

BBS と Mini-BESTest の違い(比較表)

BBS と Mini-BESTest の比較(目的・見えるもの・運用のしやすさ)
比較軸 BBS Mini-BESTest 向く場面 注意点
主目的 基本動作のバランスを広く把握(スクリーニング) バランス制御を分解(要因分析・介入設計) まず全体像→原因特定へ “点数だけ”で介入を決めない
強み ADL に近い動作で説明しやすい/運用が定着しやすい 落ちた領域が介入に直結(反応・感覚統合・動的歩行など) 転倒・歩行課題のボトルネック特定 セクション別に必ずメモする
弱点 高得点域で“見えにくい”ことがある(天井効果) 慣れるまで観察の粒度が必要(実施者差) BBS 高いのに不安定/二重課題で崩れる 条件固定(靴・補助具・見守り)
アウトカム 0–56 点 0–28 点(セクション別に解釈) 経過追跡(週単位〜) スケール間で点数を直接比較しない
臨床の使いどころ 入院時・退院前の全体把握、基本動作の安全性 転倒要因の切り分け、歩行・ターン・反応の課題抽出 「何を練習すべきか」を明確化 “どこで崩れるか”を短文で残す

使い分けの結論:目的別フロー(最短で迷いを消す)

選び方は「いま決めたいこと」で決めるのが最短です。

  1. まず安全に立てるか・基本動作のバランスを一気に把握したい BBS
  2. 転倒が続く/方向転換や歩行で崩れる/二重課題で不安定 Mini-BESTest
  3. 病棟で標準化して回したい(週単位で追う) BBS を主にして、必要時に Mini-BESTest を追加
  4. 介入の優先順位を“領域別”に決めたい Mini-BESTest を主にして、説明用に BBS を併記

記録の型:点数+「崩れる場面」を 1 行で残す

どちらも、点数だけでは介入に落ちません。“どこで崩れるか”を短文で固定すると、再評価でブレが減ります。

BBS の記録テンプレ

  • 点数:「 BBS ○/ 56 」
  • 短文:「課題は片脚支持と方向転換。立位リーチで体幹代償が増える」など

Mini-BESTest の記録テンプレ

  • 点数:「 Mini-BESTest ○/ 28 」
  • 短文:「反応的姿勢制御が低下、後方への外乱でステップ遅れ。動的歩行はターンで減速」など

現場の詰まりどころ:よくある失敗と最短の修正

BBS と Mini-BESTest の “よくある失敗” と修正ポイント(そのまま使える記録の一言つき)
詰まりどころ NG OK 記録の一言
点数で断定 「 BBS が高い=転倒しない」 点数+崩れる局面(ターン・外乱・二重課題)で判断 「ターンでふらつき、注意分配で減速」
天井効果で見失う BBS が高得点で介入が止まる 動的歩行や反応を見たいときは Mini-BESTest を追加 「 BBS 高得点だが反応性低下が主因」
条件が固定できない 靴・補助具・見守りが毎回違う 同条件で再評価、変更時は明記 「靴変更、見守りレベル変更」
Mini の“内訳”を残さない 合計点だけで終了 落ちたセクションを 1 行で残し介入へ直結 「感覚統合↓、閉眼で動揺増」

ケースで理解:同じ転倒でも、見るべき場所が違う

ケース 1:病棟で基本動作は安定、でも転倒が続く

立位保持や移乗が安定して見えても、転倒は「ターン」「外乱」「注意分配」で起きやすいです。 Mini-BESTest で反応的姿勢制御や動的歩行を確認し、どこで崩れるか(ステップ遅れ、ターンの小刻み、停止)を特定すると介入が速くなります。

ケース 2:入院直後で全体像を早く掴みたい

まずは BBS で「立位・移乗・リーチの安全域」を把握し、危険な課題(立ち上がり、立位保持、方向転換)を先に潰します。余力が出たら Mini-BESTest で要因分析に移行します。

よくある質問

各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。

Q1. 迷ったら結局どちらを標準にすべき?

A. 迷ったら、病棟で回しやすい BBS を標準にして、転倒や歩行で“質の問題”が出たときに Mini-BESTest を追加する運用が続きやすいです。逆に、最初から「要因分析→介入設計」を主軸にするなら Mini-BESTest を標準にして、説明用に BBS を併記すると整理しやすくなります。

Q2. BBS が高いのに不安定な人がいます。なぜ?

A. BBS は基本動作のバランスを広く捉えますが、反応的姿勢制御や動的歩行、二重課題の影響は拾いにくいことがあります。こういうときは Mini-BESTest のセクション別所見(反応・感覚統合・動的歩行)で“崩れる理由”を言語化すると、介入が具体化します。

Q3. Mini-BESTest は忙しい現場でも回せますか?

A. 回せます。コツは「合計点だけで終わらせない」ことと、「セクション別に落ちた要因を 1 行で残す」ことです。記録が型化すると、時間をかけずに介入へ直結します。

Q4. 点数が改善したら、何を患者さんに説明すればいい?

A. 点数よりも「できるようになった場面」を言葉にすると伝わります。 BBS なら“立ち上がりが安定、方向転換でふらつき減”、 Mini-BESTest なら“外乱でのステップが速くなった、閉眼でも安定”のように、生活場面に翻訳して返すのがコツです。

おわりに

BBS と Mini-BESTest は、スクリーニング(広く把握)要因分析(どこが弱いか)で役割が違います。目的を固定→条件をそろえる→点数+崩れる局面を短文で残す→同条件で再評価のリズムで回すと、評価がそのまま介入と説明に直結します。面談準備チェックと職場評価シート( A4 )も一緒に整理したいときは マイナビコメディカルのまとめ(ダウンロード) も活用してください。

参考文献

  1. Berg KO, Wood-Dauphinee SL, Williams JI, Maki B. Measuring balance in the elderly: validation of an instrument. Can J Public Health. 1992;83 Suppl 2:S7-S11. PubMed
  2. Horak FB, Wrisley DM, Frank J. The Balance Evaluation Systems Test (BESTest) to differentiate balance deficits. Phys Ther. 2009;89(5):484-498. doi:10.2522/ptj.20080071 / PubMed
  3. Franchignoni F, Horak F, Godi M, Nardone A, Giordano A. Using psychometric techniques to improve the Balance Evaluation Systems Test: the Mini-BESTest. J Rehabil Med. 2010;42(4):323-331. doi:10.2340/16501977-0537 / PubMed

著者情報

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3 学会合同呼吸療法認定士
  • 3 学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター 2 級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

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