2026 年 6 月の介護報酬「臨時改定」後、リハ職の働き方はどう変わる?給料・配置・役割を整理

制度・実務
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2026 年 6 月の介護報酬「臨時改定」後、リハ職の働き方はどう変わる?給料・配置・役割を整理

2026 年 6 月の介護報酬「臨時改定」は、点数の大改編というよりも、処遇改善(賃上げ・職場環境改善)を “ 現場まで届く形 ” にするための動きが中心になります。リハ職( PT・OT・ST )にとっては、単純に「給料が上がるか」よりも、配分ルール役割分担(間接業務の増え方)をどう整えるかが勝負です。

この記事では、老健・特養・通所・訪問リハのフィールド別に「起こりやすい変化」を整理し、現場で揉めないための準備をまとめます。改定の全体像(制度の流れ・論点整理)を先に押さえたい方は、2026 年度介護報酬改定のポイント( PT 向け )も合わせて読むと理解が早いです。

まず結論:働き方で “ 動きやすい 3 点 ”

臨時改定を「現場の働き方」に落とすと、動きやすいポイントは 3 つです。①賃上げの原資が “ 加算取得+配分 ” で決まりやすくなる、②職場環境改善(教育・業務改善・生産性向上)の “ 形 ” が求められる、③間接業務(会議・記録・連携)の比重が上がり、役割分担が曖昧な職場ほど疲弊しやすい、の 3 点です。

だからこそ、PT としては「自分の給与」だけを見るのではなく、事業所として “ 何を整備し、どう配分し、どう説明するか ”まで視野に入れると、改定の波に振り回されにくくなります。

臨時改定後に “ 働き方へ影響しやすい ” 3 点(リハ職)
論点 現場で起きやすいこと 詰まりどころ 最小の対策
配分 「誰に・どの程度」上乗せするかで温度差が出る 説明不足で不信感が生まれる 配分ルールを 1 枚に文章化
職場環境改善 教育・記録・ICT など改善の “ 実績 ” を求められる やった感だけで現場が疲れる 改善テーマを 1 つに絞って定着
役割分担 会議・連携・評価が増え、間接業務が膨らむ リハ職だけが抱え込みやすい 役割(誰が何を)を固定する

給料はどこまで上がる?「上がる/上がらない」を分ける要因

ニュースの見出しだけを見ると「月 1 万円」などの数字が一人歩きしがちですが、現場での体感は職場によって差が出ます。理由はシンプルで、賃上げが “ 一律配布 ” ではなく、加算の取り方(届出・算定)配分の設計職場環境改善の実装に依存しやすいからです。

リハ職としては、①自分の法人がどの加算を取っているか、②配分は「基本給/手当/賞与」どこに乗るのか、③改善の取組(教育・業務改善)が “ 現場負担だけ増える形 ” になっていないか、の 3 点を押さえると見通しが立ちます。

老健・特養・通所・訪問で、影響はどう違う?(イメージ)

同じ臨時改定でも、サービス類型で “ 起きる変化 ” はズレます。老健は在宅復帰や生活機能の説明責任が強まりやすく、特養は少人数配置の中で “ 生活の質を底上げする関与 ” が求められやすいです。通所はアウトカムの見せ方(評価と説明)が重要になり、訪問は医療・介護の境界で役割を言語化できるかがポイントになります。

ここでは、実務で想像しやすいように「増えやすい仕事」を類型ごとに並べます。

サービス類型別:臨時改定後に増えやすい “ 仕事の種類 ”(リハ職)
類型 増えやすい場面 強みになりやすい動き 先に整えるもの
老健 評価→計画→カンファ→家族説明 生活機能の変化を “ 数値+言語 ” で示す 評価の標準化、説明テンプレ
特養 ポジショニング/離床/摂食・嚥下の横展開 介護職のケア技術を “ 現場で上げる ” ケア手順の共有、ミニ研修
通所(リハ・介護) 個別機能訓練の成果説明/LIFE と接続 転倒・活動量・ ADL の変化を可視化 評価スケール、記録の統一
訪問リハ 医師・看護・ケアマネとの連携/役割整理 急性増悪や生活課題への早期介入 連携フロー、報告書テンプレ

人員配置・シフト・役割分担はどう変わる?(増える “ 間接業務 ” に注意)

「報酬が上がる=人が増える」とは限りません。むしろ現場で起きやすいのは、要件・説明・記録が増え、間接業務が膨らむことです。リハ職は “ 訓練時間 ” だけで評価されにくい一方、会議や連携が増えた分を抱え込むと、疲弊が先に来ます。

ポイントは、役割分担を “ 人に依存させない ” ことです。たとえば「配分の説明は管理者」「要件資料の保管は事務」「現場改善の運用は主任」のように、最小限でも線を引くと回りやすくなります。

現場の詰まりどころ:揉めるのは “ 金額 ” より “ 説明と納得感 ”

臨時改定で揉めやすいのは「いくら上がるか」そのものより、なぜその配分なのかが見えないことです。さらに、改善の取組が “ 現場の負担増 ” とセットになってしまうと、賃上げのメリットが相殺されやすくなります。

ここでは、よくある詰まりどころを OK/ NG で整理します。

臨時改定後に起きがちな詰まりどころ( OK/ NG 早見 )
テーマ NG(起きがち) OK(こうする) 記録ポイント
配分の説明 口頭のみで “ あとから変更 ” が起きる 対象・時期・方法を文章化し、窓口を固定 周知文書、 Q&A 、説明日
改善の取組 改善テーマが多すぎて形だけになる 教育か業務改善を 1 つに絞り、定着させる 議事録、運用ルール、実施ログ
役割分担 “ できる人 ” に集まり、燃え尽きる 担当を固定し、代替手順も残す 担当表、引き継ぎメモ
成果の見せ方 “ 頑張っている ” だけで根拠が薄い 評価→介入→再評価をセットで示す 評価スケール、前後比較

よくある質問

各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。

賃上げがあっても、リハ職に “ 回ってこない ” ことはありますか?

あり得ます。加算の算定状況や配分設計、職種の扱い(対象範囲)で体感が変わるためです。大事なのは「何の枠で、どこに、どう乗るか(基本給/手当/賞与)」を確認し、説明ルールが整っているかを見ることです。

臨時改定で “ 仕事だけ増える ” のが不安です

増えやすいのは、要件・説明・記録・会議といった間接業務です。まず担当と手順を固定し、改善テーマを 1 つに絞って定着させると、負担増が連鎖しにくくなります。

転職を考えるなら、どのタイミングが現実的ですか?

制度変更の直前は情報が錯綜しやすいので、「自分の職場が何を取る方針か」「配分や改善が説明されるか」を確認してから判断するのが現実的です。見学・面談で “ 体制の中身 ” を具体的に質問できると、後悔が減ります。

おわりに(配分の見える化→役割固定→改善 1 つ→前後比較で “ 働き方 ” を守る)

臨時改定は、制度の知識よりも「配分の見える化→役割固定→改善を 1 つ定着→評価の前後比較で示す」という現場のリズムを作れるかが鍵です。賃上げの話題ほど “ 気持ち ” が動くので、説明と納得感を先に整えておくと、現場の摩擦が減ります。

制度をきっかけに働き方も整理したい方は、面談準備チェックと職場評価シートを使って “ 質問の軸 ” を作ると進めやすいです:マイナビコメディカルの無料ツール(ダウンロード)

一次情報(公式資料)

参考文献

  1. Matthews M, et al. Determinants of turnover among low wage earners in long term care. J Gerontol Nurs. 2018. PubMed: 29499899
  2. Sharma H, et al. Association Between Wages and Nursing Staff Turnover in Nursing Homes. Gerontologist. 2022. PubMed: 35770065
  3. Thwaites C, et al. Factors Impacting Retention of Aged Care Workers. Int J Environ Res Public Health. 2023. PubMed Central: PMC10706301
  4. Nakagawa Y, et al. Impact of Introduction Timing on Home-Visit Rehabilitation Therapy Outcomes. 2025. PubMed: 41209969
  5. Yoneyama T, et al. Oral care reduces pneumonia in older patients in nursing homes. J Am Geriatr Soc. 2002;50(3):430-433. PubMed: 11943036
  6. Nagano A, et al. Rehabilitation Nutrition for Iatrogenic Sarcopenia and Sarcopenic Dysphagia. J Nutr Health Aging. 2019;23(3):256-265. PubMed: 30820514

著者情報

rehabilikun

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3 学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター 2 級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

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