腰痛 PROM の選び方|RDQ・ODI・PSFS を 5 分で決める
腰痛の評価は「痛み( NRS / VAS )」だけだと、生活機能(座る・立つ・移動・仕事など)の困りごとを取りこぼしやすいです。本ページでは、腰痛の生活障害をみる代表的な PROM( RDQ / ODI )と、個別課題を深掘りできる PSFS を、目的と場面で迷わず選べるように整理します。
結論はシンプルで、腰痛の生活障害=まず RDQ か ODI を 1 つ固定し、必要なら PSFS を足して「本人の最重要課題」を追うのが運用しやすい型です。各尺度の詳しい使い方は子記事に分けてあるので、ここで選んでから読み進めてください。
評価は「選ぶ → 条件固定 → 再評価」までセットにすると、チーム共有が一気にラクになります。 評価 → 記録 → 再評価の流れを 3 分で確認する
想定読者:整形外科/外来/回復期/訪問で腰痛をみる PT・OT。
得られること:① RDQ と ODI の選び分け ② 施設で“回る”運用の型 ③ 再評価でブレない記録テンプレ。
最短導線( 3 本 ): RDQ の使い方(子) / ODI の使い方(子) / PDAS・PDI・RDQ の違い(比較)
運動器 PROM の索引:運動器 PROM 評価ハブ(部位別に迷わず選ぶ)
5 分で決める:腰痛 PROM 選択フロー
まずは「何を決めたいか」を 1 つに絞ると、PROM 選択で迷いません。腰痛では、生活障害を押さえる RDQ / ODI を軸にして、必要時だけ PSFS を足すのが現場向きです。
以下の順に決めると、評価がブレにくいです:①腰痛に特化して追う( RDQ / ODI )→②割合で説明したい( ODI )か、最短で拾いたい( RDQ )か→③個別課題を深掘りする必要があるか( PSFS 追加)。
- 初回:RDQ か ODI を 1 つ選び、毎回同じ条件で回す(対象期間・回答方法・回収の流れを固定)。
- 説明が必要:「生活障害を%で説明したい/手術前後で共有したい」なら ODI を優先。
- 忙しい現場:「短時間で全体を押さえたい」なら RDQ を優先。
- 個別課題:“この動作が一番困る”が明確なら PSFS を足して、目標と介入に直結させる。
- 再評価:スケールを変えずに同じセットで追う(変化量が死なない)。
RDQ・ODI・PSFS の違い(早見表)
RDQ と ODI はどちらも「腰痛の生活障害」を拾えます。違いはスコアの表現(点数 vs %)と、運用上の重さです。PSFS は固定項目式とは役割が違い、“本人の最重要課題”の追跡に強いです。
迷ったら、外来・説明重視= ODI、病棟・スピード重視= RDQで固定し、必要時だけ PSFS を追加するのが安全です。
| 比較軸 | RDQ | ODI | PSFS |
|---|---|---|---|
| 主用途 | 腰痛による日常生活制限の把握 | 腰痛による生活障害を “割合(%)” で共有 | 本人が困る活動を個別に追跡 |
| 強み | 短時間/導入しやすい | 説明しやすい/手術前後でも共有しやすい | 目標設定・介入に直結しやすい |
| 弱点 | “%で説明” には向かない | 運用がやや重い(記入・計算の手間) | 集団比較より「個別の変化」向き |
| まずの選び方 | 病棟/時間が厳しい/導入最優先 | 外来/説明が多い/共有の一貫性を作りたい | “困り動作” が明確な症例で追加 |
| 詳しい運用 | RDQ の使い方(子) | ODI の使い方(子) | PSFS の使い方(子) |
おすすめ “評価パッケージ” の作り方
尺度を増やしすぎると、回収率が落ちて「データが死にます」。腰痛の PROM は、RDQ / ODI のどちらか 1 つを主役に固定し、必要に応じて PSFS を足すのが現実的です。
「痛みの強さ」と「生活障害」を並べると、説明と介入の焦点がズレにくくなります(例:痛みは同じでも生活は改善、など)。
- 外来フォロー(説明が多い):ODI +(必要なら)PSFS
- 病棟・回復期(スピード重視):RDQ + 痛み NRS + 主要所見(例:神経症状)
- 慢性痛の全体像も整理したい:PDAS・PDI・RDQ の違い(比較)を参照し、汎用+特異の組み合わせで固定
カルテに残す “型” (最小テンプレ)
PROM は「合計点」だけだと次回の介入に繋がりにくいです。高得点(または困りが強い)領域を 1 行で補足しておくと、チーム共有が一気に楽になります。
以下のテンプレをそのまま使える形で置いておきます(施設で文言を統一すると強いです)。
| 項目 | 記載例 | ポイント |
|---|---|---|
| 選んだ尺度 | ODI(ver:施設運用版) | 初回から同じ版で固定 |
| 合計 | ODI:XX %(前回:YY %) | 変化量( Δ )を残す |
| 詰まり領域 | 座位・立位で高値/仕事・睡眠が主訴 | “困りの中心” を 1 行で |
| 次回の焦点 | 長時間座位の耐性+セルフマネジメント | 介入と結びつける |
現場の詰まりどころ/よくある失敗
腰痛 PROM は “選ぶ” より “運用する” ところで失敗が起きます。特に「版が混ざる」「対象期間がブレる」「回収が途切れる」は、再評価の価値を一気に落とします。
以下を先に潰しておくと、評価が続きます。
| よくある NG | 何が困る? | 対策(最小) |
|---|---|---|
| RDQ / ODI の “版” が混在 | 点数の比較ができない | 施設で 1 版に固定/印刷物・PDF を統一 |
| 対象期間(例:過去 1 週間)が毎回バラバラ | 変化が “本物” か不明 | 配布時の説明文をテンプレ化して固定 |
| 合計だけ記録して “どこが困るか” を残さない | 次回介入に繋がらない | 高値領域を 1 行で補足(座位/睡眠など) |
| 忙しい日に回収が途切れる | 追跡が崩れる | 受付・病棟導線に “回収ポイント” を作る |
よくある質問(FAQ)
各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。
RDQ と ODI はどっちを使えばいいですか?
迷ったら「説明が多い・外来フォロー中心」なら ODI、「短時間で回したい・病棟中心」なら RDQ で固定するのが現実的です。大事なのは “初回と再評価で同じ尺度(同じ版)を使い続ける” ことです。
PSFS は腰痛でも使えますか?
使えます。RDQ / ODI が「生活障害の全体像」を押さえるのに対し、PSFS は「本人の最重要課題(例:長時間座って仕事、抱っこ、車の運転など)」を追うのが得意です。固定項目式と競合ではなく、役割分担で考えると整理しやすいです。
PROM を増やしすぎて回りません。どう絞る?
腰痛では「RDQ か ODI のどちらか 1 つ」を主役に固定し、必要なときだけ PSFS を足すのが最小構成です。まずは “回収率が落ちないこと” を優先して、続くセットを作るのが勝ちです。
次の一手:迷わない導線(おすすめ順)
ここから先は「選んだ尺度を、崩れずに運用する」ための導線です。まず子記事で手順を固め、次にハブで全体像に戻れるようにしておくと回遊が伸びます。
- ODI の使い方(子):外来・説明重視で運用する人向け
- RDQ の使い方(子):病棟・導入最優先で回す人向け
- PDAS・PDI・RDQ の違い(比較):慢性痛の全体像も整理したいとき
評価スケール全体の索引:評価ハブ(全体像)
運用を整える:共有の型を先に作り、環境の詰まりも点検したい場合は 無料チェックシート(ダウンロード) も活用できます。
参考文献
- Roland M, Morris R. A study of the natural history of back pain. Part I: development of a reliable and sensitive measure of disability in low-back pain. Spine (Phila Pa 1976). 1983;8(2):141-144. DOI: 10.1097/00007632-198303000-00004
- Fairbank JC, Couper J, Davies JB, O’Brien JP. The Oswestry low back pain disability questionnaire. Physiotherapy. 1980;66(8):271-273. PubMed: PMID: 6450426
- Fairbank JC, Pynsent PB. The Oswestry Disability Index. Spine (Phila Pa 1976). 2000;25(22):2940-2952. DOI: 10.1097/00007632-200011150-00017
- Horn KK, Jennings S, Richardson G, Vliet DV, Hefford C, Abbott JH. The Patient-Specific Functional Scale: Psychometrics, Clinimetrics, and Application as a Clinical Outcome Measure. J Orthop Sports Phys Ther. 2012. DOI: 10.2519/jospt.2012.3727
著者情報
rehabilikun(理学療法士)
rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。
- 脳卒中 認定理学療法士
- 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
- 登録理学療法士
- 3 学会合同呼吸療法認定士
- 福祉住環境コーディネーター 2 級
専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

