FIM の評価方法|採点基準と 18 項目【早見表】2025

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この記事でわかること(結論)

このページは FIM( Functional Independence Measure )の評価方法=採点基準を最短で確認できるように構成しています。まずは下の「評価方法へジャンプ」から採点基準を確認し、その後に 18 項目の内訳・解釈・よくある迷い を押さえれば十分です。

FIM は 18 項目 × 7 点( 1 =全介助、 5 =監視・準備、 6 =修正自立、 7 =完全自立)。評価原則は「している ADL(普段必要な介助量)」で採点することです。

臨床 × キャリアの伸ばし方ガイド(院内教育・転職の考え方)

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FIM 採点の早見表(成人・医療リハ/2025)
定義(要点) 判断のコツ
7完全自立:安全・迅速・正確。補助具も監視も不要。品質の劣化や極端な時間超過があれば 7 は不可。
6修正自立:補助具のみで安全に自立。他者の関与がゼロなら 6 。
5監視・準備:見守り・口頭指示・環境調整が一貫して必要。物理介助ゼロでも他者の関与あり= 5
4最小介助: 25% 未満の物理的介助。介助割合は 25% 刻みで評価。
3中等度介助: 25–49% の介助。回数・時間など定量で根拠化。
2最大介助: 50–74% の介助。安全上の理由で増えても割合で判断。
1全介助: ≧75% の介助。 2 名介助や機械移乗など。「できる」ではなく「している」で採点。

結論・早見表(目的/構成/運用のコツ)

FIM 運用の要点(成人・医療リハ場面・2025 年版)
項目 要点
目的介助量(負担度)を共通言語で可視化し、経時変化と退院支援に直結。
構成18 項目:運動 13(セルフケア 6/排泄 2/移乗 3/移動 2)、認知 5(コミュ 2/社会的認知 3)。
採点各 1〜7 点( 1 =全介助、 5 =監視、 6 =修正自立、 7 =完全自立)。合計 18〜126 点。
判定のコツ「している ADL 」基準。見守りが一貫して必要なら 5 。補助具のみで自立なら 6 。
中止・保留急性症状・血行動態不安定・転倒高リスク等では保留し記録。
次アクション領域別のボトルネック特定 → 環境調整・補助具・訓練・家族教育へ。

FIM の構造( 18 項目 × 7 点)

運動 13 項目と認知 5 項目からなり、各項目は 1〜7 点で採点します。 6 点以上は「他者の物理的介助なし」であることが前提です。 5 点は監視や準備(口頭指示・見守り・環境調整)が必要な状態を指します。

FIM の 18 項目(領域別一覧)
領域 項目
セルフケア( 6 )食事、整容、清拭、更衣(上半身)、更衣(下半身)、トイレ動作
排泄コントロール( 2 )排尿管理、排便管理
移乗( 3 )ベッド・椅子・車椅子、トイレ、浴槽・シャワー
移動( 2 )歩行/車椅子、階段
コミュニケーション( 2 )理解、表出
社会的認知( 3 )社会的交流、問題解決、記憶

評価方法

FIM(機能的自立度評価法)の評価方法について項目別にわかりやすく解説していきます。

セルフケア

FIM のセルフケアは、食事・整容・清拭・更衣上半身・更衣下半身・トイレ動作の 6 項目で構成されています。

食事

FIM における食事の評価範囲は、食事が適切に用意された状態で、「適切な食器・道具を使って」「食べ物を口に運ぶ動作」「咀嚼し嚥下する」の 3 つの工程を評価していきます。

採点に配膳や下膳は含まず、箸を使わなくても減点にはなりません(スプーンやフォークでOK)

調理場でやわらかな食形態にすることは、嚥下に関する食形態の配慮ですので、6 点になります。もし、嚥下しやすいように加工するのが食事場面であれば、介助者が準備をしたことになり、5 点になります。

食事の準備には、エプロンをかける、調味料をかける、その場で食べ物を切り分ける、食べこぼしの後始末などが含まれます。

4 点 ~ 1 点を評価する場合は、①食器・道具の使用、②口に運ぶ、③飲み込むの 3 つの工程をそれぞれ「33 %」と判断し、3 項目の合計パーセンテージで介助量(○ %)を評価し採点します。

食事を口に運ぶことと、嚥下することは同等の重み付けではなく、口に運ぶことの方が重要になります。咀嚼や嚥下は可能だが、食べ物を口に運ぶことは全くしないのであれば 1 点になります。

整容

整容の評価は、①口腔ケア、②整髪、③手洗い、④洗顔、⑤髭剃りまたは化粧の 5 つの項目を評価していきます。

整容は、あくまで上記の 5 つの項目で評価します。爪切りや着替え、清拭、入浴などの項目は整容に含めないように注意しましょう。

5 つの項目をそれぞれ「20 %」と判断し、5 項目の合計パーセンテージで介助量(○ %)を評価し採点します。

例えば 3 項目が自立していて、残りの 2 項目は全く実施できていない場合、60 %を実施しているので 3 点となります。

髭剃りと化粧が必要ない場合は、その他の 4 項目で評価することになるため、1 項目あたりのパーセンテージが 25 %となります。

整容の範囲は広いため、①口腔ケア、②整髪、③手洗い、④洗顔、⑤髭剃り・化粧の 5 つの要素に限定して採点を行います。

清拭(入浴)

身体を洗い、すすいで、拭いて乾かすところまでを採点します。

採点範囲は下記 10 項目となり、頭と背中は採点から除外します。

シャワーの温度調節が必要であれば、準備にあたるため 5 点となります。

洗うことに対する採点の重み付けは、すすぐこと、拭いて乾かすことよりも重視されます。

更衣(上半身)

腰より上の更衣および義肢装具の装着を評価する。服をタンスに出し入れする動作も採点に含まれる。

入浴前後の着脱に関しては、特殊な状況での更衣と考えて採点対象外とします。しかし、入浴前後しか着替えない場合は、入浴前後の更衣を採点します。医療機関によっては、週に 1 ~ 2 回の入浴の時しか着替えない場合もあるため、そのような場合は入浴前後の更衣を採点します。

採点の際は、①かぶる、②片袖を通す、③もう一方の手を通す、④衣服をひきおろす、という 4 つの動作に分けると整理しやすいと思います。

4 つの項目をそれぞれ「 25 %」と判断し、4 項目の合計パーセンテージで介助量( ⚪︎ %)を評価し採点します。例えば①~③が自立していて、④で半分介助してもらう必要があるとしたら、25 % × 3 + 12.5 % = 87.5 %を実施しているので 4 点となります。

更衣(下半身)

基本的な考え方は上半身と同様になります。

採点の際は、①ズボン、②パンツ、③靴下、④靴の 4 つの動作に分けると整理しやすいと思います。

トイレ動作

衣服の着脱、排泄後の清潔、生理用具の使用を評価します。

採点の際は、①ズボンなどを下げる、②ズボンなどを上げる、③お尻などを拭く、といった 3 つの動作に分け、3 つの工程をそれぞれ「 33 %」と判断し、3 項目の合計パーセンテージで介助量( ○ %)を評価し採点します。

拭くための紙を渡してもらうことは、準備にあたるため、5 点となります。水を流す動作は採点から除外します。

排尿と排便で差があるときは、低い方の点をつけます。日中と比較し、夜間は介助量が増える場合、夜間の能力で採点をします。

排泄コントロール

FIM の排泄コントロールは排尿管理と排便管理の 2 項目で構成されています。

排尿管理

排尿の制御、器具や薬剤の使用を含ぶ部分が評価範囲となります。

排尿に関しては、失敗(失禁)する頻度と介助量の両方を採点し、低い方の点数をつけます。

自己導尿している場合、尿捨ては評価に含みません。

失敗とは衣服やシーツなどを汚してしまうことです。尿や便が意図せずに出てしまう失禁は採点対象ではありません。おむつに失禁をしても、そのおむつの処理を自分で行っていれば失敗ではありません。

排便管理

排便の制御、器具や薬剤の使用を含ぶ部分までが評価の範囲となります。

排便に関しては、失敗(失禁)する頻度と介助量の両方を採点し、低い方の点数をつける。

考え方は排尿コントロールと同様になります。

移乗

FIM の移乗は 3 つの場面での移乗動作を評価し、それぞれを 1 点から 7 点までの得点で採点します。移乗だけで運動項目 91 点中の 21 点をしめることになります。言い換えれば、それだけ日常生活において移乗動作能力の重要性は高いということになります。

ベッド・椅子・車椅子

臥位から起きあがって座位になり、立ち上がり、椅子または車椅子に移る動作全体を採点します。
主な採点対象(重み付けが強い部分)は乗り移りの部分になります。そのため、起き上がりの比重は少なくなります。

移乗は往復を採点します。往復で点数が違う場合には、低い方の点数をとります。

移乗についても 4 点以下については、介助量をパーセンテージで考えて採点します。しかし、介助量をパーセンテージで表すのは至難の業になると思います。そのため、上記の表にあるように手助けの程度についてを参考にして採点すると良いと思います。

トイレ

便器に移ることおよび便器から離れる動作を採点します。トイレに近づくまでのことは移動であって、移乗の採点には含まれません。

浴槽・シャワー

浴槽の出入り、またはシャワー椅子への移乗が採点対象となります。浴槽をまたぐ動作の往復と、しゃがんで風呂に浸かる動作、立ち上がって風呂から上がる動作があります。

浴槽のそばまでの移動は採点対象外になります。

移動

FIM の移動は「歩行・車椅子(平地での移動)」と「階段昇降」の 2 項目で構成されています。

歩行・車椅子

平地での移動を、歩行あるいは車椅子駆動のどちらかで評価します。どちらも利用している場合には、日常生活で利用する頻度が高い手段で評価します。

歩行も車椅子も採点の視点は同様になります。注意点としては、移動手段が車椅子の場合は最高得点が 6 点になります。車椅子で 50 m 自立していたとしても、7 点にはならず、7 点は 50 mの歩行が自立している場合になります。

採点では介助量だけでなく移動距離も評価の対象となり、まず初めに、50 m 移動しているのかどうかがポイントになります。

50 m 移動できる場合は、以下の基準にしたがって採点します。

50 m は移動できないが、15 m の移動はできる場合は、以下の基準に従って採点します。

階段昇降

屋内の 12 ~ 14 段の階段を昇降する動作を採点します。なぜ 12 ~ 14 段なのかというと、1 フロア分あがるために必要な平均の階段数が平均で 12 ~ 14 段であるためになります。

FIM は日常生活における動作能力を評価する指標になりますが、人によっては日常生活において階段昇降を行う機会がないこともあります。その場合は、階段昇降を「している ADL 」ではなく、「できる ADL 」として評価しても良いとされています。この特別措置は階段昇降に限ります。

12 ~ 14 段の階段がない場合は、数段の階段を反復して昇降するのを採点しても問題ありません。上りと下りで点数が異なれば、低い方の点数をとります。

採点方法は「歩行・車椅子」と似ています。歩行・車椅子での 50 m を階段の 12 ~ 14 段に、15 m を 4 ~ 6 段に置き換えると考えやすいと思います。

12 ~ 14 段の階段昇降ができる場合には以下の基準から採点します。

12 ~ 14 段の階段昇降はできないが、4 ~ 6 段の階段昇降であればできる場合には以下の基準から採点します。

コミュニケーション能力

こちらの項目は「理解」と「表出」の 2 項目から構成されています。

理解

理解は、聴覚あるいは視覚によるコミュニケーションの理解になります。あくまで言葉の理解が対象であり、その後に物事を正しく判断するかどうかは含まないとされています。

表出

表出は、はっきりとした音声、あるいは音声によらない言語表現になります。書字または会話増幅装置も含みます。自分が言おうとしたことを表出し、それが相手に伝わるところまでが採点範囲となります。何を表出しようと考える部分については含まないとされています。

7 ~ 6 点と 5 点以下では聞き取る / 表出する内容が変わります。7 ~ 6 点では、複雑・抽象的な内容で採点します。複雑・抽象的な内容としては、「集団での会話」「テレビ・新聞の話題」「冗談」「金銭問題」などがあります。

5 点以下では、基本的欲求に関する内容で採点します。基本的欲求に関する内容とは、「食事」「喉の渇き」「排泄」「清潔」「睡眠」等が当てはまります。理解度 / 表出度と介助量から総合判断します。

理解 / 表出度では、結果的に何パーセント理解 / 表出したのかを評価します。うまく理解 / 表出できたのは 10 回のうち何回かと数えます。介助量では、理解 / 表出してもらうために、介助者が使った労力や手間を評価します。

理解/表出の介助例は以下に列挙します。

    • ゆっくり話す / 話させる

    • 非常に大きな声で話す / 話させる

    • 繰り返す / 聞き返す

    • 強調する / 念を押す

    • 文字で書く(筆談)

    • ジェスチャー

    • Yes-No を用いる

    • 内容を推察する

社会的認知

こちらの項目は「社会的交流」「問題解決」「記憶」の 3 項目から構成されています。

社会的交流

治療の場、あるいは社会生活の場において、他人と折り合っていくことになります。自分の要求とともに、他人の要求をどう処理するかということであり、相手に迷惑をかけているか、自分の言動が人にどう思われているかを感じ取る能力になります。

交流機会が何回あって、そのうち適切に交流しているのは何回かを考えて採点します。6 点の例としては、投薬により適切な交流を保っている場合や、新しい環境に適応するのに時間がかかる場合になります。

適切ではないとする行為の例を、以下に列挙します。

    • 治療を拒む

    • かんしゃく

    • 暴力

    • 悪態

    • 挨拶を無視する

    • 車椅子で暴走する

    • 過剰な泣き笑い

    • 過度に引きこもる

問題解決

日常生活上の、金銭的・社会的・個人的な出来事に関して、合理的かつ安全にタイミングよく決断し、行動できるかを評価します。問題を解決できるかどうかではなく、問題を認識して決断を下し、行動できるかどうかが重要にあります。

問題に対して「的外れな行動」「危険な行動をとる」「行動しない」などを減点対象とします。

行動を開始し、継続し,自分で修正していくことです。自分で修正するというのは,人に頼むことも含まれます。

7 ~ 6 点は複雑な問題の解決を採点します。例えば、「退院計画に参加して計画を立てる」「薬を自己管理する」「対人トラブルの処理」「金銭管理」などが当てはまります。

5 点以下では、日常の問題をどう解決しているかを採点します。例えば、「日常の課題への対処」「日常で起こる不慮の事態への対処」「日常で起こる危険への対処」等が当てはまります。入院生活で考えると「必要な時にナースコールが押せる」「問題が起きたときに介助を頼める」「転倒しないように指示された歩行補助具を使用して歩行する」等になります。

記憶

「毎日の日課」「よく出会う人」「他人の依頼を実行する」の 3 つの課題を覚えているかで評価します。

「毎日の日課」「よく出会う人」「他人の依頼を実行する」の3つをそれぞれ「 33 %」と判断し、3 項目の合計パーセンテージで介助量(○%)を評価し採点します。

「よく出会う人」については家族、主治医、療法士、同室の患者などが当てはまりますが、顔や自分との関係性が分かっていれば、名前は言えなくでも問題ありません。

「毎日の日課」については、起床や就寝の時間、食事の時間や場所、朝や夕に服薬する薬のことなどが当てはまります。

「他人の依頼を実行する」については、人からの頼まれたことを実行できるか、厳守するように依頼されたルールを守れるかどうかが採点のポイントになります。

3 つの課題について、手帳やタイマーなどを使用して管理している場合は 6 点となります。

採点基準の総まとめ

FIM は「している ADL(普段必要な介助量)」を基準に、各項目を 1〜7 点で採点します。見守り・口頭指示・環境調整など他者の関与が一貫して必要な場合は 5 点、補助具のみで安全に完遂できる場合は 6 点 とします。

採点の原則(ブレを減らす)

  • 典型性:最大能力ではなく、日常の介助量で採点。
  • 安全性:見守り・口頭指示が恒常的に必要= 5 点。
  • 補助具:補助具のみで完遂= 6 点(修正自立)。
  • 介助割合:25% 刻みで 4(<25%)/3(25–49%)/2(50–74%)/1(≧75%)。
  • 品質と時間:著しい非効率や品質低下があれば減点根拠を記録。

記録と合議

  • 観察・患者/家族聴取・他職種所見を統合して根拠を残す。
  • 採点の根拠(介助割合・場面・補助具・安全配慮)をカルテに明記。

合計点の読み方と臨床活用

合計点( 18〜126 )は負担度の概算に有用ですが、退院設計は 下位項目 に強く依存します。移乗・階段など条件規定項目を特定し、環境調整・補助具・訓練・家族教育に接続します。比較は バーセルインデックス vs FIM を参照。判定で迷いやすい「 5 点 」の事例整理は FIM「 5 点 」の考え方 にまとめています。

 

FAQ(よくある質問)

Q. 5(監視)と 6(修正自立)の違いは?
A. 他者の関与の有無です。見守り・口頭指示が一貫して必要= 5 。補助具のみで安全に完遂= 6 。
Q. 介助割合は何で測る?
A. 回数・時間・動作の一部(立ち上がりのみ等)の割合を記録し、 25% 刻みで判断します。
Q. 測定者間のばらつきを減らすには?
A. 施設内で用語と基準を合議しチェックリスト化。観察・聴取・他職種所見を統合して根拠を記録します。

参考文献

  • Keith RA, Granger CV, Hamilton BB, Sherwin FS. The Functional Independence Measure: a new tool for rehabilitation. Adv Clin Rehabil. 1987;1:6–18. PubMed
  • Ottenbacher KJ, et al. The reliability of the Functional Independence Measure. Arch Phys Med Rehabil. 1996;77(12):1226–32. Link
  • Glenny C, et al. Comparing the FIM and the Functional Assessment Measure. Clin Rehabil. 2009. PMC

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