FIM 認知 5 項目の採点基準|声かけ・誘導・代行で迷わないコツ

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FIM 認知 5 項目の採点で迷わないコツ|結論:「声かけ= 5 点」「身体介助= 4 点以下」を先に固定します

認知の採点は「介助の種類」を先に揃えると、点数のブレが一気に減ります。 評価 → 介入 → 再評価の型を 3 分で復習する( PT キャリアガイド )

FIM の認知領域(理解・表出・社会的交流・問題解決・記憶)は、運動項目よりも「何を介助とみなすか」が曖昧になりやすく、採点が割れがちです。結論としては、声かけや促しだけなら 5 点身体介助や代行が入るなら 4 点以下という “入口の線引き” を先に固定すると、判断が揃います。

本記事は、認知 5 項目の採点を「いつ・どんな介助が入ったか」で整理し、迷いやすい境界と記録の型を 1 ページにまとめます。FIM 全体の位置づけ(点数の意味、運動/認知の扱い)を先に確認したい場合は FIM の総合ガイドも併用すると、チーム内の言葉が揃いやすくなります。

まず押さえる:認知は「介助の中身」で点数が決まる

認知の採点で最も大切なのは、「できた/できない」よりも介助の中身です。たとえば、理解が不十分でも、声かけで修正できるなら “身体介助はない” ため、点数帯は 5 点以上が中心になります。逆に、行動の制止や環境調整(危険回避)のために常時つきっきりになるなら、実質的に監視が入っており 5 点に寄りやすくなります。

運動項目の「介助割合」と同様に、認知でも “介助の程度” を考えます。ただし認知では、介助が身体ではなく情報(言語・合図・手順)として入る場面が多いため、まずは介助の種類を分類してから点数を当てはめるとブレが減ります。

認知項目の採点を安定させる「介助の種類」早見(成人・一般的運用)
介助の種類 点数の方向性 メモの残し方
促し(声かけ) 手順のリマインド、注意喚起、再説明 5 点の中心(身体介助なし) 「声かけ 2 回で修正」
手掛かり(キュー) 選択肢提示、合図、指差し キューの頻度で 5 点〜 4 点を検討 「選択肢提示が頻回」
監視(近接見守り) 危険回避のため常に目を離せない 5 点寄り(監視あり) 「危険場面で近接見守り」
身体介助・制止 立ち上がりを止める、手を取って誘導 4 点以下の検討 「制止・誘導が必要」
代行 判断や手順を代わりに決める/やってしまう 3 点以下を検討 「判断は代行」

認知 5 点の考え方:ポイントは「身体介助なし+必要最小限の促し」

認知 5 点は、運動の 5 点(監視・促し)と同じく、身体介助はなく促し・声かけ・準備で課題が成立する点数帯として扱うと分かりやすいです。迷いが出やすいのは、「促しの頻度が多い」「安全のために目を離せない」など、介助が増えているのに 5 点に置き続けてしまうケースです。

実務では、まず「身体介助・制止・誘導が入ったか」を確認し、入っていなければ 5 点以上の中で調整します。逆に、制止や誘導が入るなら、点数は 4 点以下の検討に切り替えると判断が速くなります。

認知 5 項目の “見立てポイント” と記録の型

同じ “声かけ” でも、どの場面で必要かが違うと、介入方針や再評価の焦点が変わります。各項目は「困る場面 → 介助の種類 → 記録の一言」を揃えると、チームで共有しやすくなります。

認知 5 項目:迷いポイントと記録の一言(臨床で使う最小セット)
項目 迷いポイント 5 点になりやすい場面 4 点以下を疑う場面 記録の一言例
理解 聞き返し/再説明の頻度 再説明で理解が追いつく 説明だけでは成立せず、選択肢提示や誘導が頻回 短文にすると理解、再説明 2 回で可
表出 意思疎通の成立(語想起・発話量) 言い直しや時間で伝達可能 代弁や意思確認の代行が必要 語想起遅延あり、質問で補うと成立
社会的交流 不穏・易怒・逸脱行動の扱い 注意喚起で修正できる 制止が必要/安全確保で常時介入 場面で逸脱、注意で修正(制止なし)
問題解決 段取り・優先順位の崩れ 声かけで手順を立て直せる 判断の代行が必要(手順を決められない) 手順の声かけで再開、判断は本人
記憶 反復確認/忘れの頻度 メモや手がかりで思い出せる 重要事項を保持できず代行・管理が必要 メモ提示で想起、確認は軽度

5 点と 4 点の境界:キーワードは「制止・誘導・代行」

認知の境界で最も効くのは、声かけ( 5 点)誘導・制止( 4 点以下)を分けることです。声かけは “情報の補助” で、本人の主体性が残ります。一方、誘導・制止は “行動そのものに介入” するため、点数は 4 点以下の検討に切り替えやすくなります。

迷ったら、次の 3 つをチェックします。①危険回避で手が出た(制止) ②本人の判断が成立せず代わりに決めた(代行) ③手順を最後まで導いた(誘導)。これらが入っていれば、 5 点の枠から外れる可能性が高いです。

認知の 5 点/ 4 点の境界チェック(最短版)
チェック項目 該当しない 該当する 点数の方向性
制止が必要 声かけで修正できる 危険行動を止めるため手が出る 4 点以下を検討
誘導が必要 本人が手順を再開できる 手順を最後まで導く必要がある 4 点以下を検討
代行が必要 判断は本人ができる 判断・選択を代わりに行う 3 点以下も視野

現場の詰まりどころ:認知を「できた/できない」で採点してしまう

認知項目は、失敗があっても “介助の種類” が軽ければ点数は大きく落ちないことがあります。逆に、成功して見えても、裏で常時介入(近接見守り・制止)が必要なら、点数は上がりません。つまり、結果よりも介助の中身を記録しないと、再評価が崩れます。

対策は 2 つです。① “介助の種類” を固定の語彙(声かけ/選択肢提示/誘導/制止/代行)で書く ② “いつ必要だったか” を場面で書く(更衣、移乗、病棟歩行、食事など)。この 2 点だけで、採点と介入がつながります。

記録の型:点数 +「介助の種類」+「場面」を 1 行で残す

認知は点数だけだと情報量が不足しやすいので、点数 + 介助の種類 + 場面の 3 点セットを 1 行で残します。例:「問題解決:声かけで手順再開(更衣)」「社会的交流:注意で修正、制止なし(病棟)」のように、次回も同じ観察条件で比較できる形にすると、点数の揺れが減ります。

“声かけ” が多い場合は、回数や頻度をざっくりで良いので入れると強いです(例:声かけ 2〜 3 回/場面ごとに必要)。運動項目の介助割合ほど厳密にしなくても、記録の粒度が揃うだけで再評価が安定します。

よくある質問(FAQ)

各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。

「声かけが多い」だけで 4 点に下げるべきですか?

声かけの “多さ” だけではなく、介助の種類がポイントです。声かけで修正でき、制止・誘導・代行が入らないなら、まずは 5 点の枠で検討します。逆に、声かけでは成立せず、行動の誘導や判断の代行が必要なら 4 点以下を検討しやすくなります。

安全のために常に目を離せない場合は?

実質的に “監視” が入っているため、 5 点寄りで考えることが多いです。ただし、危険回避で制止や誘導が頻回に必要なら、 4 点以下の検討に切り替えます。判断を揃えるには、監視の強度(近接か、介入意図があるか)をチームで言語化するのが有効です。

運動は自立なのに、認知だけ点数が低いのは変ですか?

変ではありません。運動の成立と、理解・問題解決・記憶の介助量は別の軸です。むしろ “運動はできるが段取りでつまずく” ケースは多く、認知の点数が低いこと自体が、転倒や生活上のリスク(ミス・逸脱)を示す情報になります。

5 項目を短時間で評価するコツはありますか?

おすすめは「場面を固定」することです。更衣・移乗・病棟移動など、日中に必ず出る場面で、理解/表出/交流/問題解決/記憶をまとめて観察し、介助の種類を同じ語彙で記録します。場面固定だけで、評価が速くなり、チームで比較しやすくなります。

次の一手:点数別で “迷いどころ” を潰して運用を揃える

参考文献

  • Keith RA, Granger CV, Hamilton BB, Sherwin FS. The functional independence measure: a new tool for rehabilitation. Adv Clin Rehabil. 1987;1:6-18. PubMed

著者情報

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3 学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター 2 級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

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