OT初期評価チェックリスト|初回〜1週間【Excel・PDF】

評価
記事内に広告が含まれています。

OT初期評価チェックリスト|初回〜1週間で確認する6ブロック

OTの初期評価では、評価項目をすべて初日にそろえることより、「今確認すべきこと」と「あとで深めること」を分けることが重要です。本記事では、成人・一般のOT初期評価を初回・72時間程度・1週間程度の3段階に分け、①背景 ②安全 ③心身機能 ④活動 ⑤環境 ⑥目標の6ブロックで整理します。

結論として、初回は安全条件と優先する作業を押さえ、その後に背景・主要因・環境・目標を更新していくと、評価から介入・記録・共有までつなげやすくなります。記事内では、同じ6ブロックで使えるExcel原本とA4 PDFチェックシートも配布しています。

初回→72時間程度→1週間程度|最初に確認する順番

本記事では、初期評価を3段階に分けて整理します。ただし、「72時間程度」「1週間程度」は公式の期限ではなく、本記事で評価を一度に詰め込まないために設けた運用目安です。

日本作業療法士協会の「作業療法ガイドライン(2024年度版)」では、初回評価後も対象者の変化に応じた対応が必要であり、初回評価時点で十分な情報が得られない場合があること、さらに再評価と目標・介入計画の更新を組み合わせて進めることが示されています。[1] 疾患、急性度、施設の運用、医師の指示などに応じて、必要な確認項目は前倒し・後ろ倒ししてください。

OT初期評価を初回・72時間程度・1週間程度の3段階で整理した図版
OT初期評価はすべてを初日に埋めず、初回は安全と活動、72時間程度までに背景と心身機能、1週間程度までに環境と目標を整理します。72時間・1週間は公式期限ではなく、本記事で用いる運用目安です。
OT初期評価|初回〜1週間の運用目安
時期 優先するブロック この時点で残したい情報
初回 ②安全+④活動 実施条件・注意点と、優先する作業の現状
72時間程度まで ①背景+③心身機能 本人が大事にする作業と、作業を妨げる主要因
1週間程度まで ⑤環境+⑥目標 調整可能な環境と、共有できる目標・再評価条件

ポイント:①〜⑥の番号は評価内容を整理するための番号であり、必ずこの順番で評価するという意味ではありません。安全判断や介入方針に必要な情報は、時期に関係なく優先して確認します。

6ブロックで「何を見るか」を固定する

6ブロックは、特定の評価尺度や公式の採点基準ではなく、初期評価の抜けを確認するために本記事で整理した運用枠です。検査項目を増やすことではなく、「何が分かっていて、何がまだ分かっていないか」を整理するために使います。

作業療法では、心身機能だけでなく、対象者が大切にしている作業、活動・参加、環境や個人因子を関連づけて捉えることが重要です。日本作業療法士協会のガイドラインやAOTAのOccupational Profileでも、対象者の生活行為・価値観・関心・環境を含めて評価する考え方が示されています。[1][2]

OT初期評価の6ブロック
ブロック 確認すること 代表項目 記録で残すこと
①背景 大事にしたい作業と生活像 生活歴、役割、趣味、価値観、家族、退院後の希望 本人が再開・継続したい作業
②安全 実施できる条件 医師の指示、禁忌・注意点、疼痛、バイタル、疲労、転倒リスク 実施条件、中止・相談条件、必要な介助
③心身機能 作業を妨げる要因 上肢機能、感覚、認知、注意、視知覚、精神機能など 作業との関連が強い主要因
④活動 優先する作業の現状 ADL、IADL、家事、仕事、趣味、役割など 優先する作業と、どこで困っているか
⑤環境 作業を助ける・妨げる条件 道具、動線、住環境、家族支援、制度、職場条件 先に変更できる環境条件
⑥目標 共有する到達点 行為、条件、期限、評価方法 目標と再評価条件

OT初期評価チェックリスト|各時期でどこまで確認するか

チェックリストは「すべての欄を埋める」ためのものではありません。確認済み・未確認・追加評価が必要を区別し、次に何を確認するかを残すために使います。

OT初期評価チェックリスト(初回→72時間程度→1週間程度)
時期 ブロック 確認すること この時点で残すこと
初回 ②安全 医師の指示、禁忌・注意点、疼痛、バイタル、疲労、転倒リスク、必要な介助 実施できる条件/中止・相談が必要な条件
初回 ④活動 本人が困っている・必要としている作業と、実際の遂行状況 優先する作業+現在の困り方
72時間程度まで ①背景 生活歴、役割、価値観、家族支援、本人・家族の希望 大事にしたい作業と生活の方向
72時間程度まで ③心身機能 作業観察から必要となった上肢機能、感覚、認知、注意、視知覚など 作業を妨げていると考える主要因
1週間程度まで ⑤環境 住環境、道具、家族支援、介助方法、制度、職場条件など 変更できる環境と、追加確認が必要な情報
1週間程度まで ⑥目標 本人の希望、優先する作業、必要条件、期限、評価方法 目標+再評価する時期・条件

状態変化が大きい場合や、安全性に関わる所見がある場合は、この時間軸にこだわらず必要な評価を前倒しします。逆に、詳細な検査がその時点の作業・安全・介入判断につながらない場合は、何を明らかにするための評価なのかを整理してから追加すると、検査だけが増えるのを防ぎやすくなります。

OT初期評価チェックシート|Excel・PDFダウンロード

記事の6ブロックをA4 1枚で確認できるOT初期評価チェックシート v3を用意しました。初回〜1週間程度の確認状況、安全条件、優先する作業、主要因、環境、目標に加えて、未確認・追加評価・次に確認することまで整理できます。

Excel版は、自部署の運用に合わせて項目を調整したい場合の原本として使えます。PDF版は、そのまま印刷して確認・教育用に使いたい場合に向いています。

院内で使用する場合は、施設の記録様式や個人情報管理のルールを確認してください。本シートは、正式な診療記録や施設で定められた評価様式を置き換えるものではなく、初期評価の整理・申し送り・教育を補助するためのシートとして使用してください。

PDFを記事内でプレビューする

初回で埋まらない項目は「未確認」のまま残す

初期評価では、すべての情報を初回でそろえられるとは限りません。日本作業療法士協会のガイドラインでも、初回評価時点で情報が十分に得られない場合があることが示されています。[1]

分からない情報を推測で埋めるのではなく、「未確認」と「次に誰から・何で確認するか」まで残すことが重要です。v3チェックシートでも、この考え方を反映しています。

初期評価で情報がそろわないときの扱い
状況 その場で行うこと 次に確認すること
安全条件が不明 推測で負荷を上げない 医師の指示、診療情報、関連職種、施設の手順を確認する
本人の希望を十分に聞けない 希望を決めつけず未確認とする 本人への再面接、必要に応じて家族・支援者から情報を追加する
住環境が分からない 既知の情報だけを記録する 本人・家族、関連職種、写真や家屋情報など確認可能な方法を検討する
認知・高次脳機能の詳細評価が未実施 安全や作業遂行に現れている所見を先に記録する 観察所見と評価目的に応じて必要な検査を追加する
目標をまだ合意できない 暫定的な課題と確認中の点を残す 本人・家族・チームと再確認して更新する

1行記録の型|評価から次の一手まで残す

チェックしただけでは、次の担当者に評価の意味が伝わりません。記録では、「何が重要か」「何が作業を妨げているか」「次に何を確認・実施するか」まで追える形にします。

すべてを長文で記録する必要はありません。6ブロックごとに結論を短く残し、詳細所見は必要な部分だけ追加すると、カンファレンスや申し送りでも確認しやすくなります。

OT初期評価|6ブロックの1行記録
ブロック 1行で残す内容 記録の型
①背景 本人にとって重要な作業 重要作業:○○。本人は○○の再開を希望。
②安全 実施条件・注意点 安全条件:○○。中止・相談条件:○○。
③心身機能 作業との関連が強い要因 ○○動作では、○○が遂行を妨げている可能性。
④活動 優先する作業と現状 優先作業:○○。現状は○○で介助/時間/安全面に課題。
⑤環境 調整できる条件 ○○を調整すると、○○の遂行改善が見込めるため確認予定。
⑥目標 行為・条件・期限・再評価 ○○までに、○○条件で○○を実施。○○で再評価。

まとめて残す場合の型:「優先作業:○○。現状:○○。安全条件:○○。主要因:○○。環境:○○を確認・調整。目標:○○までに○○条件で実施し、○○で再評価。」

初期評価が散らばったときは「優先する作業」へ戻る

初期評価で検査項目が増えすぎたときは、さらに評価を追加する前に、「この結果で何を判断したいのか」を確認します。

若手作業療法士を対象とした2026年の研究でも、初回面接評価で経験する困難には、対象者の特性だけでなく、OTの技術、心理的要因、環境要因など複数の要素が関係していました。[3] 項目を暗記するだけではなく、評価の目的と次の行動をつなげることが重要です。

OT初期評価で迷ったときの戻り方
困っていること 確認し直すこと 次の一手
検査ばかり増える 優先する作業が決まっているか ④活動に戻り、困っている場面を具体化する
所見が多く絞れない どの所見が作業を妨げているか ③心身機能から主要因を絞る
介入につながらない 環境を変えると遂行が変わるか ⑤環境を確認し、条件を変えて再観察する
記録が散らばる 6ブロックのどこに属する情報か 見出しを固定し、未確認事項を分ける
目標が抽象的 本人が何をできるようになりたいか 行為・条件・期限・再評価方法を整理する

よくある質問(FAQ)

Q1. OTの初期評価は72時間以内に終えなければいけませんか?

本記事の「72時間程度」は、日本作業療法士協会のガイドライン上の期限を示したものではなく、評価を段階的に整理するための運用目安です。対象者の状態、疾患、施設の運用、医師の指示などに応じて調整してください。

Q2. 初日に6ブロックを全部確認する必要がありますか?

必ずしもありません。本記事では、まず安全条件と優先する作業を確認し、その後に背景、主要因、環境、目標を深める運用を想定しています。ただし、安全判断や介入方針に必要な情報は初回から前倒しして確認します。

Q3. 認知機能や高次脳機能はいつ評価しますか?

安全性や作業遂行に影響する意識、注意、理解、危険認識などは、必要に応じて初回から確認します。詳細な検査は、作業観察や面接から生じた仮説と「何を明らかにしたいか」を整理してから追加すると、結果を介入につなげやすくなります。

Q4. 家屋情報や本人・家族の希望が分からない場合はどうしますか?

推測で埋めず「未確認」と記録します。そのうえで、本人への再確認、必要に応じた家族への聞き取り、関連職種からの情報、家屋情報など、次の確認方法を決めておくと抜けを防ぎやすくなります。

次の一手|評価の目的に応じて深掘りする

このチェックリストで不足している評価領域が分かったら、評価項目を無作為に増やすのではなく、目的に応じて次の記事へ進んでください。


参考文献

  1. 一般社団法人日本作業療法士協会. 作業療法ガイドライン(2024年度版). 2024. 日本作業療法士協会
  2. American Occupational Therapy Association. Occupational Therapy Practice Framework: Domain and Process—Fourth Edition. Am J Occup Ther. 2020;74(Suppl 2):7412410010p1-7412410010p87. doi: 10.5014/ajot.2020.74S2001. See also: AOTA Occupational Profile Template
  3. 白木 望, 齋藤 佑樹. 身体障害および老年期領域に勤務する若手作業療法士が初回面接評価実施時に経験する困難感─事例-コード・マトリックスによる分析を通して─. 作業療法. 2026;45(1):32-40. doi: 10.32178/jotr.45.1_32
  4. World Health Organization. International Classification of Functioning, Disability and Health (ICF). Geneva: World Health Organization; 2001. WHO IRIS

著者情報

rehabilikun(理学療法士)のアイコン

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blogを2022年4月に開設。急性期・回復期・療養病棟、介護福祉施設、訪問リハビリテーションでの臨床経験をもとに、理学療法評価、臨床手順、記録用紙、医療制度など、医療従事者の実務に役立つ情報を発信しています。

現在は療養病院に勤務し、脳卒中、褥瘡・創傷ケア、リハビリテーション栄養、呼吸リハビリテーションを中心に臨床・教育活動を行っています。

保有資格

  • 脳卒中認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター2級

運営者プロフィール編集・引用ポリシーお問い合わせ