院外リハ上限単位数【2026改定】追加枠の実務

制度・実務
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院外リハの追加枠は「毎日」ではなく「入院中合計」です

まず全体像から確認すると、このページの役割がはっきりします。

改定リハの全体像を見る

関連:似た論点の違いを比較表で見る
関連:6 単位対象の考え方を確認する

令和 8 年 診療報酬改定で、医療機関外(院外)で行う疾患別リハビリテーションは、 1 日 3 単位が原則のまま、やむを得ず超える必要がある日に限って、一連の入院期間で合計 3 単位(別に定める患者は 6 単位)まで追加で扱える形に整理されました。

この記事では、追加枠の意味・数え方・残枠管理・記録の最小セットに絞って整理します。対象患者そのものの細かな線引きまでは広げず、このページを読めば「今日は通常枠か、追加枠を使う日か」を決めやすくなる構成にしています。

最終更新:2026-03-24(告示・留意事項・疑義解釈反映)

今回の見直しで何が変わった?

いちばん大事なのは、「毎日 4 単位以上できるようになった」ではないことです。基本はあくまで 1 日 3 単位 で、必要な日だけ、入院期間の中で使える追加枠 を消費する整理です。

そのため、実務では「 3 単位を超えた日があったか」だけでなく、超えた分を何単位使ったか、残枠はいくつか、なぜその日に必要だったかまで一緒に管理すると、判断がぶれにくくなります。

医療機関外リハ(院外)の上限単位数:現行と改定後の早見
観点 現行 改定後
基本上限 医療機関外は 1 日 3 単位まで 同じ( 1 日 3 単位まで)
追加枠 明文化が弱く、現場判断が割れやすい 一連の入院で合計 3 単位(別に定める患者は 6 単位)まで追加でみなせる
往復時間 実施時間に含めない 同じ(往復時間は含めない)
安全配慮 安全性への十分な配慮が必要 往復を含め常時従事者が付き添い、連絡・搬送体制を確保

図解|院外リハは「通常 3 単位+追加枠」で整理します

院外リハは通常 3 単位と追加枠で整理する図解
通常枠と追加枠を分けて考えると、その日の単位整理と入院中の残枠管理をそろえやすくなります。

どんな訓練が対象になる?

院外リハは、単に「外へ出た訓練」では足りません。通知では、移動手段の獲得・復職準備・家事能力の獲得という、院内では代替しにくい実場面の訓練が例示されています。

現場では、その訓練が院内では置き換えにくい理由を短く残せるようにしておくと、追加枠の必要性まで説明しやすくなります。

通知で例示された医療機関外リハの対象場面
場面 通知の例示 現場で残したい一言
移動手段の獲得 道路横断、エレベーター、エスカレーター、券売機、改札機、バス・電車等への乗降、自動車運転など 「退院後に実際に使う移動手段を用いた訓練」
復職準備 旋盤作業など、院内で代替できない特殊機器・設備を使う訓練 「院内設備では代替困難な復職準備訓練」
家事能力の獲得 店舗での日用品購入、居宅での掃除・調理・洗濯など 「実際の生活場面で確認が必要な家事訓練」

運用の考え方: 3 単位 / 日 + 入院中の追加枠

実務の整理はシンプルです。その日の院外実施が 3 単位以内なら通常枠 3 単位を超えた分だけが追加枠です。つまり、当日 4 単位なら追加枠を 1 単位、5 単位なら追加枠を 2 単位使ったと整理します。

ここで大事なのは、追加枠は「便利だから使う」ものではなく、その日に完結させる必要がある目的があるかで判断することです。対象患者の線引きが主論点なら、6 単位対象の整理記事を先に確認すると、このページの「数え方」と混線しにくくなります。

ケース別:追加枠(入院中合計)をどう使うか
ケース 当日の院外単位 追加枠の扱い 記録の芯
屋外歩行+公共交通の一連練習 4 単位 通常 3 + 追加 1 目的(通院想定など)、安全配慮、行程、成果
退院前に環境で確認したい動作が多い 5 単位 通常 3 + 追加 2 「なぜその日しか完結しにくいか」を具体化
複数日に分けて短く上乗せ 4 単位 × 3 日 各日追加 1 ずつで合計 3 を消費 日ごとの目的と段階づけを明記

現場の詰まりどころ:ここで算定がブレやすい

先に確認:よくある失敗回避手順

院外リハは、目的の妥当性、安全配慮、時間の扱いで判断が割れやすい領域です。とくに、往復時間は実施時間に含めないこと、往復を含めて常時従事者が付き添うこと、訓練は専ら当該保険医療機関の従事者が行うことは、先に院内ルールとして固定しておいたほうが安全です。

よくある失敗

よくあるミスと回避策(院外リハ運用)
よくあるミス 起きる理由 回避策(運用で固定) 記録の一言テンプレ
往復時間まで実施時間に入れてしまう 行程が長く、時間の区切りが曖昧になりやすい 訓練開始・終了は現地基準で区切る 「訓練時間:現地実施のみ。往復は含めず」
追加枠を使った理由が弱い 「長くやった」だけで終わりやすい その日しか完結しにくい目的を 1 文で固定する 「追加枠使用理由:退院後に必須の行程確認」
安全配慮が説明できない 院内の“当たり前”を外に持ち出せていない 同行者、連絡手順、中止基準を事前固定する 「同行:従事者常時。緊急時は病棟へ連絡」
実施主体が曖昧になる 家族や外部支援者の役割が混ざりやすい 訓練主体は当院従事者に固定する 「実施主体:当院従事者」

回避手順( 4 ステップ)

院外リハ追加枠の回避手順( 4 ステップ)
手順 先に決めること その場で残すこと
手順 1 当日の目的を 1 文で明確化する 「退院後の○○確認のため」
手順 2 3 単位超過の必要性を確認する 「院内代替困難」「同日完結が必要」
手順 3 安全配慮を固定する 同行者、連絡先、中止基準
手順 4 通常枠 / 追加枠 / 残枠を確定する 当日消費単位と残枠

記録の最小セット:これだけ残す

院外リハは、実施内容だけでなく、なぜ必要か / どう安全に行ったか / 追加枠を何単位使ったかまで揃うと、監査でもチーム共有でも強くなります。まずは下の項目を固定してください。

院外リハ追加枠の記録最小セット
項目 最低限の書き方 ひと言例
目的 退院後生活との直結を 1 文で残す 退院後の通院経路確認のため
場所・環境 段差、距離、混雑、天候などの負荷を書く 駅構内、階段あり、夕方で混雑
安全配慮 同行者、連絡手順、中止基準を簡潔に書く PT 常時同行、息切れ増悪で中止
時間 現地での開始・終了を記録する 実施 14:10〜15:30、往復除外
単位整理 通常枠 / 追加枠 / 残枠を明記する 本日 4 単位、追加枠 1、残 2
結果 介助量、難渋点、今後の課題を書く 改札通過は見守り、階段下降で接触介助

記録例:院外リハ 4 単位実施(通常 3 単位+追加枠 1 単位)。目的は退院後の通院経路確認。駅構内の改札・階段・乗降動作を実施。PT 常時同行、緊急時は病棟へ連絡。訓練時間は現地実施のみで、往復時間は含めず。残枠 2 単位。

院外リハ追加枠の運用記録シート PDF

追加枠の残枠管理や、当日の目的・安全配慮・実施内容を 1 枚で残しやすいように、A4 の運用記録シートを作成しました。通常枠と追加枠の切り分けをチームでそろえたいときや、退院前の屋外練習を記録で残したいときに使いやすい構成です。

院外リハ追加枠の運用記録シート PDF を開く

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よくある質問(FAQ)

各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。

Q1. 追加枠(入院中合計 3 単位)は毎日使える枠ですか?

A. 毎日ではありません。一連の入院で合計の枠です。日々の基本は 1 日 3 単位で、超過が必要な日にだけ合計枠を使う整理です。

Q2. 追加枠が 6 単位になる「別に定める患者」は誰ですか?

A. 通知では特掲診療料の施設基準等別表第九の三に掲げる患者と整理されています。この記事では詳細な線引きまでは広げず、対象整理は兄弟記事で先に確認する運用が安全です。

Q3. 往復時間は実施時間に含めますか?

A. 含めません。記録では「現地での訓練開始・終了」を明確に区切り、往復は別管理にします。

Q4. 安全配慮で最低限押さえることは?

A. 往復を含めて従事者が付き添い、必要時に速やかに医療機関へ連絡・搬送できる体制を確保することです。同行者・連絡手順・中止基準を固定してください。

Q5. 公共交通機関の運賃はどう扱いますか?

A. 通知では、訓練の実施について保険外の患者負担は生じないことが原則で、公共交通機関の運賃は除外されています。院内では、どこまでを患者負担として扱うかを事前に統一しておくと混乱を防ぎやすいです。

次の一手


参考資料(一次情報)

  • 厚生労働省.令和 8 年度診療報酬改定について 13.重点的な対応が求められる分野(医学管理・リハビリテーション).PDF
  • 厚生労働省.別添 1 医科診療報酬点数表に関する事項.PDF
  • 厚生労働省.令和 8 年度 診療報酬改定について(関係法令・通知等).掲載ページ
  • 厚生労働省.疑義解釈資料の送付について(その 1 ).PDF

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rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3 学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター 2 級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

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