舌苔スコア( TCI )の評価方法| 9 分割の見方と口腔ケア前後の記録
口腔ケアは「やった感」より、前後比較できる指標があると改善が速いです。 評価 → 介入 → 再評価の型を 3 分で復習する( #flow )
TCI( Tongue Coating Index )は、舌苔を 9 区画で観察し、口腔衛生の状態を点数化する評価です。誤嚥性肺炎のリスクが気になる場面では、「何を優先してケアするか」の判断材料になり、ケア前後の変化も追えます。
本記事では、 9 分割の見方( 0/1/2 点 )、計算方法、 50% を目安にした解釈、よくある迷いどころの統一ルールまで整理します。口腔機能評価の全体像は 口腔機能の評価方法(ミニセットまとめ) にまとめています。
TCI( Tongue Coating Index )とは?
舌苔は、細菌・剥離上皮・食渣などが舌背に付着したもので、口臭や口腔内細菌叢、口腔乾燥と関係します。TCI は、舌背を区画化して「厚さ(付着の程度)」を観察し、主観を減らして記録できる点が利点です。
どんなときに使う?(臨床での使いどころ)
| 場面 | ねらい | 見たい変化 | 次アクション例 |
|---|---|---|---|
| 病棟・施設 | 口腔衛生とリスクの把握 | 舌苔の減少、乾燥の改善 | 清掃手順の見直し、保湿、摂食前ケア |
| 周術期・誤嚥リスク | ケア優先度の判断 | 厚い舌苔が残る部位の特定 | 頻度・方法の最適化、専門職連携 |
| 訪問・在宅 | セルフケア指導の効果判定 | 前後比較、家族介助の質 | 道具選定、ルーティン化 |
採点方法:舌を 9 分割して 0/1/2 点
TCI は舌背を 9 区画に分け、各区画を 0 / 1 / 2 点で評価します。観察は「照明」と「乾燥」の影響が大きいので、可能なら同じ環境・同じ姿勢で行います。
| 点数 | 状態 | 現場での言い換え | 注意 |
|---|---|---|---|
| 0 | 舌苔なし | 赤い舌が見える | 乾燥で白く見えることがある |
| 1 | 薄い舌苔 | うっすら白い、まだ舌が見える | 「薄い膜」レベルは 1 に寄せる |
| 2 | 厚い舌苔 | 白〜黄白で厚く、舌が見えにくい | 厚さが主体。色だけで決めない |
計算:合計点から % を出す
合計点は最大 18 点( 9 区画 × 2 点 )です。TCI( % )は一般に(合計点 ÷ 18)× 100で算出します。現場運用では「合計点」も併記すると、電卓なしでも共有しやすくなります。
| 合計点 | TCI( % ) | メモ例 |
|---|---|---|
| 6 | 約 33% | 薄い舌苔が散在 |
| 9 | 50% | 衛生不良の目安として扱いやすい |
| 12 | 約 67% | 厚い舌苔が広範囲 |
解釈: 50%(合計 9 点)を一つの目安にする
TCI は「絶対値」より、ケア前後の変化(反応)と経時変化(再発)を見える化する目的で強い指標です。現場では TCI 50%(合計 9 点)前後を「衛生不良の目安」として、ケアの優先度を判断しやすくなります。
一方で、口腔乾燥が強いと舌が白く見えたり、食直後に付着が増えたりします。観察タイミング(食前/食後、ケア前/後)を固定すると、解釈のブレが減ります。
よくある迷いどころと統一ルール(表)
| 迷い | 起きやすい理由 | 統一ルール | 記録ポイント |
|---|---|---|---|
| 白いけど舌苔?乾燥? | 乾燥で舌背が白く見える | 湿潤を整えて再観察(保湿後) | 乾燥の有無 |
| 薄い膜は 1 か 2 か | 「厚さ」の判断が主観 | 迷ったら 1 に寄せ、経時で追う | 部位(どこが残るか) |
| 区画が曖昧 | 見慣れていない | 中央 3 × 左右 3 のイメージで固定 | 写真(可能なら) |
| ケア直後は 0 になりやすい | 短期反応が大きい | 「ケア前」と「次の食前」をセットで記録 | タイミング |
TCI を「介入の道具」にする:前後比較の型
TCI は「現状把握」だけでなく、口腔ケアの効果判定に使うと価値が上がります。おすすめは、
- ケア前 TCI → ケア後 TCI → 次の食前 TCI(再付着の速さも見える)
- 厚い舌苔が残る区画を特定して、手技・道具・保湿を調整する
同じ患者でも日内変動があるため、評価タイミングを固定して比較するのがコツです。
よくある質問(FAQ)
各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。
TCI はどのくらいの頻度で観察すべき?
誤嚥性肺炎リスクが高い場面では、少なくとも 1 日 1 回は「同じタイミング」で記録すると変化が追いやすいです。口腔ケアの介入中は「ケア前後」を短期で取り、手技の最適化に使うと効率が上がります。
TCI が高いとき、まず何を優先する?
「乾燥」と「付着」がセットで悪化しやすいので、保湿 → 清掃の順で整えると取りやすいことが多いです。摂食前のケアや、水分・唾液の状況も合わせて見ます。
口腔ケア直後は良く見えるのに、すぐ戻ります
再付着の速さは、乾燥・摂食状況・セルフケアの質などの影響を受けます。「ケア直後」だけでなく、次の食前も同じ条件で取り、戻りやすい区画を中心に介入を調整します。
参考文献
- Minakuchi S, Tsuga K, Ikebe K, et al. Oral hypofunction in the older population: Position paper of the Japanese Society of Gerodontology in 2016. Gerodontology. 2018;35(4):317-324. doi: 10.1111/ger.12347(PubMed: 29882364)
- Hatanaka Y, Ogami K, Iwasaki M, et al. Regular Oral Health Management Improved Oral Function in Older Dental Outpatients with Oral Hypofunction. Int J Environ Res Public Health. 2022;19(4):2154. doi: 10.3390/ijerph19042154(PubMed: 35206410)
著者情報
rehabilikun(理学療法士)
rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。
- 脳卒中 認定理学療法士
- 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
- 登録理学療法士
- 3 学会合同呼吸療法認定士
- 福祉住環境コーディネーター 2 級
専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下
おわりに
TCI は、観察条件固定 → スコア化 → 介入前後比較 → 継続の設計のリズムで回すと、口腔ケアが「改善する形」に変わります。面談準備のチェックと職場評価シートは マイナビコメディカルのまとめ(DL) から一気に整えられます。

