令和 8 年 診療報酬改定|身体拘束最小化は「体制+実績」で運用を固める
令和 8 年( 2026 年)診療報酬改定では、身体的拘束の最小化が独立論点として示され、体制整備と実績の両面で運用を問う流れが強まっています。現場では、定義の解釈と記録の粒度がそろわないと、減算回避より前に病棟運用が止まりやすくなります。
本記事は、リハ部門を含む病棟実装に必要な最小セットを「変更点→運用→記録」の順で整理します。制度の全体像ではなく、身体拘束最小化の運用に絞って確認できる構成です。
何が変わるか(先に要点)
中医協の整理では、身体的拘束の最小化に向けた取組をさらに推進する観点から、質の高い取組を行う体制の新たな評価と、身体的拘束を行った日の入院料評価の見直しが示されています。加えて、認知症ケア加算の評価見直しも論点に入っています。
| 論点 | 改定の方向性 | 現場への影響 | 先に揃える最小対策 |
|---|---|---|---|
| 体制評価 | 質の高い取組を行う体制を新たに評価 | 委員会・研修・指針の運用実態が問われる | 体制要件の責任者・頻度・記録先を固定 |
| 当日評価の見直し | 身体拘束を行った日の入院料評価を見直し | 実績管理が甘いと減算リスクが上がる | 当日記録の必須項目をテンプレ化 |
| 認知症ケア | 認知症ケア加算の評価見直し | アセスメントとケア計画の整合が必要 | 多職種カンファの記録文を統一 |
5 分で実装する運用フロー
身体拘束最小化は「禁止の宣言」だけでは回りません。病棟で実装する順番を固定すると、担当者差と説明負担を減らせます。
| 手順 | 実施内容 | 担当 | 記録ポイント |
|---|---|---|---|
| 1. 定義の統一 | 病棟で扱う身体拘束の範囲を明文化 | 医師・看護・リハ責任者 | 適用条件と例外条件 |
| 2. 体制整備 | 委員会・研修・指針見直し日を固定 | 管理者・教育担当 | 開催記録、参加者、改善事項 |
| 3. 実績管理 | 実施件数・理由・代替策を継続集計 | 病棟リーダー | 月次推移、前月比、是正策 |
| 4. 当日記録 | 実施時の判断根拠と再評価予定を記録 | 実施者+承認者 | 開始時刻、理由、解除条件 |
| 5. 再評価 | 早期解除に向けた前倒し見直し | 多職種カンファ | 継続/解除判断と根拠 |
現場の詰まりどころ/よくある失敗
OK / NG 早見
| 場面 | NG | OK | 理由 |
|---|---|---|---|
| 定義 | 職種ごとに解釈が違う | 病棟共通の定義文を1枚で共有 | 判断のブレを減らせる |
| 記録 | 「実施した」のみ記録 | 理由・代替策・解除条件まで記録 | 説明責任を満たしやすい |
| 再評価 | 次回見直し日が未設定 | 当日中に再評価予定日を設定 | 長期化を防げる |
導入チェック( 5 分 )
- 身体拘束の定義が病棟で統一されている
- 委員会・研修・指針見直しの年間予定がある
- 実績(件数・理由・代替策)を月次で確認している
- 当日記録に「解除条件」「再評価予定日」がある
- 認知症ケアのアセスメントとケア計画が連動している
よくある質問(FAQ)
各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。
Q1. まず何から着手すればよいですか?
最初は定義の統一です。次に体制(委員会・研修・指針)を固定し、最後に実績管理を回す順で進めると、現場負担を抑えながら整備できます。
Q2. 「体制」と「実績」はどう違いますか?
体制は取組を継続する仕組み、実績は実際の運用結果です。どちらか一方だけでは十分ではなく、両方をそろえて評価される流れです。
Q3. 緊急時に身体拘束を実施した場合の記録は?
実施理由、代替策の検討、解除条件、再評価予定を当日中に残す運用が重要です。記録が簡略すぎると、後日の説明で詰まりやすくなります。
Q4. 認知症ケアとの関係はどう見ればよいですか?
認知症ケアは身体拘束最小化と切り離せません。アセスメントとケア計画を連動させ、代替策の実施と再評価の記録を残すことが実装の要点です。
次の一手
- 全体像を押さえる:慢性期・療養病棟向け総論
- 確定情報を更新する:最終差分(点数・要件)
参考資料(一次情報)
- 厚生労働省(中医協).令和 8 年度診療報酬改定に係るこれまでの議論の整理(案).Ⅲ-1-1 身体的拘束の最小化の推進.
- 厚生労働省(中医協).(案)令和 8 年度診療報酬改定について.
- 厚生労働省(中医協).令和 8 年度診療報酬改定に係るこれまでの議論の整理(意見・件数等).
著者情報
rehabilikun(理学療法士)
rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。
- 脳卒中 認定理学療法士
- 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
- 登録理学療法士
- 3 学会合同呼吸療法認定士
- 福祉住環境コーディネーター 2 級
専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下


