がん患者リハビリテーション料の対象・研修・記録

制度・実務
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がん患者リハビリテーション料は「対象・研修・記録」で確認します

がん患者リハビリテーション料で迷いやすいのは、「対象患者に該当するか」「研修修了者が関わっているか」「疾患別リハビリテーション料とどう違うか」「記録に何を残すか」です。この記事では、PT・OT・STが算定前に確認したい対象、施設基準、研修要件、算定単位、記録の型を実務向けに整理します。

がん患者リハビリテーション料とは

がん患者リハビリテーション料は、がんやがん治療に伴う機能低下・生活機能低下に対して、個別リハビリテーションを行う診療報酬項目です。

対象になるのは、単に「がんの診断がある患者」ではありません。入院中のがん患者で、手術、骨髄抑制を来しうる化学療法、放射線治療、造血幹細胞移植などの要件に該当し、医師が個別にがん患者リハビリテーションの必要性を認めることが前提です。

臨床では、疼痛、倦怠感、筋力低下、摂食・嚥下障害、呼吸状態、ADL低下、在宅復帰の課題などを踏まえて、リスク管理と生活機能支援を組み合わせて実施します。

対象患者は入院中のがん患者が中心です

がん患者リハビリテーション料の対象は、入院中のがん患者で、医師が個別にリハビリテーションの必要性を認める患者です。

がん患者リハビリテーション料の対象確認ポイント
確認項目 見るポイント 現場での確認例
入院中か 対象は入院中のがん患者が基本 入院目的、治療予定、退院方針を確認する
治療内容 手術、化学療法、放射線治療、造血幹細胞移植など 治療前後の状態、治療スケジュールを確認する
緩和ケア 在宅緩和ケア中の進行がん・末期がんの一時入院 症状増悪、在宅復帰目的、家族支援を確認する
医師の判断 個別に必要性が認められているか 指示内容、禁忌、中止基準を確認する

療養病棟や地域包括ケア病棟では、「がんがあるから対象」と判断するよりも、入院目的、治療内容、在宅復帰の目的、医師の指示を分けて確認すると整理しやすくなります。

施設基準は届出と研修修了者の体制を確認します

がん患者リハビリテーション料は、施設基準に適合し、地方厚生局へ届出を行った保険医療機関で算定する項目です。

リハ部門で確認したいのは、自施設が届出済みか、専任医師の体制があるか、がん患者リハに関する研修を修了したPT・OT・STが配置されているかです。異動や退職で研修修了者の配置が変わると、運用に影響する可能性があります。

研修要件は修了者一覧で管理します

がん患者リハビリテーション料では、がん患者リハビリテーションに関する適切な研修を修了したPT・OT・STが関わることが重要です。

実務では、研修修了証の保管、修了者一覧の更新、病棟担当表との照合が必要です。がん患者リハは、疾患名だけで判断するのではなく、治療内容、副作用、血液データ、疼痛、倦怠感、栄養状態、感染対策などを踏まえたリスク管理が求められます。

算定単位は20分以上を1単位、1日6単位までです

がん患者リハビリテーション料は、対象患者に対して、医師の指導監督の下、個別に20分以上のリハビリテーションを行った場合に1単位として算定します。上限は1日につき6単位までです。

がん患者リハビリテーション料の算定確認表
項目 確認内容 注意点
実施時間 個別に20分以上で1単位 短時間の観察や説明だけで単位化しない
実施者 研修を修了したPT・OT・STなど 担当者の研修修了状況を確認する
上限 1日6単位まで 複数職種で介入する場合は合計単位を確認する
医師の関与 医師の指導監督下で実施 禁忌、中止基準、治療スケジュールを共有する

疾患別リハビリテーション料との違い

がん患者リハビリテーション料は、心大血管、脳血管、廃用症候群、運動器、呼吸器などの疾患別リハビリテーション料とは別の項目です。

重要なのは、がん患者リハビリテーション料を算定している患者に対して、疾患別リハビリテーション料や障害児(者)リハビリテーション料を別に算定できない点です。がん患者に廃用や呼吸機能低下がある場合でも、対象要件と主たる目的を確認して算定区分を整理します。

がん患者リハビリテーション料と疾患別リハビリテーション料の違い
比較項目 がん患者リハビリテーション料 疾患別リハビリテーション料
対象 入院中のがん患者で対象要件を満たす患者 心大血管、脳血管、廃用、運動器、呼吸器などの対象疾患
目的 がんや治療に伴う機能低下・生活機能低下の予防と改善 各疾患・障害に応じた機能回復やADL改善
体制 がん患者リハに関する研修修了者などが必要 各疾患別リハの施設基準に基づく
併算定 疾患別リハ料などは別に算定できない 同一患者での算定関係に注意が必要

記録は目的・リスク・反応・次回方針を残します

がん患者リハビリテーション料では、実施時間や内容だけでなく、がん治療との関連、リスク確認、患者の反応、次回方針を記録に残すことが重要です。

開始時およびその後3か月に1回以上、患者または家族等へ計画内容を説明し、その要点を診療録等に記載する流れも確認します。リハ職の記録も、この多職種計画と矛盾しないように残します。

がん患者リハビリテーション料で残したい記録の型
記録項目 書く内容 記録例
目的 機能低下予防、ADL維持、在宅復帰など 化学療法中の活動量低下予防を目的に介入
リスク確認 疼痛、倦怠感、血液データ、感染対策、呼吸状態など 発熱なし、倦怠感あり、短時間離床から開始
実施内容 離床、歩行、ADL練習、嚥下、呼吸、家族指導など 端座位、立位練習、病棟内歩行を実施
反応 症状変化、バイタル、疲労、疼痛、継続可否 疼痛増悪なし、疲労感あり、次回は負荷量調整
次回方針 負荷量、介入頻度、連携先、説明事項 翌日は歩行距離よりADL動作確認を優先

よくある失敗は対象確認と記録不足です

がん患者リハビリテーション料で多い失敗は、「がん患者だから対象」と短絡してしまうことです。

実際には、入院中か、対象治療に該当するか、医師が必要性を認めているか、研修修了者が関わっているか、施設基準を満たしているかを分けて確認します。

がん患者リハビリテーション料でよくある失敗と修正ポイント
よくある失敗 なぜ問題か 修正ポイント
がん患者なら全例対象と考える 対象要件と医師の必要性判断が抜けやすい 入院中、治療内容、在宅復帰目的を確認する
研修修了者の確認が曖昧 施設基準や担当体制の説明が弱くなる 修了者一覧と担当表を定期更新する
歩行距離だけを記録する がん治療との関連やリスク管理が見えにくい 疼痛、倦怠感、治療日程、反応を併記する
疾患別リハとの違いが曖昧 算定区分の説明が難しくなる 主目的と対象要件をカンファレンスで共有する
がん患者リハビリテーション料の対象確認から記録までを5分で確認する実務フロー図
がん患者リハビリテーション料は、対象・体制・計画・実施・記録の流れで確認します。

5分で確認する実務フロー

算定前は、対象、医師判断、体制、計画、記録の順に確認すると抜けを減らせます。

がん患者リハビリテーション料の5分確認フロー
順番 確認すること OKの目安
1 対象患者か 入院中のがん患者で対象要件に該当する
2 医師の必要性判断があるか 目的、禁忌、中止基準、実施範囲が確認できる
3 施設基準と研修修了者を満たすか 届出済みで、研修修了スタッフが担当できる
4 多職種計画と説明があるか 計画内容、説明、診療録記載の流れがある
5 実施記録が残るか 時間、内容、反応、次回方針が記録されている

実際の現場では、リハ職だけで完結させず、医師、看護師、薬剤師、管理栄養士、MSWなどと情報共有することが大切です。特に化学療法中、術後早期、放射線治療中、緩和ケア目的の一時入院では、治療スケジュールとリハ負荷量を合わせて確認します。

よくある質問

各項目名をタップすると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。

がん患者であれば全員、がん患者リハビリテーション料の対象になりますか?

全員が自動的に対象になるわけではありません。入院中のがん患者で、対象となる治療や一時入院の要件に該当し、医師が個別にがん患者リハビリテーションの必要性を認めることが重要です。

外来のがん患者にも算定できますか?

対象患者は入院中のがん患者を中心に整理されています。外来でのリハを行う場合は、がん患者リハビリテーション料として扱えるかを自己判断せず、医事課や地方厚生局の資料に基づいて確認します。

疾患別リハビリテーション料と同じ日に別に算定できますか?

がん患者リハビリテーション料を算定している患者に対して、疾患別リハビリテーション料や障害児(者)リハビリテーション料は別に算定できません。対象要件と主たる目的を確認して算定区分を整理します。

記録では何を重視すればよいですか?

実施時間や内容だけでなく、がん治療との関連、疼痛、倦怠感、血液データ、栄養状態、嚥下、ADL、在宅復帰の課題、患者の反応を残します。なぜその介入を選んだかが分かる記録にすることが重要です。

研修修了者がいればすぐ算定できますか?

研修修了者の配置だけでなく、施設基準への適合、地方厚生局への届出、専任医師や多職種計画の体制、説明と記録の運用が必要です。リハ部門だけで判断せず、医師、看護部門、医事課と確認します。

次の一手

がん患者リハビリテーション料を整理したら、次は 疾患別リハビリテーション料の全体像 を確認しておくと、算定区分の違いを説明しやすくなります。

また、多職種計画や説明記録の流れを整理する場合は、リハビリテーション総合計画評価料 との関係も確認しておくと実務に落とし込みやすくなります。


参考文献

  1. 厚生労働省保険局医療課. 診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について. 保医発0305第6号. 2026. PDF
  2. 厚生労働省. 保険診療の理解のために. PDF
  3. 厚生労働省. 令和8年度診療報酬改定について. 公式ページ

著者情報

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rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blog を2022年4月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター2級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養、シーティング、摂食・嚥下

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