令和8年改定案|医療機関外リハの上限単位数見直し(Ⅲ-4-(2))

制度・実務
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令和 8 年改定:退院時リハビリテーション指導料の「要件見直し」(案)を現場運用で読む

令和 8 年度 診療報酬改定に向けた「これまでの議論の整理(案)」では、退院時リハビリテーション指導料について、「目的を踏まえた適切な患者への指導」を推進する観点から、対象患者の要件を見直す方向性が示されています。

点数や細かな要件は今後の議論で具体化されますが、現場で先に整えるべきは①対象の考え方②指導内容の最小セット、そして③記録の型です。本記事は、断定を避けつつ「制度が固まる前でもブレにくい運用」を短く整理します。

改定対応は、制度の暗記より「運用の型」を揃えるほうが手戻りが減ります。院内で型を作る流れは、ここにまとめています。

PT キャリアガイドを見る(運用の型を作る)

結論:ポイントは「誰に」「何を」「どこまで」指導したかを揃えること

今回の論点は、退院時の指導が“必要な患者に、必要な内容が届いているか”という質の面に寄っています。したがって現場は、①対象選定(適切な患者)、②指導内容(最小セット)、③記録(短く強い)を先に揃えるほど、制度が固まっても運用がブレにくくなります。

同シリーズの「早期リハ」「休日リハ」は“提供の量と体制”が中心でしたが、本論点は退院後の生活につながる指導の質が中心です。役割が違うので、記事として分けておくとカニバリも起きにくいです。

退院時リハビリテーション指導料とは(目的から逆算する)

退院時の指導は、退院後に起きやすい問題(転倒、活動量低下、セルフケアの崩れ、疼痛増悪、再受診など)を減らし、生活機能を保つための“橋渡し”です。つまり「説明したか」よりも、患者と家族が行動できる形になっているかが大事になります。

要件が見直されるときに起きやすいのは、対象の広げすぎ(誰にでも実施)か、逆に対象の絞りすぎ(必要な人に届かない)です。まずは院内で「指導が特に効く患者像」を共通言語化しておくのが安全です。

対象患者をどう考える?(現場で迷いやすい線引き)

制度の詳細が未確定でも、運用としては「退院後に自己管理が必要で、かつ失敗が起きやすい層」に優先的に時間を投下するのが合理的です。次の表のように、“指導の必要性が高い理由”を言語化しておくと、対象選定と説明がブレにくくなります。

表:退院時指導を優先したい患者像(考え方の型)
患者像 なぜ指導が効く? 指導の焦点 記録で残す一言
退院後に活動量が落ちやすい “やらない理由” が増えやすい 最小メニューの習慣化(頻度・量) 「退院後の実施条件(いつ・どこで)」
転倒・再受診のリスクが高い 安全管理の失敗が致命的 赤旗(中止・受診)の具体化 「中止基準と連絡先を共有」
介助者が関与する 介助方法のズレで悪化する 介助のコツと禁止事項 「家族へ実技指導を実施」
自主トレが必要 誤ったやり方で痛み・不安が増える フォーム・回数・進め方 「負荷設定( RPE / 痛み許容範囲)」

指導内容は「最小セット」に落とす(長文説明は不要)

退院時指導は、情報を盛りすぎるほど失敗します。まずは 1 枚に落とす前提で、4 つだけに絞るのがおすすめです。

表:退院時指導の「最小 4 点セット」
項目 伝えること 伝え方の型 よくある落とし穴
やること 退院後にやる運動・動作 「これだけやる」を 1 つに メニューが多くて続かない
どれくらい 回数・時間・頻度 “週” と “ 1 日” の両方で提示 強度が曖昧で痛みが増える
やめる基準 中止・受診の目安 「赤旗」 を 3 つに絞る 不安だけが残る
次の受け皿 外来・訪問・地域資源 次の予定(誰に、いつ)を明確化 退院後に空白ができる

記録の型:短く強い「 3 行」で残す

監査や院内共有で強いのは、長文ではなく短く具体的な定型です。退院時指導は、次の “ 3 行テンプレ” に揃えるとブレが減ります。

表:退院時指導の「 3 行テンプレ」(例)
書くこと
1 行目 対象にした理由 退院後の転倒リスク高く、家族介助が必要
2 行目 指導した最小セット 自主トレ 1 種(回数・頻度)、移乗介助のコツ、赤旗 3 点
3 行目 理解度・フォロー 本人・家族が復唱可、外来予約済(次回までの実施条件を確認)

現場の詰まりどころ/よくある失敗(ここを直すと一気に回る)

失敗 1:説明が多すぎて、結局やらない
退院時は情報が渋滞します。「最小 4 点セット」だけに絞って、まず “やること 1 つ” を確定させると失敗が減ります。

失敗 2:家族への実技が抜けて、介助が崩れる
介助者が関わる場合は、口頭説明より実技 1 回が効果的です。介助のコツと禁止事項を 1 つずつに絞って伝えると定着します。

失敗 3:指導したのに、記録が弱くて説明できない
退院支援は“やったこと”より“なぜ対象にして、何を伝え、理解できたか”が重要です。上の「 3 行テンプレ」に揃えると、監査・引き継ぎに強くなります。

院内で「誰が・いつ・何を」まで落とし込むときは、抜け漏れ防止の型があると早いです:マイナビコメディカルの資料で整理する

よくある質問(FAQ)

各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。

Q1. これは確定情報ですか?

A. いいえ。現時点は「これまでの議論の整理(案)」で、点数・要件は今後の議論で具体化されます。ただし、退院時リハビリテーション指導料について「対象患者の要件を見直す」方向性は示されています。

Q2. 対象をどう絞ればいいですか?

A. まずは「退院後に自己管理が必要で、失敗が起きやすい層」に優先投下するのが安全です。転倒リスク、介助者の有無、自主トレの必要性、受け皿(外来・訪問等)を軸に、院内で共通言語化するとブレにくくなります。

Q3. 指導内容が多くなってしまいます

A. “情報量” を増やすほど失敗しやすいです。最小セット(やること・量・やめる基準・次の受け皿)に絞り、まず「やること 1 つ」を確定させるのがおすすめです。

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参考資料

著者情報

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rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3 学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター 2 級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

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