摂食嚥下機能回復体制加算【2026改定】ST要件と加算3実績

制度・実務
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令和 8 年改定(案)|摂食嚥下機能回復体制加算は「 ST 要件」と「加算 3 実績」が具体化

令和 8 年度 診療報酬改定に向けた資料では、質の高い摂食嚥下機能回復を推進する観点から、摂食嚥下機能回復体制加算の「 ST 要件」と「実績の計算方法」が見直される方向が示されています。

本記事は、制度差分の整理に加えて、院内で止まりにくい最小運用(評価起動・中止再開・短文記録)までを 1 本でまとめます。

摂食嚥下機能回復体制加算 2026 改定案の要点( ST 要件、加算 3 実績、現場実装)
図:摂食嚥下機能回復体制加算 2026 改定案の要点( ST 要件/加算 3 実績/現場実装)
表:今回資料で“明記”された更新点(現場の影響が大きい順)
論点 更新内容(案) 現場で起きやすいこと 先に揃える最小対策
加算 1/2(施設基準) 摂食嚥下チームの ST は「専任でも可」へ 役割分担が曖昧だと、判断が滞る/連携が止まる ST が判断する範囲と、他職種が支える範囲を 1 枚で定義
加算 3(療養病棟の実績) 「経腸栄養 → 経口摂取へ回復」も実績に算入可能へ “回復”の定義が人でズレる/証拠が残らない 回復判定の条件(評価・経過・最終状態)を短文テンプレ化

結論|問われやすいのは「体制」より、体制が機能する “運用”

今回の変更は、書面上の体制だけでなく、実際に質の高い摂食嚥下支援が回っているかを評価へ近づける流れです。現場で強いのは、①対象の優先順位、②評価のタイミング、③中止・再開条件、④平日と休日を含む引き継ぎを、同じ言葉で揃えることです。

嚥下は介入そのものより、リスク管理と次回条件が曖昧だと事故や手戻りにつながります。まずは “短く強い記録” に揃えるのが近道です。

何が変わる?(今回資料で“具体化”したポイント)

今回の資料では、摂食嚥下機能回復体制加算について「どこを見直すか」が明記されました。点数の最終確定を待つ段階でも、運用側の準備は先に進められます。

1)加算 1/2:摂食嚥下チームの ST 要件は「専任でも可」へ

加算 1/2 の施設基準では、摂食嚥下チームの ST 要件を見直し、専任の従事者でも可とする方向が示されています。

現場での影響は「人数」より「役割の線引き」です。ST が判断する範囲(評価・リスク判断・方針)と、PT/OT/看護/栄養/口腔が支える範囲(離床・姿勢・観察・摂取量・口腔環境)を 1 枚で揃えるほど、連携が止まりにくくなります。

2)加算 3(療養病棟):実績に「経腸 → 経口回復」も算入可能へ

療養病棟で算定される加算 3 の実績について、加算 1/2 と同様に、経腸栄養から経口摂取へ回復した患者も算入可能とする方向が示されています。

詰まりやすいのは「回復判定」と「証拠の残し方」です。嚥下機能評価 → 介入(リハ等)→ 最終的に経口摂取のみで栄養方法を行う状態までを、短文テンプレで残すと手戻りが減ります。

今から揃える「最小記録」:3 点セットで事故と手戻りを減らす

嚥下の運用は、短く具体的な記録ほどチームが迷いません。長文より、次の 3 点セットを固定するのが現場に有効です。

表:摂食嚥下支援の「 3 点セット記録」(短く強い)
残す項目 書き方(例) ポイント
リスク根拠 湿性嗄声あり/咳嗽弱い/ SpO2 変動 所見は 1 つでよいので具体化
介入(段階) 姿勢調整+一口量調整+ペース指導 “やったこと” をカテゴリで残す
次回条件 むせ増で中止 → 次回は時間帯変更+疲労前介入 再開条件があると翌日につながる

運用の型|「評価起動」と「中止・再開」を 1 枚で揃える

制度が固まる前に揃えやすいのは、次の 2 つです。ここが揃うと、平日・休日や担当者が変わっても事故と手戻りが減ります。

表:嚥下の運用を止めない 2 つの共通ルール
共通ルール 決めること 記録で残す一言
評価起動(いつ回す?) 起動トリガー(入院後/病態変化後/食形態変更など) 入院後 48 時間以内/発熱・痰増/食形態変更 起動理由(変化点)
中止・再開(どうつなぐ?) 中止理由の分類と、再開条件(次回の前提) むせ増/疲労/ SpO2 低下 → 次回は時間帯変更 中止理由+再開条件

現場の詰まりどころ

まずは対象を絞って運用を回し、次に記録の型を全職種で共有する順番が有効です。運用の芯はリハ・栄養・口腔の一体的取組で補強できます。

よくある失敗

失敗 1:対象を広げすぎて “薄くなる”
嚥下は、全員に同じ密度で入ると回りません。節目の患者に集中投下し、運用を回してから拡張する方が安全です。

失敗 2:中止理由が曖昧で、翌日も同じ所で止まる
「今日は様子見」で終わると、翌日も止まります。中止時は “中止理由+再開条件” を 1 行で固定します。

失敗 3:記録が長文で、次回条件が残らない
長文化より、3 点セット(リスク根拠・介入段階・次回条件)で “追える形” に揃えるほうが手間を減らせます。

回避手順(最短)

  1. 対象の優先順位を決める(節目患者を先行)
  2. 評価起動ルールを固定する(いつ/誰が回すか)
  3. 中止理由+再開条件を 1 行テンプレで残す

よくある質問(FAQ)

各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。

Q1. これは確定情報ですか?

A. 点数などの最終確定は今後の議論ですが、今回資料では見直し箇所が具体的に示されています。少なくとも、加算 1/2 の ST 要件と、加算 3 実績の扱いは準備優先度が高い論点です。

Q2. まず何を整えればよいですか?

A. 対象の優先順位 → 評価起動ルール → 中止・再開条件テンプレ → 3 点セット記録、の順が最短です。

Q3. ST 以外の職種は何を担うべきですか?

A. PT/OT は離床・姿勢・活動量、看護は観察と安全管理、栄養は摂取量と栄養設計、口腔は清潔と口腔機能支援を担当し、同じ記録様式で接続するのが有効です。

Q4. 監査で見られやすい記録の要点は?

A. 「リスク根拠」「介入段階」「次回条件」の 3 点が一読で追えることです。特に中止時の再開条件が明確だと、運用の再現性が上がります。

次の一手(院内で迷わないために)

運用を整えたあとに、職場環境の詰まりも点検しておきましょう

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参考資料

著者情報

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rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3 学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター 2 級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

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