障害児(者)リハビリテーション料は対象患者・施設基準・記録を順番に確認します
障害児(者)リハビリテーション料は、脳性麻痺、先天異常、神経筋疾患、神経障害による麻痺・後遺症、発達障害などに対して、個々の症例に応じたリハビリテーションを行う診療報酬です。この記事では、PT・OT・STが算定前に迷いやすい対象患者、施設基準、職種配置、記録、他のリハ料との違いを、現場で確認しやすい順番で整理します。
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障害児(者)リハビリテーション料とは
障害児(者)リハビリテーション料は、対象患者に対して、運動機能、姿勢、移動、ADL、摂食・嚥下、コミュニケーション、認知・行動面などを踏まえ、個々の症例に応じてリハビリテーションを行う項目です。
名称に「障害児」とありますが、小児だけに限定して考えると誤解が生じます。制度上は障害児(者)として整理されており、対象患者、医師の必要性判断、施設基準、記録体制を分けて確認することが重要です。
対象患者は疾患名だけでなく障害像と必要性で確認します
対象患者は、届出済み施設の入所者、入院患者、通園者、通院患者のうち、医師がリハビリテーションを必要と認めた患者です。
代表的には、脳性麻痺、胎生期または乳幼児期に生じた脳・脊髄の奇形や障害、顎・口腔の先天異常、先天性の体幹四肢の奇形や変形、先天性神経代謝異常症、大脳白質変性症、先天性または進行性の神経筋疾患、神経障害による麻痺および後遺症、言語障害・聴覚障害・認知障害を伴う発達障害などが含まれます。
| 区分 | 対象の例 | リハ職が確認すること |
|---|---|---|
| 運動・姿勢障害 | 脳性麻痺、先天性四肢奇形、体幹四肢の変形など | 姿勢、移動、上肢機能、ADL、装具、環境調整 |
| 先天異常 | 脳・脊髄の奇形、顎・口腔の先天異常など | 発達経過、摂食・嚥下、呼吸、家族支援 |
| 神経筋疾患 | 進行性筋ジストロフィー症、脊髄小脳変性症など | 進行性、疲労、呼吸、移動手段、生活支援 |
| 後天性神経障害 | 低酸素性脳症、頭部外傷、脳炎、脊髄損傷など | 麻痺、認知、回復経過、生活再構築 |
| 発達障害など | 言語・聴覚・認知障害を伴う自閉症等 | コミュニケーション、認知特性、行動面、家族支援 |
施設基準は患者要件とは別に確認します
障害児(者)リハビリテーション料は、施設基準に適合し、地方厚生局へ届出を行った保険医療機関で算定します。
現場で大切なのは、「患者が対象に見える」ことと「施設として算定できる」ことを分けて確認することです。施設類型、届出状況、対象患者割合、人員体制、機能訓練室などは、リハ部門だけで判断せず、医事課や施設基準担当者と確認します。
| 確認項目 | 見るポイント | 現場での注意点 |
|---|---|---|
| 施設類型 | 医療型障害児入所施設、指定発達支援医療機関など | 制度上の施設区分を確認する |
| 届出 | 地方厚生局への届出 | 算定開始前に届出状況を確認する |
| 対象患者割合 | 外来患者割合などの施設要件 | 施設全体で管理する項目として扱う |
| 体制維持 | 医師、PT、OT、ST、看護師、機能訓練室など | 異動・退職・兼任で基準を下回らないか確認する |
職種配置はPT・OT・ST・看護師の役割を分けて見ます
職種配置では、専任の常勤医師、専従の常勤PT・OT、必要に応じた看護師やSTの配置を確認します。
言語聴覚療法を行う場合は、専従の常勤言語聴覚士の配置確認も重要です。STが関わる場合は、言語、聴覚、認知、摂食・嚥下のどの課題に対して個別に介入するのかを明確にします。兼任や非常勤の扱いは施設基準に関わるため、リハ部門だけで判断しないことが安全です。
| 職種・設備 | 主な確認内容 | リハ部門での確認例 |
|---|---|---|
| 医師 | 専任の常勤医師 | 指示、効果判定、計画作成への関与 |
| PT・OT | 専従の常勤PT・OTなど | 担当表、勤務形態、兼任状況 |
| 看護師 | 障害児(者)リハの経験を有する看護師を含む体制 | 医療的ケア、日常支援、カンファレンス参加 |
| ST | 言語聴覚療法を行う場合の配置 | 言語、聴覚、認知、嚥下の評価・介入 |
| 機能訓練室 | 専用の機能訓練室と必要な器械・器具 | 訓練マット、姿勢矯正用鏡、測定器具など |
疾患別リハ・がん患者リハ・集団コミュニケーション療法とは役割が違います
障害児(者)リハビリテーション料は、疾患別リハビリテーション料やがん患者リハビリテーション料とは対象と目的が異なります。
疾患別リハは、心大血管、脳血管、廃用症候群、運動器、呼吸器などの疾患区分に基づくリハが中心です。一方、障害児(者)リハでは、先天性・発達性・長期的な神経障害などを含めた継続的支援が中心になります。ST領域では、個別リハとして行うのか、集団コミュニケーション療法として行うのかを、対象・目的・実施形態で分けて整理します。
| 項目 | 主な対象・目的 | 確認ポイント |
|---|---|---|
| 障害児(者)リハ料 | 対象患者に対する個別の症例に応じたリハ | 対象患者、施設基準、計画、記録を確認する |
| 疾患別リハ料 | 心大血管、脳血管、廃用、運動器、呼吸器など | 疾患区分、標準的算定日数、単位管理を確認する |
| がん患者リハ料 | がんや治療に伴う機能低下へのリハ | 対象患者、研修要件、記録を確認する |
| 集団コミュニケーション療法 | ST領域で集団形式により行う療法 | 個別か集団か、人数、目的、記録を確認する |
記録は指示・時間・訓練内容・担当者を一元管理します
記録では、医師の指示、実施時間、訓練内容、担当者を患者ごとに一元的に確認できる状態にします。
障害児(者)リハビリテーションでは、開始時と定期的な計画説明、運動機能検査等を踏まえた効果判定、多職種カンファレンスとの連動が重要です。臨床では、個別訓練の内容だけでなく、家族説明、補装具、生活環境、学校・福祉サービスとの連携も記録に残しておくと、継続支援の質が上がります。
| 記録項目 | 書く内容 | 記録例 |
|---|---|---|
| 医師の指示 | 目的、禁忌、評価・訓練の範囲 | 姿勢保持と移乗動作の改善を目的に介入 |
| 評価 | 運動機能、ADL、嚥下、言語、認知、家族支援 | 座位保持、上肢操作、食事場面、意思表出を確認 |
| 実施内容 | 訓練内容、実施時間、担当者 | 座位保持練習、立位保持、コミュニケーション課題を実施 |
| 反応 | 疲労、姿勢変化、参加状況、家族の理解 | 短時間で疲労あり、休息を挟みながら実施 |
| 次回方針 | 訓練の調整、家族指導、連携先 | 次回は装具装着下で立位姿勢を再確認 |
カンファレンスでは生活課題と支援方針を共有します
カンファレンスでは、各職種の訓練内容を並べるだけでなく、本人と家族の生活課題に対して支援方針をそろえます。
対象患者は長期的な支援を要することが多く、運動機能だけでなく、摂食・嚥下、呼吸、コミュニケーション、行動、家族支援、福祉サービスとの接続まで含めた検討が必要になります。計画、説明、記録、カンファレンスがつながっていると、算定上も臨床上も説明しやすくなります。
よくある失敗は対象の広さと算定区分の混同です
現場で多い失敗は、疾患名だけで対象を判断することです。
脳性麻痺や先天異常のように分かりやすい対象もありますが、後天性の神経障害、発達障害、言語・聴覚・認知障害を伴うケースでは、対象要件と医師の必要性判断を丁寧に確認します。もう1つの失敗は、疾患別リハや集団コミュニケーション療法との違いが曖昧なまま運用されることです。
| よくある失敗 | なぜ問題か | 修正ポイント |
|---|---|---|
| 小児なら全例対象と考える | 対象患者と医師の必要性判断が抜ける | 対象疾患、障害像、実施目的を確認する |
| 施設基準を確認しない | 届出や人員体制とのズレに気づきにくい | 施設類型、届出、人員、機能訓練室を確認する |
| ST訓練との違いが曖昧 | 集団コミュニケーション療法との整理が難しくなる | 個別か集団か、目的と実施形態で分ける |
| 訓練内容だけを記録する | 指示、時間、担当者、説明、カンファレンスが見えにくい | 記録を一元管理し、計画と連動させる |

5分確認フローで算定前の抜けを防ぎます
算定前は、対象患者、施設基準、職種配置、計画・説明、記録の順に確認すると整理しやすくなります。
特に新規導入時、担当者変更時、ST介入の追加時、外来患者割合の確認時には、リハ職だけで判断せず、医師、看護師、医事課、施設基準担当者と情報をそろえます。療養病棟や外来でも、制度上の該当性と実際の支援目的を分けて確認することが大切です。
| 順番 | 確認すること | OKの目安 |
|---|---|---|
| 1 | 対象患者か | 対象患者に該当し、医師が必要と認めている |
| 2 | 施設基準を満たすか | 届出済みで、施設類型や対象患者割合を確認できる |
| 3 | 職種配置は足りているか | 医師、PT・OT、必要時ST、看護師などの体制がある |
| 4 | 計画と説明があるか | 開始時と定期的な説明・記録の流れがある |
| 5 | 記録を一元管理できるか | 指示、実施時間、訓練内容、担当者を確認できる |
よくある質問
各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。
障害児(者)リハビリテーション料は小児だけが対象ですか?
小児だけに限定して考えない方が安全です。名称に「障害児(者)」とあるように、脳性麻痺、先天異常、神経筋疾患、神経障害による麻痺や後遺症、言語・聴覚・認知障害を伴う発達障害などが対象に含まれます。年齢だけで判断せず、対象患者に該当するか、医師が必要と認めているかを確認します。
疾患別リハビリテーション料と同じ日に別に算定できますか?
同一の保険医療機関で障害児(者)リハビリテーション料を算定する場合、疾患別リハビリテーション料やがん患者リハビリテーション料との関係を確認する必要があります。実際の算定可否は、患者要件、施設基準、実施内容を医事課と確認してください。
STが関わる場合は何を確認すればよいですか?
言語聴覚療法を行う場合は、STの配置要件と、言語・聴覚・認知・摂食嚥下のどの課題に対して個別にリハビリテーションを行うのかを確認します。集団コミュニケーション療法との違いも、個別か集団か、目的と実施形態で整理します。
記録では何を残すべきですか?
医師の指示、実施時間、訓練内容、担当者を患者ごとに一元的に保管し、医療従事者が確認できる状態にします。加えて、評価結果、家族説明、計画説明、多職種カンファレンス、補装具や生活環境の調整も残しておくと、継続支援の質を高めやすくなります。
集団コミュニケーション療法とは何が違いますか?
障害児(者)リハビリテーション料は、対象患者に対して個々の症例に応じて行う個別リハビリテーションです。一方、集団コミュニケーション療法は、ST領域で集団形式により実施する別項目です。対象、実施形態、人数、目的、記録の違いを整理して運用します。
次の一手
障害児(者)リハビリテーション料を確認したら、次は関連するリハ料との違いを整理しておくと、算定区分を説明しやすくなります。疾患別リハビリテーション料の全体像は 疾患別リハビリテーション料とは? で確認できます。
ST領域で個別訓練と集団訓練の違いを整理したい場合は、集団コミュニケーション療法 もあわせて確認してください。
参考文献
- 厚生労働省. 令和8年度診療報酬改定について. 公式ページ
- 厚生労働省保険局医療課. 診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について. 保医発0305第6号. 2026.
- 厚生労働省保険局医療課. 特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて. 保医発0305第8号. 2026.
著者情報

rehabilikun(理学療法士)
rehabilikun blogを2022年4月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・制度・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。
- 脳卒中 認定理学療法士
- 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
- 登録理学療法士
- 3学会合同呼吸療法認定士
- 福祉住環境コーディネーター2級
専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養、シーティング、摂食・嚥下

