症例発表スライドの見出し|基本10項目と5・7・10分の構成

制度・実務
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症例発表スライドの見出しは「基本10項目」を組み替える

症例発表スライドは、必ず10枚に固定する必要はありません。PT・OT・STの症例発表では、表題、症例概要、背景・課題、初期評価、統合と解釈、介入方針、介入内容、経過・結果、考察、結論を基本項目として整理し、発表時間や発表先の規定に合わせて統合・分割すると構成を決めやすくなります。

この記事では、症例発表で使いやすい基本10項目の見出しと、5分・7分・10分でどこをまとめるかを整理します。大切なのは10枚に合わせることではなく、評価から介入、結果、考察までのつながりを聞き手が追えることです。

症例発表全体の作り方から確認する場合

PowerPointを作る前の整理、匿名化、見せ方、提出前チェックまで確認する場合は、
症例発表スライドの作り方
を先に確認してください。

症例発表スライドの基本10項目

症例発表の見出しは、聞き手が「どんな症例で、何を問題と考え、何を行い、どう変化し、その結果をどう解釈したのか」を追える順番にします。以下の10項目は固定された枚数ではなく、構成を考えるための基本形です。

症例発表スライドの基本10項目と5分・7分・10分の時間別組み替え例
症例発表スライドの基本10項目と、発表時間に応じた統合・分割の考え方

スマートフォンでは横スクロールで確認してください。

症例発表スライドの基本10項目と役割
No 見出し 役割 置く内容
1 表題 発表テーマを示す 演題名、所属、発表者など発表先で求められる情報
2 症例概要 症例を理解する前提を共有する 発表テーマに必要な疾患、経過、生活背景など
3 背景・臨床上の課題 なぜこの症例を取り上げるのか示す 臨床上の疑問、介入前に困っていたこと、発表で伝えたい点
4 初期評価 介入方針の根拠を示す 問題設定や臨床推論に必要な評価所見
5 統合と解釈・問題点 評価から何を問題と考えたか示す 所見同士の関係、仮説、優先して扱う問題
6 目標・介入方針 何を変えるために介入するか示す 目標、介入の狙い、方針を決めた理由
7 介入内容 実際に行ったことを示す 方針に対応した介入、条件、途中で変更した内容
8 経過・結果 何がどのように変化したか示す 再評価結果、動作・ADLの変化、経過表やグラフ
9 考察 結果をどう解釈するか示す 変化に関係したと考える要因、文献との比較、限界
10 結論・まとめ 聞き手に残すメッセージを示す 症例から得られた学び、臨床へ持ち帰るポイント

発表先から利益相反(COI)開示などのスライドが指定されている場合は、上記10項目とは別に追加します。発表時間、スライド形式、COI、倫理面の表示などは、必ず所属施設と発表先の最新規定を優先してください。

5分・7分・10分では見出しを統合して調整する

発表時間が短いときは、重要な結果を削る前に、役割が近い見出しを1枚へ統合します。以下はスライド枚数の固定ルールではなく、時間に合わせて構成を圧縮・展開するための組み替え例です。

発表時間別に統合・分割しやすい見出し
発表時間 構成の考え方 統合しやすい部分 残したい部分
5分 情報を広げず、発表テーマに必要な流れへ絞る 症例概要+背景、初期評価+統合と解釈、介入方針+介入内容 結果、考察、結論につながる情報
7分 基本10項目を基準に、内容の少ない項目を統合する 背景+症例概要、目標+介入方針など 評価から介入、結果へのつながり
10分 必要な項目を分け、経過や臨床推論を説明する余地を持たせる 無理に統合する必要はない 重要な評価、経過、結果、考察は必要に応じて複数枚へ分ける

「5分だから○枚」「10分だから○枚」と先に枚数を決める必要はありません。同じ7分発表でも、症例の主題が評価にあるのか、介入経過にあるのかによって必要なスライド配分は変わります。

見出しを決める前に確認する3つのこと

PowerPointを作り始める前に、発表規定、発表で伝えたい点、評価から結果までのつながりを確認します。ここが曖昧なままでは、見出しだけ整えても情報量が増えやすくなります。

1.発表先の規定

最初に確認するのは、発表時間、スライド形式、提出方法、COI開示、匿名化や同意に関するルールです。院内症例発表と学会発表では条件が異なることがあり、学会ごとにも規定は異なります。

2.この症例で伝えたいこと

「この症例から何を伝えたいのか」を1文で説明できる状態にします。評価結果や介入方法をすべて発表するのではなく、この1文を説明するために必要な情報を残します。

3.評価・介入・結果のつながり

初期評価から問題点を説明でき、その問題に介入が対応し、結果で同じ問題を追えているかを確認します。どこかがつながらない場合は、スライドを追加する前に、問題設定や載せる情報を見直します。

「作る順番」と「発表する順番」は分けて考える

症例発表を作るときは、最初に結論やlearning pointを考えてから逆算すると整理しやすくなります。ただし、これは「1枚目を結論スライドにする」という意味ではありません。

作成時は、まず「この症例から何を伝えるか」を決め、そこから必要な問題、評価、介入、結果を選びます。その後、完成した情報を聞き手が理解しやすい「症例概要→評価・問題→介入→結果→考察→結論」の順へ並べます。

作成時:結論から逆算する

何を伝えるか → 何が問題か → その根拠は何か → 何をしたか → 何が変わったか

発表時:聞き手が理解できる順番へ並べる

症例概要 → 評価・問題 → 介入 → 結果 → 考察 → 結論

各見出しは「この1枚で何を伝えるか」を1文にする

見出しを決めたら、スライドへ情報を入れる前に「この1枚を見終えたとき、聞き手に何を理解してほしいか」を1文で書きます。文章をそのままスライドへ載せるのではなく、情報を選ぶ基準として使います。

症例発表スライドの見出しと1行要点の考え方
見出し 1行で確認すること
表題 この発表は何についての症例なのか
症例概要 この症例を理解するために必要な前提は何か
背景・課題 なぜこの症例を取り上げるのか
初期評価 介入方針につながった所見は何か
統合と解釈 評価結果から何を問題と考えたのか
目標・介入方針 何を変えるために、どの方向で介入したのか
介入内容 方針に対して実際に何を行ったのか
経過・結果 何が、いつ、どのように変わったのか
考察 その結果をどのように解釈するのか
結論 聞き手に何を持ち帰ってほしいのか

経過・結果は「何が変わったか」を比較できる形にする

結果スライドでは、測定した評価をすべて並べるのではなく、発表の問題設定と介入に対応する変化を優先します。前後比較で十分なのか、複数時点の経過を示す必要があるのかによって、表とグラフを使い分けます。

複数時点の評価、介入内容、重要イベントを同じ時間軸へ整理したい場合は、結果セクションを作ったあとに経過表・グラフへ落とし込みます。前後比較だけで伝わる内容に、複雑な時系列図を追加する必要はありません。

症例発表の見出しが崩れやすい5つのパターン

見出しが多いことより、「何をどこへ置くか」が曖昧なことのほうが発表を分かりにくくします。特に次の5つは、構成を見直すポイントです。

症例発表スライドの構成で確認したいポイント
状態 起きていること 見直し方
10枚に合わせることが目的になる 必要な内容まで削ったり、不要な内容を追加したりする 枚数ではなく発表時間と主メッセージから決める
評価をすべて載せる 問題点との関係が見えなくなる 問題設定・介入方針・結果の解釈に使う所見を優先する
問題点と介入が対応しない なぜその介入を選んだのか説明できない 初期評価→解釈→介入方針を続けて確認する
結果が数値の羅列になる 何が重要な変化なのか判断しにくい 発表テーマに対応する変化を表・グラフで比較する
考察が結果の繰り返しになる 「なぜ変化したのか」が示されない 結果の解釈、文献との関係、他の要因、限界を分ける

質疑に備えて確認しておくこと

質疑対策では補足スライドを増やす前に、自分の判断根拠を説明できるか確認します。特に、評価を選んだ理由、介入を選んだ理由、結果をどう解釈したかは、発表本文と同じ流れで答えられるようにします。

  • 評価:なぜその評価・所見を重視したのか
  • 介入:評価結果から、なぜその介入方針を選んだのか
  • 結果:測定条件や介助条件は介入前後で比較できるか
  • 考察:介入以外に結果へ影響した可能性はないか
  • 限界:この症例から言えることと言えないことを分けられるか

よくある質問

症例発表スライドの見出しを決めるときに迷いやすい点をまとめます。

症例発表スライドは10枚にしたほうがよいですか?

10枚は構成を考えるための基本例であり、固定ルールではありません。発表時間と発表先の規定を優先し、必要な内容が伝わる枚数へ調整します。短時間の発表では、症例概要と背景、初期評価と統合と解釈など、役割が近い見出しを統合できます。

症例発表の1枚目は結論にしたほうがよいですか?

必ずしも結論を1枚目に置く必要はありません。作成時には最初に結論やlearning pointを決めて逆算すると整理しやすいですが、実際の発表では表題や症例概要から入り、聞き手が経過を理解できる順番へ並べます。

評価項目はどこまでスライドに載せますか?

測定した項目をすべて載せるのではなく、問題設定、介入方針、結果の解釈に必要な評価を優先します。「この評価を削ると介入を選んだ理由が説明できなくなるか」を基準にすると整理しやすくなります。

5分発表では何を削ればよいですか?

最初に重要な結果を削るのではなく、関連する見出しを統合します。症例概要と背景、初期評価と統合と解釈、介入方針と介入内容などは1枚にまとめやすい部分です。そのうえで、発表の主メッセージに直接関係しない評価や背景情報を削ります。

次の一手

スライドの見出しを決めた後は、症例の主題に合わせて題名と結果の見せ方を整えます。


参考文献

  1. 平賀陽之. 経験した症例をまとめる:わかりやすく効果的なスライドの作り方. 臨床神経学. 2025;65(6):459-467. DOI
  2. 平賀陽之. 地方会で発表しよう. 臨床神経学. 2026;66(7):494-501. DOI
  3. Riley DS, Barber MS, Kienle GS, et al. CARE guidelines for case reports: explanation and elaboration document. J Clin Epidemiol. 2017;89:218-235. PubMed

著者情報

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rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blogを2022年4月に開設。急性期・回復期・療養病棟、介護福祉施設、訪問リハビリテーションでの臨床経験をもとに、理学療法評価、臨床手順、記録用紙、医療制度などの実務情報を発信しています。

現在は療養病院に勤務し、脳卒中、褥瘡・創傷ケア、リハビリテーション栄養、呼吸リハビリテーションを中心に臨床・教育活動を行っています。

保有資格

  • 脳卒中認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター2級

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