2026 医療 DX × リハの実務|電子カルテ連携・文書標準化のチェックリスト(現場で詰まる所つき)
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令和 8 年度( 2026 )は医療 DX の流れがさらに強まり、リハの現場でも「電子カルテ連携」「文書の標準化」「情報共有のルール化」が詰まりどころになります。システムを入れても、入力項目や運用がバラバラだと、結局“負担だけ増える”形になりがちです。
本記事では、リハ部門が押さえるべき DX 実務をチェックリストで整理し、最小セットで回る標準化の作り方までまとめます。関連の総論として、すでに公開済みの医療 DX × リハ記録・連携の全体像も合わせて読むと、院内提案が通りやすくなります。
現場の詰まりどころ(よくある失敗)
| 詰まりどころ | 典型パターン | 影響 | 対策(最小) |
|---|---|---|---|
| 入力項目が多すぎる | “全部入れよう” で項目が膨張 | 入力遅延・記録の質低下 | 必須を 7〜 10 項目に固定(後述) |
| 統一ルールがない | 担当ごとに言葉・表現が違う | 検索できない・集計できない | 用語辞書(禁止語/推奨語)を 1 枚作る |
| 連携の責任者が不明 | 医事・情報・リハの “境界” で止まる | 改善が進まない | 窓口を 1 人決め、週 1 で課題を潰す |
| 監査視点が欠ける | 運用は回るが “証明” が弱い | 返戻・指摘リスク | 時刻・根拠・変更理由の 3 点を残す |
| テスト運用が短い | 本番一発で切替 | 現場混乱・抜け漏れ | 2 週だけ “並走期間” を作る |
まず決めるゴール:DX を “業務改善” にする
医療 DX は、ツール導入がゴールではありません。リハ部門でのゴールは、次の 3 つに絞ると失敗しにくいです。
- ゴール 1:記録の標準化で “担当が変わっても同じ質” にする
- ゴール 2:情報共有を早くし、カンファ・退院支援を滑らかにする
- ゴール 3:返戻・監査の弱点(証明不足)を減らす
文書標準化の「最小セット」:まずは 9 項目だけ揃える
標準化は “項目を増やす” と破綻します。まずは、どの疾患でも使える最小セットを固定します。
| 項目 | 目的 | 書き方(最小) | よくある NG |
|---|---|---|---|
| 目的 | 介入の理由を残す | 生活課題 1 つに絞る | 「筋力増強」だけ |
| 安全(根拠) | 中止判断を説明 | 数値+禁忌の有無 | 「問題なし」 |
| 実施内容 | 再現性を確保 | 介入 3 本まで | 羅列で目的不明 |
| 量 | 負荷の把握 | 回数・時間の目安 | 記載なし |
| 反応 | 安全と効果の確認 | バイタル・疼痛など 1〜 2 点 | 主観のみ |
| 結果 | 変化を残す | できた動作+条件 | 「改善」だけ |
| 次回計画 | 連続性を担保 | 次に変える点 1 つ | 「継続」だけ |
| 共有 | 多職種連携 | 重要事項 1 点 | 共有先不明 |
| 時刻(重要イベント) | 証明・監査に強く | 初回・急変・中止などは時刻 | 日付のみ |
電子カルテ連携・文書運用のチェックリスト
ここからは、現場で “抜けやすい” 所を中心に、点検項目をまとめます。
| 領域 | チェック項目 | OK の目安 | NG の典型 | 対応(最小) |
|---|---|---|---|---|
| 入力設計 | 必須項目が 9 項目程度に整理されている | 現場が “毎回入れられる” | 必須が多く空欄だらけ | 必須と任意を分け、必須を削る |
| 用語 | 推奨語・禁止語の辞書がある | 検索・集計ができる | 同義語が乱立 | 用語 30 個だけ先に固定 |
| 共有 | 看護・医師への共有欄が 1 行である | 重要事項が届く | 共有が口頭のみ | 共有 1 行をテンプレにする |
| 変更 | 計画変更の “理由+次回再評価” を残す | 整合が説明できる | 変更が追えない | 変更時は 2 点だけ書くルール |
| 監査 | 時刻が必要なイベントを定義している | 初回・急変・中止は時刻 | 日付のみ | 時刻ルールを 1 枚に明文化 |
| 教育 | 新人向けに 10 分の記録マニュアルがある | 最初から同じ型 | 見て覚えろ運用 | 記録例を 3 症例だけ用意 |
| 体制 | 窓口(リハ代表)と改修の連絡経路がある | 止まらず進む | 情報部門待ちで停滞 | 週 1 の課題表( 5 件まで) |
| テスト | 並走期間( 2 週)が確保できる | 抜け漏れを潰せる | 本番一発 | 先行病棟だけ先に回す |
院内でブレない運用ルール( 5 つだけ決める)
DX の運用は、ルールが増えるほど守れなくなります。まずは 5 つだけ決めるのが現実的です。
- ①必須 9 項目:何が必須かを固定
- ②共有 1 行:多職種へ伝える内容は 1 行にまとめる
- ③変更は 2 点:変更理由+次回再評価
- ④時刻ルール:初回・急変・中止は時刻
- ⑤週 1 改善:課題は 5 件まで、週 1 で潰す
よくある質問(FAQ)
各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。
Q1. 記録項目を増やした方が “安全” ですか?
増やすほど抜け漏れが増え、結果として弱くなりがちです。まずは必須を 9 項目程度に絞り、整合(目的→実施→結果→次回)を外さない方が説明可能性は上がります。
Q2. 標準化すると “個別性” が落ちませんか?
個別性は “目的” と “次回計画” に入ります。標準化は、書き方の型を揃えるだけで、介入内容の自由度を奪うものではありません。むしろ、共有が早くなり個別対応がやりやすくなります。
Q3. 連携が進まず止まります。どう動かす?
窓口(リハ代表)を 1 人決め、課題を 5 件までに絞って週 1 で潰すのが最短です。“大改革” より “小さく回して改善” の方が進みます。
参考文献・一次情報
- 厚生労働省|医療 DX について
- デジタル庁|健康・医療・介護(医療 DX 関連)
- 厚生労働省|オンライン資格確認について(医療機関・施術所等)
- 厚生労働省|電子処方箋
- 厚生労働省|医療 DX 推進体制整備加算・医療情報取得加算の見直しについて( PDF )
著者情報
rehabilikun(理学療法士)
rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。
- 脳卒中 認定理学療法士
- 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
- 登録理学療法士
- 3 学会合同呼吸療法認定士
- 福祉住環境コーディネーター 2 級
専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下
おわりに
医療 DX は「要件確認 → 現状棚卸し → 最小セットで標準化 → 2 週の並走 → 監査視点で再点検」のリズムで進めると、現場の負担を増やさずに成果につながります。まずは必須 9 項目と、共有 1 行、変更 2 点、時刻ルールの 4 つを揃えるところから始めてみてください。

