身体的拘束最小化【2026改定】20点・40点減算と15%基準

制度・実務
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2026改定では「体制基準」と「実績等基準」を分けて判定します

令和8年度(2026年度)診療報酬改定では、身体的拘束最小化について、従来の基準を「体制に係る基準」として整理し、新たに「実績等に係る基準」が設けられました。体制基準を満たせない場合は1日40点減算、体制基準は満たしていて実績等基準だけを満たせない場合は1日20点減算です。

実績等基準は、身体的拘束の実施割合が15%以下であることだけが方法ではありません。15%を超える場合でも、委員会・解除や代替策の具体的検討・年2回以上の研修という所定の取組をすべて継続していれば、実績等基準を満たすルートがあります。この記事では、15%・20点・40点・+40点加算を混同しないよう、判定順に整理します。

最終確認:2026年9月25日(厚生労働省「疑義解釈資料の送付について(その13)」まで確認)

先に結論

  • 体制基準を満たせない:40点減算
  • 体制基準は満たすが、実績等基準のみ満たせない:20点減算
  • 体制基準・実績等基準をともに満たす:この基準による減算なし
  • 身体的拘束最小化推進体制加算+40点:上記の減算とは別制度

20点減算・40点減算は「体制→実績等」の順で判定します

判定で最も重要なのは、20点減算と40点減算を同列に考えないことです。まず体制に係る基準を確認し、それを満たしている場合に実績等に係る基準を確認すると整理しやすくなります。

身体的拘束最小化基準と減算の関係
体制基準 実績等基準 扱い
満たす 満たす 減算なし
満たす 満たさない 1日20点減算
満たさない ― 1日40点減算

したがって、「15%を超えた=40点減算」ではありません。15%は実績等基準を満たす方法の一つであり、40点減算は体制基準を満たせない場合の扱いです。

身体的拘束最小化2026改定の判定フロー。体制基準を満たさない場合は40点減算、体制基準を満たして実績等基準のみ未達の場合は20点減算、実績等基準は15%以下または所定の取組を継続することで満たし、40点加算は別制度であることを示す図
図:身体的拘束最小化【2026改定】の20点・40点減算と15%基準の判定フロー

実績等基準は「15%以下」または「所定の取組をすべて継続」の2ルートです

令和8年度改定で新設された実績等に係る基準は、次のいずれかを満たす構造です。そのため、15%という数字だけを見て減算を判定しないことが重要です。

実績等に係る基準の2つの満たし方
ルート 要件 確認ポイント
A:実施割合 身体的拘束の実施割合が集計されており、15%以下 実施割合を正しく集計できているか
B:取組 身体的拘束の原則廃止に向けた所定の取組をすべて継続 委員会・解除等の検討・研修の3項目を確認する

15%を超える場合の「取組ルート」

実施割合が15%以下ではない場合でも、以下の取組をすべて継続して行っている場合は、実績等基準を満たすもう一つのルートがあります。

  1. 委員会を3か月に1回以上開催し、身体的拘束の実施状況を踏まえて、最小化に向けた具体的な取組を検討する。
  2. 身体的拘束が行われている病棟では、解除または代替策の導入に向けた具体的な検討を行う。身体的拘束最小化チームによる巡回と病棟職員との協働、または病棟内の複数職員による協働で検討する。
  3. 入院患者に関わる職員を対象に、身体的拘束最小化に関する研修を年2回以上実施する。研修には拘束の代替策等を含める。

重要:「15%以下」と「上記3項目」はすべて満たす必要がある条件ではありません。実績等基準は、15%以下のルート、または所定の取組をすべて継続するルートのいずれかで判定します。

実施割合の分子・分母や、15%と後述する3%・5%の違いを確認したい場合は、身体的拘束の実施割合|3%・5%・15%の計算方法で分けて確認してください。

経過措置|2027年5月31日まで「満たすものとみなす」項目があります

2026年度改定を実務へ落とす際に、15%や20点減算だけを確認すると見落としやすいのが経過措置です。

2026年3月31日に現に入院基本料または特定入院料に係る届出を行っている病棟・病室については、2027年5月31日まで、身体的拘束最小化の体制に係る基準のうち身体的拘束を最小化するための指針の内容と、今回新設された実績等に係る基準を満たしているものとみなす経過措置があります。

経過措置で注意する点

経過措置は「身体的拘束最小化の体制基準をすべて自動的に満たす」という意味ではありません。対象となるのは、通知で示された指針の内容と実績等基準です。記録、チーム設置、実施状況の把握、周知など、その他の体制基準まで不要になるわけではありません。

したがって、2026年度中の院内確認では、「15%を超えているか」だけで減算を判断するのではなく、自院・自病棟が経過措置の対象か、体制基準のどこまで整備できているかを分けて確認する必要があります。

体制基準では記録・チーム・指針・研修を確認します

体制に係る基準は、令和6年度改定で導入された身体的拘束最小化の基準を土台としています。身体的拘束を行う場合の記録だけでなく、組織として最小化を継続する仕組みまでが対象です。

身体的拘束最小化の体制基準で確認する主な項目
項目 確認内容
原則 患者または他の患者等の生命・身体を保護するため緊急やむを得ない場合を除き、身体的拘束を行わない
実施時の記録 態様及び時間、患者の心身の状況、緊急やむを得ない理由を記録する
チーム 身体的拘束最小化チームを設置する
実施状況 実施状況を把握し、管理者を含む職員へ定期的に周知する
指針 身体的拘束を最小化するための指針を作成し、周知・活用・定期的な見直しを行う
研修 入院患者に関わる職員を対象として、身体的拘束最小化に関する研修を定期的に実施する

なお、個別患者について「何を当日に記録するか」は本記事の中心ではありません。実施時の公式記録項目と、解除・再評価まで追う実務上の記載方法は、身体的拘束の当日記録|公式項目と記載例で整理しています。

2026改定では組織風土・指針・研修内容も見直されました

2026年度改定は、20点減算の新設だけではありません。体制基準についても、身体的拘束を原則として行わない組織づくりをより明確にする方向で見直されています。

2026年度に確認したい体制基準の変更点
論点 2026改定での整理
組織風土 患者の尊厳の保持と療養環境の質の確保の観点を明確にし、身体的拘束を原則として行わない組織風土の醸成に努める
指針 薬物の適正使用等に係る内容について、従来の「盛り込むことが望ましい」から、指針へ盛り込む内容として位置づけを強化
定期研修 身体的拘束の代替手段に加え、患者の尊厳を保持する重要性に関する内容を含むことが望ましいとされた

ここで混同しやすいのが研修頻度です。体制基準では定期的な研修が求められます。一方、実績等基準を15%ではなく「取組ルート」で満たす場合には、入院患者に関わる職員を対象とした研修を年2回以上行うことが明示されています。どの基準の研修要件を確認しているのかを分けて整理してください。

15%・3%・5%・20点・40点はそれぞれ意味が違います

身体的拘束最小化では複数の数字が登場しますが、同じ判定に使う数字ではありません。特に15%と3%・5%は制度上の役割が異なります。

身体的拘束最小化で混同しやすい数字
数字 何を意味するか 制度上の位置づけ
15% 身体的拘束の実施割合 入院料通則の実績等基準を満たす一つのルート
20点 1日につき20点減算 体制基準は満たすが、実績等基準のみ未達の場合
40点 1日につき40点減算 体制基準を満たせない場合
3% 身体的拘束の実施割合 身体的拘束最小化推進体制加算の施設基準で用いる基準
5% 届出時・届出から1年間の実施割合 身体的拘束最小化推進体制加算で用いる経過的な基準
+40点 1日につき40点加算 特に質の高い取組を評価する身体的拘束最小化推進体制加算

つまり、15%は入院料通則の実績等基準、3%・5%は+40点加算の施設基準です。同じ「身体的拘束の実施割合」でも確認している制度が異なります。

+40点の身体的拘束最小化推進体制加算は別制度です

令和8年度改定では、減算とは別に身体的拘束最小化推進体制加算(1日につき40点)も新設されました。この加算は、身体的拘束を原則として行わない組織風土を醸成し、組織的に特に質の高い取組を行う体制を評価するものです。

対象となる入院料は限定されており、病院長等による方針表明、研修、委員会、巡回、用具管理、患者・家族への説明、実施割合など、入院料通則より詳細な施設基準があります。「40点減算」と「+40点加算」は名前の数字が同じでも別の判定です。

対象病棟、3%・5%基準、様式36の4などの施設基準を確認する場合は、身体的拘束最小化推進体制加算40点|施設基準と届出へ進んでください。

認知症ケア加算の研修と兼ねることは可能です

疑義解釈資料(その2)では、認知症ケア加算に係る研修へ身体的拘束最小化の内容を組み込み、身体的拘束最小化の基準に規定する研修内容を含んでいる場合は、両方の研修基準を満たすものとすることができると示されています。

ただし、対象職員の範囲には注意が必要です。身体的拘束最小化の基準では、「認知症患者に係わる職員」だけではなく「入院患者に係わる職員」が対象です。研修を一本化する場合でも、身体的拘束最小化側の対象範囲を満たしているかを確認します。

研修を兼ねる場合の確認

  • 身体的拘束最小化の基準で求められる研修内容を含んでいるか
  • 対象が認知症患者に関わる職員だけに限定されていないか
  • 実績等基準の取組ルートを使う場合は、年2回以上という頻度を満たしているか

院内では「体制・実績等・経過措置」を分けて確認します

2026年度改定への対応では、いきなり15%だけを集計するのではなく、次の順番で確認すると制度上の論点を整理しやすくなります。

  1. 体制基準:実施時記録、身体的拘束最小化チーム、実施状況の把握・周知、指針、定期研修が整っているか。
  2. 経過措置:2026年3月31日時点の届出状況から、2027年5月31日までの経過措置の対象となるか。
  3. 実績等基準:15%以下のルートと、所定の取組をすべて継続するルートのどちらで満たすか。
  4. 加算の検討:対象病棟で+40点加算を届け出る場合は、3%・5%を含む別の施設基準を確認する。

この4つを一つのチェックリストに混ぜるより、「入院料通則で減算を避けるための確認」と「+40点加算を算定するための確認」を分けるほうが、院内での役割分担が明確になります。

まとめ|2026改定は15%だけでなく判定順と経過措置を確認します

令和8年度改定では、身体的拘束最小化の基準が体制基準+実績等基準の構造になりました。体制基準を満たせない場合は40点減算、体制基準を満たして実績等基準のみ未達の場合は20点減算です。

実績等基準は、実施割合15%以下、または委員会・解除や代替策の検討・年2回以上の研修をすべて継続する取組ルートのいずれかで判定します。また、2026年3月31日に対象となる届出をしていた病棟・病室には、指針の内容と実績等基準について2027年5月31日までの経過措置があります。

さらに、3%・5%と+40点は身体的拘束最小化推進体制加算側の基準です。15%・20点・40点・3%・5%・+40点を同じ判定として扱わないことが、2026年度改定を整理するうえでのポイントです。


参考資料

  1. 厚生労働省.令和8年度診療報酬改定―身体的拘束の最小化の推進①.
  2. 厚生労働省.令和8年度診療報酬改定―身体的拘束最小化に係る特に高い取組の評価.
  3. 厚生労働省.基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて.
  4. 厚生労働省.疑義解釈資料の送付について(その2).2026年4月1日.
  5. 厚生労働省.令和8年度診療報酬改定について.

著者情報

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rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blogを2022年4月に開設。急性期・回復期・療養病棟、介護福祉施設、訪問リハビリテーションでの臨床経験をもとに、理学療法評価、臨床手順、記録用紙、医療制度などの実務情報を発信しています。

現在は療養病院に勤務し、脳卒中、褥瘡・創傷ケア、リハビリテーション栄養、呼吸リハビリテーションを中心に臨床・教育活動を行っています。

保有資格

  • 脳卒中認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター2級

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