せん妄ハイリスク患者ケア加算|3日以内の確認・対策・記録

制度・実務
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せん妄ハイリスク患者ケア加算|3日以内の確認から対策・再評価まで

せん妄ハイリスク患者ケア加算(A247-2)は、せん妄のリスク因子を確認し、ハイリスク患者へ必要な対策を行った場合に算定する入院基本料等加算です。2026年度は100点・入院中1回で、リスク因子の確認は入院前または入院後3日以内、該当した患者への対策は確認後速やかに行います。

実務では、「70歳以上だけを見ればよい」「再評価は48時間後と決まっている」といった混同を避けることが重要です。本記事では、2026年度の公式資料をもとに、リスク因子、せん妄対策、定期確認、記録までを整理し、院内運用に使えるExcel・PDFの記録・再評価シートも配布します。

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結論|3日以内に確認し、該当時は速やかに対策する

せん妄ハイリスク患者ケア加算では、「入院前または入院後3日以内にリスク因子を確認する→1項目以上該当したら必要なせん妄対策を速やかに行う→その後も定期的にせん妄の有無を確認する」という時間軸を押さえることが重要です。

せん妄ハイリスク患者ケア加算の基本フロー
段階 確認・対応 実務上のポイント
リスク確認 入院前または入院後3日以内 院内で作成したチェックリストに基づいて確認する
ハイリスク判定 リスク因子に1項目以上該当 どのリスク因子に該当したか残す
せん妄対策 リスク確認後速やかに実施 患者の状態に応じた対策を選択する
定期確認 対策後もせん妄の有無を確認 全国一律の24・48・72時間という固定間隔ではない
せん妄ハイリスク患者ケア加算の確認から定期確認までの流れを示した図
せん妄ハイリスク患者ケア加算では、「3日以内のリスク確認→ハイリスク判定→速やかな対策→定期確認→対応・共有」の流れで整理すると運用しやすくなります。

図のとおり、「3日以内」はリスク因子を確認する期限です。せん妄対策を3日目まで待ってよいという意味ではありません。ハイリスクと判断した場合は、リスク確認後速やかに対策へ進みます。

リスク因子|別紙様式7の3では7項目を確認する

厚生労働省の別紙様式7の3「せん妄ハイリスク患者ケア加算に係るチェックリスト」では、次の7項目がせん妄のリスク因子として示されています。

別紙様式7の3に示されるせん妄のリスク因子
リスク因子 確認の考え方
70歳以上 入院時の年齢を確認する
脳器質的障害 診断・既往などの情報を確認する
認知症 認知症の診断情報を確認する
アルコール多飲 入院前の飲酒状況を確認する
せん妄の既往 過去の入院・手術時を含めて確認する
リスクとなる薬剤の使用 特にベンゾジアゼピン系薬剤などを確認する
全身麻酔を要する手術後またはその予定 手術後であるか、全身麻酔を要する手術予定があるか確認する

2026年度の診療報酬明細書の記載要領では、これらに加えて「その他」のリスク因子を選択するコードも設けられています。本記事の配布シートでも、別紙様式7の3に列挙された7項目と「その他」を分けて記録できるようにしています。

70歳以上は「せん妄の診断基準」ではない

ここでいう「70歳以上」は、A247-2のリスク確認項目の1つです。70歳以上であればせん妄と判断するものでも、70歳未満ならせん妄リスクがないという意味でもありません。

70歳未満でも、認知症、せん妄の既往、リスクとなる薬剤の使用、全身麻酔を要する手術後またはその予定など、他のリスク因子に該当する可能性があります。年齢だけで対象を絞らず、チェックリスト全体を確認します。

せん妄対策|1項目以上該当したら必要な対応へ進む

別紙様式7の3では、リスク因子に1項目以上該当する場合、ハイリスク患者として次のせん妄対策を実施する形になっています。

別紙様式7の3に示されるせん妄対策
対策 公式様式に示される内容
認知機能低下への介入 見当識の維持など
脱水の治療・予防 適切な補液と水分摂取
リスクとなる薬剤への対応 特にベンゾジアゼピン系薬剤などの漸減・中止
早期離床 早期離床への取組
疼痛管理 痛みの客観的評価の併用などを含む疼痛管理の強化
睡眠管理 非薬物的な入眠促進などを含む適切な睡眠管理
本人・家族への情報提供 せん妄に関する情報提供

すべての患者へ同一の介入を機械的に行うのではなく、確認したリスクと患者の状態に応じて必要な対策を選びます。2026年度のレセプト記載では、せん妄対策についても「その他」の選択肢があります。

PT・OT・STは早期離床と状態変化の共有に関わる

公式のせん妄対策には「早期離床の取組」が含まれているため、PT・OT・STが関わる場面があります。ただし、離床を行った事実だけで終わらせず、覚醒状態、注意、疼痛、呼吸・循環状態、安全性、普段との反応の違いなどを観察し、変化があれば病棟へ共有することが重要です。

リハビリテーション中に急な傾眠、不穏、注意低下、指示理解の変化などを認めた場合は、加算のチェックとは分けて患者の状態変化として対応します。実際にせん妄を疑った場面での確認手順は、せん妄で最初に見るポイントとPT・OTの初期対応で整理しています。

定期確認|24・48・72時間という固定期限ではない

ハイリスク患者では、せん妄対策を実施した後も定期的にせん妄の有無を確認し、早期発見に努めることが示されています。

一方、別紙様式7の3では「24時間後」「48時間後」「72時間後」といった全国一律の再評価間隔は指定されていません。したがって、特定の時間を算定要件として固定せず、患者の状態や自院の手順に応じて確認時期を設定します。

再評価では、単に「せん妄あり・なし」を残すだけではなく、覚醒、注意、行動、睡眠、疼痛、活動性など前回から変化した所見と、その後に行った対応・共有内容を残しておくと経過を追いやすくなります。

記録|リスク確認・対策・定期確認を一続きで追えるようにする

せん妄ハイリスク患者ケア加算では、リスク確認と対策を院内で作成したチェックリストに基づいて行います。記録では、少なくとも「いつ確認したか」「何に該当したか」「いつ・何を対策したか」が追える状態にします。

記録で整理したい項目
項目 内容 位置づけ
入院日 入院年月日 時間軸を確認する基準
リスク因子確認日 入院前または入院後3日以内に確認した日 公式様式に記載欄あり
該当リスク因子 該当した項目を記録 ハイリスク判定の根拠
せん妄対策実施日 対策を実施した日 公式様式に記載欄あり
実施した対策 患者に実施した対策を記録 対応内容を追跡する
定期確認 せん妄の有無・疑い、状態変化を記録 早期発見につなげる
対応・共有 対応内容、共有先、次に確認すること 院内運用を継続しやすくする

「担当」「共有先」「次回確認予定」などは院内運用を安定させるために有用ですが、これらを全国一律の算定要件と混同しないようにします。公式要件と、自院で経過を追うための追加項目を分けて設計することが重要です。

無料配布|記録・再評価シート A4 v3【Excel・PDF】

せん妄ハイリスク患者ケア加算について、リスク確認→ハイリスク判定→せん妄対策→定期確認までをA4縦1枚で追える「記録・再評価シート」を作成しました。

厚生労働省の別紙様式7の3を参考に、7つのリスク因子と7つの対策を収載し、再評価では固定の24・48・72時間を設定せず、患者状態や院内手順に応じて記録できる構成にしています。

せん妄ハイリスク患者ケア加算 記録・再評価シート A4 v3

Excel版は院内ルールに合わせて編集したい場合、PDF版はそのまま印刷して使用したい場合に利用できます。

Excel版を開く・ダウンロードする

PDF版を開く・ダウンロードする

このシートは厚生労働省の公式様式そのものではありません。別紙様式7の3を参考に、rehabilikun blogが院内での記録・定期確認まで追いやすいよう再構成した独自様式です。実際の算定・運用では、最新の公的資料、自院の届出状況、院内手順もあわせて確認してください。

よくある間違い|3日以内・70歳以上・再評価期限を混同しない

せん妄ハイリスク患者ケア加算で混同しやすいポイント
誤解しやすい考え方 正しい整理
対策まで3日以内に終えればよい 3日以内はリスク因子確認の期限。ハイリスク患者への対策は確認後速やかに行う
70歳未満は対象にならない 年齢以外のリスク因子も確認し、1項目以上該当する場合は対策へ進む
再評価は48時間後と決まっている 公式様式では固定時間ではなく、定期的なせん妄の有無の確認が示されている
早期離床だけ行えばよい 患者のリスクと状態に応じて必要な対策を検討する
確認日だけ記録すればよい 該当リスク、対策内容、実施日、定期確認まで一続きで追える形にする

よくある質問

「入院後3日以内」は、せん妄対策まで3日以内という意味ですか?

いいえ。3日以内と示されているのはリスク因子の確認です。リスク因子を確認し、ハイリスクと判断した場合は、その確認後速やかにせん妄対策を行います。

70歳未満ならせん妄ハイリスク患者ケア加算の対象外ですか?

年齢だけでは決まりません。認知症、せん妄の既往、リスクとなる薬剤の使用、全身麻酔を要する手術後またはその予定など、他のリスク因子も確認します。

せん妄の再確認は24時間後や48時間後と決まっていますか?

別紙様式7の3では、全国一律の24・48・72時間という間隔は指定されていません。ハイリスク患者について、せん妄対策を実施したうえで定期的にせん妄の有無を確認し、早期発見に努めることが示されています。

配布しているExcel・PDFは厚生労働省の公式様式ですか?

いいえ。厚生労働省の別紙様式7の3を参考に、リスク確認、対策、定期確認、共有まで記録しやすいようrehabilikun blogが再構成した院内運用向けの独自様式です。施設ごとの運用に合わせて確認・調整して使用してください。

次の一手|制度上の確認と発症後の臨床対応を分ける

せん妄ハイリスク患者ケア加算では、まず「入院前または入院後3日以内のリスク確認→該当時の速やかな対策→定期確認」という制度上の流れをそろえます。

一方、実際に覚醒、注意、行動、指示理解などの急な変化が生じた場合は、算定チェックとは別に患者の安全確認と原因検索につなげる必要があります。

参考文献

  1. 厚生労働省.診療報酬の算定方法.A247-2 せん妄ハイリスク患者ケア加算.厚生労働省
  2. 厚生労働省.別紙様式7の3 せん妄ハイリスク患者ケア加算に係るチェックリスト.PDF
  3. 厚生労働省.基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて.保医発0305第7号.PDF

著者情報

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rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blogを2022年4月に開設。急性期・回復期・療養病棟、介護福祉施設、訪問リハビリテーションでの臨床経験をもとに、理学療法評価、臨床手順、記録用紙、医療制度などの実務情報を発信しています。

現在は療養病院に勤務し、脳卒中、褥瘡・創傷ケア、リハビリテーション栄養、呼吸リハビリテーションを中心に臨床・教育活動を行っています。

保有資格

  • 脳卒中認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター2級

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