リハ室の電子カルテ導入で整える環境

制度・実務
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リハ室の電子カルテ導入で最初に整えるべき環境

院内全体で電子カルテへ移行すると、リハビリテーション科でも記録方法だけでなく、ノート PC の保管、充電、記録スペース、Wi-Fi、配線、清拭、返却ルールまで見直す必要があります。電子カルテは「入力できる端末を配れば終わり」ではなく、毎日安全に使い続けるための環境づくりが重要です。

特にリハ科では、訓練室、病棟、ADL 室、階段、屋外歩行など、PC を使う場所が広がりやすい特徴があります。導入前にリハ室側の動線と管理方法を整えておくことで、記録渋滞、充電切れ、端末紛失、配線トラブルを減らしやすくなります。

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電子カルテ化では、記録環境だけでなく、単位入力、開始・終了時刻、実施記録の運用も見直しポイントになります。

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電子カルテ導入でリハ室が最初に困ること

リハ室で最初に問題になりやすいのは、電子カルテの操作方法そのものよりも、PC をどこに置くか、どこで充電するか、どこで記録するかという環境面です。紙カルテ時代は記録台やファイル棚で済んでいた場所が、電子カルテ化後は PC、電源、ネットワーク、周辺機器を含む作業エリアに変わります。

導入直後に起きやすいのは、朝の PC 争奪、充電切れ、Wi-Fi 不安定、マウス紛失、返却場所のばらつき、配線の床置きです。こうした問題は個人の注意だけでは防ぎにくいため、リハ科として「保管・充電・入力・返却」の流れを先に決めておくことが大切です。

リハ室の電子カルテ環境レイアウト例。昇降デスク、PC保管庫、タイマー充電、Wi-Fi確認、清拭動線を示した図版。
リハ室の電子カルテ環境レイアウト例。PC 保管、充電、記録、清拭、通信確認までを一体で考える。
リハ室の電子カルテ導入で起きやすい環境トラブル
困りごと 起きやすい場面 先に決めること
充電切れ 午前・午後の連続使用、病棟持ち出し後 終業時返却、タイマー充電、予備機の設定
端末の所在不明 病棟、訓練室、カンファ室に置き忘れる PC 番号、定位置、貸出ルール
記録渋滞 昼休み前、終業前、カンファ後 記録専用スペース、立位入力席、外部モニター
配線トラブル デスク下、保管庫周囲、床面 ケーブルトレー、タップ固定、清掃しやすい配置

ノート PC は保管・充電・清拭までセットで考える

リハ科で複数台のノート PC を運用する場合、単に棚に置くだけでは管理が崩れやすくなります。特に 20 台以上になると、端末本体、AC アダプタ、マウス、LAN 変換アダプタ、清拭用品などが増え、誰がどの端末を使ったのか分かりにくくなります。

おすすめは、鍵付きのノート PC 保管庫を使い、PC 番号と収納位置を固定する方法です。15.6 インチ PC では本体サイズだけでなく、電源コネクタや AC アダプタの収納余裕も確認します。横積みで重ねるより、1 台ずつ仕切られた状態で保管できる方が、出し入れや点検がしやすくなります。

ノート PC 保管方法の比較
方法 メリット 注意点
普通の棚 安く導入しやすい 施錠、充電、配線整理、返却管理が弱くなりやすい
鍵付き保管庫 端末の所在管理、施錠、定位置管理がしやすい PC サイズ、収納台数、放熱、搬入経路の確認が必要
充電保管庫 保管と充電を一体化しやすい 電源容量、発熱、タイマー通電の設計が必要

夜間充電はタイマー通電と電源分散で安全性を高める

ノート PC を終業後に充電して翌朝使う運用は現実的ですが、電源周りの設計は慎重に行う必要があります。特に 24 台を 1 つのタップにまとめるような運用は、電力負荷、発熱、タコ足配線の面で避けたい方法です。

現実的には、12 台ずつなど複数系統に分け、タイマー付きタップで 18:30〜21:30 のように通電時間を制限する方法が使いやすいです。最終的な電源容量やブレーカー系統は、リハ科だけで判断せず、施設管理部門や情報システム部門と確認しておくと安心です。

24 台運用での充電設計例
項目 おすすめ 理由
充電タイミング 終業後に一括充電 日中の充電導線を減らし、翌朝の使用開始を安定させやすい
通電時間 3〜4 時間程度のタイマー通電 朝まで通電しっぱなしにしない運用にしやすい
電源系統 12 台ずつなどに分散 タップやコンセントへの負荷集中を避けやすい
終業時操作 シャットダウン後に充電 スリープ中の発熱や更新トラブルを減らしやすい

昇降デスクで立位入力できる記録ステーションを作る

電子カルテ導入後は、リハスタッフの PC 前作業が増えます。実施記録、計画書、サマリー、カンファ記録、評価入力などが重なると、限られた座席にスタッフが集中し、記録待ちが発生しやすくなります。

リハ室の一角に昇降式デスクを設置し、立位でも入力できる記録ステーションを作ると、短時間の記録、相談しながらの入力、カンファ後の修正作業がしやすくなります。横幅 400 cm 程度の壁面がある場合は、180 cm クラスの昇降デスクを 2 台並べると、複数人が同時に作業しやすい配置になります。

リハ室の記録ステーションに必要な要素
要素 推奨 ポイント
デスク 昇降式デスク 2 台 立位入力と座位入力を切り替えやすい
モニター 27 インチ程度を共有配置 電子カルテ、評価表、サマリーを見やすくする
配線 ケーブルトレーでデスク下に固定 床置き配線を減らし、清掃と転倒予防につなげる
周辺機器 マウス、キーボード、変換アダプタを定位置化 紛失や持ち出しっぱなしを防ぎやすい

Wi-Fi・有線 LAN・電源は導入前に確認する

電子カルテ導入後に最も困りやすいのが、実際に使う場所で通信が安定しない問題です。リハ室だけでなく、病棟、ADL 室、階段、屋外歩行ルート、ST 室、カンファ室など、リハスタッフが記録や確認を行う場所を想定して確認します。

Wi-Fi が不安定な場所がある場合、アクセスポイントの増設や有線 LAN の予備口を検討します。すべてを無線に頼るのではなく、記録ステーションには有線 LAN を 1〜2 口残しておくと、通信障害時の逃げ道になります。

セキュリティと端末管理は情報システム部門とそろえる

電子カルテ端末は医療情報を扱うため、リハ科だけの判断で持ち出し、アプリ追加、共有アカウント、USB 利用などを決めないことが重要です。厚生労働省は「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン 第 6.0 版」や、医療機関向けのサイバーセキュリティ対策チェックリストを公開しています。

リハ科としては、端末の所在管理、アカウント管理、アクセス権限、不要アプリの扱い、紛失時の報告先を確認しておきます。PC 番号、保管位置、返却確認、定期棚卸を組み合わせると、情報システム部門とも連携しやすくなります。

導入前に決めたいリハ科内ルール

電子カルテ導入で大切なのは、端末や家具をそろえることだけではありません。毎日同じ方法で使い、返し、充電し、清拭するルールがないと、数週間で運用が崩れやすくなります。

特にリハ科では、病棟へ PC を持ち出す場面が多くなります。誰でも迷わず使えるように、PC 番号、持ち出し範囲、返却時間、清拭方法、故障時の連絡先、予備機の扱いを簡単な表にして掲示しておくと効果的です。

リハ科内で決めておきたい電子カルテ端末ルール
項目 決める内容
端末番号 本体・保管位置・充電器を一致させる PT01〜PT24
返却時間 終業前に返却確認する 17:30 までに保管庫へ返却
清拭 返却前後の清拭方法を決める 画面、キーボード、マウスを指定クロスで清拭
故障時 誰に報告するかを決める リハ科担当者と情報システム部門へ報告
予備機 予備機の使用条件を決める 充電切れ、故障、カンファ時のみ使用

よくある失敗

電子カルテ導入時の失敗は、端末の性能不足よりも「運用を決めないまま始めること」で起こりやすいです。特にリハ科では、端末を病棟へ持ち出す、訓練室で共有する、短時間で記録するという使い方が多いため、曖昧なルールはすぐにトラブルにつながります。

よくあるのは、保管庫を買っただけで番号管理をしない、充電タップを床に置く、記録デスクにモニターを置かない、Wi-Fi 確認をリハ室だけで終える、清拭用品の置き場を決めないといった失敗です。導入前に小さな運用表を作り、開始後 1 か月で見直す前提にしておくと改善しやすくなります。

導入前チェックリスト

最後に、リハ室の電子カルテ環境を整える前に確認したい項目をまとめます。すべてを一度に完璧にする必要はありませんが、保管、充電、記録、通信、セキュリティの 5 つは最低限確認しておきたい部分です。

リハ室の電子カルテ導入前チェックリスト。PC保管、充電環境、記録スペース、通信環境、配線電源、清拭衛生、管理ルールの7項目を整理した図版。
リハ室の電子カルテ導入前チェックリスト。保管・充電・記録・通信・配線・清拭・管理ルールを事前に確認する。
リハ室電子カルテ環境の導入前チェックリスト
分類 確認項目 チェック
保管 PC 台数分の定位置と施錠管理がある
充電 充電時間、電源系統、タイマー通電を確認した
記録 立位・座位で入力できる記録スペースがある
通信 リハ室、病棟、ADL 室、階段などで Wi-Fi を確認した
配線 電源タップとケーブルを床置きにしない配置にした
清拭 返却時の清拭用品と方法を決めた
管理 PC 番号、故障時連絡先、予備機の扱いを決めた

よくある質問

各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。

ノート PC は立てて保管しても大丈夫ですか?

多くの場合、1 台ずつ仕切られた状態で立てて保管すること自体は現実的です。ただし、強く押し込む、排気口をふさぐ、ケーブルを折り曲げる、AC アダプタを密集させる運用は避けます。15.6 インチ PC では、本体サイズだけでなくコネクタ位置と配線余裕も確認します。

夜間充電は危なくないですか?

リスクをゼロにはできませんが、業務用の電源タップ、電源系統の分散、タイマー通電、シャットダウン後の充電、保管庫内の放熱確保により、管理しやすくなります。電源容量やブレーカー系統は、施設管理部門や情報システム部門に確認します。

リハ室に昇降デスクは必要ですか?

必須ではありませんが、電子カルテ導入後に記録スペースが混みやすい施設では有効です。短時間の記録、カンファ後の修正、相談しながらの入力では、立位入力できるスペースがあると回転が良くなります。

Wi-Fi はリハ室だけ確認すればよいですか?

リハ室だけでは不十分です。病棟、ADL 室、階段、屋外歩行ルート、ST 室、カンファ室など、実際に電子カルテを確認・入力する場所で確認します。通信が不安定な場所があれば、有線 LAN やアクセスポイント増設も検討します。

導入後に最初に見直すべきことは何ですか?

開始後 1 か月は、充電切れ、返却忘れ、記録待ち、Wi-Fi 不安定、清拭忘れ、周辺機器紛失を確認します。最初から完璧を目指すより、現場で起きた小さなトラブルを集めて運用表を更新する方が定着しやすいです。

次の一手

リハ室の電子カルテ環境は、端末をそろえるだけではなく、保管、充電、記録、通信、清拭、返却ルールまで含めて設計することが大切です。まずは PC 台数、保管場所、充電時間、記録スペース、Wi-Fi 確認範囲を一覧にして、情報システム部門や施設管理部門と共有しましょう。

あわせて、記録運用や単位入力の整理も進めると、電子カルテ導入後の混乱を減らしやすくなります。関連:リハ単位・開始終了時刻の記録運用

環境面の詰まりが、教育体制や記録文化、人員配置の問題として表れている場合は、職場環境の整理も必要になります。無料チェックシートは マイナビコメディカル導線ページ にまとめています。


参考文献

  1. 厚生労働省. 医療情報システムの安全管理に関するガイドライン 第 6.0 版. 2023.
  2. 厚生労働省. 医療分野のサイバーセキュリティ対策について. 2026 年確認.
  3. 厚生労働省. 令和 7 年度版 医療機関におけるサイバーセキュリティ対策チェックリスト. 2025.

著者情報

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rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3 学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター 2 級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

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