トライセル E の使い方|上敷きエアマットで背上げを揃える

臨床手技・プロトコル
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トライセル E の使い方|上敷きエアマットで「背上げのずれ」と「蒸れ」を同時に整える

支持面は「機器の暗記」より「評価 → 設定 → 記録 → 再評価」の型で迷いが減ります

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結論:エアマスター トライセル E は、上敷きタイプのエアマットレスで、背上げ時のずり落ちを抑える固定フードと、背上げモード(体重設定に応じてやわらかさを自動調整)を備えています。さらに、エアセルの膨張収縮と換気ダクトにより熱・湿気を逃がす設計で、背上げが長い症例の “ずれ+蒸れ” を同時に扱いやすいのが特徴です。 [oai_citation:1‡cape.co.jp](https://www.cape.co.jp/products/pdt036)

本記事は、トライセル E を「導入して終わり」にしないために、導入 5 分フロー、背上げモードの使い分け、蒸れ対策の考え方、非通電時の内圧保持とメモリ機能、導入後 48–72 時間での見直しまでを 1 ページで固定します。支持面の “選び分け” から整理したい場合は、体圧分散マットレスの種類と選び方(親)が入口になります。

トライセル E でまず固定する 3 点

  • 背上げで “ずり落ちない”:固定フード(アジャスト付き)で上敷きエアマットのずり落ちとシーツのずれを減らす。 [oai_citation:2‡cape.co.jp](https://www.cape.co.jp/products/pdt036)
  • 背上げモード:ボタン操作で背上げ時のやわらかさを体重設定に応じて自動調整し、背上げ時の底づきも抑える。充填は約 1 分 30 秒が目安で、解除忘れを想定したオートオフもある。 [oai_citation:3‡cape.co.jp](https://www.cape.co.jp/products/pdt036)
  • 蒸れ(熱・湿気)を逃がす:エアセルの膨張収縮(約 5 分間隔)でできる隙間と、左右 4 箇所の換気ダクトから内部の熱・湿気を排出する。 [oai_citation:4‡cape.co.jp](https://www.cape.co.jp/products/pdt036)

仕様(上敷き 840 / 900、 TAIS )

トライセル E は上敷きタイプで、幅 84 cm と 90 cm の 2 タイプです。マットレス厚は 10 cm、専用カバーは防水・抗菌・伸縮の仕様です。 [oai_citation:5‡cape.co.jp](https://www.cape.co.jp/products/pdt036)

※表は横にスクロールできます。

エアマスター トライセル E:仕様早見(公式)
タイプ 品番 サイズ(幅×長×厚) TAIS 設置
上敷 840 CR-330 84 × 192 × 10 cm 00206-000129 上敷き
上敷 900 CR-333 90 × 192 × 10 cm 00206-000130 上敷き

導入 5 分フロー(導入前 → 直後 → 48–72 時間)

上敷きタイプは「固定のしかた」で差が出ます。最初に “ずり落ち・ずれ” の原因を潰してから、背上げモードの使い分けに入るとブレません。

  1. 導入前:仙骨・踵の発赤(持続)、湿潤・浸軟、疼痛、背上げ角度と時間、滑り座りの有無、夜間覚醒回数
  2. 設置:上敷きマットを既存ベッドマットレスへ固定(固定フードの厚み調整を合わせる)
  3. 直後( 0–30 分 ):底づき(触診)、背上げ 30–45° で滑り座り、シーツのずれ
  4. 初期運用:通常運転を基本に、背上げが長い時間帯は背上げモードを併用(例外だけを追加) [oai_citation:6‡cape.co.jp](https://www.cape.co.jp/products/pdt036)
  5. 再評価( 48–72 時間 ):皮膚(発赤・湿潤)+離床(起き上がり・端座位)+睡眠を同じ型で比較し、設定の “足す/戻す” を決める

背上げモードの使い分け( PT 実務)

背上げモードは “背上げ中のずれ・底づき” を減らすための手段ですが、先に背上げの操作手順(骨盤位置・足部支持・背抜き・衣類のよれ)を揃えるほうが改善が速いことが多いです。背上げモードは、その上で “残る問題” に当てます。 [oai_citation:7‡cape.co.jp](https://www.cape.co.jp/products/pdt036)

※表は横にスクロールできます。

背上げで困ったときの「見る順番」
困りごと まず見る まずやる対策 次に使う機能
滑り座りが増えた 骨盤位置、足部支持、背抜き、衣類のよれ 背上げ手順を固定(チームで同一化) 背上げモード(必要時)
仙骨が赤くなる ずれ(せん断)の徴候、背上げ時間 ずれ除去+除圧(体位変換計画も同時に) 背上げモード+所見比較
背上げが長い(経管栄養・食事) 背上げ時間帯、皮膚の湿潤・熱感 寝具を重ねすぎない、環境(室温湿度)を調整 背上げモード+蒸れ対策(換気)

蒸れ(熱・湿気)対策: “換気が効かない” を先に潰す

トライセル E は、エアセルの膨張収縮(約 5 分ごと)で生じる隙間と、左右 4 箇所の換気ダクトからマット内部の熱・湿気を逃がす設計です。 [oai_citation:8‡cape.co.jp](https://www.cape.co.jp/products/pdt036)

ただし、寝具を重ねすぎる・シーツを張りすぎる・防水シーツのしわが強いと、蒸れ対策の効果が頭打ちになります。蒸れは支持面単体で解かず、寝具・失禁・室温湿度もセットで整えると改善が速くなります。

非通電時の内圧保持とメモリ(ベッド移動で詰まりやすい)

ベッド移動などで電源プラグを抜く場面では、エアセル内の空気漏れを遮断して内圧を保持する仕組み(特殊バルブ)と、再通電時に直前の体重設定へ戻すメモリ機能が用意されています。内圧保持は約 14 日が目安とされています。 [oai_citation:9‡cape.co.jp](https://www.cape.co.jp/products/pdt036)

現場の詰まりどころ(よくある失敗と対策)

上敷きタイプは “設置と寝具” で結果が変わります。設定を触る前に、まず原因を 1 つずつ潰すと回ります。

※表は横にスクロールできます。

トライセル E 運用のよくある失敗と対策( PT 視点)
起きやすい問題 主な原因 まずやる対策 記録ポイント
背上げでマットがずり落ちる 固定フードの厚み調整が合っていない/固定が甘い 固定フードを再調整し、ベッドマットレス厚との適合を確認 背上げ角度、ずり落ちの程度、修正内容
背上げで仙骨が赤い ずれ(せん断)+背上げ時間が長い 背上げ手順の統一(骨盤位置→足部→背抜き)、背上げモード併用 発赤部位と持続、背上げ時間
蒸れが改善しない 寝具の重ね過ぎ/環境要因(室温湿度) 寝具構成の簡素化、室温湿度と失禁対応も同時に調整 湿潤・浸軟、寝具、室温
再通電で設定が戻らないと感じる 操作手順のばらつき/接続不良 電源・接続を点検し、設定値と所見をそろえて再評価 点検箇所、設定値、復旧の有無

導入・見直しチェック( 48–72 時間で比較)

導入前→直後→ 48–72 時間:最小チェック
見る軸 観察のコツ(同条件) 記録の最小セット
皮膚 発赤・圧痕・疼痛(持続)/湿潤 部位/持続/回復
ずれ(せん断) 背上げで滑り座り、衣類のよれ、骨盤後傾 角度/時間/ずれ徴候
離床 起き上がり・端座位の安定、介助量 所要時間/介助量
睡眠 覚醒回数、寝苦しさ(蒸れ) 覚醒回数/訴え

よくある質問

各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。

背上げモードは、いつ入れるのがコツですか?

背上げが長く、背上げ後に「滑り座り」「仙骨の当たり」「圧痕が戻りにくい」が残るときに検討します。先に背上げ手順(骨盤位置・足部支持・背抜き・衣類のよれ)を揃え、それでも残る問題に当てると運用がぶれません。 [oai_citation:10‡cape.co.jp](https://www.cape.co.jp/products/pdt036)

蒸れ対策が効きにくいとき、何を見直しますか?

寝具の重ね過ぎ、シーツの張りすぎ、防水シーツのしわ、室温湿度、失禁対応の遅れを先に見直します。換気ダクトの意図(熱・湿気を逃がす)を活かすために、周辺要因もセットで整えます。 [oai_citation:11‡cape.co.jp](https://www.cape.co.jp/products/pdt036)

電源を抜いてベッド移動するときの運用は?

非通電時に内圧を保持する仕組み(特殊バルブ)と、再通電時に直前の体重設定へ戻るメモリ機能があります。移動前後で皮膚所見と背上げ時のずれを再チェックし、必要なら設定と寝具を整え直します。 [oai_citation:12‡cape.co.jp](https://www.cape.co.jp/products/pdt036)

上敷きタイプで一番ズレるポイントはどこですか?

固定フードの厚み調整と、背上げ時の寝具(シーツ)の張り方です。まず固定を揃え、次に背上げ操作手順を統一してから、背上げモードや寝具構成を追加すると迷いが減ります。

次の一手

運用を整える → 共有の型を作る → 環境の詰まりも点検

記録・引き継ぎ・用具の運用が回らないときは、無料チェックシートで「詰まり」を可視化すると次の改善が速くなります。

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参考文献

  1. 株式会社ケープ. エアマスター トライセル E(製品情報). Link
  2. 株式会社ケープ. エアマスター トライセル E 取扱説明書( PDF ). PDF
  3. EPUAP/NPIAP/PPPIA. Prevention and Treatment of Pressure Ulcers/Injuries – International Guideline. 2019. PDF
  4. Kottner J, Black J, Call E, Gefen A, Santamaria N. Microclimate: A critical review in the context of pressure ulcer prevention. Clin Biomech (Bristol). 2018;59:62-70. doi:10.1016/j.clinbiomech.2018.09.010 / PubMed

著者情報

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rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3 学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター 2 級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

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