結論:地域包括医療病棟は「会議体」と「記録先」を固定すると回ります
地域包括医療病棟でリハ・栄養・口腔を別々に動かすと、良いことをしていても「誰が」「いつ」「どこに」がズレて、連携がほどけます。結論として、会議体(集まる場)と記録先(元データの置き場)を先に固定し、入棟早期→中盤→退院前の順番で “やること” を揃えると、スタッフが変わっても質が落ちにくいです。
本記事は、制度の暗記ではなく、現場で手が動く形として最小セット( 5 点 )と5 分フローに落として整理します。カンファの議題、二重記録の回避、よくある失敗までまとめて、病棟の “回り” を作ります。
運用を整えるなら、まず「転職の全体フロー」を固定しておくと迷いが減ります。
地域包括医療病棟の運用は、教育体制・記録文化・人員配置で回り方が変わります。環境の選び方も含めて、全体像を 1 ページで整理しています。
地域包括医療病棟とは:対象と役割を 1 分で整理
地域包括医療病棟は、救急〜急性期の一部を担いながら、退院支援・在宅復帰までを病棟単位でつなぐ役割を持ちます。現場で大事なのは、点数や区分よりも、入棟直後から生活機能の方向性( ADL ・栄養・口腔 )を同じ地図で見て、退院前まで “同じ言葉” で引き継げることです。
つまり、リハは訓練室だけで完結させず、栄養・口腔と同じタイミングで評価と計画を回して、病棟 ADL に反映させる運用が核になります。
まず決める 5 点:担当・締め日・会議体・記録先・指標
制度変更に強い病棟は、要件の暗記より運用の 5 点固定が先にあります。ここが決まると、各職種が “迷いなく同じ方向” を向けます。
| 固定する項目 | おすすめの決め方 | 記録ポイント | よくある詰まり | 対策 |
|---|---|---|---|---|
| 担当(誰が) | 病棟窓口を 1 名固定(代替 1 名) | 役割分担表に明記 | 不在で止まる | 代替も同時に教育 |
| 締め日(いつ) | 週 1 回の締め(例:毎週火曜) | 評価未実施・欠損を拾う | 月末に集中 | 週次で小さく回す |
| 会議体(どこで) | 10 分カンファを週 2 回(短く固定) | 議題テンプレ( 3 行 ) | 話題が散る | “決めること” を 1 つに |
| 記録先(どこに) | 元データの置き場を 1 か所に統一 | 二重記録を禁止 | 同じ内容を二重入力 | 元データ→共有→必要分だけ転記 |
| 指標(何を見る) | ADL( BI など)+栄養+口腔を “同じ日” に | 評価日を必ず残す | 比較不能 | 同タイミングで再評価 |
5 分フロー:入棟早期→中盤→退院前で “やること” を固定
地域包括医療病棟で迷いが減るのは、毎回 “考える” ことを減らし、同じ順番で回すときです。おすすめは、入棟から退院までを 3 つに分けて、やることを固定することです。
| フェーズ | 最優先でやること | 見落としやすい点 | 記録の最小セット | 次アクション |
|---|---|---|---|---|
| 入棟早期( 1 ~ 3 日) | ADL・栄養・口腔の “ベースライン” を同日で取る | 評価条件がバラバラ | 評価日/評価条件/要点 3 行 | リスクと目標を 1 行で共有 |
| 中盤( 4 日~) | “病棟 ADL で再現” できる介入に寄せる | 訓練室だけで完結 | 介助量/移乗・歩行の条件 | 病棟スタッフへの依頼を固定 |
| 退院前( 72 時間) | 退院先で “続く形” に整える(食形態・口腔・運動) | 情報提供が断片化 | 変更点/注意点/フォロー先 | 退院後の “止めどき” を共有 |
カンファの型:議題テンプレ( 3 行 )で迷いを消す
カンファが長くなる原因は、情報の共有と意思決定が混ざることです。おすすめは、毎回の議題を3 行テンプレにして、決めることを 1 つに絞ることです。
| 行 | 書く内容 | 例 | 目的 |
|---|---|---|---|
| 1 行目 | 現状( ADL・栄養・口腔の要点) | BI 45、摂取量 6 割、口腔乾燥あり | 同じ地図で共有 |
| 2 行目 | 詰まり(いま困っている 1 点) | 移乗で立ち上がり不安、むせ増加 | 論点を固定 |
| 3 行目 | 決める(次の 48 時間の 1 つ) | 食形態を一段調整、離床は立位回数を優先 | 行動に落とす |
記録の型:二重記録を防ぐ「元データ 1 か所」
連携が崩れる最大の原因は、評価や所見が “あちこち” に散ることです。おすすめは、元データ(評価・所見・介入の核)を 1 か所に固定し、そこから共有・情報提供へ展開することです。
特に大事なのは、評価日と評価条件(体位・介助量・補助具)です。数値の解釈より先に、比較できる形に揃えると、再評価の意味が明確になります。
関連:診療報酬改定の全体像は、診療報酬改定ハブにまとめています。
現場の詰まりどころ:よくある失敗( O K / N G 早見)
運用は “頑張り” では続きません。つまずきやすいパターンを先に潰すと、初速が上がります。
| 論点 | N G(詰まる) | O K(回る) | 直し方(最小) |
|---|---|---|---|
| 連携 | 職種ごとに別々のタイミング | 同じ日・同じ会議体で束ねる | 評価日と会議を固定 |
| カンファ | 共有だけで終わり決まらない | 決めることを 1 つに絞る | 3 行テンプレを使う |
| 記録 | 元データが散り二重記録 | 元データ 1 か所 → 共有 | 置き場を決め “禁止” を明文化 |
| 退院前 | 情報提供が断片で抜ける | 変更点と注意点を定型でまとめる | 退院前 72 時間のチェックを固定 |
| 再評価 | 条件が違い比較できない | 同条件で再評価する | 条件をテンプレに入れる |
よくある質問
各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。
Q 1:最初に揃えるべきものは何ですか?
最初は制度の細部より、会議体(いつ集まるか)と記録先(元データの置き場)です。ここが決まると、担当や評価日、退院前の段取りが自然に揃います。
Q 2:カンファが長くなって回りません。
議題を3 行テンプレにして、決めることを 1 つに絞るのがおすすめです。共有と意思決定を分けず、10 分で “次の 48 時間の 1 つ” を決めます。
Q 3:リハと栄養と口腔の優先順位がぶつかります。
優先順位は “正解” を探すより、同じ地図( ADL・摂取・口腔 )で見て、詰まりを 1 点に絞ると整理できます。例えば「むせが増えて離床が止まる」など、ボトルネックを先に潰します。
Q 4:二重記録が避けられません。
元データ(評価・所見)の置き場を 1 か所に決め、二重記録を “禁止” として明文化します。最低限、評価日・評価条件・要点 3 行を元データに残すと、共有と情報提供が楽になります。
Q 5:退院前にバタバタして漏れます。
退院前は “増やす” より固定するが有効です。退院前 72 時間のチェック(変更点/注意点/フォロー先)を定型化し、会議体で最終確認する流れにすると漏れが減ります。
次の一手
まずは、病棟で5 点固定(担当・締め日・会議体・記録先・指標)を決めて、2 週間だけ回してみてください。制度解釈の精度より、同じ順番で回ることを優先すると、連携がほどけにくくなります。
運用を整える → 共有の型を作る → 環境の詰まりも点検(無料チェックシート)
教育体制・記録文化・人員の詰まりは、個人の努力だけでは解消しにくいです。環境面も含めて見直すと、病棟の “回り” が変わります。
参考文献
- 厚生労働省. 令和 8 年度診療報酬改定に係るこれまでの議論の整理(案). https://www.mhlw.go.jp/public/bosyuu/iken/dl/p20260114-01-01.pdf
- 厚生労働省. 中央社会保険医療協議会(資料:リハビリテーション・栄養・口腔連携等に関する記載を含む). https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/001637096.pdf
著者情報
rehabilikun(理学療法士)
rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。
- 脳卒中 認定理学療法士
- 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
- 登録理学療法士
- 3 学会合同呼吸療法認定士
- 福祉住環境コーディネーター 2 級
専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下


