脳血管疾患等リハビリテーション料の施設基準|Ⅰ〜Ⅲの違い

制度・実務
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脳血管疾患等リハビリテーション料の施設基準とは

制度や記録の運用まで含めて、働きやすい職場を見直したい方へ

施設基準を理解しても現場で回しにくいときは、教育体制や記録文化も点検候補です。

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脳血管疾患等リハビリテーション料は、 H001 に位置づけられる疾患別リハビリテーション料です。脳卒中だけでなく、脳腫瘍、脊髄損傷、神経疾患、高次脳機能障害、言語聴覚機能障害など、幅広い対象に関わるため、施設基準を読むときは「脳卒中リハの記事」としてだけでなく、疾患別リハの届出要件として整理することが重要です。

この記事では、脳血管疾患等リハビリテーション料 Ⅰ ・ Ⅱ ・ Ⅲ の違いを、人員配置、専用機能訓練室、 ST 個別療法室、届出様式の視点から整理します。 5 区分全体の位置づけから確認したい場合は、先に 疾患別リハビリテーション料とは? 5 区分・日数・単位 を読むと、 H001 の位置づけがつかみやすくなります。

脳血管疾患等リハビリテーション料 Ⅰ ・ Ⅱ ・ Ⅲ の違い

脳血管リハ施設基準はここを見る。区分、人員・面積、ST 個別室の順で確認する図版
図:脳血管リハ施設基準は「区分 → 人員・面積 → ST 室」の順で確認すると整理しやすくなります。

脳血管疾患等リハビリテーション料は、 Ⅰ ・ Ⅱ ・ Ⅲ で点数だけでなく、求められる体制が異なります。実務では「何点か」よりも、どの人員配置で、どの広さの訓練室を用意し、 ST を行う場合に個別療法室をどう確保するかを先に確認した方が迷いにくくなります。

特に Ⅰ は上位区分として人員・面積の要件が重く、 Ⅱ は中間的な体制、 Ⅲ は最小構成に近い区分として整理できます。ただし、どの区分でもリハビリテーション記録の一元管理、多職種カンファレンス、必要な器械・器具の整備は共通して確認が必要です。

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脳血管疾患等リハビリテーション料 Ⅰ ・ Ⅱ ・ Ⅲ の主な確認ポイント
区分 点数 人員配置の見方 専用機能訓練室 ST 個別療法室
245 点 専任常勤医師 2 名以上、専従常勤 PT 5 名以上、専従常勤 OT 3 名以上、 ST 実施時は専従常勤 ST 1 名以上、専従従事者合計 10 名以上が確認点です。 160 ㎡ 以上 ST 実施時は 8 ㎡ 以上の専用個別療法室を別に確認します。
200 点 専任常勤医師 1 名以上、専従常勤 PT 1 名以上、専従常勤 OT 1 名以上、 ST 実施時は専従常勤 ST 1 名以上、専従従事者合計 4 名以上が確認点です。 病院 100 ㎡ 以上、診療所 45 ㎡ 以上 ST 実施時は 8 ㎡ 以上の専用個別療法室を確認します。
100 点 専任常勤医師 1 名以上、専従常勤 PT ・ OT ・ ST のいずれか 1 名以上が確認点です。 病院 100 ㎡ 以上、診療所 45 ㎡ 以上 ST 実施時は 8 ㎡ 以上の専用個別療法室を確認します。 ST のみ実施する場合は個別療法室があれば前段の専用機能訓練室を要しない扱いがあります。

この表は、届出前の概要確認として使うものです。実際の届出では、施設基準通知、管轄厚生局の届出一覧、様式 42、様式 44 の 2、平面図をあわせて確認してください。特に人員配置は、人数だけでなく常勤・非常勤、専従・非専従、専任・非専任の区分まで届出上の確認対象になります。

届出で確認したい書類・様式・平面図

脳血管疾患等リハビリテーション料の施設基準は、要件を満たしているだけでなく、届出書類と院内資料が一致していることが重要です。関東信越厚生局の令和 8 年度届出一覧では、脳血管疾患等リハビリテーション料 1 ・ 2 ・ 3 に、それぞれ別添 2、様式 42、様式 44 の 2 が紐づいています。

つまり、療法士側も「医事が出す書類」と切り離して考えるのではなく、勤務表、職種別の配置、専用機能訓練室の平面図、 ST 個別療法室の有無、記録の一元管理までを同じ流れで確認しておく必要があります。

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脳血管疾患等リハビリテーション料の届出前に確認したい書類と院内資料
確認項目 届出で見るもの 院内で残したいもの
届出区分 別添 2、様式 42 届出控え、受理状況、算定区分一覧
人員配置 様式 44 の 2 勤務表、職種別一覧、常勤・非常勤の確認メモ
勤務態様 常勤・非常勤、専従・非専従、専任・非専任 病棟兼任、他リハ料との兼任、担当時間の整理表
専用機能訓練室 配置図、平面図 図面、面積確認メモ、使用時間帯の整理
ST 個別療法室 個別療法室の有無、面積、遮蔽への配慮 室名、面積、使用ルール、器械・器具一覧
記録・カンファレンス 医師指示、実施時間、訓練内容、担当者、多職種カンファレンス 一元管理台帳、記録様式、カンファレンス記録

届出書類は、提出して終わりではありません。職員の異動、病棟再編、訓練室の用途変更、 ST 室の運用変更があると、届出時の前提と現場運用がずれることがあります。月次や年度更新時には、様式と実際の勤務表・平面図が一致しているかを確認する運用にしておくと安全です。

人員配置・専従・兼任で迷いやすいポイント

施設基準でつまずきやすいのは、単なる人数ではなく、専従・専任・兼任の整理です。脳血管疾患等リハビリテーション料 Ⅰ では、 PT ・ OT ・ ST の配置が細かく定められ、 Ⅱ ・ Ⅲ でも区分に応じた常勤職員の配置が求められます。

ただし、現場では「他の疾患別リハビリテーション料と兼任できるか」「回復期リハ病棟の常勤従事者と兼任できるか」「 ST は集団コミュニケーション療法と兼任できるか」が混ざりやすいです。通知では、回復期リハビリテーション病棟における常勤従事者との兼任が制限される一方で、運動器リハ、呼吸器リハ、障害児(者)リハ、がん患者リハなどとの兼任が可能とされる場面もあります。

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人員配置で確認したい専従・専任・兼任の見方
見る項目 確認したいこと 現場での注意点
専任常勤医師 Ⅰ は 2 名以上、Ⅱ・Ⅲ は 1 名以上が基本です。 Ⅰ では経験や研修歴を含めて確認します。医師名だけでなく、届出根拠として説明できる形にしておきます。
専従常勤 PT Ⅰ は 5 名以上、Ⅱ は 1 名以上、Ⅲ は PT ・ OT ・ ST のいずれか 1 名以上の中で確認します。 回復期リハ病棟の常勤従事者との兼任可否を曖昧にしないことが重要です。
専従常勤 OT Ⅰ は 3 名以上、Ⅱ は 1 名以上が確認点です。 勤務表と様式 44 の 2 の職種・勤務態様を一致させます。
専従常勤 ST 言語聴覚療法を行う場合に確認します。 ST 個別療法室、必要器械、集団コミュニケーション療法との関係もあわせて確認します。
兼任の整理 他リハ料との兼任可否、病棟配置との関係を確認します。 「人がいる」だけで判断せず、どの時間帯にどの施設基準上の従事者として扱うかを整理します。

療法士側では、届出様式そのものを作成しないこともあります。しかし、実際の勤務表や配置実態はリハ部門が一番把握していることが多いため、医事任せにせず、様式 44 の 2 と勤務表を突合できる状態にしておくと、変更届や監査時の説明がしやすくなります。

ST が関わるときに見落としやすい施設基準

脳血管疾患等リハビリテーション料では、 ST が関わる場合に確認すべき項目が増えます。特に重要なのは、遮蔽等に配慮した 8 ㎡ 以上の専用個別療法室と、聴力検査機器、音声録音再生装置、ビデオ録画システム等の器械・器具です。

ST 室は「空いている部屋を使う」ではなく、施設基準上の個別療法室として説明できる必要があります。部屋の面積、遮蔽への配慮、使用ルール、記録の残し方をそろえておくと、個別療法と集団的な訓練、他職種の使用との混線を防ぎやすくなります。

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ST が関わるときに確認したい施設基準上のポイント
確認項目 見るポイント 院内でそろえたいもの
個別療法室 遮蔽等に配慮した 8 ㎡ 以上の専用個別療法室 平面図、室名、面積、使用時間帯
器械・器具 聴力検査機器、音声録音再生装置、ビデオ録画システム等 器械・器具一覧、保管場所、使用ルール
ST の勤務態様 専従常勤 ST の配置、兼任の整理 勤務表、様式 44 の 2、担当者一覧
個別療法と集団療法 脳血管リハ本体と集団コミュニケーション療法を混同しない 算定区分、対象者、記録様式の使い分け

集団でのコミュニケーション訓練まで確認したい場合は、集団コミュニケーション療法とは?対象・算定要件 もあわせて確認すると、個別 ST と集団的な算定の違いを整理しやすくなります。

脳血管リハと廃用症候群リハで迷いやすい場面

現場では、脳血管疾患等リハビリテーション料と廃用症候群リハビリテーション料で迷う場面があります。特に、高齢患者、急性疾患後の活動性低下、長期臥床、既往に脳卒中があるケースでは、どの疾患別リハビリテーション料を選ぶべきかが曖昧になりやすいです。

ここで重要なのは、患者像だけでなく、対象疾患、起算日、標準的算定日数をセットで見ることです。脳血管疾患等リハビリテーション料は標準的算定日数 180 日、廃用症候群リハビリテーション料は 120 日が基本となるため、算定区分の違いは退院支援や単位計画にも影響します。詳しい日数と起算日の整理は、標準的算定日数とは?疾患別リハの見方と 13 単位 にまとめています。

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脳血管リハと廃用症候群リハで迷いやすいときの見方
迷う場面 確認したいこと 記録で残したいこと
脳卒中後の機能障害 脳血管疾患等リハの対象として説明できるか 発症日、病名、麻痺・高次脳機能障害・ ADL 低下の関連
長期臥床後の活動性低下 廃用症候群リハとして説明すべき状態か 臥床期間、活動量低下、筋力・持久力・ ADL 低下の経過
既往に脳卒中がある高齢患者 今回のリハ対象が脳血管疾患由来か、廃用由来か 今回の入院契機、急性増悪の有無、主たる阻害因子
複数の問題があるケース 最も適切な疾患別リハの区分を 1 つに整理できるか 選択した算定区分の理由、医師指示、カンファレンス内容

制度上の区分選択は、感覚的に決めると後から説明しにくくなります。リハ開始時点で、医師指示、対象疾患、起算日、標準的算定日数をセットで確認し、カルテ上でも「なぜその区分で算定するのか」が追える状態にしておくことが大切です。

現場の詰まりどころ

脳血管疾患等リハビリテーション料の施設基準は、通知を読めば理解できるように見えて、実際には人員・面積・ ST 室・記録・様式がつながっていないと詰まりやすくなります。特に、届出書類と現場運用が別々に管理されている施設では、更新時や配置変更時に確認のやり直しが起こりやすいです。

よくある失敗は、点数や区分だけで判断してしまうことです。施設基準記事として読むなら、Ⅰ〜Ⅲの点数差より、その区分を支える体制を院内で説明できるかを重視しましょう。

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脳血管疾患等リハ施設基準でよくある失敗と回避策
場面 NG OK
区分選択 点数だけで Ⅰ ・ Ⅱ ・ Ⅲ を見る 人員、面積、 ST 室、記録体制までセットで見る
ST 個別室 空き部屋を後から割り当てる 8 ㎡、遮蔽、使用ルール、器械・器具を先に確認する
平面図 古い図面のまま届出資料に使う 現在の使用状況、面積、室名を最新状態にそろえる
勤務表 様式 44 の 2 と勤務表を別々に管理する 職種、常勤・非常勤、専従・専任の整理を突合する
算定区分 脳血管リハと廃用症候群リハを感覚で分ける 対象疾患、起算日、標準的算定日数、医師指示で整理する

よくある質問

各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。

脳血管疾患等リハビリテーション料 Ⅰ ・ Ⅱ ・ Ⅲ は何が違いますか?

点数だけでなく、人員配置、専用機能訓練室の面積、 ST 個別療法室の確認、届出書類が異なります。実務では、まず Ⅰ ・ Ⅱ ・ Ⅲ の区分を確認し、その後に医師・ PT ・ OT ・ ST の配置、訓練室面積、 ST 室、記録体制を順に確認すると整理しやすくなります。

ST を行う場合、個別療法室は必要ですか?

はい。言語聴覚療法を行う場合は、遮蔽等に配慮した 8 ㎡ 以上の専用個別療法室を確認します。あわせて、聴力検査機器、音声録音再生装置、ビデオ録画システム等の器械・器具も確認点になります。

機能訓練室の面積はどこで確認しますか?

施設基準通知と届出時の配置図・平面図で確認します。Ⅰ は 160 ㎡ 以上、Ⅱ・Ⅲ は病院 100 ㎡ 以上、診療所 45 ㎡ 以上が確認点です。実際の届出では、管轄厚生局の届出一覧と様式を確認してください。

脳血管リハと廃用症候群リハはどう分けますか?

対象疾患、今回の入院契機、主たる機能低下の原因、起算日、標準的算定日数をセットで確認します。脳血管疾患等リハは 180 日、廃用症候群リハは 120 日が基本となるため、区分選択は退院支援や単位計画にも影響します。

次の一手

疾患別リハ全体の中で H001 の位置づけを確認したい場合は、疾患別リハビリテーション料とは? 5 区分・日数・単位 を先に読むと、心大血管・脳血管・廃用・運動器・呼吸器の違いを整理しやすくなります。

算定日数や起算日で迷う場合は、標準的算定日数とは?疾患別リハの見方と 13 単位 が続きます。 ST が関わる算定まで確認したい場合は、集団コミュニケーション療法とは?対象・算定要件 もあわせて確認してください。

施設基準全体の抜け漏れを横断で見直したい場合は、施設基準ハブ| PT が関わる要件・記録・委員会を最短で整理 からたどると回遊しやすくなります。

運用を整えても回しにくさが残る場合は、教育体制や記録文化も点検候補です。環境の詰まりを見直す無料チェックシート もあわせて使えます。


参考文献

  1. 厚生労働省.特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて
  2. 関東信越厚生局.特掲診療料の届出一覧(令和 8 年度診療報酬改定)
  3. PT-OT-ST.NET.H001 脳血管疾患等リハビリテーション料|令和 8 年診療報酬改定情報
  4. PT-OT-ST.NET.第 40 の 1 脳血管疾患等リハビリテーション料(Ⅰ)施設基準
  5. PT-OT-ST.NET.第 40 の 2 脳血管疾患等リハビリテーション料(Ⅱ)施設基準
  6. PT-OT-ST.NET.第 41 脳血管疾患等リハビリテーション料(Ⅲ)施設基準

著者情報

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rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3 学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター 2 級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

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