リハ室の記録スペース設計|電子カルテ導入後の配置5ステップ

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リハ室の記録スペースは入力作業を分けて設計する

電子カルテ導入後のリハ室では、PC台数が足りていても、実施記録や計画書、評価入力が同じ時間帯に集中すると記録する場所が不足します。解決のポイントは机を増やすことではなく、短時間入力・長文作成・画面確認・PC返却を分けて配置することです。本記事では、リハ室の記録スペースを見直したい管理者やリハ職に向けて、入力席、デスク、外部モニター、配線、PC保管・充電を5ステップで整理します。

記録スペースは「座席数」だけで決めない

記録スペースは、何人分の椅子を置けるかではなく、どの作業が、いつ、何人に集中するかを基準に設計します。

リハ科では、午前終了前、昼休み前、カンファレンス後、終業前に入力が集中しやすくなります。紙カルテでは記録台やファイルを共有できた場面でも、電子カルテではPC、キーボード、マウス、電源、ネットワーク環境が必要です。

そのため、PC台数が足りていても、全員が同じ机で同じように記録する構成では渋滞が起こります。まずは入力作業を次の3種類に分けます。

リハ室で分けて考えたい入力作業
入力作業 主な内容 向いている環境
短時間入力 実施記録、予定確認、申し送り確認 立位入力席、ハイカウンター
長文作成 計画書、サマリー、評価、カンファレンス記録 座位席、外部モニター付きの席
返却・準備 PC返却、充電、清拭、周辺機器の整理 入力席と動線を分けた保管エリア
リハ室の記録スペースを短時間入力、長文入力、PC保管・充電の3エリアに分ける考え方を示した図版
リハ室の記録スペースは、短時間入力・長文入力・PC保管と充電の3エリアに分け、入力と返却の動線を交差させない。

リハ室の記録スペースを設計する5ステップ

記録スペースは、現状把握から導入後の再評価までを5段階で進めると、机だけを購入して失敗する事態を防ぎやすくなります。

記録スペース設計の5ステップ

  1. 記録が集中する時間帯と人数を確認する
  2. 短時間入力と長文入力を分ける
  3. 机・モニター・電源・通信を仮配置する
  4. PC保管・充電・清拭の動線を分ける
  5. 導入後に席待ちと使用率を再評価する

ステップ1:記録が集中する時間帯を確認する

最初に、誰が何時ごろ、どのような記録をしているかを確認します。

「席が足りない」という印象だけで机を増やすと、実際にはPC返却や外部モニターの不足が原因だったということがあります。少なくとも数日間、記録が集中する時間帯、待っている人数、作成している文書を確認します。

リハ室で記録が集中しやすい場面
場面 起きやすい問題 確認すること
昼休み前 午前分の実施記録が集中する 短時間入力の待ち人数
カンファレンス後 計画書や目標の修正が重なる 長文入力席とモニターの使用状況
終業前 評価、サマリー、確認作業が重なる 席待ち時間と未記載件数
病棟から戻った直後 PC返却と記録開始が重なる 保管庫前と入力席の動線

ステップ2:短時間入力と長文入力を分ける

短時間の実施記録と、サマリーなどの長文作成を同じ席で行わないことが、記録渋滞を減らす基本です。

数分で終わる記録には、立ったまま使える入力席が向いています。一方、計画書、サマリー、評価表などは、座位で画面を確認しながら入力できる場所が必要です。

療養病棟のように病棟から戻る時刻が重なりやすい現場では、全員分の座位席を用意するより、短時間入力席と長文入力席を分けた方が、限られた面積を使いやすくなる場合があります。

ステップ3:机・モニター・電源・通信を仮配置する

机を購入する前に、実際の寸法を床や壁面に示し、通行と入力姿勢を確認します。

養生テープなどで机や保管庫の外周を床に示すと、椅子を引いた状態、複数人が立った状態、保管庫を開けた状態を確認できます。電源コンセント、Wi-Fi、有線LANの位置も同時に確認します。

ステップ4:PC保管・充電・清拭の動線を分ける

PC保管庫は入力席に近づけすぎず、返却する人が入力中のスタッフを遮らない位置に置きます。

保管庫前では、PCの返却、充電器の接続、清拭が同時に発生します。入力席の真横に置くと便利である一方、終業前に人が集中して通路を塞ぐことがあります。

ステップ5:導入後に再評価する

完成直後ではなく、実際に運用した後の席待ち時間と使用率で評価します。

確認する指標は、記録開始までの待ち時間、使用されていない席、外部モニターの利用状況、保管庫前の混雑、終業時の未記載件数です。設備を一度にそろえず、利用状況を見ながら増設すると過剰投資を防ぎやすくなります。

短時間記録には立位入力スペースを設ける

実施記録や予定確認には、短時間で交代できる立位入力スペースが適しています。

すべての記録を座って行う前提にすると、数分の入力でも椅子や机が占有されます。既存の高めのカウンター、固定式ハイテーブル、壁面デスクなどを利用すれば、電動昇降デスクを導入しなくても立位入力場所を作れます。

ただし、高さが合わない机は肩が上がる、体幹が前傾する、画面をのぞき込むといった姿勢につながります。導入前に、使用するスタッフがキーボードと画面の位置を確認することが重要です。

デスクは用途と設置条件で選ぶ

デスクは商品名や昇降機能だけでなく、入力時間、使用人数、モニターの有無、電源位置から選びます。

電動昇降デスクは立位と座位を切り替えられますが、価格、重量、組み立て、電源、可動時の配線余裕を確認する必要があります。短時間の立位入力だけが目的なら、固定式のハイカウンターでも対応できます。

リハ室の記録デスク候補と使い分け
タイプ 向いている場面 導入前の確認点
電動昇降デスク 立位と座位を切り替えて使用する 価格、重量、電源、配線の余裕
固定デスク 計画書やサマリーなど座位作業が中心 椅子を引く空間と通路幅
ハイカウンター 実施記録など短時間入力が中心 天板高と画面位置
壁面デスク 壁際の空間を活用する 奥行き、電源位置、壁面への固定方法

横幅約400cmの壁面を使う場合は、180cm前後のデスクを2台に分ける方法があります。ただし、この寸法は一例です。壁の幅だけでなく、柱、コンセント、扉、椅子を引く空間、通行量を実測して決めます。

外部モニターは長文入力席に限定する

外部モニターは全席に置くのではなく、計画書やサマリーを作成する席へ優先的に配置します。

リハ科では、過去記録、評価表、計画書、カンファレンス記録などを見比べる作業があります。ノートPCだけでは画面切り替えが増えるため、長文入力席に外部モニターがあると確認しやすくなります。

27インチ前後は選択肢の一つですが、画面サイズだけで決める必要はありません。電子カルテの表示仕様、文字サイズ、机の奥行き、設置可能な視距離を確認します。モニターは正面に置き、無理なく文字を読める距離を確保します。

最初は2〜4台程度を共有配置し、使用率を確認してから増設する方法が現実的です。

PC保管・充電・清拭場所を一体で考える

PC保管場所は、端末を収納する棚ではなく、返却・充電・清拭までを行う作業エリアとして設計します。

ノートPCが増えると、保管庫、ACアダプタ、電源タップ、清拭用品の置き場が必要になります。返却場所が決まっていないと、PCや充電器が机上に残り、記録スペースを狭くします。

PC保管・充電スペースで決めること
項目 起こりやすい問題 決めておくこと
保管庫 PCが机上や床に残る 端末ごとの返却位置
充電器 ACアダプタが混在する 番号管理と固定配線
清拭用品 使用後の対応が人によって異なる 用品の定位置と実施手順
動線 返却する人と入力する人が重なる 保管庫前で作業できる余白

端末、ネットワーク、電源設備の扱いは、施設の医療情報システム安全管理責任者やシステム担当部署とも調整します。市販機器を独断でネットワークへ接続しないことも重要です。

電源と通信配線は床から離す

電源タップ、ACアダプタ、モニターケーブル、LANケーブルは、原則として床へ無造作に置かない構成にします。

床上の配線は、つまずき、清掃のしにくさ、断線、端末の落下につながります。デスク下のケーブルトレーや固定具を使い、電源タップと余ったケーブルを床から離します。

記録スペースの配線確認項目
項目 確認ポイント 目的
電源タップ 床へ直接置かず、定格容量を確認する 清掃性と安全性を確保する
LANケーブル 配線経路と接続機器を明確にする 断線や誤接続を防ぐ
ACアダプタ 端末ごとに識別して固定する 混在や紛失を防ぐ
ケーブルトレー 重量と固定方法を確認する 足元へ配線が垂れるのを防ぐ

延長コードや電源タップの使用方法は、施設の設備管理部門や安全管理ルールに従ってください。

記録ステーションの構成例

記録ステーションは、入力席だけでなく、立位席、座位席、モニター、保管庫、通路を一つの配置として検討します。

電子カルテ導入後のリハ室記録スペース設計例。立位入力席、座位入力席、外部モニター、配線整理、PC保管・充電エリアを示した図
リハ室の記録スペースは、入力席、動線、配線、外部モニター、PC保管庫の位置を一体で設計する。
リハ室記録ステーションの構成例
構成 設計例 確認すること
デスク 180cm前後を2台に分ける 同時使用人数と壁面の実測値
奥行き 70〜80cm程度を候補にする モニターとの距離と通路幅
モニター 長文入力席へ2〜4台から配置する 利用率と電子カルテの表示仕様
配線 デスク下へ固定する 電源容量、清掃性、保守性
PC保管庫 入力席と動線が重ならない位置に置く 扉を開けた状態と返却時の混雑

70〜80cmという奥行きは、ノートPC、外部モニター、キーボード、書類を置く場合の設計例です。モニターの形状やアームの有無によって必要寸法は変わるため、購入前に実機または同程度の模型で確認します。

導入前に確認したい項目

購入申請を出す前に、寸法、電源、通信、動線、清掃、管理方法を一度に確認します。

リハ室記録スペースの導入前確認表
確認項目 確認内容 未確認時に起こりやすい問題
集中時間帯 最大で何人が同時入力するか 必要な入力場所を判断できない
作業内容 短時間入力と長文入力の割合 全席が同じ仕様になる
実測寸法 壁、柱、扉、通路、椅子の可動範囲 設置後に通路が狭くなる
電源 コンセント位置、容量、タップの扱い 配線の延長や集中が起こる
通信 Wi-Fi、有線LAN、接続機器の管理 通信不良や管理外機器の接続につながる
保管・充電 端末数、保管庫寸法、ACアダプタ 机上へPCや充電器が残る
清拭 用品の定位置と機器ごとの方法 対応がスタッフごとに異なる
再評価 導入後に確認する指標と時期 使われない設備が放置される

記録スペース作りでよくある失敗

最も多い失敗は、机だけを先に購入し、電源、通信、配線、保管、動線を後から調整することです。

リハ室の記録スペース作りでよくある失敗
失敗例 起こりやすい問題 対策
机だけを増やす 電源や通信環境が不足する 机、電源、通信を同時に設計する
全席を同じ仕様にする 短時間入力と長文入力が混在する 立位席、座位席、モニター席を分ける
PC保管を後回しにする PCや充電器が机上へ散らばる 返却場所と充電方法を先に決める
保管庫を席の真横に置く 返却する人と入力する人が重なる 保管庫前に作業余白を設ける
配線を床へ置く 清掃しにくく、転倒や断線につながる ケーブルトレーと固定具を使用する
最初から全設備をそろえる 使われない席やモニターが生じる 少数から開始して使用率を確認する

実際の現場では、設備を増やしても、特定の席だけが使用され続けることがあります。その場合は席数ではなく、画面の見やすさ、入力姿勢、通信速度、周囲の騒音、保管庫との位置関係に差がないかを確認します。

導入後は席待ちと使用率を再評価する

記録スペースの成否は、完成時の見た目ではなく、運用後に記録待ちが減ったかで判断します。

導入後1〜2週間を目安に、次の項目を確認します。

  • 記録を始めるまでに待つ時間が減ったか
  • 特定の席だけに利用が偏っていないか
  • 立位入力席が長時間占有されていないか
  • 外部モニターが実際に使われているか
  • 保管庫前で人の動線が重なっていないか
  • 床上の配線や机上の充電器が増えていないか
  • 終業前の未記載や残業が減ったか

使用されない席がある場合は、単純に撤去するのではなく、机の高さ、画面位置、通信状態、周囲の通行量を確認します。使いにくい理由を特定してから配置を変更することが重要です。

リハ室の記録スペースに関するよくある質問

各項目名をタップまたはクリックすると回答が開きます。

昇降デスクは必須ですか?

必須ではありません。立位と座位を同じ場所で切り替える場合には便利ですが、短時間の立位入力が目的なら、固定式のハイカウンターや高めの壁面デスクでも対応できます。重要なのは、スタッフが無理な姿勢にならない高さと画面位置です。

外部モニターは全員分必要ですか?

全員分を一度にそろえる必要はありません。計画書、評価、サマリーなどの長文作成を行う席へ2〜4台程度から配置し、利用率を確認してから増設する方法が現実的です。

デスクの奥行きはどのくらい必要ですか?

ノートPCだけなら比較的浅い机でも使用できますが、外部モニター、キーボード、書類を置く場合は70〜80cm程度が候補になります。ただし、一律の基準ではないため、画面との距離、モニター形状、通路幅を含めて実測してください。

PC保管庫は記録席の近くに置くべきですか?

端末を取り出しやすい距離には置きますが、記録席の真横が最適とは限りません。返却、充電、清拭をする人と、入力中のスタッフの動線が重ならない位置を選びます。

配線整理は机の設置後でも間に合いますか?

後から変更することもできますが、机の固定や端末稼働後は作業しにくくなります。購入前にコンセント、LAN、電源タップ、ケーブルトレーの位置を決めておく方が、床上配線や無理な延長を防ぎやすくなります。

次の一手

リハ室の記録スペースは、机の種類から決めるのではなく、記録が集中する時間帯と作業内容を確認し、短時間入力、長文入力、PC返却を分けて設計します。まずは数日間、席待ちが発生した時刻、人数、作業内容を記録し、本当の詰まりが入力席、PC、モニター、通信、保管動線のどこにあるかを確認してください。

設備を見直しても記録負担が改善しない場合へ

設備だけでなく、人員配置、教育体制、記録ルール、相談のしやすさが残業につながっていることもあります。現在の職場環境と今後の働き方を整理したい方は、PTキャリアガイドも参考にしてください。

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参考文献

  1. 厚生労働省. 医療情報システムの安全管理に関するガイドライン 第7.0版. 2026.
  2. 厚生労働省. 医療分野のサイバーセキュリティ対策について. 2026年7月12日閲覧.
  3. Occupational Safety and Health Administration. Computer Workstations eTool: Monitors. Accessed July 12, 2026.

著者情報

リハ室の記録スペース設計を解説するrehabilikunの著者アイコン

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blogを2022年4月に開設。医療機関、介護福祉施設、訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター2級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

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