ロコモ立ち上がりテストの手順と判定の実務ガイド

評価
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ロコモ立ち上がりテストは「下肢機能低下の入口」を短時間で見抜く実装向け評価です

ロコモ立ち上がりテストは、下肢筋力とバランス機能の低下を短時間で把握できる評価です。実務で差が出るのは、条件を固定して再現性を確保することと、判定後に次の介入へつなぐことです。本記事は、手順を最小限に整理し、判定の読み方と記録の型まで一気に実装できる形にまとめています。

とくに、台高( 20 / 30 / 40 cm )、上肢使用ルール、反動の扱いを統一しないと結果がブレます。点数確認だけで終わらせず、「よくある失敗→回避チェック→次アクション」まで一連で運用してください。

実施フロー(判定→記録→次アクション)

以下のフロー図を基準に、現場での説明と記録を統一します。まず対象確認と条件固定を行い、実施後は判定だけで終わらせず、記録と次アクションまでをセットで運用してください。

ロコモ立ち上がりテストの実施フロー。対象確認、条件固定、実施、判定、ロコモ度の目安照合、記録、次アクションの順。
図:ロコモ立ち上がりテストの実施フロー(条件固定→判定→記録→介入)

判定の早見(立ち上がりテスト)

立ち上がりテストはロコモ度テストの一部です。単独で断定せず、 2 ステップテストやロコモ 25 の結果と合わせて総合判断します。ここでは、実務で使う最小限の読み方に絞って整理します。

ロコモ度テストにおける立ち上がりテストの臨床判断値(要点)
区分 立ち上がりテストの目安 臨床での読み方
ロコモ度 1 の目安 片脚 40 cm で立ち上がれない(両脚 20 cm は可) 移動機能低下の入口。運動習慣の定着支援を開始。
ロコモ度 2 の目安 両脚 20 cm で立ち上がれない(両脚 30 cm は可) 進行段階。疼痛やADL低下があれば医療連携を優先。
ロコモ度 3 の目安 他テスト結果を含む総合判定で移動機能低下が進行 社会参加への影響が大きい。包括的介入が必要。

実施手順(ブレを減らす最小フロー)

実施前に、台高、上肢使用、指示文、試行回数を統一します。転倒リスクが高い対象では介助者配置を優先し、無理な実施は避けます。判定時は「成功/失敗」だけでなく、代償動作(反動、体幹前傾過多、膝の不安定性)を記録すると介入に直結します。

再評価は同じ条件で行うことが前提です。靴、時間帯、休息時間、声かけをそろえると、経時変化の解釈が安定します。関連する記録の型はロコモ評価総論の記録テンプレで統一しておくと、チーム内共有がスムーズです。

現場の詰まりどころ

簡便な評価ほど、条件のゆらぎで結果が変わりやすいです。特に多いのは「反動ありの成功扱い」「台高の取り違え」「左右差の未記録」です。最初にこの 3 点を潰すと、評価精度が安定します。

よくある失敗

立ち上がりテストで起きやすい失敗と対策の方向性
失敗パターン 問題点 対策
反動ありを成功扱い 下肢機能ではなく勢いで達成する 反動の可否を事前に統一し、別記録で管理
台高の混同( 20 / 30 / 40 cm ) 判定閾値と実施条件が一致しない 台高ラベルを可視化し、測定前に読み上げ確認
左右差を記録しない 片脚機能の偏りを見逃す 左右別に成功可否・代償動作・疼痛を記録

回避の手順(チェックリスト)

  • 開始前に「台高・上肢使用・指示文」を口頭で統一する
  • 判定は「立位保持」までを含めて定義する
  • 成功/失敗に加えて代償動作と疼痛を記録する
  • 再評価条件(靴・時間帯・試行回数)を固定する

よくある質問(FAQ)

各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。

立ち上がりテストだけでロコモ度を決めてもよいですか?

単独判定は推奨されません。ロコモ度は、立ち上がりテスト、 2 ステップテスト、ロコモ 25 を組み合わせて総合判断します。立ち上がりテストは下肢機能の把握に強い一方、移動機能全体の評価には併用が必要です。

反動で立てた場合は成功ですか?

施設ルールを事前に決めて統一してください。再現性を重視するなら、反動なし条件を主判定にして、反動ありは補助情報として別記録にすると解釈が安定します。

疼痛がある対象にも実施してよいですか?

疼痛の程度、急性増悪、転倒リスクを確認し、無理な実施は避けます。痛みが強い場合は中止基準を優先し、他の低負荷評価に切り替える判断が必要です。

再評価の間隔はどれくらいが実務的ですか?

介入内容にもよりますが、 2 〜 4 週間ごとに同条件で再評価すると変化を追いやすくなります。条件固定(靴・時間帯・指示文)の徹底が前提です。

次の一手

教育体制・人員・記録文化など“環境要因”を一度見える化すると、次の打ち手が決めやすくなります。

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参考文献

  1. 日本整形外科学会. ロコモ度判定方法(ロコモONLINE). https://locomo-joa.jp/check/judge
  2. 日本整形外科学会. 立ち上がりテスト(ロコモONLINE). https://locomo-joa.jp/check/test/stand-up
  3. 日本整形外科学会. ロコモ度を判定する臨床判断値(ロコモ度 3 追加). https://www.joa.or.jp/media/comment/pdf/20200911_clinical_judgment_value.pdf

著者情報

rehabilikun

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3 学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター 2 級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

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