リハビリが算定できない日は?迷いやすいケースを整理

制度・実務
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リハビリが算定できない日は「実施したか」だけでは判断できない

リハビリが算定できるかどうかは、「患者さんに関わったか」だけでは判断できません。疾患別リハビリテーション料の対象、医師の指示、実施時間、訓練内容、記録、外泊・検査・手術などの予定、医療保険と介護保険の関係をあわせて確認する必要があります。

この記事では、PT・OT・ST が現場で迷いやすい「算定できない日」「算定に注意が必要な日」をケース別に整理します。最終判断は施設基準、算定要件、疑義解釈、院内ルールに従いますが、返戻・減算を避けるための確認ポイントとして活用してください。

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算定できない日の判断は、標準的算定日数や医療保険・介護保険の移行とも関係します。関連する制度記事もあわせて確認しておくと、記録や説明の抜けを減らせます。

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リハビリが算定できない・注意が必要なケース早見表

まずは、現場で迷いやすい場面を一覧で確認します。ポイントは「実施していない日は算定できない」「実施した場合でも、時間・内容・記録が不足すると説明が難しくなる」という 2 点です。

表ではあえて「算定可」「算定不可」と断定しすぎず、確認すべき観点を整理しています。実際の算定判断では、診療報酬点数表、疑義解釈、施設基準、院内の医事課確認をあわせて行ってください。

リハビリ算定で迷いやすい日の確認表
ケース 算定の考え方 記録ポイント 注意点
患者拒否 実施していなければ算定は困難 拒否理由、再提案、共有先 声かけだけで単位算定しない
不在・離棟 実施できなければ算定不可 不在理由、再訪問の有無 予定表だけで実施扱いにしない
発熱・急変で中止 実施時間と内容を確認 バイタル、中止理由、医師報告 中止前に何をどこまで実施したか残す
検査・診察で中断 実施時間が要件を満たすか確認 開始時刻、終了時刻、中断理由 移動や待機時間を訓練時間に含めない
外泊 外泊中は原則として実施不可 外泊日、帰院日、再開日 帰院後の再開指示を確認する
手術当日 状態・医師指示・実施内容で確認 術前後の指示、目的、中止基準 漫然と通常メニューを継続しない
介護保険リハとの重複 対象疾患・提供内容・制度関係を確認 医療・介護それぞれの目的と計画 同一内容の重複提供に注意する
ベッドサイド ROM のみ 訓練内容と評価区分に注意 目的、離床可否、実施内容 2026 改定後は内容評価の確認が重要

患者拒否・不在・離棟で実施できなかった場合

患者さんが拒否した、不在だった、検査や売店などで離棟していたなど、実際にリハビリを実施できなかった場合は、原則として単位算定はできません。声かけ、訪室、予定表への記載だけで「実施した」と扱わないことが重要です。

ただし、拒否の背景を評価し、時間を変えて再提案した、看護師や医師と共有した、疼痛・不安・疲労などの原因を整理した場合は、その経過を記録しておく価値があります。算定のためではなく、次回介入や多職種共有のための記録として残します。

発熱・急変・血圧異常で中止した場合

発熱、血圧異常、SpO2 低下、胸部症状、意識状態の変化などでリハビリを中止した場合は、「中止した」という事実だけでなく、中止前に何をどこまで実施したかを確認します。実施時間が不十分であれば、単位算定は難しくなります。

記録では、開始前の状態、実施内容、中止時のバイタル、症状、対応、報告先、再開条件を簡潔に残します。急変対応では、算定可否よりも安全管理が優先です。迷う場合は、実施記録と医事課確認を分けて考えると整理しやすくなります。

検査・診察・手術で予定どおり実施できなかった場合

検査、診察、処置、手術前後の予定変更でリハビリが短縮・中断された場合は、実施時間と訓練内容の確認が必要です。予定していた単位数ではなく、実際に提供した内容に基づいて判断します。

とくに注意したいのは、患者搬送、検査待ち、病棟内での待機、申し送りだけの時間をリハビリ実施時間として扱わないことです。開始時刻と終了時刻、中断理由、再開できなかった理由を残すと、後から医事課や管理者が確認しやすくなります。

介護保険リハと重なる日は特に注意する

医療保険のリハビリと介護保険のリハビリが関係する場面では、対象疾患、提供目的、移行時期、計画書の共有が重要になります。医療保険と介護保険は制度が異なるため、単純に「別制度だから同日に問題ない」と考えるのは危険です。

退院後や外来・訪問の移行期では、医療保険で扱う疾患別リハビリと、介護保険サービスで実施するリハビリの目的が重なりやすくなります。詳細は 医療保険から介護保険へのリハ移行 の記事で整理し、本記事では「同じ目的・同じ内容の重複に注意する」と押さえておきます。

2026 改定後は「離床を伴わない訓練内容」にも注意する

令和 8 年診療報酬改定では、疾患別リハビリテーション料について、訓練内容に応じた評価の見直しが論点になります。とくに、離床を伴わない介入や、ベッドサイドでの他動運動中心の介入では、従来どおりの感覚で算定判断をしないことが重要です。

もちろん、医学的に必要なベッドサイド介入そのものが否定されるわけではありません。大切なのは、なぜ離床できないのか、何を目的に介入したのか、疾患別リハビリとしてどのような評価・訓練を行ったのかを記録で説明できることです。

返戻・減算を防ぐための記録ポイント

算定できない日を減らすというより、「実施した内容を説明できる記録」を残すことが重要です。記録が曖昧だと、実施した事実があっても、後から内容・時間・目的を説明しにくくなります。

特に、短縮、中止、拒否、急変、検査中断、ベッドサイド対応の日は、通常日の定型文だけでは不十分です。いつもと違う日ほど、短くてもよいので理由と判断を残します。

返戻・減算を防ぐために残したい記録項目
場面 残したい内容 避けたい記録
拒否 拒否理由、再提案、共有先、次回方針 「拒否あり」のみ
中止 中止理由、バイタル、実施済み内容、報告 「体調不良のため中止」のみ
短縮 実施時間、短縮理由、実施内容 予定単位どおりの記録
検査中断 開始・終了時刻、中断理由、再開可否 検査待ち時間を含めた記録
ベッドサイド対応 離床困難な理由、目的、訓練内容 「ROM 実施」のみ

現場でよくある勘違い

算定で迷う場面では、「実施したつもり」「記録したから大丈夫」「予定に入っていたから算定できる」という考え方がトラブルにつながりやすくなります。算定は、予定ではなく実際に提供した内容で確認します。

また、短時間介入、拒否対応、ベッドサイド介入、検査中断の日は、職員間で判断が分かれやすい場面です。部署内で判断基準をそろえ、迷ったケースは医事課や管理者に確認できる運用を作ることが大切です。

リハビリ算定で起こりやすい勘違い
勘違い 考え方
カルテに書けば算定できる 記録は必要ですが、実施内容・時間・要件を満たしていることが前提です。
拒否でも訪室したから算定できる 実施していなければ算定は困難です。拒否対応は経過記録として残します。
検査待ちもリハ時間に含めてよい 待機や移動は訓練時間として扱わないよう注意します。
ベッドサイド ROM なら常に問題ない 目的、疾患別リハとしての内容、離床困難な理由を説明できる記録が必要です。
医療保険と介護保険は別なので同日でも常に問題ない 対象疾患、目的、提供内容、移行時期を確認します。

制度判断で迷う日は、個人の判断だけで抱え込まないことも重要です。

算定・記録・中止判断が属人化している職場では、教育体制や確認ルートの不足が負担になることがあります。自分の働き方や職場環境を整理したい場合は、PT 向けのキャリア整理ページも参考になります。

PTの働き方を整理する

迷ったときの確認フロー

リハビリ算定で迷ったときの5ステップ。対象疾患・算定区分、医師指示、実施時間、実施内容、記録・共有の順に確認する流れを示した図版。
リハビリ算定で迷ったときは、対象疾患・医師指示・実施時間・実施内容・記録共有の順に確認します。

算定できるか迷ったときは、いきなり「算定できる・できない」を決めるより、確認項目を順番に見る方が安全です。特に、予定変更があった日は、実施時間と記録だけでなく、医師指示や対象疾患も確認します。

上の図版の 5 ステップで確認すると、判断の抜けを減らせます。部署内で共通の確認フローにしておくと、新人や異動者にも説明しやすくなります。

リハビリ算定で迷ったときの 5 ステップ
順番 確認項目 見るポイント
1 対象疾患・算定区分 疾患別リハの対象、算定日数、移行状況を確認する
2 医師指示 中止・再開・負荷量・禁忌の指示を確認する
3 実施時間 実際に提供した時間が単位要件に合うか確認する
4 実施内容 疾患別リハとして説明できる評価・訓練か確認する
5 記録・共有 中止理由、変更理由、報告先、次回方針を残す

よくある質問

各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。

患者さんに拒否された日は算定できますか?

実際にリハビリを実施していなければ、原則として算定は困難です。拒否理由、再提案の有無、看護師や医師との共有、次回方針を経過記録として残します。

途中で検査に呼ばれた場合はどう判断しますか?

実際に提供した時間と内容で確認します。検査への移動、待機、申し送りだけの時間を訓練時間として扱わないよう注意します。開始時刻、終了時刻、中断理由を記録しておくと確認しやすくなります。

発熱で途中中止した場合は算定できますか?

中止前に実施した時間と内容が要件を満たすかを確認します。算定判断とは別に、発熱時の状態、中止理由、対応、報告先、再開条件を記録します。

外泊日はリハビリ算定できますか?

外泊中はリハビリを実施できないため、通常は算定対象になりません。帰院日や再開日の扱いは、実際の実施状況、医師指示、院内ルールを確認します。

ベッドサイド ROM だけの日は注意が必要ですか?

注意が必要です。医学的に必要な場合はありますが、目的、離床困難な理由、疾患別リハとしての評価・訓練内容を説明できる記録が必要です。令和 8 年改定後は、訓練内容に応じた評価の見直しも確認します。

次の一手

算定できない日を減らすには、制度を暗記するよりも、迷いやすいケースを部署内で共有し、記録の型をそろえることが重要です。まずは「拒否」「中止」「短縮」「検査中断」「ベッドサイド対応」の 5 場面について、どこに何を書くかを確認しておくと運用しやすくなります。

関連して、疾患別リハの期間管理は 標準的算定日数の記事、医療保険から介護保険への切り替えは 医療保険リハと介護保険リハの移行記事、計画書や記録の確認は リハ実施計画書の監査対策記事 をあわせて確認してください。


参考文献

  1. 厚生労働省. 令和 6 年度診療報酬改定について. https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188411_00045.html
  2. 厚生労働省. 令和 6 年度診療報酬改定の概要【同時報酬改定における対応】. 2024. https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001252073.pdf
  3. 厚生労働省. 令和 8 年度診療報酬改定関連通知及び官報掲載事項の一部訂正について. 2026. https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001685326.pdf
  4. 厚生労働省. 令和 6 年度介護報酬改定について. https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_38790.html
  5. 日本理学療法士協会. 令和 8 年度診療報酬改定情報. https://www.japanpt.or.jp/pt/function/insurance/medical_2026/

著者情報

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rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3 学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター 2 級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

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