買ってよかったリハ物品は「使用頻度・安全性・代替の難しさ」で決める
リハ科で優先して購入したいのは、高価な機器ではなく、複数のスタッフが毎日使い、安全管理に関わり、故障や不足時に代替しにくい物品です。具体的には、パルスオキシメーター、血圧計、ストップウォッチ、メジャー、移乗ベルトなどが優先候補になります。この記事では、年度末の物品請求や新年度の環境整備を担当するリハ職に向けて、買ってよかった物品の優先順位、使用場面、請求理由、購入前の確認事項を現場目線で整理します。
この記事の結論
迷った場合は、①毎日使う、②安全確認に必要、③複数人が同時に使う、④壊れると業務が止まる、の順で優先度を判断します。
リハ科で必要になる物品をカテゴリー別に確認したい場合は、先に リハ科で準備したい物品・機器・用具リスト を確認してください。本記事では、候補を挙げた後に「どれから買うか」を決める方法に絞って解説します。
最初に買いたいリハ物品の優先順位
最優先は、日常的な評価・離床・移乗・歩行練習で繰り返し使い、安全管理にも関わる物品です。

| 優先度 | 物品 | 優先する理由 | 主な使用場面 |
|---|---|---|---|
| A | パルスオキシメーター | 運動前後の状態確認に使い、病棟への持ち出しも多い | 離床、歩行、呼吸リハ |
| A | 血圧計 | 起立性低血圧や運動負荷前後の安全確認に直結する | 離床、立位、歩行練習 |
| A | ストップウォッチ | 複数の歩行・バランス評価で使用し、同時使用が起こりやすい | TUG、5回立ち上がり、6分間歩行 |
| A | メジャー | 安価で使用範囲が広く、紛失時の業務影響も大きい | 周径、歩行距離、環境測定 |
| A | 移乗ベルト | 患者と介助者の安全確保に使い、病棟介入で活用しやすい | 移乗、立位、歩行介助 |
| B | 角度計 | 関節可動域評価の標準化に必要 | ROM測定、再評価 |
| B | 握力計 | 筋力や全身状態を数値化して共有しやすい | 筋力、フレイル、栄養評価の補助 |
| B | セラバンド | 負荷を調整しやすく、幅広い患者に使える | 筋力練習、自主練習指導 |
| B | 歩行器 | 患者の能力に応じた離床や歩行練習に使える | 病棟歩行、早期離床 |
| C | バランスパッド | 対象患者や実施目的が比較的限られる | 立位バランス、荷重練習 |
| C | ペダル運動器 | 保管場所と使用対象を確認してから導入したい | 座位での下肢運動 |
| C | ステップ台 | 設置場所と安全な介助環境が必要 | 段差昇降、階段練習 |
予算が限られる場合は、優先度Aから不足数を確認します。その後、患者層や既存設備に合わせて優先度B・Cを検討すると、購入後に使われない物品を減らしやすくなります。
買ってよかった物品を選ぶ3つの基準
購入候補は、「毎日使う」「病棟で使う」「壊れると困る」の3条件で絞ると判断しやすくなります。

| 基準 | 確認すること | 代表的な物品 |
|---|---|---|
| 毎日使う | 複数のスタッフが日常的に使用するか | ストップウォッチ、メジャー、血圧計 |
| 病棟で使う | ベッドサイドや離床場面へ持ち出すか | パルスオキシメーター、移乗ベルト、歩行器 |
| 壊れると困る | 不足時に評価や安全確認が止まるか | 握力計、電子機器、充電コード類 |
同じ物品でも、施設の患者層やスタッフ数によって優先順位は変わります。単純な所有数だけでなく、同じ時間帯に何人が使用するかも確認してください。
評価で買ってよかった物品
評価物品は、測定を標準化し、探す時間や評価待ちを減らせるものから整備します。
| 物品 | 主な用途 | 買ってよかった理由 | 購入時の確認点 |
|---|---|---|---|
| ストップウォッチ | 歩行・立ち上がり・バランス評価 | 安価で使用頻度が高く、複数配置の効果が大きい | 操作方法を統一しやすいか |
| メジャー | 周径、歩行距離、環境測定 | 評価から退院支援まで幅広く使える | 目盛りが読みやすく清拭しやすいか |
| 角度計 | 関節可動域測定 | 経時変化を数値で共有できる | 大・小のどちらが不足しているか |
| 握力計 | 筋力、フレイル、栄養評価の補助 | 患者や多職種へ結果を説明しやすい | 校正、電池、保管方法を決められるか |
| 血圧計 | 離床前後、運動負荷前後の確認 | 安全管理に直結し、病棟介入でも使う | カフサイズと持ち運びやすさ |
新人が多い職場では、評価方法を教えても物品が不足していると実践できません。臨床では「所有しているか」ではなく、「必要な時間に使えるか」が重要です。特にストップウォッチ、メジャー、角度計は、スタッフ数と同時使用場面を考えて複数配置すると探す時間を減らせます。
離床・移乗・歩行で買ってよかった物品
離床や移動に関わる物品は、使用頻度だけでなく患者と介助者の安全性を基準に選びます。
| 物品 | 使う場面 | 導入効果 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| パルスオキシメーター | 離床、歩行、呼吸リハ | 運動前後の状態変化を確認しやすい | 測定値だけでなく症状や波形も確認する |
| 移乗ベルト | 移乗、立位、歩行介助 | 把持部を確保し、介助姿勢を整えやすい | 適応、装着位置、皮膚状態を確認する |
| 歩行器 | 病棟歩行、早期離床 | 患者の能力に応じて支持性を調整できる | 高さ、幅、ブレーキ、使用環境を確認する |
療養病棟では、リハ室内だけでなくベッドサイドや病棟廊下で介入する機会が多くなります。そのため、据え置き型の高価な機器より、持ち運びやすい血圧計、パルスオキシメーター、移乗ベルトなどの方が使用頻度の高い物品になりやすいです。
運動療法で買ってよかった物品
運動療法用具は、負荷調整のしやすさ、対象患者の広さ、保管・清掃のしやすさで選びます。
| 物品 | 使う場面 | 買ってよかった理由 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| セラバンド | 筋力練習、自主練習 | 患者に合わせて負荷を変えやすい | 劣化、亀裂、断裂を定期確認する |
| 重錘バンド | 上下肢の筋力練習 | 負荷量を明確に設定できる | 皮膚状態と装着位置を確認する |
| ステップ台 | 段差昇降、階段練習 | 退院後の生活環境を想定した練習に使える | 滑り止め、高さ、周囲の介助空間を確認する |
| バランスパッド | 立位バランス、荷重練習 | 支持面を変えた段階づけに使える | 転倒リスクに応じた介助体制が必要 |
| ペダル運動器 | 座位での下肢運動 | 歩行が難しい患者にも導入しやすい | 本体の固定性と疲労反応を確認する |
運動療法用具は、機能が多いほどよいとは限りません。使用対象が限られ、準備に時間がかかり、保管場所を取る物品は、購入後に使用頻度が下がる可能性があります。購入前に、週に何人へ使うのかを具体的に見積もることが重要です。
電子カルテ導入後に買ってよかった物品
電子カルテ導入後は、訓練用具だけでなく、記録を滞らせないためのPC・充電・保管環境が重要になります。
| 物品 | 役割 | 買ってよかった理由 | 購入前の確認点 |
|---|---|---|---|
| ノートPC | 病棟やリハ室での記録 | 記録場所の集中を減らしやすい | 重量、バッテリー、院内ネットワーク |
| 充電保管庫 | 端末の保管と充電 | 返却場所を固定し、紛失や充電切れを防ぎやすい | 台数、内寸、放熱、施錠方法 |
| コンセントタイマー | 充電時間の管理 | 通電時間を一定にしやすい | 接続機器の仕様と院内ルール |
| ラベルプリンタ | 端末・棚・物品の識別 | 返却場所や管理番号を明示できる | ラベルの剥がれにくさと清拭性 |
| 昇降デスク | 立位・座位での記録 | 短時間の記録場所を増やせる | 設置場所、配線、天板サイズ |
電子カルテ用品は、単品の性能だけでなく運用全体で考えます。ノートPCを増やしても、充電場所、返却先、端末番号、配線方法が決まっていなければ、充電切れや紛失が起こりやすくなります。
物品請求で使いやすい理由の書き方
物品請求では、「便利だから」ではなく、どの業務上の問題を改善するかを具体的に書きます。
| 物品 | 弱い書き方 | 伝わりやすい書き方 |
|---|---|---|
| ストップウォッチ | 評価で使うため | TUGや歩行速度評価の同時実施が重なるため、評価待ち時間の短縮と測定方法の標準化を目的に追加する |
| パルスオキシメーター | 病棟で必要なため | 離床・歩行練習前後の酸素化と脈拍確認に使用し、運動中の状態変化を早期に把握するため追加する |
| 移乗ベルト | 介助しやすいため | 移乗・立位・歩行介助時の把持部を確保し、患者の転倒予防と介助者の身体的負担軽減を図るため導入する |
| 充電保管庫 | PCを片づけるため | ノートPCの保管場所と充電場所を統一し、端末の紛失、返却忘れ、翌日の充電切れを防ぐため導入する |
| 昇降デスク | 記録しやすいため | 記録端末周辺の混雑を分散し、短時間入力と立位入力ができる記録場所を確保するため導入する |
申請書や稟議書へ落とし込む場合は、リハビリ科の物品請求・稟議書の作り方で、価格比較や選定理由のまとめ方を確認してください。
購入前に行う5分チェック
購入前に5項目を確認すると、「買ったのに使われない」「保管できない」といった失敗を減らせます。
- 誰が使うか:PT・OT・STのうち、何人が使用するかを確認する
- どの場面で使うか:評価、病棟、運動療法、記録など用途を決める
- どの程度使うか:1日または1週間の使用回数を見積もる
- どこに置くか:棚番号、充電場所、返却場所を決める
- 誰が管理するか:点検、消耗品交換、故障報告の担当を決める
この5項目を具体的に答えられない物品は、必要性が曖昧な可能性があります。反対に、複数スタッフが毎日使い、不足による待ち時間や安全上の問題が明確な物品は、優先候補として説明しやすくなります。
現場の詰まりどころ:便利そうという理由だけで選ばない
物品購入で起こりやすい失敗は、使用場面だけを考え、保管・点検・共有方法を決めずに導入することです。
| 失敗 | 主な原因 | 購入前後の対策 |
|---|---|---|
| 誰も使わない | 対象患者や用途が限定的 | 使用予定人数と週当たりの使用回数を確認する |
| 壊れたまま放置される | 点検担当と報告先が不明 | 点検頻度と故障時の報告経路を決める |
| 置き場所がない | 保管スペースを確認していない | 購入前に本体と付属品の寸法を確認する |
| 病棟で紛失する | 持ち出しと返却のルールがない | 管理番号、返却場所、貸出方法を統一する |
| 使い方が統一されない | 導入時の共有がない | 導入時に5分程度の使用方法共有を行う |
| 付属品だけ不足する | 電池、カフ、充電器などを管理していない | 本体と消耗品を一緒に一覧化する |
購入後の棚番号、貸出、点検方法まで整える場合は、リハ科の物品管理表・貸出表・点検ルールも参考にしてください。
よくある質問
各項目名をタップすると回答が開きます。もう一度タップすると閉じます。
リハ科で最初に買うべき物品は何ですか?
パルスオキシメーター、血圧計、ストップウォッチ、メジャー、移乗ベルトなど、毎日使い、安全管理に関わる物品から優先します。ただし、すでに十分な数がある場合は、同時使用数や故障状況を確認して次の候補を決めます。
高価なリハビリ機器を優先した方がよいですか?
価格だけで優先順位を決める必要はありません。使用する患者数、使用頻度、設置場所、管理担当、既存物品で代替できるかを確認します。限られた予算では、複数スタッフが毎日使う基本物品を整えた方が、科全体への効果が大きい場合があります。
物品はスタッフ数と同じ数だけ必要ですか?
必ずしも同じ数は必要ありません。スタッフ数ではなく、同じ時間帯に使用する人数、病棟への持ち出し数、予備の必要性を基準にします。ストップウォッチやメジャーなど安価で使用頻度が高いものは、複数配置を検討しやすい物品です。
買ってから使われなくなる物品を防ぐ方法はありますか?
購入前に、使用者、対象患者、使用頻度、保管場所、管理担当を決めます。導入後は、使用方法を短時間で共有し、一定期間後に使用状況を確認してください。使用頻度が低い場合は、配置場所や対象者への周知方法も見直します。
物品請求の理由はどのように書けばよいですか?
「便利だから」ではなく、「評価待ち時間を減らす」「運動前後の安全確認に使う」「病棟での離床を支える」「紛失や充電切れを防ぐ」など、改善したい業務上の問題を具体的に書きます。使用人数や使用回数も添えると、必要性を説明しやすくなります。
次の一手
リハ科の購入候補を広く確認したい場合は、まず リハ科で準備したい物品・機器・用具リスト で不足物品を洗い出してください。
購入候補が決まった後は、リハビリ科の物品請求・稟議書の作り方を参考に、使用頻度、改善できる業務、価格比較を申請書へまとめます。
参考文献
- 国立長寿医療研究センター. リハビリテーション室設備・備品[Internet]. 愛知: 国立長寿医療研究センター; [参照 2026年7月12日]. リハビリテーション室設備・備品
著者情報

rehabilikun(理学療法士)
rehabilikun blogを2022年4月に開設。医療機関、介護福祉施設、訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。
- 脳卒中 認定理学療法士
- 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
- 登録理学療法士
- 3学会合同呼吸療法認定士
- 福祉住環境コーディネーター2級
専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

