ここちあ利楽flowの使い方|スモールフロー・しっかりモード

臨床手技・プロトコル
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ここちあ利楽flowの使い方|まず確認したい機能と設定

結論:ここちあ利楽flowは、かたさ自動運転を中心に、背上げ時のバックサポート、臥床中のスモールフロー、起き上がり・端座位時のしっかりモードなどが患者の姿勢や動作に応じて働くエアマットレスです。使いこなすポイントは、すべてを手動調整することではなく、「どの機能が、いつ、何のために作動するか」を理解することです。

この記事では、パラマウントベッドの公式情報・取扱説明書をもとに、ここちあ利楽flowの主要機能と使い方を整理します。そのうえで、理学療法士が背上げ・起き上がり・端座位・離床時に確認したいポイントまで解説します。

体圧分散マットレス自体の選び方を確認したい方へ

製品を選ぶ段階から確認したい場合は、体圧分散マットレスの種類と選び方から確認してください。

ここちあ利楽flowの5つの機能と作動条件。かたさ自動運転、バックサポート、スモールフロー、しっかりモード、圧切替・除湿を整理した図版
ここちあ利楽flowの主要機能と、作動する場面を整理した図
ここちあ利楽flowの主要機能と確認する場面
機能 主な役割 確認する場面
かたさ自動運転 体重・体型・姿勢・背角度などに応じて内圧を自動調整する 通常の臥床、姿勢変化、背上げ
バックサポート 背上げ時にスモールフローセルを膨張させ、姿勢保持を補助する 背上げ、食事姿勢
スモールフロー 4つのセルを順番に膨張・収縮させ、小さな体位変化をつくる 臥床中
しっかりモード エアセル内圧を上げ、端座位や体位変換を行いやすくする 起き上がり、端座位、離床
圧切替・除湿 圧の切替やマットレス内部の湿気・熱への対応を補助する 通常使用中

なお、ここちあ利楽flowは褥瘡・圧迫損傷対策を支える支持面のひとつです。マットレスだけで褥瘡を予防できるわけではなく、患者の全身状態、活動性、体位変換、栄養状態、皮膚・湿潤管理などと組み合わせて使用します。

かたさ自動運転|i-fittingを基本に考える

ここちあ利楽flowでは、i-fittingによる「かたさ自動運転」が基本となります。電源を入れると、患者の体重・体型などを検知してマットレス内圧を自動設定し、その後も姿勢や背角度に応じて調整します。

公式情報では、体重連動自動調圧、体型連動自動調圧、背角度連動自動調圧を組み合わせて運転する仕組みが示されています。体重は20〜180kgの範囲で自動判定され、体型や姿勢の変化にも対応します。

PTが見るべきなのは、操作パネルの設定だけではありません。臥床時の沈み込み、骨盤・体幹の位置、背上げによるずれ、起き上がりへ移る際の支持性など、実際の身体反応と合わせて確認します。

ここがポイント

「エアマットレスだから柔らかい」と一括りにせず、患者の姿勢や背角度に応じて内圧が変化していることを理解したうえで、動作への影響を確認します。

バックサポート|背上げ約30°以上で作動

バックサポート機能は、ベッドの背角度が約30°以上になると、4つのスモールフローセルを膨張させて背上げ時の姿勢保持を補助します。

そのため、背上げ後の姿勢を見るときは、単に「沈んでいる」「ずれている」と判断するのではなく、バックサポートが働いた状態で身体がどこに位置しているかを確認することが重要です。

バックサポート作動時にPTが確認したいポイント
確認項目 見るポイント
骨盤 背上げ後に骨盤後傾やずり下がりが強くなっていないか
体幹 左右への傾きや過度な屈曲が生じていないか
下肢 下肢の位置や支持が崩れていないか
次の動作 背上げ姿勢から起き上がり・端座位へ移りやすいか

バックサポートは、患者ごとに適切な座位姿勢を自動的に完成させる機能ではありません。麻痺、拘縮、円背、疼痛、ベッド上の開始位置などによって姿勢は変わるため、作動後の身体所見を確認します。

スモールフロー|4セルが15分ずつ作動する

スモールフロー機能では、4つのスモールフローセルが1つずつ15分間、順番に膨張・収縮し、小さな体位変化を自動で繰り返します。

大きく身体を向ける従来の体位変換とは異なり、エアセルの動きによって身体へ小さな変化を加える機能です。ただし、スモールフローを使えば体位変換や褥瘡ケアが不要になるわけではありません。

また、スモールフロー機能はOFFに設定できます。公式FAQでは、自動スモールフローでA〜Dのセルを無効にする方法と、手動設定で各セルを0にする方法が示されています。

患者ごとに適否を確認する

体位変化を避ける必要がある患者や、特定方向への動きを制限する必要がある場合は、スモールフローを機械的に使用せず、治療上の制限と取扱説明書を確認して設定します。

しっかりモード|端座位・離床時の支持性を高める

しっかりモードは、ベッドへの乗り降り、端座位、体位変換などを行いやすくするためにエアセル内圧を上昇させる機能です。作動中はスモールフロー用エアセルが収納されます。

ここちあ利楽flowには、自動しっかりモードと手動しっかりモードがあります。自動しっかりモードでは、寝位置センサーが患者の起き上がり、マットレス端への寝返り、端座位などを検出して自動でしっかりモードを作動させます。

自動しっかりモードと手動しっかりモード
項目 自動しっかりモード 手動しっかりモード
開始 起き上がり・端への寝返り・端座位などを検出して作動 操作パネルの「しっかり」ボタンで作動
使う場面 日常的な離床動作への自動対応 離床やケアなどで意図的に支持性を高めたい場面
注意点 姿勢・動作・使用環境によって正しく検出されない場合がある 手動作動後は60分経過すると自動的にOFFになる

PTが端座位を行う際は、「自動機能があるから任せる」のではなく、しっかりモードが実際に作動しているかを確認します。自動検出されない場合や、離床前から支持性を高めたい場合は、取扱説明書と施設内の運用に沿って手動操作します。

圧切替・除湿は何をしているのか

圧切替と除湿は、臥床中の体圧分散とマットレス内部の環境を支える機能です。離床動作に直接使う機能とは役割が異なるため、しっかりモードと分けて理解します。

圧切替・除湿の考え方
機能 役割 確認の視点
圧切替 エアセルを順次膨張・収縮させ、接触圧の持続を軽減する 設定・作動状態と患者の安楽性を確認する
除湿 マットレス内部へ空気を送り、湿気や熱の排出を補助する 発汗、湿潤、寝具環境などと合わせて確認する

湿潤や熱は支持面だけで評価せず、発汗、失禁、寝衣、シーツ、室温、皮膚状態なども含めて確認します。マットレス機能だけで微気候管理を完結させないことが重要です。

PTが背上げ・起き上がり・端座位で見るポイント

PTが確認したいのは、各機能がONかどうかではなく、機能が作動した状態で患者の姿勢・動作がどう変わるかです。公式に示された製品機能と、患者ごとの臨床所見を分けて評価します。

ここちあ利楽flow使用時のPTの観察ポイント
場面 関連する機能 確認する所見
背上げ かたさ自動運転、バックサポート 骨盤のずり下がり、骨盤後傾、体幹の傾き、圧迫感
起き上がり かたさ自動運転、しっかりモード 体幹・上肢支持、臀部の沈み込み、介助量、動作の再現性
端座位 しっかりモード 臀部の沈み込み、足底接地、骨盤位置、座位保持
移乗準備 しっかりモード 前方重心移動、足底荷重、手支持、立ち上がりへの移行

たとえば端座位が不安定な場合、「エアマットレスだから不安定」と結論づける前に、しっかりモードの作動、ベッド高、足底接地、臀部位置、体幹機能、麻痺などを分けて確認します。

しっかりモードが作動していても座位が安定しなければ、マットレス設定だけで解決しようとせず、身体機能や環境設定、介助方法を再評価します。

停電時はどうなるか

停電時はマットレス内の空気を保持しますが、圧切替などの機能は通常どおりには作動しません。

パラマウントベッドによると、ここちあ利楽flowは停電すると空気の排出を自動停止し、使用状況によって異なるものの約2週間空気を保持できます。一方で、停電中は圧切替などの除圧効果や機能は働きません。

また、スモールフロー用エアセルは膨張状態を維持します。停電中は「空気が残っているから通常どおり」と考えず、患者の状態、皮膚、姿勢、体位変換の必要性などを確認しながら施設の停電時手順に沿って対応します。電源復旧後は、停電前の設定が維持されます。

ここちあ利楽flowを使うときの注意点

製品機能だけで褥瘡・圧迫損傷対策を完結させないことが重要です。ここちあ利楽flowの取扱説明書でも、本製品だけでは床ずれを予防できず、全身管理や体位変換などのケアを並行する必要があるとされています。

2026年版International Guidelineでも、支持面は個人の体格や体重分布、可動性、安全性、メーカーの推奨範囲などを踏まえて選択することが示されています。

安全上の確認

実際の設定・操作は、使用している製品の最新取扱説明書と施設内の運用手順を優先してください。患者の状態や治療上の制限によっては、スモールフローなどの体位変化を伴う機能が適さない場合があります。

よくある質問

スモールフローはOFFにできますか?

できます。公式FAQでは、自動スモールフローでA〜Dのセルを無効にする方法と、手動設定で各セルを0にする方法が示されています。患者の治療上の制限や姿勢条件を確認したうえで設定します。

バックサポートは何度から作動しますか?

バックサポート機能は、ベッドの背角度が約30°以上になると4つのスモールフローセルを膨張させ、背上げ時の姿勢保持を補助します。

端座位では毎回しっかりボタンを押しますか?

自動しっかりモードを設定している場合は、端座位などを検出して自動で作動します。ただし、患者の動作・姿勢や使用環境によって正しく検出されない場合があります。離床前に作動状態を確認し、必要に応じて手動しっかりモードを使用します。

手動しっかりモードはいつまで続きますか?

手動しっかりモードは、再度「しっかり」ボタンを押すとOFFになります。また、60分経過すると自動的にOFFとなり、作動前の機能設定へ戻ります。

停電してもそのまま使用できますか?

空気は保持されますが、停電中は圧切替などの機能が働きません。通常運転と同じ状態ではないため、患者状態を確認し、施設の停電時手順と取扱説明書に沿って対応します。

マットレスの仕様を比較するときは

ここちあ利楽flowの操作ではなく、「17cmという厚さをどう考えるか」「エアマットレスの構造や性能表示をどう比較するか」を確認したい場合は、体圧分散マットレスの厚さ・構造の考え方をご覧ください。


参考文献

  1. パラマウントベッド株式会社. エアマットレス ここちあ利楽 flow [Internet]. Available from: https://www.paramount.co.jp/series/3/3000044/
  2. パラマウントベッド株式会社. エアマットレス ここちあ利楽flowシリーズ 取扱説明書 [Internet]. Available from: 公式取扱説明書
  3. パラマウントベッド株式会社. 電動ベッド等の停電時の対応について [Internet]. Available from: https://www.paramount.co.jp/contact/power_failure/
  4. National Pressure Injury Advisory Panel, European Pressure Ulcer Advisory Panel, Pan Pacific Pressure Injury Alliance. Full Body Support Surfaces for Prevention of Pressure Injuries. In: Haesler E, editor. Prevention and Treatment of Pressure Ulcers/Injuries: Clinical Practice Guideline. 4th ed. 2026 [Internet]. Available from: https://www.internationalguideline.com/surfaces

著者情報

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blogを2022年4月に開設。急性期・回復期・療養病棟、介護福祉施設、訪問リハビリテーションでの臨床経験をもとに、理学療法評価、臨床手順、記録用紙、医療制度などの実務情報を発信しています。

現在は療養病院に勤務し、脳卒中、褥瘡・創傷ケア、リハビリテーション栄養、呼吸リハビリテーションを中心に臨床・教育活動を行っています。

保有資格

  • 脳卒中認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター2級

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