リハビリが算定できない日は、患者拒否や不在などで実施していない日だけではありません。発熱による途中中止、検査による短縮、手術前後の予定変更では、実際の実施時間・内容・医師指示・算定要件を確認する必要があります。また、令和8年度診療報酬改定では、一定の条件に該当する離床を伴わない訓練について、減算と単位数制限が設けられました。本記事では、PT・OT・ST向けに、算定不可・要件確認・減算対象を区別し、現場で迷いやすいケースと記録方法を整理します。
最初に押さえたい結論
- 算定不可:患者拒否や不在などで、算定対象となるリハビリテーションを実施していない場合。
- 要件確認:発熱・急変・検査などで途中中止や短縮が生じ、実施時間・内容を確認する必要がある場合。
- 減算・単位制限の確認:令和8年度改定で定められた、離床を伴わない特定の訓練に該当する場合。
疾患別リハビリテーション料は、原則として20分以上の個別療法を1単位として算定します。実施の有無だけでなく、対象疾患、医師指示、時間、訓練内容、記録を確認してください。
- リハビリが算定できない日・注意が必要な日一覧
- 20分1単位の原則と途中中止・短縮時の考え方
- 患者拒否・不在・離棟で実施できなかった場合
- 発熱・急変・血圧異常で途中中止した場合
- 検査・診察・手術でリハビリが短縮された場合
- 医療保険と介護保険のリハビリが関係する場合
- 令和8年度改定|離床を伴わないリハビリの90%算定・2単位制限
- 算定できない日・途中中止日の記録方法
- リハビリ算定でよくある勘違い
- リハビリの算定可否に迷ったときの確認フロー
- よくある質問
- 次の一手
- 参考文献
- 著者情報
- リハビリが算定できない日とは?まず3つに分けて判断する
- リハビリが算定できない日・注意が必要な日一覧
- 20分1単位の原則と途中中止・短縮時の考え方
- 患者拒否・不在・離棟で実施できなかった場合
- 発熱・急変・血圧異常で途中中止した場合
- 検査・診察・手術でリハビリが短縮された場合
- 医療保険と介護保険のリハビリが関係する場合
- 令和8年度改定|離床を伴わないリハビリの90%算定・2単位制限
- 算定できない日・途中中止日の記録方法
- リハビリ算定でよくある勘違い
- リハビリの算定可否に迷ったときの確認フロー
- よくある質問
- 次の一手
- 参考文献
- 著者情報
リハビリが算定できない日・注意が必要な日一覧
最初に、現場で迷いやすいケースを確認します。重要なのは「実施していないため算定できない場合」と「実施したが算定要件を確認する場合」を区別することです。
| ケース | 判断区分 | 確認ポイント |
|---|---|---|
| 患者拒否で未実施 | 算定不可 | 拒否理由、再提案、次回方針 |
| 不在・離棟で未実施 | 算定不可 | 不在理由、再訪問の有無 |
| 発熱・急変で途中中止 | 要件確認 | 実施時間、訓練内容、中止理由 |
| 検査・診察で短縮 | 要件確認 | 実際の訓練時間、待機時間の除外 |
| 外泊中で未実施 | 算定不可 | 外泊期間、帰院後の実施状況 |
| 手術当日 | 要件確認 | 医師指示、患者状態、実施内容 |
| 医療保険・介護保険の移行期 | 制度上の要件確認 | 対象疾患、サービス、併用条件 |
| ベッド上のみの他動的訓練 | 減算・単位制限の確認 | 訓練目的、実施内容、除外条件 |
注意:「要件確認」は算定可能という意味ではありません。現行の診療報酬点数表、通知、疑義解釈、施設基準に基づき、個別に判断する必要があります。

図版の読み方:このフローは、算定判断で確認したい項目を整理したものです。図中の「算定可能」「算定不可」は個別の診療報酬請求を確定するものではありません。特に、標準的算定日数を超えた場合、医師から中止指示がある場合、離床を伴わない訓練を実施した場合は、個別の算定要件・例外規定・除外条件を確認してください。
20分1単位の原則と途中中止・短縮時の考え方
疾患別リハビリテーション料は、患者に対して20分以上の個別療法を行った場合に、1単位として算定することが原則です。
20分に満たない訓練時間は、原則として疾患別リハビリテーション料の1単位として算定できません。
また、リハビリテーション実施計画書などの作成、診療録への記載、個別療法のための移動など、患者に直接訓練を提供していない時間は、原則として訓練時間に含めません。
途中中止・短縮時の確認例
| 実施状況 | 基本的な考え方 |
|---|---|
| 未実施 | 疾患別リハビリテーション料は算定しない |
| 10分実施して中止 | 20分未満のため、その訓練のみでは1単位を算定できない |
| 20分実施して終了 | 1単位分の時間要件を満たす。その他の算定要件も確認する |
| 30分実施して終了 | 原則として1単位分の時間要件を満たす。端数を切り上げて2単位にはしない |
| 40分実施して終了 | 2単位分の時間要件を満たす。その他の算定要件も確認する |
| 途中で検査に呼ばれた | 検査待機・移動などを除いた実際の訓練時間を確認する |
上表は時間要件を理解するための基本例です。実際の算定には、疾患別リハビリテーション料の対象疾患、医師指示、実施内容、算定日数、施設基準なども関係します。
途中で中断した訓練を再開した場合の時間の取扱いは、実施状況と現行の通知・疑義解釈を確認し、施設の診療報酬担当者と照合してください。短時間の訓練を合計すれば必ず算定できる、という判断は避けます。
患者拒否・不在・離棟で実施できなかった場合
患者がリハビリを拒否した、不在だった、離棟していたなどの理由で、算定対象となるリハビリテーションを実施していなければ、疾患別リハビリテーション料は算定しません。
訪室、声かけ、予定表への登録だけでは、リハビリテーションを提供したことにはなりません。
拒否された場合の対応
- 拒否の理由や患者の訴えを確認する
- 疼痛、疲労、発熱などの背景を確認する
- 時間変更や内容変更による再提案を検討する
- 必要に応じて看護師・医師と共有する
- 次回の介入方針を整理する
拒否への対応を記録する目的は、算定の根拠を作ることではありません。患者の状態を把握し、次回の介入や多職種での対応につなげるためです。
記録例:患者拒否で未実施
記録例(架空)
訪室時、患者より倦怠感の訴えあり。本日のリハビリ実施を希望されず。時間変更を提案したが同意得られず、未実施。担当看護師へ共有。次回、体調と実施意向を再確認する。
算定:未実施のため疾患別リハビリテーション料は算定しない。
発熱・急変・血圧異常で途中中止した場合
発熱、血圧異常、SpO2低下、胸部症状、意識状態の変化などが生じた場合は、算定よりも患者の安全確保を優先します。
途中中止した場合は、実際に提供したリハビリテーションの時間と内容を確認し、算定要件を満たしているか判断します。
中止時に確認すること
- 中止前に実施した訓練時間と内容
- 中止の契機となった症状や所見
- 必要なバイタルサインとその変化
- 中止後に実施した安全対応
- 医師・看護師などへの報告
- 再開前に確認すべき条件
単位数を確保するために、安全上必要な中止を遅らせてはいけません。また、実施していない時間を訓練時間に加えて記録することもできません。
記録例:途中中止
記録例(架空)
下肢自動運動と起居動作練習を実施。途中でめまいの訴えが出現したため訓練中止。臥床にて安静を確保し、血圧・脈拍・意識状態を確認。担当看護師へ報告。次回は症状と医師指示を確認して再開を判断する。
算定:実施時間と内容を電子カルテの専用欄で確認し、20分1単位の原則とその他の算定要件に照らして判断する。
開始・終了時刻や実施内容が電子カルテの専用欄に正確に保存されている場合、本文に同じ情報を重複入力する必要性は施設の記録運用に応じて判断します。ただし、算定に必要な情報が診療録として確認できる状態は維持してください。
検査・診察・手術でリハビリが短縮された場合
検査、診察、処置、手術前後の予定変更があった場合は、予定していた単位数ではなく、実際に提供したリハビリテーションの時間と内容を確認します。
検査への移動、検査待ち、訓練を提供していない待機時間、単なる申し送り時間などを訓練時間に含めないよう注意します。
| 状況 | 確認事項 |
|---|---|
| 検査前に実施 | 実施済みの時間と内容が算定要件を満たすか |
| 途中で検査へ移動 | 中断までの実施時間、再開の有無 |
| 検査後に再開 | 実際の訓練時間、提供内容、時間の取扱い |
| 手術当日 | 術前後の状態、医師指示、禁忌、実施内容 |
手術当日であることだけを理由に、一律に算定不可とは判断しません。一方、手術当日であれば必ず算定できるわけでもありません。
患者の状態、医師指示、実施内容、算定要件をそれぞれ確認します。
医療保険と介護保険のリハビリが関係する場合
医療保険の疾患別リハビリテーションと介護保険によるリハビリテーションが関係する場合は、単に同じ日に提供したかどうかだけで判断しません。
対象疾患、サービスの種類、提供目的、標準的算定日数、制度上の併用条件などを確認する必要があります。
特に退院後や外来・訪問リハビリテーションへの移行期は、制度の取扱いが複雑になります。
詳しくは医療保険から介護保険へのリハビリ移行で確認してください。
令和8年度改定|離床を伴わないリハビリの90%算定・2単位制限
令和8年度診療報酬改定では、疾患別リハビリテーション料について、一定の条件に該当する離床を伴わないリハビリテーションの評価が見直されました。
対象となる場合は、所定点数の100分の90に相当する点数で算定し、患者1人につき1日2単位までとする取扱いが設けられています。
ただし、ベッド上で実施したという理由だけで、すべての患者が減算対象になるわけではありません。
減算・単位制限の対象となる基本条件
対象となるのは、入院患者に対して、ベッド上から移動せず、ポジショニングや拘縮予防などを主目的とした他動的な訓練のみを行う場合で、所定の除外条件に該当しない患者です。
| 確認項目 | 判断のポイント |
|---|---|
| 患者 | 入院患者であり、所定の除外条件に該当しないか |
| 訓練場所 | ベッド上から移動せずに実施しているか |
| 訓練目的 | ポジショニングや拘縮予防などが主目的か |
| 訓練内容 | 他動的な訓練のみを実施しているか |
| 算定 | 対象条件に該当する場合、所定点数の90%・1日2単位まで |
減算・単位制限の対象外となる主な患者
改定資料では、次の患者は所定の条件により対象外とされています。
- 所定の急性期治療室に係る入院料、早期リハビリテーション加算、初期加算、急性期リハビリテーション加算のいずれかを算定している患者
- 疾患・状態によりベッド上からの移動が困難な15歳未満の小児患者
- ベッド上からの移動が医学的に困難であり、3単位以上の個別療法が必要と医師が特に認めた患者
医師が医学的必要性を特に認める場合には、ベッド上からの移動が困難な医学的理由、長時間のリハビリテーションが必要な理由、訓練内容について、診療録と診療報酬明細書の摘要欄への記載要件があります。
単に医師の指示があるだけで、すべての患者が減算対象外になるわけではありません。
疑義解釈で示された具体例
令和8年度診療報酬改定の疑義解釈資料(その2)問69では、離床を伴わないリハビリテーションに該当するかどうかについて、具体的な事例が示されています。
| 実施内容 | 特定の患者への該当 | 判断理由 |
|---|---|---|
| 最初の1単位はベッド上で他動的訓練を行い、2単位目の途中から車椅子移乗を行って計6単位実施 | 該当しない | ベッド上のみの訓練ではなく、他動的訓練のみでもないため |
| 肺炎患者にベッド上で自動運動や排痰訓練を実施 | 該当しない | 対象となる他動的訓練以外を実施しているため |
| ベッド上で高次脳機能障害や構音障害に対する言語療法を実施 | 該当しない | 対象となる他動的訓練以外を実施しているため |
| 離床を目指して臥位から座位への移行・座位保持訓練を実施したが、端座位に至らなかった | 該当しない | 対象となる他動的訓練のみではないため |
| 車椅子移乗後、訓練室のベッド上で他動的ROM訓練のみ実施 | 該当しない | 車椅子に移乗しており、ベッド上のみの訓練ではないため |
| ベッド上で拘縮予防・褥瘡予防を目的とした他動的ROM訓練やポジショニングのみ実施 | 該当する | ベッド上のみで対象となる他動的訓練のみを実施しているため |
この表は、厚生労働省の疑義解釈で示された事例を要約したものです。「該当する」は、所定の除外条件に該当しない場合に、90%算定・1日2単位制限の対象となることを意味します。
なお、訓練の名称だけで判断するのではなく、実際に行った内容を確認する必要があります。
例えば、ベッド上で自動運動を実施したと記録していても、実際には他動的な関節可動域訓練のみであれば、記録名称だけを根拠に減算対象外とは判断できません。
医療安全上の注意:減算を避けるために、医学的に不適切な離床や訓練を追加してはいけません。患者の状態と医学的必要性を優先し、実施した内容を正確に記録してください。
算定できない日・途中中止日の記録方法
算定できない日でも、臨床経過の記録が不要になるわけではありません。特に拒否、急変、検査中断などでは、次回の介入や多職種連携に必要な情報を残します。
一方、記録を残しただけで算定要件を満たすわけではありません。算定要件の確認と臨床経過の記録は分けて考えます。
| 場面 | 記録したい内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| 拒否 | 拒否理由、再提案、共有先、次回方針 | 未実施を実施扱いにしない |
| 急変・中止 | 症状、必要なバイタル、中止理由、対応、報告先 | 安全管理を優先する |
| 短縮 | 実施時間、内容、短縮理由 | 予定単位と実績を混同しない |
| 検査中断 | 中断理由、実施時間、再開の有無 | 待機時間を訓練時間に含めない |
| ベッド上のみの訓練 | 医学的状態、訓練目的、実施内容、離床の可否 | 減算対象・除外条件を確認する |
記録を簡潔にまとめる考え方
開始・終了時刻や通常の訓練内容が電子カルテの専用欄に保存されている場合、本文には「いつもと異なる判断」を中心に記録すると整理しやすくなります。
例えば、拒否理由、中止理由、症状の変化、医師への相談、次回の方針などです。
ただし、必要な診療記録を省略してよいという意味ではありません。電子カルテの記録構造と施設の運用を確認してください。
リハビリ算定でよくある勘違い
算定判断で避けたいのは、予定単位や記録の有無だけで算定可否を決めることです。
| 誤解 | 確認すべきこと |
|---|---|
| 訪室したから算定できる | 算定対象となるリハビリテーションを実施したか |
| 予定が2単位なら2単位算定できる | 実際の訓練時間と内容が要件を満たすか |
| 10分でも1単位算定できる | 疾患別リハビリテーション料は原則20分以上を1単位とする |
| カルテに書けば算定できる | 記録だけでなく、医師指示・対象疾患・実施要件を満たすか |
| ベッド上のROMはすべて減算される | 訓練目的・内容・患者条件・除外条件を確認する |
| 手術当日は必ず算定できない | 医師指示、患者状態、実施内容、算定要件を確認する |
リハビリの算定可否に迷ったときの確認フロー
算定できるか迷ったときは、記事前半の判断フローチャートを参照し、次の5項目を順番に確認してください。
| 順番 | 確認項目 | 判断すること |
|---|---|---|
| 1 | 対象疾患・算定区分 | 疾患別リハの対象、算定日数、制度上の条件 |
| 2 | 医師指示 | 実施の指示、禁忌、中止・再開条件 |
| 3 | 実施時間 | 実際の訓練時間と20分1単位の原則 |
| 4 | 実施内容 | 疾患別リハとしての内容、減算・制限の該当性 |
| 5 | 記録・共有 | 必要な診療記録、変更理由、報告・相談先 |
この5ステップは実務上の確認手順を整理したものであり、厚生労働省が定めた公式の判定フローではありません。
特に令和8年度改定の「離床を伴わないリハビリテーション」は、ベッド上で実施したという事実だけで減算を決定しません。患者条件、訓練内容、除外条件をあわせて確認します。
最終的な算定可否は、現行の診療報酬点数表、通知、疑義解釈、施設基準などに基づいて判断してください。
よくある質問
患者さんに拒否された日は算定できますか?
拒否により算定対象となるリハビリテーションを実施していなければ、算定しません。拒否理由、再提案、共有先、次回方針は経過記録として残します。 10分だけ実施して中止した場合は算定できますか?
疾患別リハビリテーション料は、原則として20分以上の個別療法を1単位とするため、10分の訓練のみでは1単位を算定できません。中止理由や対応は診療録に残します。 検査でリハビリが短縮された場合はどうしますか?
予定時間ではなく、実際に提供した訓練時間と内容で判断します。検査への移動や待機など、訓練を提供していない時間を含めないよう注意してください。中断後に再開した場合の取扱いは、現行の通知・疑義解釈に照らして確認します。 外泊日はリハビリを算定できますか?
外泊中でリハビリテーションを実施していなければ算定しません。外泊開始日や帰院日に実施した場合は、実際の実施状況と算定要件を確認します。 ベッド上でのROM訓練は令和8年度からすべて減算されますか?
いいえ。減算・単位制限の対象は、患者条件や訓練目的・内容などによって決まります。ベッド上で実施したという事実だけで判断せず、他動的訓練のみか、所定の除外条件に該当するかなどを確認してください。
次の一手
リハビリが算定できない日を判断する際は、まず未実施・途中中止・短縮・減算対象を区別してください。そのうえで、部署内で迷いやすい事例を共有し、医事課へ確認する手順をそろえると、判断のばらつきを減らしやすくなります。
疾患別リハビリテーション料の期間管理を確認したい場合は、標準的算定日数の解説をご覧ください。
実施計画書や診療記録の確認を進めたい場合は、リハビリテーション実施計画書の監査対策も参考になります。
参考文献
- 厚生労働省. 令和8年度診療報酬改定について. 2026. 厚生労働省公式ページ.
- 厚生労働省. 令和8年度診療報酬改定項目の概要:疾患別リハビリテーション料の訓練内容に応じた評価の見直し. 2026. 公式資料(PDF).
- 厚生労働省保険局医療課. 疑義解釈資料の送付について(その2). 2026年4月1日. 通知資料(PDF). 疾患別リハビリテーション料の離床を伴わないリハビリテーションについては問69を参照。
- 厚生労働省. 令和8年度診療報酬改定説明資料等について. 2026. 公式説明資料一覧.
- 日本理学療法士協会. 令和8年度診療報酬改定情報. 2026. 改定情報・疑義解釈一覧.
著者情報

rehabilikun(理学療法士)
2022年4月にrehabilikun blogを開設。急性期・回復期・療養病棟、介護福祉施設、訪問リハビリテーションでの経験を持ち、現在は療養病院に勤務しています。
脳卒中、褥瘡・創傷ケア、リハビリテーション栄養、呼吸リハビリテーションを中心に、PT・OT・STが臨床で活用できる評価方法や実務上の判断ポイントを発信しています。
保有資格
- 脳卒中認定理学療法士
- 褥瘡・創傷ケア認定理学療法士
- 登録理学療法士
- 3学会合同呼吸療法認定士
- 福祉住環境コーディネーター2級
運営者プロフィール / 編集・引用ポリシー / お問い合わせ
リハビリが算定できない日とは?まず3つに分けて判断する
リハビリが算定できない日は、患者拒否や不在などで実施していない日だけではありません。発熱による途中中止、検査による短縮、手術前後の予定変更では、実際の実施時間・内容・医師指示・算定要件を確認する必要があります。また、令和8年度診療報酬改定では、一定の条件に該当する離床を伴わない訓練について、減算と単位数制限が設けられました。本記事では、PT・OT・ST向けに、算定不可・要件確認・減算対象を区別し、現場で迷いやすいケースと記録方法を整理します。
最初に押さえたい結論
- 算定不可:患者拒否や不在などで、算定対象となるリハビリテーションを実施していない場合。
- 要件確認:発熱・急変・検査などで途中中止や短縮が生じ、実施時間・内容を確認する必要がある場合。
- 減算・単位制限の確認:令和8年度改定で定められた、離床を伴わない特定の訓練に該当する場合。
疾患別リハビリテーション料は、原則として20分以上の個別療法を1単位として算定します。実施の有無だけでなく、対象疾患、医師指示、時間、訓練内容、記録を確認してください。
リハビリが算定できない日・注意が必要な日一覧
最初に、現場で迷いやすいケースを確認します。重要なのは「実施していないため算定できない場合」と「実施したが算定要件を確認する場合」を区別することです。
| ケース | 判断区分 | 確認ポイント |
|---|---|---|
| 患者拒否で未実施 | 算定不可 | 拒否理由、再提案、次回方針 |
| 不在・離棟で未実施 | 算定不可 | 不在理由、再訪問の有無 |
| 発熱・急変で途中中止 | 要件確認 | 実施時間、訓練内容、中止理由 |
| 検査・診察で短縮 | 要件確認 | 実際の訓練時間、待機時間の除外 |
| 外泊中で未実施 | 算定不可 | 外泊期間、帰院後の実施状況 |
| 手術当日 | 要件確認 | 医師指示、患者状態、実施内容 |
| 医療保険・介護保険の移行期 | 制度上の要件確認 | 対象疾患、サービス、併用条件 |
| ベッド上のみの他動的訓練 | 減算・単位制限の確認 | 訓練目的、実施内容、除外条件 |
注意:「要件確認」は算定可能という意味ではありません。現行の診療報酬点数表、通知、疑義解釈、施設基準に基づき、個別に判断する必要があります。

図版の読み方:このフローは、算定判断で確認したい項目を整理したものです。図中の「算定可能」「算定不可」は個別の診療報酬請求を確定するものではありません。特に、標準的算定日数を超えた場合、医師から中止指示がある場合、離床を伴わない訓練を実施した場合は、個別の算定要件・例外規定・除外条件を確認してください。
20分1単位の原則と途中中止・短縮時の考え方
疾患別リハビリテーション料は、患者に対して20分以上の個別療法を行った場合に、1単位として算定することが原則です。
20分に満たない訓練時間は、原則として疾患別リハビリテーション料の1単位として算定できません。
また、リハビリテーション実施計画書などの作成、診療録への記載、個別療法のための移動など、患者に直接訓練を提供していない時間は、原則として訓練時間に含めません。
途中中止・短縮時の確認例
| 実施状況 | 基本的な考え方 |
|---|---|
| 未実施 | 疾患別リハビリテーション料は算定しない |
| 10分実施して中止 | 20分未満のため、その訓練のみでは1単位を算定できない |
| 20分実施して終了 | 1単位分の時間要件を満たす。その他の算定要件も確認する |
| 30分実施して終了 | 原則として1単位分の時間要件を満たす。端数を切り上げて2単位にはしない |
| 40分実施して終了 | 2単位分の時間要件を満たす。その他の算定要件も確認する |
| 途中で検査に呼ばれた | 検査待機・移動などを除いた実際の訓練時間を確認する |
上表は時間要件を理解するための基本例です。実際の算定には、疾患別リハビリテーション料の対象疾患、医師指示、実施内容、算定日数、施設基準なども関係します。
途中で中断した訓練を再開した場合の時間の取扱いは、実施状況と現行の通知・疑義解釈を確認し、施設の診療報酬担当者と照合してください。短時間の訓練を合計すれば必ず算定できる、という判断は避けます。
患者拒否・不在・離棟で実施できなかった場合
患者がリハビリを拒否した、不在だった、離棟していたなどの理由で、算定対象となるリハビリテーションを実施していなければ、疾患別リハビリテーション料は算定しません。
訪室、声かけ、予定表への登録だけでは、リハビリテーションを提供したことにはなりません。
拒否された場合の対応
- 拒否の理由や患者の訴えを確認する
- 疼痛、疲労、発熱などの背景を確認する
- 時間変更や内容変更による再提案を検討する
- 必要に応じて看護師・医師と共有する
- 次回の介入方針を整理する
拒否への対応を記録する目的は、算定の根拠を作ることではありません。患者の状態を把握し、次回の介入や多職種での対応につなげるためです。
記録例:患者拒否で未実施
記録例(架空)
訪室時、患者より倦怠感の訴えあり。本日のリハビリ実施を希望されず。時間変更を提案したが同意得られず、未実施。担当看護師へ共有。次回、体調と実施意向を再確認する。
算定:未実施のため疾患別リハビリテーション料は算定しない。
発熱・急変・血圧異常で途中中止した場合
発熱、血圧異常、SpO2低下、胸部症状、意識状態の変化などが生じた場合は、算定よりも患者の安全確保を優先します。
途中中止した場合は、実際に提供したリハビリテーションの時間と内容を確認し、算定要件を満たしているか判断します。
中止時に確認すること
- 中止前に実施した訓練時間と内容
- 中止の契機となった症状や所見
- 必要なバイタルサインとその変化
- 中止後に実施した安全対応
- 医師・看護師などへの報告
- 再開前に確認すべき条件
単位数を確保するために、安全上必要な中止を遅らせてはいけません。また、実施していない時間を訓練時間に加えて記録することもできません。
記録例:途中中止
記録例(架空)
下肢自動運動と起居動作練習を実施。途中でめまいの訴えが出現したため訓練中止。臥床にて安静を確保し、血圧・脈拍・意識状態を確認。担当看護師へ報告。次回は症状と医師指示を確認して再開を判断する。
算定:実施時間と内容を電子カルテの専用欄で確認し、20分1単位の原則とその他の算定要件に照らして判断する。
開始・終了時刻や実施内容が電子カルテの専用欄に正確に保存されている場合、本文に同じ情報を重複入力する必要性は施設の記録運用に応じて判断します。ただし、算定に必要な情報が診療録として確認できる状態は維持してください。
検査・診察・手術でリハビリが短縮された場合
検査、診察、処置、手術前後の予定変更があった場合は、予定していた単位数ではなく、実際に提供したリハビリテーションの時間と内容を確認します。
検査への移動、検査待ち、訓練を提供していない待機時間、単なる申し送り時間などを訓練時間に含めないよう注意します。
| 状況 | 確認事項 |
|---|---|
| 検査前に実施 | 実施済みの時間と内容が算定要件を満たすか |
| 途中で検査へ移動 | 中断までの実施時間、再開の有無 |
| 検査後に再開 | 実際の訓練時間、提供内容、時間の取扱い |
| 手術当日 | 術前後の状態、医師指示、禁忌、実施内容 |
手術当日であることだけを理由に、一律に算定不可とは判断しません。一方、手術当日であれば必ず算定できるわけでもありません。
患者の状態、医師指示、実施内容、算定要件をそれぞれ確認します。
医療保険と介護保険のリハビリが関係する場合
医療保険の疾患別リハビリテーションと介護保険によるリハビリテーションが関係する場合は、単に同じ日に提供したかどうかだけで判断しません。
対象疾患、サービスの種類、提供目的、標準的算定日数、制度上の併用条件などを確認する必要があります。
特に退院後や外来・訪問リハビリテーションへの移行期は、制度の取扱いが複雑になります。
詳しくは医療保険から介護保険へのリハビリ移行で確認してください。
令和8年度改定|離床を伴わないリハビリの90%算定・2単位制限
令和8年度診療報酬改定では、疾患別リハビリテーション料について、一定の条件に該当する離床を伴わないリハビリテーションの評価が見直されました。
対象となる場合は、所定点数の100分の90に相当する点数で算定し、患者1人につき1日2単位までとする取扱いが設けられています。
ただし、ベッド上で実施したという理由だけで、すべての患者が減算対象になるわけではありません。
減算・単位制限の対象となる基本条件
対象となるのは、入院患者に対して、ベッド上から移動せず、ポジショニングや拘縮予防などを主目的とした他動的な訓練のみを行う場合で、所定の除外条件に該当しない患者です。
| 確認項目 | 判断のポイント |
|---|---|
| 患者 | 入院患者であり、所定の除外条件に該当しないか |
| 訓練場所 | ベッド上から移動せずに実施しているか |
| 訓練目的 | ポジショニングや拘縮予防などが主目的か |
| 訓練内容 | 他動的な訓練のみを実施しているか |
| 算定 | 対象条件に該当する場合、所定点数の90%・1日2単位まで |
減算・単位制限の対象外となる主な患者
改定資料では、次の患者は所定の条件により対象外とされています。
- 所定の急性期治療室に係る入院料、早期リハビリテーション加算、初期加算、急性期リハビリテーション加算のいずれかを算定している患者
- 疾患・状態によりベッド上からの移動が困難な15歳未満の小児患者
- ベッド上からの移動が医学的に困難であり、3単位以上の個別療法が必要と医師が特に認めた患者
医師が医学的必要性を特に認める場合には、ベッド上からの移動が困難な医学的理由、長時間のリハビリテーションが必要な理由、訓練内容について、診療録と診療報酬明細書の摘要欄への記載要件があります。
単に医師の指示があるだけで、すべての患者が減算対象外になるわけではありません。
疑義解釈で示された具体例
令和8年度診療報酬改定の疑義解釈資料(その2)問69では、離床を伴わないリハビリテーションに該当するかどうかについて、具体的な事例が示されています。
| 実施内容 | 特定の患者への該当 | 判断理由 |
|---|---|---|
| 最初の1単位はベッド上で他動的訓練を行い、2単位目の途中から車椅子移乗を行って計6単位実施 | 該当しない | ベッド上のみの訓練ではなく、他動的訓練のみでもないため |
| 肺炎患者にベッド上で自動運動や排痰訓練を実施 | 該当しない | 対象となる他動的訓練以外を実施しているため |
| ベッド上で高次脳機能障害や構音障害に対する言語療法を実施 | 該当しない | 対象となる他動的訓練以外を実施しているため |
| 離床を目指して臥位から座位への移行・座位保持訓練を実施したが、端座位に至らなかった | 該当しない | 対象となる他動的訓練のみではないため |
| 車椅子移乗後、訓練室のベッド上で他動的ROM訓練のみ実施 | 該当しない | 車椅子に移乗しており、ベッド上のみの訓練ではないため |
| ベッド上で拘縮予防・褥瘡予防を目的とした他動的ROM訓練やポジショニングのみ実施 | 該当する | ベッド上のみで対象となる他動的訓練のみを実施しているため |
この表は、厚生労働省の疑義解釈で示された事例を要約したものです。「該当する」は、所定の除外条件に該当しない場合に、90%算定・1日2単位制限の対象となることを意味します。
なお、訓練の名称だけで判断するのではなく、実際に行った内容を確認する必要があります。
例えば、ベッド上で自動運動を実施したと記録していても、実際には他動的な関節可動域訓練のみであれば、記録名称だけを根拠に減算対象外とは判断できません。
医療安全上の注意:減算を避けるために、医学的に不適切な離床や訓練を追加してはいけません。患者の状態と医学的必要性を優先し、実施した内容を正確に記録してください。
算定できない日・途中中止日の記録方法
算定できない日でも、臨床経過の記録が不要になるわけではありません。特に拒否、急変、検査中断などでは、次回の介入や多職種連携に必要な情報を残します。
一方、記録を残しただけで算定要件を満たすわけではありません。算定要件の確認と臨床経過の記録は分けて考えます。
| 場面 | 記録したい内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| 拒否 | 拒否理由、再提案、共有先、次回方針 | 未実施を実施扱いにしない |
| 急変・中止 | 症状、必要なバイタル、中止理由、対応、報告先 | 安全管理を優先する |
| 短縮 | 実施時間、内容、短縮理由 | 予定単位と実績を混同しない |
| 検査中断 | 中断理由、実施時間、再開の有無 | 待機時間を訓練時間に含めない |
| ベッド上のみの訓練 | 医学的状態、訓練目的、実施内容、離床の可否 | 減算対象・除外条件を確認する |
記録を簡潔にまとめる考え方
開始・終了時刻や通常の訓練内容が電子カルテの専用欄に保存されている場合、本文には「いつもと異なる判断」を中心に記録すると整理しやすくなります。
例えば、拒否理由、中止理由、症状の変化、医師への相談、次回の方針などです。
ただし、必要な診療記録を省略してよいという意味ではありません。電子カルテの記録構造と施設の運用を確認してください。
リハビリ算定でよくある勘違い
算定判断で避けたいのは、予定単位や記録の有無だけで算定可否を決めることです。
| 誤解 | 確認すべきこと |
|---|---|
| 訪室したから算定できる | 算定対象となるリハビリテーションを実施したか |
| 予定が2単位なら2単位算定できる | 実際の訓練時間と内容が要件を満たすか |
| 10分でも1単位算定できる | 疾患別リハビリテーション料は原則20分以上を1単位とする |
| カルテに書けば算定できる | 記録だけでなく、医師指示・対象疾患・実施要件を満たすか |
| ベッド上のROMはすべて減算される | 訓練目的・内容・患者条件・除外条件を確認する |
| 手術当日は必ず算定できない | 医師指示、患者状態、実施内容、算定要件を確認する |
リハビリの算定可否に迷ったときの確認フロー
算定できるか迷ったときは、記事前半の判断フローチャートを参照し、次の5項目を順番に確認してください。
| 順番 | 確認項目 | 判断すること |
|---|---|---|
| 1 | 対象疾患・算定区分 | 疾患別リハの対象、算定日数、制度上の条件 |
| 2 | 医師指示 | 実施の指示、禁忌、中止・再開条件 |
| 3 | 実施時間 | 実際の訓練時間と20分1単位の原則 |
| 4 | 実施内容 | 疾患別リハとしての内容、減算・制限の該当性 |
| 5 | 記録・共有 | 必要な診療記録、変更理由、報告・相談先 |
この5ステップは実務上の確認手順を整理したものであり、厚生労働省が定めた公式の判定フローではありません。
特に令和8年度改定の「離床を伴わないリハビリテーション」は、ベッド上で実施したという事実だけで減算を決定しません。患者条件、訓練内容、除外条件をあわせて確認します。
最終的な算定可否は、現行の診療報酬点数表、通知、疑義解釈、施設基準などに基づいて判断してください。
よくある質問
患者さんに拒否された日は算定できますか?
拒否により算定対象となるリハビリテーションを実施していなければ、算定しません。拒否理由、再提案、共有先、次回方針は経過記録として残します。
10分だけ実施して中止した場合は算定できますか?
疾患別リハビリテーション料は、原則として20分以上の個別療法を1単位とするため、10分の訓練のみでは1単位を算定できません。中止理由や対応は診療録に残します。
検査でリハビリが短縮された場合はどうしますか?
予定時間ではなく、実際に提供した訓練時間と内容で判断します。検査への移動や待機など、訓練を提供していない時間を含めないよう注意してください。中断後に再開した場合の取扱いは、現行の通知・疑義解釈に照らして確認します。
外泊日はリハビリを算定できますか?
外泊中でリハビリテーションを実施していなければ算定しません。外泊開始日や帰院日に実施した場合は、実際の実施状況と算定要件を確認します。
ベッド上でのROM訓練は令和8年度からすべて減算されますか?
いいえ。減算・単位制限の対象は、患者条件や訓練目的・内容などによって決まります。ベッド上で実施したという事実だけで判断せず、他動的訓練のみか、所定の除外条件に該当するかなどを確認してください。
次の一手
リハビリが算定できない日を判断する際は、まず未実施・途中中止・短縮・減算対象を区別してください。そのうえで、部署内で迷いやすい事例を共有し、医事課へ確認する手順をそろえると、判断のばらつきを減らしやすくなります。
疾患別リハビリテーション料の期間管理を確認したい場合は、標準的算定日数の解説をご覧ください。
実施計画書や診療記録の確認を進めたい場合は、リハビリテーション実施計画書の監査対策も参考になります。
参考文献
- 厚生労働省. 令和8年度診療報酬改定について. 2026. 厚生労働省公式ページ.
- 厚生労働省. 令和8年度診療報酬改定項目の概要:疾患別リハビリテーション料の訓練内容に応じた評価の見直し. 2026. 公式資料(PDF).
- 厚生労働省保険局医療課. 疑義解釈資料の送付について(その2). 2026年4月1日. 通知資料(PDF). 疾患別リハビリテーション料の離床を伴わないリハビリテーションについては問69を参照。
- 厚生労働省. 令和8年度診療報酬改定説明資料等について. 2026. 公式説明資料一覧.
- 日本理学療法士協会. 令和8年度診療報酬改定情報. 2026. 改定情報・疑義解釈一覧.
著者情報

rehabilikun(理学療法士)
2022年4月にrehabilikun blogを開設。急性期・回復期・療養病棟、介護福祉施設、訪問リハビリテーションでの経験を持ち、現在は療養病院に勤務しています。
脳卒中、褥瘡・創傷ケア、リハビリテーション栄養、呼吸リハビリテーションを中心に、PT・OT・STが臨床で活用できる評価方法や実務上の判断ポイントを発信しています。
保有資格
- 脳卒中認定理学療法士
- 褥瘡・創傷ケア認定理学療法士
- 登録理学療法士
- 3学会合同呼吸療法認定士
- 福祉住環境コーディネーター2級

