CFS(臨床虚弱尺度)使い方|聞き方と判定のコツ

評価
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CFS は「普段の状態(ベースライン)」を 1〜9 でそろえ、チームで重症度共有する評価です

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評価は「手順」だけでなく、運用(聞き方・記録・再評価)の揃え方でブレが減ります。全体像を 1 ページで確認できます。

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CFS( Clinical Frailty Scale:臨床虚弱尺度 )は、包括的高齢者評価( CGA )の結果を「 1〜9 」の重症度として要約し、医師・看護師・リハ職で同じ言語にそろえるためのツールです。ポイントは、いま目の前の急性増悪ではなく、普段の状態(ベースライン)を評価することです。

結論として、CFS を運用で強くするコツは、①ベースラインの取り方(聞き方)を固定し、②迷いやすい境界(特に「 4 と 5 」)の判断ルールを先に決め、③点数だけでなく「根拠(何ができないか)」を 1 行で残すことです。全体の使い分け( KCL → J-CHS → SPPB )はフレイル評価の選び方に整理しているので、迷ったら先に全体像を押さえるとブレが減ります。

5 分フロー|CFS を「迷わず」つける最短手順

CFS は “点数を当てる” より、ベースラインを正しく切り出すことが重要です。聞き方と判断順を固定すると、チーム共有が速くなります。

CFS を付ける 5 分フロー(ベースライン → 判定 → 記録)
手順 やること(最小セット) 迷いどころ 記録の一言
1 「普段の状態」を決める(急性増悪前の生活) 入院前がすでに不調だった ベースライン:入院 2 週前(家の生活)
2 IADL / ADL /移動(屋外・屋内)を短く聴く できる能力と “している頻度” の混同 家事:週何回/移動:屋外は誰と
3 支援の要否(見守り/一部介助/全面介助)を確認 家族が “手を出しすぎ” ている 介助:起立は見守り、入浴は一部介助
4 「 4 ↔ 5 」で迷う場合は “IADL の破綻” を優先して判断 年齢や印象で点数を決めてしまう 判定根拠:買い物は単独不可 → 5 寄り
5 点数+根拠を 1 行で固定(次回も同じ聞き方で再評価) 点数だけ残して理由が消える CFS: 5(買い物・金銭管理に支援)

CFS とは| 1〜9 の 9 段階で「虚弱の重症度」を要約します

CFS は、併存疾患、身体機能(移動・ ADL )、認知などを含めた “臨床判断ベース” の尺度です。スコアは 1〜9 で、上がるほど虚弱が強い(支援が増える)イメージになります。開発は Rockwood ら( CMAJ 2005 )で、現在は Version 2.0( 9 段階 )が広く使われています。

本文では項目文の転載はせず、運用で迷いやすい判断のコツに絞って整理します。詳細な定義と図は、配布元 PDF を参照してください(本文後半にリンクあり)。

CFS のスコア帯の目安(概要:転載ではなく要約)
スコア帯 大まかな状態 見るポイント(実務) 一言メモ
1〜3 活動性が高く、自立が中心 運動習慣、屋外活動、IADL 「できる」だけでなく「やっている」
4 脆弱(大きな支援はないが余力が少ない) 疲れやすさ、活動の縮小、予備力 “支援は少ないが落ちやすい”
5 軽度の虚弱(IADL に支援が入りやすい) 買い物・金銭・外出などの支援 境界は「 IADL の破綻」
6〜7 中等度〜重度( ADL に介助が必要) 更衣・入浴・移乗、屋内移動 “生活の基礎” に介助が入る
8〜9 非常に重度〜終末期(全面介助が中心) ベッド上中心、介助量、予後 9 は「終末期(余命 6 か月未満が目安)」

一番大事|CFS は「いま」ではなく「普段の状態」を付けます

入院中や急性増悪中は、誰でも活動が落ちます。CFS の目的は “急性期の重症度” を付けることではなく、普段の生活機能を要約して、予後や支援量の見立てをそろえることです。

そのため、聴取は「普段(急性イベントの前)の生活」を切り出し、できれば “いつの状態か” を文章で残します(例:入院 2 週前、介護サービス導入前など)。

ベースラインを切り出す「聞き方」テンプレ(短く・具体)
聞く順 質問(例) 拾うべき情報 メモの型
1 今回の体調を崩す前、家で “ふだん” はどんな 1 日でしたか? 活動の量と範囲 ベースライン:入院前(家)
2 買い物・金銭管理・薬の管理は、誰がしていましたか? IADL の支援 IADL:買い物は家族同伴
3 入浴・更衣・トイレは、見守りや手助けがありましたか? ADL の支援 ADL:入浴は一部介助
4 屋外の移動は、ひとりで行けましたか?(杖・手すり等) 移動範囲と転倒リスク 移動:屋外は杖、単独外出なし

迷いやすい「 4 と 5 」|境界は “IADL に支援が入るか” で判断します

臨床でいちばん迷いやすいのが「 4 と 5 」です。ここは、年齢や印象よりも、IADL(生活を回す活動)に支援が入っているかを優先して判断するとズレにくくなります。

CFS 4 と 5 の使い分け(実務の早見)
観点 4 寄り 5 寄り 判断のコツ
IADL 基本は自分で回せる(量が減った) 買い物・金銭・外出に支援が入る “支援の有無” を先に確認
活動範囲 屋外活動が残るが、頻度が落ちた 外出が限定され、単独が難しい 「ひとりで行けるか?」で切る
予備力 疲れやすいが大きな介助はない 小さなストレスで生活が崩れやすい “最近の生活の崩れ” を確認

認知症がある場合|CFS は「認知」も含めて臨床判断します

CFS は、認知を含めて虚弱の程度を要約します。認知症がある場合は、記憶・判断・社会性の低下が “生活の支援量” に影響するため、身体機能だけで点数を決めず、生活を回すために必要な支援を基準に整理するとズレにくくなります。

ただし、認知症の重症度だけで一律に当てはめず、実際の生活( IADL / ADL )とセットで判断するのが安全です。詳細な考え方は配布元 PDF の注意書きを参照してください。

現場の詰まりどころ|CFS がブレる “よくある失敗” と対策

CFS 運用でよくある失敗( OK / NG と対策 )
NG なぜ起きる? OK(対策) 記録で防ぐ一言
入院中の状態で付けてしまう ベースラインが切れていない 急性イベント前の生活で付ける ベースライン:入院前(家)
年齢や雰囲気で点数を決める 根拠が曖昧になりやすい IADL / ADL / 移動で根拠を固定 根拠:買い物は同伴が必要
4 ↔ 5 で毎回ブレる IADL の聴き方が人で違う 買い物・金銭・薬の 3 点で統一 IADL:金銭管理は家族
点数だけ残して理由が残らない 共有の行動が変わらない 点数+根拠を 1 行で残す CFS: 5(買い物・外出に支援)

記録の最小セット|点数より「根拠」を 1 行で固定します

CFS は臨床判断が入るため、点数だけ残すと “再現性” が落ちやすいです。おすすめは、点数と一緒に、支援が必要な行動(根拠)を 1 行で固定することです。

CFS 記録の 1 行テンプレ(コピペ用)
項目 書く内容 再評価のコツ
基準 いつの生活か ベースライン:入院 2 週前(自宅) “いつの状態か” を毎回書く
点数 CFS( 1〜9 ) CFS: 5 迷いは 4 / 5 で統一ルール
根拠 支援が必要な行動 根拠:買い物は家族同伴、金銭管理は家族 IADL を 3 点(買い物・金銭・薬)で固定

公式資料の入手先|詳細な定義と図は配布元 PDF を参照します

本文は運用の型に絞り、スコア定義や図表の転載はしていません。詳細は配布元の資料で確認してください。

CFS 日本語版 PDF を開く(日本老年医学会)

よくある質問(FAQ)

各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。

Q1. CFS は「いつの状態」で付けますか?

CFS は、急性増悪中の状態ではなく、普段の生活機能(ベースライン)を付けます。入院や感染などのイベントで一時的に落ちている場合は、イベント前の生活を切り出して評価し、記録に「いつの状態か」を残すとブレが減ります。

Q2. 4 と 5 で迷うときのコツは?

年齢や印象ではなく、IADL に支援が入っているかで判断するとズレにくいです。まず「買い物」「金銭管理」「薬の管理」の 3 点を聞き、どれかに継続的な支援が入っていれば 5 寄りとして根拠を 1 行で残します。

Q3. CFS と J-CHS はどちらを使えばいいですか?

目的で分けるのが実務的です。CFS は “重症度共有” に強く、短時間でチームの共通言語をそろえたいときに向きます。J-CHS は身体的フレイルの要素を 5 項目でそろえ、介入ターゲットを決めたいときに向きます。

Q4. 認知症があると点数はどう扱いますか?

CFS は認知を含めて判断します。身体機能だけでなく、生活を回すために必要な支援( IADL / ADL )を根拠に整理するとズレにくいです。詳細は日本語版 PDF の注意書きを参照してください。

Q5. 若年者や単一の障害(例:若い脳卒中)にも使えますか?

CFS は高齢者の包括的評価を要約する用途で作られています。年齢が若い人や、単一の障害で生活が制限されている人では解釈が難しい場合があります。適用に迷うときは、目的(何を共有したいか)を先に整理し、別の指標( ADL / 生活範囲 / 基本動作など)で根拠を揃えるほうが安全です。

次の一手|同ジャンルをまとめて整える

CFS は単独で使うより、「入口( KCL )」「共通言語( J-CHS )」「深掘り( SPPB )」の流れと一緒に運用すると、評価が介入につながりやすくなります。

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参考文献

  1. 日本老年医学会. 臨床虚弱尺度( Clinical Frailty Scale )日本語版( Version 2.0 ). 配布 PDF(参照日:2026-02-23).
  2. Rockwood K, Song X, MacKnight C, et al. A global clinical measure of fitness and frailty in elderly people. CMAJ. 2005;173(5):489-495. doi: 10.1503/cmaj.050051. PMID: 16129869.
  3. Church S, Rogers E, Rockwood K, Theou O. A scoping review of the Clinical Frailty Scale. BMC Geriatr. 2020;20:393. doi: 10.1186/s12877-020-01801-7. PMID: 33028215.
  4. 国立長寿医療研究センター. Clinical Frailty Scale の日本語版が改訂されました(周知). お知らせ(参照日:2026-02-23).

著者情報

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rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3 学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター 2 級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

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