認知症ケア加算|身体的拘束を実施した日は 40% 算定:判断と記録の型
認知症ケア加算では、身体的拘束を実施した日に限り、所定点数の 100 分の 40( 40% )に相当する点数で算定します。実務で差が出るのは制度知識そのものより、「実施した日」を誰が見ても再現できる記録運用です。
本記事では、算定ルールの要点、拘束の線引き、開始・解除・必要状況の残し方を、病棟で回しやすい型に整理します。
同ジャンルで回遊:まず総論で施設基準と運用フローを確認すると、拘束時の記録設計が安定します。
結論:拘束を実施した日は 40% 算定。開始日・解除日・必要状況を記録する
押さえる点は 2 つです。①身体的拘束を実施した日は所定点数の 40% で算定すること。②この点数を算定する場合は、開始日・解除日・拘束が必要な状況等を診療録等に記載することです。
実務では、算定の可否よりも「記録の再現性」が監査対応を左右します。誰が見ても時系列を追える記録に統一しておくと、確認・説明の手戻りを減らせます。
まず押さえる:身体的拘束の線引きを病棟で統一する
身体的拘束の扱いは、院内の方針・手順に沿って「どの行為を拘束と扱うか」を先に統一します。認知症ケアチームと拘束最小化の運用を分けるより、同じ判定・記録テンプレで回す方がブレを抑えられます。
また、実施前に代替策(環境調整、疼痛、排泄、睡眠、活動性、付き添い配置)を検討した経過を残すと、必要性の説明が通りやすくなります。
記録の最小セット|開始・解除・必要状況を 1 か所に束ねる
看護記録、カンファ記録、申し送りに情報が分散すると、算定確認のたびに照合作業が発生します。拘束関連はテンプレ 1 枚に集約する運用が有効です。
| 項目 | 何のため | 書き方のコツ | よくある抜け |
|---|---|---|---|
| 開始日・時刻 | 「実施した日」の再現 | 日付と時刻をセットで記録 | 時刻がなく判定が曖昧 |
| 解除日・時刻 | 最小化の根拠 | 解除条件(改善点)を 1 行追記 | 解除記載がなく継続扱い |
| 必要な状況 | 説明可能性の担保 | 転倒切迫・治療中断リスク等を具体化 | 「不穏」のみで具体不足 |
| 代替策の検討 | 最小化の実装 | 環境/疼痛/排泄/睡眠/活動性で記録 | 代替策の経過がない |
| 再評価の期限 | だらだら継続の防止 | 24〜72 時間で区切り次回判定を固定 | 期限未設定 |
よくある失敗|「実施した日」の扱いが揺れて手戻りになる
手戻りの主因は、制度理解よりも運用の揺れです。先に失敗パターンを潰しておくと、監査対応が安定します。
| 失敗 | 起きる理由 | 回避策 | 確認の一言 |
|---|---|---|---|
| 開始・解除が散在 | 記録媒体が分かれている | テンプレ 1 枚に固定 | 1 か所で時系列を追えるか? |
| 必要状況が抽象的 | 表現が一般語に偏る | 転倒切迫・ライン抜去等で具体化 | 第三者が再現できるか? |
| 再評価期限がない | 見直しタイミング未設定 | 48 時間など短期固定 | 次回で解除可否を判断できるか? |
現場の詰まりどころ|読ませるゾーン(ボタン無し)
よくある質問
各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。
拘束を実施した日は、なぜ 40% 算定になるのですか?
認知症ケア加算では、身体的拘束を実施した日は所定点数の 100 分の 40 に相当する点数で算定すると定められているためです。運用上は「実施した事実」を時系列で再現できる記録が重要です。
40% で算定する場合、最低限どこまで記録が必要ですか?
開始日・解除日・拘束が必要な状況等を診療録等に記載します。実務では、開始/解除の時刻、必要状況の具体、再評価期限までを 1 か所にまとめると確認が速くなります。
日跨ぎで実施した場合、「実施した日」はどう扱いますか?
院内ルールで判定基準を固定し、開始・解除の時刻を明確に残して運用を統一するのが安全です。病棟ごとに解釈が揺れないよう、委員会やチームで判定手順を文書化しておきます。
認知症ケアチームと拘束最小化の運用は分けるべきですか?
分けるより、同じテンプレート(開始/解除/必要状況/再評価期限)で一体運用する方が、情報分断と手戻りを防ぎやすくなります。
次の一手|運用を整える → 共有の型を作る → 環境も点検する
参考文献
著者情報
rehabilikun(理学療法士)
rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。
- 脳卒中 認定理学療法士
- 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
- 登録理学療法士
- 3 学会合同呼吸療法認定士
- 福祉住環境コーディネーター 2 級
専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下


