みなし単位の記録は「 3 点セット 」で返戻を止める
みなし単位( 20 分= 1 単位 )は、書き方が曖昧だと「患者との関係が不明」「時間根拠が弱い」で差戻しが起きます。先に結論は、①対象患者 ②業務(何をしたか)③時間(何分か)の 3 点を、毎回同じ型で残すことです。
このページでは、現場でそのまま使える記録テンプレ(コピペ用)と、返戻を避けるためのNG 例→修正をまとめます。全体像(対象整理・重複回避)を先に押さえたい方は、親記事もどうぞ:令和 8 年改定「みなし単位」20 分 1 単位を実務整理
先に結論:記録は「対象患者・業務・時間」を毎回そろえる
みなし単位の記録は、文章力より抜けがない順番が大事です。返戻回避の最小セットは、対象患者(誰のため)/業務(何をした)/所要時間(何分)を、同じ並びで残すことです。
不安が出やすいのは「会議した」「書類作った」だけの記載です。患者の状態(課題)→必要性→成果物→次アクションの 1 行を足すだけで、説明が一気に通りやすくなります。
記録で必ず書く 7 項目:これがあれば通りやすい
最低限、以下 7 項目が揃うと「患者との関係」「実施内容」「時間根拠」が説明できます。逆に、これが欠けると“患者と無関係な事務作業”に見えやすく、差戻しポイントになります。
おすすめは、1 行でもよいので「患者の状態・必要性(なぜ今これが要るか)」を添えることです。監査で問われやすいのは“何をしたか”より“なぜ必要か”だからです。
| 項目 | 書く内容(例) | 差戻しを防ぐコツ |
|---|---|---|
| 対象患者 | 患者 ID /氏名(院内ルール)/病棟 | 「誰のための業務か」を先頭で固定 |
| 日時 | 開始〜終了(または合計分) | 合算するなら「合算の範囲」を明記 |
| 業務区分 | 計画書作成/カンファ/病棟連携/家族説明 など | 院内で“名称”を統一(後述) |
| 実施内容 | 何を作成・共有・調整したか(要点) | 成果物(計画書/共有事項)を 1 つ置く |
| 患者関連性 | 患者の課題/リスク/退院目標との関係 | 「状態→必要→次アクション」を 1 行で |
| 所要時間 | 合計 ○ 分(根拠があれば内訳も) | タイマー/枠予約/ログのどれで担保するか決める |
| 次アクション | 誰がいつ何をする(例:明日 PT が家屋確認) | “やりっぱなし”を避け、連続性を作る |
コピペで使える:みなし単位 記録テンプレ( 20 分= 1 単位 )
以下は、院内のカルテ定型文に貼って回せる形に整えたテンプレです。まずは「業務区分」を院内で 4〜6 個に固定し、同じ言葉で残すところから始めると運用が安定します。
ポイントは、患者関連性(なぜ今必要か)を 1 行で入れることです。ここがあるだけで“患者と無関係な事務”に見えにくくなります。
| 欄 | 入力例(そのまま置換) |
|---|---|
| 対象患者 | 【対象】(患者 ID / 病棟) |
| 日時 | 【日時】YYYY/MM/DD HH:MM〜HH:MM(合計 ○○ 分) |
| 業務区分 | 【区分】みなし単位:計画書作成/カンファ/病棟連携/家族説明/退院支援(院内区分) |
| 実施内容 | 【内容】(作成・共有・調整した要点を 3 行以内) |
| 患者関連性(必要性) | 【必要性】(患者の状態・課題)→(この業務が必要な理由) |
| 所要時間 | 【時間】合計 ○○ 分(内訳:情報収集 ○ 分/記載 ○ 分/共有 ○ 分) |
| 成果物・共有 | 【成果物】(計画書更新・共有事項・指示受け)/【共有先】(医師・看護・MSW 等) |
| 次アクション | 【次】(担当)→(期限)→(実施) |
よくある NG → 修正例:ここを直すと返戻が減る
差戻しが起きやすいのは「誰のためか」「何をしたか」「何分か」のどれかが薄いケースです。特に“会議した” “書類作った” だけだと、患者との関係が伝わりません。
修正は難しくなく、状態(課題)→必要性→成果物→次アクションを足すだけで改善します。
| 観点 | NG(差戻しになりやすい) | OK(通りやすい) | 直し方(最短) |
|---|---|---|---|
| 対象患者 | 「カンファ参加」 | 「A 氏(病棟)退院前カンファ参加」 | 先頭に “誰の件か” を置く |
| 業務内容 | 「計画書作成」 | 「計画書更新:移乗の介助量変更/環境条件を反映」 | 成果物に “変更点 1 つ” を書く |
| 必要性 | 記載なし | 「起立時ふらつきが残存→退院後転倒リスク説明が必要」 | 状態→理由を 1 行追加 |
| 時間 | 「 20 分」だけ | 「合計 22 分(情報収集 7 /記載 10 /共有 5 )」 | 内訳を “ 1 行” 添える |
| 次アクション | 記載なし | 「明日:PT が再評価→看護へ共有」 | 担当・期限・行動を 1 セット |
現場の詰まりどころ:ブレやすい 2 点(先に決める)
みなし単位は、個人の頑張りより院内ルールの固定が効きます。詰まりやすいのは、①「どの業務をみなしにするか(名称)」②「時間をどう担保するか(根拠)」の 2 点です。
まずは“区分名を固定”し、次に“時間の根拠を 1 つに統一”すると、記録の揺れが減って説明も速くなります。
| 詰まり | 起きること | 決め方(最小) | 記録での残し方 |
|---|---|---|---|
| 区分名がバラバラ | 同じ業務でも表現が違い、検索・監査で追えない | 「計画書/カンファ/病棟連携/家族説明/退院支援」など 4〜6 区分に固定 | 【区分】の語彙を統一して入力 |
| 時間根拠が曖昧 | 合計分の説明が弱く、差戻しが起きやすい | タイマー/予約枠/業務ログのどれか 1 つに寄せる | 合計分+内訳 1 行(必要時) |
よくある質問(FAQ)
各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。
Q1. 記録は “文章量” より “何が揃っているか” で見られますか?
A. はい。差戻しを減らすコツは、文章を長くすることではなく、対象患者・業務・時間の 3 点と、必要性(状態→理由)が 1 行あることです。テンプレの 7 項目が揃えば、短くても説明できます。
Q2. “カンファ参加” だけの記録は NG ですか?
A. 「誰のためのカンファか」「何を決めたか(共有したか)」「次に誰が何をするか」が無いと弱く見えます。患者の課題→決定事項→次アクションを 1〜2 行足すと、同じ時間でも通りやすくなります。
Q3. 時間は “ 20 分ぴったり ” で書くべきですか?
A. ぴったりに寄せるより、実際の所要時間の根拠(タイマー・予約枠・業務ログ)を院内で統一する方が安全です。合計分だけで不安なら、内訳を 1 行入れておくと説明が楽になります。
Q4. “必要性” は何を書けばよいですか?
A. 難しく考えず、状態(課題)→理由の 1 行で十分です。例:「起立時ふらつきが残存→退院後転倒リスク説明が必要」。これだけで“患者と無関係な事務”に見えにくくなります。
Q5. 監査対応で一番効く “ひと言” はありますか?
A. 「状態(課題)→必要性→次アクション」の 1 行です。因果が見えると、読む側が追いやすくなり、説明も短く済みます。
次の一手:院内で “型” を共有して運用を固める
みなし単位は、個人の頑張りではなく標準化(区分名・時間根拠・テンプレ)で一気に安定します。まずはこのテンプレを院内で共有し、週 1 回だけでも「差戻しになりそうな記録」を擦り合わせるのがおすすめです。
- 制度・実務の全体像に戻る:診療報酬改定 2026 :リハ関連まとめ(ハブ)
- 単位・日数・併算定の運用を点検:リハ単位・日数管理チェックリスト 2026 年版
- みなし単位の総論(対象整理・重複回避):みなし単位( 20 分= 1 単位 )を実務整理
環境の詰まりも点検(無料チェックシート)
運用を整える→共有の型を作る→環境要因(教育体制・人員・記録文化)も一緒に点検すると、返戻が減って回りやすくなります。
PT キャリアナビ
今の職場で運用が回らず消耗しているなら、転職も含めて選択肢を整理しておくと動きやすいです。
参考文献・一次情報
著者情報
rehabilikun(理学療法士)
rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。
- 脳卒中 認定理学療法士
- 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
- 登録理学療法士
- 3 学会合同呼吸療法認定士
- 福祉住環境コーディネーター 2 級
専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下


