スコープの使い方|体圧可視化で「圧対策」と「申し送り」を揃える
結論:スコープは、全自動運転で圧対策を切り替えながら、臀部周辺の体圧を可視化できるロボティックマットレスです。臨床では「導入して終わり」ではなく、導入直後の姿勢、背上げ後のずれ、48–72 時間後の皮膚・睡眠・離床の変化を同じ型で確認すると運用が揃います。
この記事では、スコープの基本機能、仕様、体圧可視化の見方、導入 5 分フロー、よくある失敗、カルテ記録テンプレまでをまとめます。スコープライトとの違いは深掘りしすぎず、可視化ありのスコープを現場でどう使うかに絞って解説します。
スコープでまず固定する 3 つの機能
スコープの特徴は、全自動運転、背上げ時の圧対策、臀部周辺の体圧可視化の 3 点です。PT・看護・介護で申し送りを揃えるなら、細かな機器設定よりも「どの場面で何を見るか」を先に固定すると迷いが減ります。
公式情報では、スコープは「全自動運転+体圧可視化」のロボティックマットレスとして位置づけられています。スコープライトは全自動運転モデルですが、臀部周辺の圧の可視化機能がないため、本記事ではスコープ本体の可視化機能を中心に扱います。
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| 機能 | 臨床での意味 | 確認する場面 |
|---|---|---|
| 全自動運転 | 利用者の状態に応じて圧対策を自動で切り替える | 導入直後、夜間、活動量が変わった時 |
| 背上げ時の圧対策 | 背上げ時の圧迫・底づき・ずれを確認しやすくする | 食事、呼吸管理、離床前後 |
| 体圧可視化 | 臀部周辺の当たりや左右差を画面で共有できる | ポジショニング修正後、カンファレンス前 |
仕様は「幅・長さ・厚さ・適合」を確認する
スコープは厚さ 17 cm で、幅 83 cm・91 cm、長さはレギュラーとショートがあります。導入時は、利用者の体格だけでなく、ベッド幅、柵との干渉、端座位のしやすさ、移乗時の足部接地まで確認します。
仕様確認は、導入可否だけでなく「離床しやすい支持面か」を判断するためにも重要です。特に 91 cm 幅は支持面に余裕が出やすい一方、ベッド環境や介助動線との相性を合わせて見ます。
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| 品番 | サイズ(幅×長さ×厚さ) | 重量 | メモ |
|---|---|---|---|
| MSCP83 | 83 × 193 × 17 cm | 10.5 kg | 83 cm・レギュラー |
| MSCP83S | 83 × 182 × 17 cm | 10.0 kg | 83 cm・ショート |
| MSCP91 | 91 × 193 × 17 cm | 11.5 kg | 91 cm・レギュラー |
| MSCP91S | 91 × 182 × 17 cm | 11.0 kg | 91 cm・ショート |
全自動運転は「触りすぎない」が基本です
スコープは全自動運転を前提に使う機器なので、導入直後から細かく操作しすぎるより、まずは姿勢・ずれ・寝具構成・皮膚所見を揃えて観察します。設定を変える前に、骨盤位置、衣類やシーツのしわ、背上げ後の滑り座りを確認することが先です。
体動が少ない、夜間覚醒が増える、背上げ時に仙骨部の発赤が出るなど、臨床所見が変わった時だけ例外対応を検討します。全自動運転を「任せきり」にせず、変化が出た場面を記録してチームで見直すことが大切です。
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| 状態 | PT が見る所見 | まず行う対応 |
|---|---|---|
| 体動がある | 寝返り、起き上がり、端座位の安定 | 離床しやすい姿勢と足部支持を整える |
| 体動が少ない | 仙骨部・踵部の持続発赤、疼痛、圧痕 | 体位変換計画と体圧可視化をセットで確認する |
| 背上げが多い | 滑り座り、骨盤後傾、衣類のよれ | 背上げ前後のずれ除去を手順化する |
| 睡眠が崩れる | 覚醒回数、不穏、日中傾眠 | 皮膚所見だけでなく睡眠と快適性も記録する |
体圧可視化は「臀部・左右差・背上げ後」を見る
体圧可視化は、画面の色だけで良否を決める機能ではありません。臨床では、臀部周辺の強い当たり、左右差、背上げ後のずれによる当たりの増加を確認し、修正前後で比較する使い方が実用的です。
特に申し送りでは、「赤い・青い」ではなく「仙骨左側に当たりあり、骨盤位置修正と衣類しわ除去後に左右差軽減」のように、部位・原因・修正内容を 1 行で残します。体圧可視化は、ポジショニングの再現性を上げるための共有ツールとして使うと効果的です。
- 臀部周辺:仙骨周囲に強い当たりが残っていないか
- 左右差:骨盤の傾きで片側に圧が集中していないか
- 背上げ後:滑り座りで仙骨部の当たりが増えていないか
導入 5 分フローで導入前・直後・48–72 時間後を比べる
スコープ導入時は、評価項目を増やすより、導入前・導入直後・48–72 時間後を同じ型で比べることが重要です。比較軸を固定すると、褥瘡リスク、離床のしやすさ、睡眠への影響をチームで判断しやすくなります。
導入直後だけ良く見えても、夜間覚醒や背上げ後のずれが増えることがあります。導入後 48–72 時間で再評価し、支持面・体位変換・背上げ手順・寝具構成をまとめて見直します。

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| タイミング | 見ること | 記録すること |
|---|---|---|
| 導入前 | 発赤、湿潤、疼痛、寝返り、起き上がり、背上げ時間 | 部位、介助量、背上げ角度、現行マットレス |
| 導入直後 | 底づき、臀部の当たり、左右差、背上げ後の滑り | 体圧可視化の所見、修正内容、残る課題 |
| 運用固定 | 全自動を基本にし、例外条件だけ共有 | 背上げ、睡眠、安静度、禁忌・制限 |
| 48–72 時間後 | 皮膚、睡眠、離床、快適性、介助量 | 導入前との差、継続・調整・再検討 |
現場の詰まりどころは「画面を見る前の姿勢」で起きます
スコープ運用で多い失敗は、体圧可視化の画面だけを見て、姿勢・ずれ・寝具構成を見落とすことです。画面で当たりが残る時ほど、骨盤位置、衣類のよれ、厚手防水シーツ、背上げ後の滑り座りを先に確認します。
詰まりを減らすには、記録テンプレで申し送りを揃え、導入 5 分フローで再評価のタイミングを固定します。支持面の知識だけでなく、職場内で相談・記録・再評価の型を共有できる環境づくりも重要です。
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| 起きやすい問題 | 主な原因 | まずやる対策 | 記録ポイント |
|---|---|---|---|
| 体圧可視化で当たりが消えない | 骨盤位置の崩れ、衣類・シーツのしわ | 骨盤位置を再設定し、しわ・よれを除去する | 当たり部位、左右差、修正内容 |
| 背上げ後に仙骨が赤くなる | 滑り座り、せん断、骨盤後傾 | 背上げ前後で骨盤位置と足部支持を整える | 角度、時間、発赤の持続 |
| 夜間覚醒が増える | 圧切替の体感、環境変化、不快感 | 睡眠・皮膚・日中傾眠をセットで再評価する | 覚醒回数、不穏、日中傾眠 |
| 申し送りが揃わない | 画面所見だけで、修正内容が残っていない | 部位・原因・修正・再評価時期を 1 行で残す | 誰が見ても再現できる表現 |
評価・記録・再評価が回らない時は、学べる環境も点検する
「やり方がわからない」だけでなく、相談相手、記録の型、見本となる運用が不足していることもあります。臨床で迷わない働き方の整理に役立つページです。
導入・見直しチェックは 5 項目に絞る
スコープ導入後の見直しは、皮膚、ずれ、体圧可視化、離床、睡眠の 5 項目に絞ると実装しやすくなります。すべてを詳しく書くより、導入前と同じ条件で比較することを優先します。
特に、褥瘡予防だけを見ると「皮膚は良いが眠れない」「圧は分散したが離床しにくい」というズレを見落とします。支持面は生活動作やケアのしやすさにも影響するため、皮膚と活動性をセットで見直します。
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| 見る軸 | 観察のコツ | 記録の最小セット |
|---|---|---|
| 皮膚 | 発赤、圧痕、疼痛、湿潤を同じ時間帯で見る | 部位、持続、圧抜き後の回復 |
| ずれ | 背上げ後の滑り座り、衣類のよれを確認する | 角度、時間、ずれ徴候 |
| 体圧可視化 | 臀部周辺の当たりと左右差を同一体位で比較する | 当たり部位、左右差、修正内容 |
| 離床 | 起き上がり、端座位、移乗のしやすさを見る | 介助量、所要時間、不安定要因 |
| 睡眠 | 覚醒回数、不快感、日中傾眠を確認する | 覚醒回数、不穏、日中の変化 |
カルテ記録テンプレは「部位・原因・修正・再評価」で残す
スコープの記録は、機器名だけでは不十分です。体圧可視化の所見、背上げ後のずれ、皮膚所見、離床への影響を同じ順番で残すと、次のスタッフが再現しやすくなります。
コピペ用テンプレでは、空欄を埋めるだけで「どこに当たりがあり、何を修正し、いつ再評価するか」が残る形にしています。申し送りが曖昧な時ほど、文章量を増やすより記録の順番を揃えることが有効です。
【支持面】スコープ(全自動運転) 【体圧可視化】臀部周辺:当たり(__)/左右差(__)→ 修正(骨盤位置/衣類しわ/寝具構成 など) 【背上げ】__°・__分:滑り座り(あり/なし)/発赤(部位__・持続__分) 【離床】起き上がり(介助__)/端座位(__分・支持__)/移乗(介助__) 【睡眠】夜間覚醒__回(不快感__) 【再評価】導入後__時間に皮膚・睡眠・離床を再確認(48–72 時間目安)
よくある質問
各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。
体圧可視化は「色が変わればOK」ですか?
色の変化だけで判断しません。臀部周辺の当たり、左右差、背上げ後の当たり増加を見て、修正前後で比較します。記録では「部位・原因・修正内容・再評価時期」を残すと申し送りが揃います。
全自動運転なら体位変換は不要ですか?
不要とは判断しません。支持面は褥瘡予防の一要素であり、体位変換、ずれ対策、湿潤管理、栄養、活動性の評価と合わせて運用します。体動が少ない人ほど、皮膚所見と睡眠・離床への影響をセットで見直します。
背上げ後に発赤が出る時は何を見ますか?
まず滑り座り、骨盤後傾、衣類やシーツのよれを確認します。背上げ角度、時間、発赤の持続、圧抜き後の回復を記録し、背上げ前後のずれ除去を手順化します。
スコープライトとの違いは何ですか?
スコープは全自動運転に加えて、臀部周辺の体圧可視化機能があります。スコープライトは全自動運転モデルですが、体圧可視化機能はありません。可視化を使って申し送りを揃えたい場合はスコープ、可視化なしで運用できる場合はライトが候補になります。
注意ランプが点滅した時はどうしますか?
まずホースの抜け・折れ・破損、リモコン・電源周囲を確認します。復旧しない場合は取扱説明書に沿って対応し、販売店またはメーカーへ相談します。自己判断で分解・無理な操作をしないことが大切です。
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参考文献
- 株式会社モルテン. 〖エアマットレス〗スコープ(製品情報・仕様). Link
- 株式会社モルテン. ロボティックマットレス スコープ(パンフレット). PDF
- 株式会社モルテン. ロボティックマットレス スコープ 取扱説明書. PDF
- 公益財団法人テクノエイド協会(TAIS). スコープ 91 cm 幅(TAIS 00054-000648). Link
- 日本褥瘡学会. 褥瘡の予防について. Link
- McInnes E, Jammali-Blasi A, Bell-Syer SEM, Dumville JC, Middleton V, Cullum N. Support surfaces for pressure ulcer prevention. Cochrane Database Syst Rev. 2015;(9):CD001735. doi:10.1002/14651858.CD001735.pub5 / PubMed
著者情報

rehabilikun(理学療法士)
rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。
- 脳卒中 認定理学療法士
- 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
- 登録理学療法士
- 3 学会合同呼吸療法認定士
- 福祉住環境コーディネーター 2 級
専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

